2014年5月2日 | カテゴリー:ユーロ・ロック周遊日記,世界のロック探求ナビ
毎回ユーロロックの名盤をピックアップしてご紹介する「ユーロロック周遊日記」。本日は番外編として、ユーロ圏から少し離れて北米のフランス語圏であるカナダはケベック州のハード・ロック・バンドOFFENBACHの72年作2nd『SAINT CHROME DE NEANT(聖なる虚空のクロム)』をピックアップいたしましょう。
ケベック州は15世紀にフランスの植民地となり18世紀にフレンチ・インディアン戦争の末イギリスに支配されます。その際にケベック法により言語や宗教を始めとするフランス文化が保護され、現在に至っています。
そのためケベックで活動するバンドはほぼフランス語のヴォーカルを基本とし、サウンド面でもアメリカ/カナダ的なヌケの良さよりは、ユーロ的な陰影や気品を感じさせるものが多いんです。
今回ご紹介するOFFENBACHは、数ある70年代のケベック・ロック・バンドたちの中でもいくつものヒット曲を放った重要バンドとして本国では知られた存在。72年に礼拝堂で行われたライヴをそのまま収録した本作にも、その実力の程はよく現れているんですよね。
では本作からのナンバーをどうぞ♪
全体としての音の感触はブルージーなものながら決して泥臭くならず、叙情的なオルガンやエッジの効いたギターなど、同時代のイタリアン・ロックあたりを彷彿させるユーロロック的な哀愁いっぱいのドラマティックさを持ったサウンドがたまりませんよね~。
さてさて、他にも70年代のケベックには素晴らしいプログレ/ハードロック・バンドがたくさんいますよ!一挙ご紹介いたしましょう☆
トロントがあるオンタリオ州に次ぐ第二の州がケベック。
古くは、コロンブスのアメリカ大陸発見以後、フランスにより植民地化されたことにはじまり、イギリスによる支配中もフランス文化を保ちながら、独立後もフランス語を公用語としているのが特徴。
その歴史的・文化的背景から、他の北米地域のキャッチーなサウンドとは異なる、ユーロ・ロックに通ずる気品と陰影を持った作品が数多く生まれています。
フレンチ・プログレにも負けないケベック・プログレの世界をどうぞご堪能ください。
ケベックを代表するグループと言えばMANEIGE!最高傑作とされるのが76年作3rd!キャメルがカンタベリー出身だったら?そんな想像をしてしまう、技巧的で精緻でファンタスティックなサウンドが特徴。オリジナリティ溢れる好グループです。
ケベック産シンフォを代表する傑作。めくるめく変拍子、ドラマティックなキメ、フックに富んだメロディ。イエスやジェネシスやジェントル・ジャイアントのファンならグッときっぱなしでしょう!
POLLENと並んでプログレ・ファンに人気のケベック産グループ。ピアノやフルートによる叙情美、キレのある変拍子を自在に操るテクニック、そして10分ほどの曲を一気に聴かせる構成力。ファンタスティックなシンフォとして一級品!
アレアばりにエネルギッシュなジャズ・ロックあり、マグマばりの混声コーラスあり、ムーディーな哀愁あり、幽玄なフォークあり、このグループは一筋縄ではいきません!個性溢れる名作。
ピンク・フロイドに通ずるメロウなサウンドを土台に、ハモンドやソリーナやピアノやフルートがプログレッシヴに彩るというスタイル。東欧プログレにも通ずる沈み込むような雰囲気と秘境感がたまりません。
ケベックらしいチェンバー・ロック。ヴァイオリン、サックス、ヴィオラが行き交い、その中を男女混成の演劇的なヴォーカルが舞う、実験と伝統の交錯する、非常に鋭い知性を感じさせる一枚。ただただクール!
リリシズムの中にトラッドの静謐さや芯の太さを感じさせる雄大なヴァイオリン、流れるように美しいクラシカルなピアノ。センチメンタルな男性ヴォーカルと格調高く優美なメロディ。美しくも格調高い名作。
重厚なハモンド、荒々しくアクの強いヴォーカル、そしてブルージーでエモーショナルなギター。クラシックとトラッドが絶妙にブレンドした華麗かつ芯の太い逸品。
ジャケはおどろおどろしいけど、音は、初期キャラヴァンやトントン・マクートあたりに通じる愛すべき木漏れ日ジャズ・ロック。気品と牧歌性はいかにもケベック産。サックス/フルートやオルガン奏者を含む好グループです。
後にYESタイプのバンドとして活動するケベックの代表バンドの一つ。この69年デビュー作では60年代末期の空気をいっぱいに含んだ軽やかでスウィートなポップスが印象的です。引きずるようなハード・ロック調の楽曲との対比が何とも痛快!
KEY奏者を中心としたシンフォ・バンド72年作。浮遊感たっぷりの幻想パートからスピーディーに畳みかけるパートまで縦横無尽な曲展開が魅力ですが、そこに一貫して漂うクラシカルな気品こそケベック・プログレたる所以。
個人的にケベックの秘宝的一枚と言ってしまいたいのがこちら。ジャジーさが香る洗練のアンサンブルに、ハスキーなヴォーカル&豊かなハーモニーが乗るプログレッシヴ・ロックを展開。この時代らしいオルガンのスモーキーな音色もたまりません。
ケベック最初期のプログレ・グループ、71年唯一作。シアトリカルなヴォーカルが強烈なオルガン・ハードからVDGGばりのダークなヘヴィ・プログレ、そしてこよなく美しい壮大なシンフォニック・ロックまで、多彩で洗練されたサウンドを聴かせるハイレベルな逸品!
多彩なキーボードをフィーチャーした歯切れの良いアンサンブルが気持ちいい、ケベック・ジャズ・ロック75年作。ほんのり香るファンタジーとエキゾチシズムは、さながらYESとRETURN TO FOREVERをミックスした感じでしょうか。
ヌケの良いギター・サウンドを中心に展開するエネルギッシュなハード・ロックが特徴のケベック・ハード。見せ場を心得た巧みなリズム・チェンジが抜群に決まっております。これぞハード・ロックの中のハード・ロック!
ケベック出身のギター・トリオ・バンドによる77年唯一作。流麗なフージョン・タッチのギターを中心に時に軽やかに時にドラマティックに展開するジャズ・ロック。運動性の高いベースにも注目。
男女二人のヴォーカルを擁するケベックのプログレ・ポップ・グループ。ケベックらしい詩情とリリカルさに包まれつつ、カントリー・ロック風だったりフレンチ・ガール・ポップ風だったり緻密な変拍子パートがあったり、一筋縄ではいかないサウンドが魅力。
世界のニッチなロックにフォーカスした膨大なディスク・レビュー、マニアック過ぎる特集、濃密なコラム。質・量ともに過去最大の読み応えとなった「不思議音楽館 ORANGE POWER」第6弾!!
不思議音楽館/不思議音楽館 ORANGE POWER VOL.6
ORANGEPOWER6(–)
2700円 (税込2970円)
在庫あり
「ツェッペリン meets ドアーズ」と言えるサウンドを、豪快に飲み込むメロトロン!アメリカのバンドだけど、これは英ハード&プログレ・ファンもニンマリの一枚!
GEM96(FLAWED GEMS)
2590円 (税込2849円)
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最近のインディー・ロックかと思う脱力ジャケから、この目の醒めるような超絶技巧ジャズ・ロックが飛び出してこようとは。圧倒的なテンションと技巧で全編駆け抜けるピアノのパフォーマンスは驚愕モノです。
PP166(PAISLEY PRESS)
2390円 (税込2629円)
在庫あり
今や知る人ぞ知るニッチ盤ですが、当時は国内盤LPも出ていたという逸品。シカゴやBS&Tからブラスを取って、トラフィックやニュークリアスやピンク・フロイドに通じるメロウネスを加えた感じ?
WH90374(WALHALLA)
2390円 (税込2629円)
在庫あり
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