2014年5月28日 | カテゴリー:ユーロ・ロック周遊日記,世界のロック探求ナビ
タグ: プログレ
一日一枚ユーロロックの名盤をピックアップしてご紹介する「ユーロロック周遊日記」。本日は前回に引き続き番外編として、2011年にデビューしたアメリカの新鋭プログレ・グループTHANK YOU SCIENTISTによる12年2nd『MAPS OF NON-EXISTENT PLACES』をピックアップいたしましょう。
THANK YOU SCIENTISTは、アメリカはニュージャージーで09年に結成されたグループ。11年にデビュー作となるミニアルバム『PERILS OF TIME TRAVEL』、そして12年には今回ご紹介する2nd『MAPS OF NON-EXISTENT PLACES』と現在までに2枚のアルバムをリリースしています。メンバー構成は以下のとおり。
Salvatore Marrano(ヴォーカル)
Tom Monda(ギター)
Greg Colacino(ベース)
Odin(ドラム)
Ben Karas(ヴァイオリン)
Ellis Jasenovic(サックス)
Andrew Digrius(トランペット)
注目したいのが、7人中3人管弦楽器を担当するパーマネントメンバーが存在すること。普通この編成で想像するのはチェンバー/アヴァン系の音なんですが、このバンドが聴かせるのはポストロック的なスピード感やキレを生かしたパワフルかつモダンな音像のプログレッシヴ・ロックなんです。
切れがあってダイナミズムいっぱいのリズム隊、声量豊かでエモーショナルなヴォーカル、音数多くテクニカルなギター、ギターとリードを取り合うアグレッシヴなヴァイオリン、そしてパワフルな中にも哀愁が滲むブラス。これらが有機的に絡み合い緻密かつダイナミックに紡がれるアンサンブルが最高にカッコいい傑作に仕上がっているんですよね~。
では本作より、その実力の程が実感できるオープニングナンバーをお聴きください♪
変拍子満載の硬質かつ肉感的な演奏をメインとしながらも、ヴォーカルが歌い上げるメロディは以外なほどキャッチーでメロディアス。ギターを中心としたヘヴィネスと浮遊感のあるファンタジック感とのバランスが抜群で、演奏そのものは重厚であるにもかかわらず聴きやすさがしっかりと保たれているのが見事です。バンドの並々ならぬセンスを感じさせる部分ですよね。
そしてバンドの特徴であるヴァイオリン、サックス、トランペットがまたいい味を加えています。ヴァイオリンはギターと絡みあうような激しいプレイをメインとしつつも、叙情的なパートでは本来の格調高い表情を表し、演奏に幅を持たせるプレイを披露。一方ブラスは、よくある複数の管楽器を一人のメンバーが操るタイプのバンドとは違い、サックス奏者とトランペット奏者が分かれているため、音の厚みヘヴィさを生まれているんですよね。
そんな彼らのライヴ映像もご覧いただきましょう。7人いるだけあってライヴなのに演奏に厚みがあって、ヴォーカルの存在感もすごい・・・。ライヴでこれだけのパフォーマンスを見せられるというだけでもバンドの実力は一目瞭然ですよね。こんな疾走感のあるライヴ、是非体験してみたいなぁ!
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