2017年2月3日 | カテゴリー:リスナー寄稿記事,ロック探求ランキング
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ドルイドのセカンドアルバムは、当時あまり紹介もされないまま、いきなり国内盤で発売された。1曲目を聴くとファーストアルバムに比べ、音が削ぎ落とされ硬質で洗練されたものになっている事が分かる。特にベースとドラムスの音は気持ち良いほど引き締まっており、曲全体をクールな印象にまとめている。中ほど静かな部分からヴォーカルが入って盛り上がるところでハモンド・オルガンとメロトロンが重なり合い何とも英国的で重厚な雰囲気を醸し出している。他の曲も同様に非常にセンス良く洗練されているが、全体を通してもう一つインパクトに欠けるのも事実であろう。
結局、2枚のアルバムを残して消えてしまったが、どちらの作品も絶対に英国からしか出ないであろう作品には違いない。ジェネシスよりはイエスファンの方に向いているのではと思う。
英国ジャズロックというよりは、あらゆるジャンルのエッセンスを集約したような音であり、今まで聴いたことが無いような不思議な感動を覚えた作品である。
サウンドの核となるデイブ・スチュワートのキーボードは独特のオルガンサウンドをメインにエレクトリック・ピアノ等で、深い霧の向こうから聞えるようなアマンダ・パーソンズのヴォーカルと絡まるように音世界を構築して行く。アラン・ゴウエンのシンセサイザーの音は人柄をしのばせるような何か優しい音がする。ベースとドラムスのリズム隊も複雑な変拍子をものともせずに叩き、弾きこなして行く。それぞれが一体となって奔流を形成し、解き放たれたような瞬間を迎える時、そこには確かな音楽に対する自信に満ち溢れた世界が現れる。
それを覗く事が出来る数少ない1枚がこの作品であり、発表当時こんな音楽は売れる訳が無いと最大級の賛辞(?)を受け、レコード化がだいぶ遅れてしまったと言う、いわくつきの素晴らしい作品が今日CDで簡単に入手出来る事は何か複雑な心境であると共に是非聴いて頂きたい作品である。必聴!!
マンダラバンドというのは、スタジオミュージシャンの集合体で、この1作目を完成させた後、同メンバーによる作品は無い。2作目はメンバーがガラリと変わりバンド名こそ同じだが、別物であると言えよう。しかし、こちらも高水準の作品であることに違いは無い。
さて、この1作目は大曲「曼荼羅組曲」がメインになっている。チベットの僧院を想わせる呪文(?)で幕を開け、壮大なストリングス・シンセサイザーによって曲が始まる。特徴的なヴォーカルは何を言っているのかさっぱり解らないが、極めてドラマティックであり、背景として想い浮かぶヒマラヤ山脈あたりの高い空をさらに天空に向かって駆け上がってゆくような爽快感がある。各メンバーのテクニックは非常に高く、特にキーボードとギターの表現力は群を抜いている。また、その他の小品はセンス良くまとまっているが、ポップな感じもあり、後の「サッド・カフェ」への移行を予感させる。
自らを英国と名乗るバンドの記念すべき1作目である。エディ・ジョブソン、ジョン・ウエットン、ビル・ブラッフォード、アラン・ホールズワースといった英国プログレ界の強者揃いのスーパーバンドである。アルバム発表前から面子を見ただけで、出てくる音はおおよそ想像がついたが、果たして完成された1作目はその通り期待を裏切らない高水準の作であった。発売前に当時のFMで流れた「アラスカ」を聴いた時点で音の核はやはりエディ・ジョブソンの多種多様なキーボードであり、それにアランの独特のテクニカルなギターがユニゾンになったりして壮大な空間を構築するというものだった。大好きな「ソーホーの夜」はライヴでは再現できないと言われていた曲で、アコギの繊細なソロから壮大なシンセサイザー、複雑なリズム、ピアノとギターの目くるめくユニゾンプレイ等、緊張感漲る中にも抒情的な情景描写も見事な、完成度の非常に高い曲だ。現在のセットではなく、マルチキーボードを壁のように積み上げたエディ・ジョブソンの写真を見るたび、プログレはこうでなくてはと思ってしまう。このアルバムの主役は何と言ってもキーボードであり、その手の音が好きな人にはたまらないであろうし、ブラッフォードの独特のリズムの刻み方も全開なので是非未聴の方は聴いて頂きたい優れた作品である。2作目はトリオ編成となり、エディのキーボードが炸裂するとてつもない一大鍵盤楽器大作となっておりE,L&Pをさらに洗練したような音が聴ける。
私がプログレッシヴ・ロックを聴くようになったきっかけは10代後半の多感な頃に人間関係でつまずき、人間不信に陥った時期の深夜放送から流れてきたこれまで聴いた事のない不思議な旋律に感動を覚えた時からでした。その時ラジオから流れたE,L&Pの「フロム・ザ・ビギニング」の終盤に現れるシンセサイザーの音色が、私を現在までプログレッシヴ・ロックを聴き続けるきっかけとなりました。
プログレッシヴ・ロックの魅力は何と言ってもイマジネーションの世界に遊べるところでは無いでしょうか?音を聴いて情景を想い浮かべる、景色を想う、違う世界に旅立つ等など、心の栄養素として私自信、何度も何度も助けられて来ました。
現在、人と人の関係性が薄れ相手の事を思いやったり出来ない人が増えているとの話も耳にしますが、私は、良い音楽を聴くことが人の心を豊かにするのに非常に有効なのではないかと思っています。そういう良質な音楽を、聴いた事の無い人に紹介する、また、何を聴いたら良いのか分からない人も沢山いると思います。「アマゾン」のネット通販は便利で安く、早く大抵の商品が入手出来る事は事実で、プログレ関連商品もかなり充実してきました(利用者が多いということ)。しかし、これから何を聴けば?と思っている人は利用できないでしょう。これから大切なのは、プログレ未経験者に、如何に情報を伝えるかに係っているのではないかと思います。その中では「カケハシ・レコード」様の取り組みにはいつも感心し、期待しております。
KING CRIMSONで製作を共にしたJohn WettonとBill Brufordが、インプロヴィゼーション主体のキーボード・ロックグループを画策し、ROXY MUSICでの交流からEddie Jobson、そしてJohn Wettonのソロ作に参加したAllan Holdsworthを迎えて結成されたスーパー・バンドの78年デビュー作。プログレッシブ・ロックが確実に衰退していく中でリリースされた傑作であり、John Wettonのポップ志向とBill Brufordのジャズ・ロック的な躍動感、Allan Holdsworthの技巧とEddie Jobsonの奔放できらびやかなサウンドが結集した作品であり、プログレッシブ・ロック復興を賭けた傑作です。
紙ジャケット仕様、SHM-CD、09年エディ・ジョブソンによるリマスターが施された30周年記念盤、内袋付仕様、定価3143+税
盤質:傷あり
状態:
帯有
若干カビあり
カンタベリー・シーンの重要グループであるHATFIELD AND THE NORTHとGILGAMESHの中心メンバーが結成したジャズ・ロックバンドの78年作。Dave Stewart、Phil Miller、Neil Murray、Pip Pyleというキャリアのあるメンバーに加えてGILGAMESHのAlan Gowen、CARAVANやSOFT MACHINEとつながるJimmy Hastings、そしてGILGAMESHにも参加しているAmanda Parsonsなどゲスト人も強力。その内容はDave Stewartの存在感を感じさせる、HATFIELD AND THE NORTHの音楽性をよりジャジーにしたような作風であり、4曲の大作から成るカンタベリー・ジャズ・ロックの集大成といえる圧巻の傑作です。
スタジオ・ミュージシャンを中心に結成されたイギリスのプログレッシブ・ロックバンドの78年2nd。今回はDavid Rohlの空想絵巻をコンセプトとして製作されており、デビュー作に参加していたメンバーは残っておらず、BARCLAY JAMES HARVEST、THE MOODY BLUES、10ccなどのメンバーが参加した企画ありきのスタイルを取っています。その内容は荘厳なオーケストラを従えた、デビュー作と並ぶシンフォニック・ロックの名盤であり、THE MOODY BLUESのJustin HaywardやSTEELEYE SPANのMaddy Priorのボーカルが存在感を示します。10ccが全員参加している点も特筆すべきでしょう。
デジパック仕様、2枚組、デジタル・リマスター&リミックス、ボーナス・トラック6曲
盤質:傷あり
状態:並
スレ・圧痕あり、若干汚れあり
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