2015年3月25日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: ジャズ・ロック
00年代に入ってジャズ・ロック/チェンバー・ロック/アヴァン・ロックの充実ぶりが凄い!
ヘンリー・カウを中心に世界各国でレコメン系のグループが活動していた70年代末~80年代をも凌駕するほどの勢いを感じます。
大量生産・大量消費の資本主義に取り込まれたロック・ミュージックをもう一度、反体制の芸術の域に戻そうとしたレコメン系グループ達の意志が、ITの発展とともに行くところまで行き着いた資本主義の疲弊が渦巻く今、時代の必然としてリアルに甦っているのかもしれません。
ということで、ユーロ各国から北米、南米まで、世界中から届くジャズ・ロック/チェンバー・ロック/アヴァン・ロックの2014年新譜をピックアップいたしましょう。
試聴しながら、お楽しみください!
バンドネオン奏者、ヴァイオリン奏者、ベース、ドラムによる4人編成のアルゼンチン産チェンバー・ロック新鋭による2014年デビュー作。
フリーキーに立ち込める無機的なリズム隊、覆いかぶさるようにシリアスに鳴り響くバンドネオンとヴァイオリン。ここぞでは、『太陽と戦慄』期のクリムゾンばりの硬質かつ凶暴なアンサンブルや、『レッド』期クリムゾンを彷彿させる寂寥感むき出しの叙情みなぎるアンサンブルも飛び出すなど、終始、緊張感とメランコリーとがせめぎ合ったサウンドが印象的です。
これは素晴らしい!
アルゼンチンから注目のレコメン系新鋭バンドが登場!
ストラヴィンスキーばりの暗黒的/原始的なテンションとともに、クラシカルな艶もあって、クリムゾン『レッド』を彷彿させる荘厳なヘヴィネスも飛び出したり、かなりレベル高いです。
ヘンリー・カウやユニヴェル・ゼロのファンは必聴!
アルゼンチンのアヴァンギャルドなプログレ新鋭グループ、2013年作4th。
ポスト・ロックの浮遊感、チェンバー・ロックの緊張感、そしてサイケデリックとが融合した個性派な傑作!
アルゼンチンはブエノス・アイレス出身のジャズ/フュージョン・ロック・グループ、2014年のデビュー作。
たゆたうように優美に奏でられるエレピと繊細なタッチで歌うように紡がれるエレキギターをフィーチャーした夢想的なジャズ/フュージョンを中心に、変拍子を織り交ぜたロック的ダイナミズムを増すパートではGILGAMESHなどカンタベリーに通じる宝石のような叙情を感じさせるアンサンブルが印象的。
これは快作!
アルゼンチンはブエノス・アイレス産の大所帯チェンバー・ミュージック・グループなんですが、荘厳に鳴り響く弦楽器やフルートの調べは、南米というよりも、どちらかと言うと北欧をイメージさせる個性派。
アルゼンチンが誇る新鋭チェンバー・ロック・バンドと言えば?SLAPP HAPPYやCOSのファンにはたまらない女性ヴォーカルのコケティッシュ声炸裂!
コロンビアで注目の新鋭チェンバー・ロック/レコメン系グループを発見!
ユニヴェル・バロばりのテンションみなぎるパートあり、フォークロア調パートあり、こりゃ素晴らしい!
イタリアはミラノの南東に位置する都市ピアチェンツァ出身で08年に結成。女性ヴォーカルのSara Alianiをはじめ、サックス奏者を含むジャジーなイタリアン・プログレ新鋭グループ。2014年作3rd。
カンタベリーに通じる柔らかで優美なジャズ・ロック・フィーリングを軸に、浮遊感や緻密さを加えるポスト・ロック&アヴァン・ロック・フィーリング。
美声女性ヴォーカルにもうっとり。
イタリアはボローニャ出身。
キング・クリムゾンなど70年代のプログレ、カンタベリー・ミュージックやジャズ、ストラヴィンスキーなど近現代クラシックから影響を受けたインストゥルメンタル音楽を指向して01年に結成されたグループ。
2014年にAltrockレーベルよりリリースされた3rd。
管楽器が躍動するストラヴィンスキー的パートからジェントル・ジャイアントばりのファンキーなパートを通過し、ハモンドによるカンタベリーなパートへと進む展開はプログレファンなら歓喜間違いなし!
このイタリア新鋭のセンスとテク、凄い・・・。
新生SYNDONEを支えるヴィブラフォン奏者とUKZのドラマーとが出会った生まれたテクニカルかつ流麗な地中海ジャズ/フュージョン・ロック快作!
『レッド』期のクリムゾンを倍速&歪み倍にしてマイルスが乱入したような強烈なアヴァン・プログレ!このイタリアの新鋭トリオ、猛烈にカッコよし!
アルティのBeppe Crovellaがプロデュースしたインスト・アヴァン・プログレ新鋭!無調、無機的なサウンド・スケープの中、ギターとダブル・ベース時にメロウな旋律を描く瞬間、ハッとさせられます。
さすがは元ERIS PLUVIAで、FINISTERREやHOSTSONATENなどFabio Zuffantiをサポートする管楽奏者のソロ作。
アンサンブルにみなぎるイマジネーションと気品は特筆!
00年に結成されたKey奏者を含む4人組のジャズ/フュージョン・ロック・バンド、2014年デビュー作。
バンド名からしてニンマリですが、ジェフ・ベックばりの鋭角なギターが炸裂!
安定感抜群のテクニック、イマジネーション溢れるアレンジが特筆な注目の新鋭ジャズ・ロック快作!
フランスはリヨン出身のアヴァン・ロック・トリオ。
08年のデビュー作に続き、Altrockレーベルよりリリースの2014年作2nd。
ザッパとベック(90年代オルタナの方の)がデュオを組んで、テープ2倍速にした感じ!?
このフランスのアヴァン・ロック新鋭のテンション、半端なし・・・。
82年作のZEUHL系仏ジャズ・ロックの名作『MASAL』で知られるピアノ奏者による2014年作ですが、これが、「暗黒」と「静謐」の間を往き来きする安定感抜群の名作に仕上がっていて、さすがベテラン・・・。
スタックリッジ meets カンタベリーな新鋭がイギリスから登場!
この2014年作、ニッチ・ポップとカンタベリー・ミュージックのファンならド直球ですよ~。
まるで80年代クリムゾンに初期ヘンリー・カウの管楽奏者が乱入したような、そんな無機的なトーンと有機的なトーンとの取り合わせが魅力的なメキシコのレコメン系新鋭、2014年デビュー作!
これ、アメリカのグループの2014年作なの!?ヨーロピアンな翳りいっぱいで、ズール系やユニヴェル・ゼロから民族音楽まで視野に入れたチェンバー・ロック傑作!
マイルス・バンドへの参加やチック・コリアとの活動などで知られる名サックス奏者Dave Liebmanをフィーチャーしたフリー・ジャズ・ロック・トリオ。御年68歳とは到底思えない、狂おしくエネルギッシュに吹きまくるサックスに痺れる2014年作!
こ、これは、チェンバー・ロックのファンには激レコメンド!ザッパのトリビュート・バンドとしても活動しているスペインはバルセロナのグループが、ストラヴィンスキー「兵士の物語」のカヴァーに挑戦!凄まじい強度と艶やかさ。圧巻です。
なんとスペインから、フランク・ザッパと70年代半ばのポップなジェントル・ジャイアントのDNAを継ぐ新鋭が登場!この2013年の年末にリリースされたデビュー作、強烈に突き抜けてて、恐るべし。激烈オススメ!
ノイ!などクラウト・ロックやゴングなどサイケ・ジャズ・ロックのDNAを継ぐ個性的な新鋭をなんとエストニアで発見っ!
イタリアALTROCKからの作品が人気のHUMBLE GRUMBLEのリーダーHumble Gabor(Guitar)が在籍しているベルギーのプログレッシヴ・フォーク・バンド。プロデュースもHumble Gaborが行った2014年作3rd。
フィドルがゆったりとたゆたうユーロ・フォークあり、サックスがブイブイと鳴る民族舞踏的エスノ・フォークあり、COSのDNAを継いだアヴァン・フォーキー・ポップあり、デヴィッド・アレンばりのアヴァン・アシッド・フォークあり、ベルギーらしい実に屈折感たっぷりな佳曲が並んだ逸品!
電化トロンボーン奏者と電子音も操るドラマーという組み合わせにそそられるベルギーの新世代ユニット。強靱なアヴァン・エレクトロ・ロックを聴かせる2014年デビュー作!
フィンランド人ギタリスト、フランス人フルート奏者、アルゼンチン人チェリストによる多国籍アコースティック・チェンバー・トリオの2014年作ですが、アコースティックながら格調高さ、緊迫感、静謐さがみなぎっていて、マウロ・パガーニのソロが好きなら痺れるはず!
パット・メセニーや北欧のロイネ・ストルトに比肩する色彩感覚と映像喚起力を持ったギタリストをなんとインドネシアで発見!カンタベリーのファンも一聴是非!
いかがでしたか?
みなさまにとってぴったりの一枚が見つかれば幸いです。
カケレコは、これからもジャズ・ロック/チェンバー・ロック/アヴァン・ロック・シーンの最新動向を追い、世界の注目作をみなさまにお届けしてまいりますよ~。
2014年プログレ新譜【シンフォニック・ロック編】はこちら!
【関連記事】
90年代以降にプログレ新鋭シーンが盛り上がり、00年代に入っても注目の作品が続々とリリースされています。その勢い衰えず、次々と優れたプログレ新譜が届く2014年。入荷した注目作をピックアップいたしましょう。
エストニアのジャズ・ロック/プログレ・バンド。2012年に配信されたデビュー作が、イタリアの注目レーベルALTROCKより2014年リリース。バンドは、Key奏者、サックス奏者、トロンボーン奏者、トランペット奏者を含む7人編成。浮遊感たっぷりのミニマルなフレーズで幾何学模様を描くエレピ、透明感やエスニックな香りを漂わすマリンバ、スコーンと突き抜けるようなドラム、ゴングでのスティーヴ・ヒレッジばりにエッジの立ったトーンでエキセントリックに炸裂するエレキ・ギター。ゴングからヒッピー/サイケデリック要素を抜いて、弾け飛ぶようにカラフルに、そして叙情に流れることなく、ノイ!やエルドンばりに無機的に疾走した感じ。非常に個性的なサウンドスケープを聴かせる好盤です。
元ERIS PLUVIA〜ANCIENT VEILで、FINISTERREやHOSTSONATENをはじめ、PICCHIO DAL POZZOのライヴにも参加するサックス/クラリネット/フルート奏者、2014年作ソロ。ピアノのArturo Stalteriをはじめ、管弦楽器奏者を多数ゲストに迎えてレコーディング。艶やかなトーンで幽玄に鳴るヴァイオリンやチェロ、凛と格調高いピアノ、アンサンブルに陰影と奥行きをもたらすサックスやクラリネットによる静謐でリリカルなチェンバー・ミュージック。奇才Fabio Zuffantiを長年に渡ってサポートしている通り、アンサンブルにみなぎるイマジネーションと気品は特筆ものです。YUGENなどALTROCKレーベルのチェンバー・ロックのファンは是非。
電化トロンボーン奏者Adrien Lambinetと電子音も操るドラマーAlain Devalによるベルギーのユニット。2014年のデビュー作。時に暴力的に吹かれ、時にディレイを掛けて無機的に吹かれるトロンボーン、シンセとドラムによる強靱なビート、そして、乱れ飛ぶ硬質なエレクトリック・ノイズ。肉感的アヴァン・エレクトロ・ロックというべきサウンドは、唯一無比。これは『太陽と戦慄』あたりのファンには是非とも聴いてもらいたい疾風怒濤の怪作です。
アルゼンチンのアヴァンギャルドなプログレ新鋭グループ、2014年作4th。ポスト・ロック的な浮遊感と透明感、硬質なタッチのピアノや自在に舞うチェロなどが醸すチェンバー・ロック的な緊張感、エキセントリックなギターによるヘヴィネス、ヴォーカルによるサイケ感などがゴッタ煮にされたテンションみなぎるアヴァンギャルドなサウンドが持ち味。センスとアイデアに溢れた個性派による力作。
コメントをシェアしよう!
カケレコのWebマガジン
60/70年代ロックのニュース/探求情報発信中!