「失意のアメリカ、内省の季節」
75年「大義なき戦争」ベトナム戦争は、アメリカの完璧な敗戦に終わりました。戦争終結を境に、アメリカの民衆意識は大きく変わって行きます。一方、60年代のロック・スター達もまた、過剰なドラッグ摂取等がたたり相次いで他界。変革と狂騒の季節を生き抜いた人々は、やるせない挫折感と疲労感を味わいながら、次第に内省的に自己を見つめ直す作品を生み出して行く事となります。
「個を見つめる眼差し、シンガー・ソングライターの時代」
ベトナム戦争の挫折を、個人的挫折のメタファーとして用いた作風等で再出発したJAMES TAYLOR、伝統的なティン・パン・アレーの職業ソングライターから脱却し、自立した女性像を歌に託したCAROL KING。彼等は「シンガー・ソングライター(自作自演歌手)」と呼ばれ、70年代と言う個人的内省の時代にフィットした人肌の音楽を追求して行きます。
「洗練された大人のロック、ウェスト・コースト・サウンドの登場」
LAを中心とした西海岸では、開放的で爽やかな「ウェスト・コースト・サウンド」が隆盛を極めて行きました。そんな中、映画の都ハリウッドに代表される芸能界の退廃ぶりを象徴的に歌に託し込んだEAGLESは、洗練されたカントリー・ロック・サウンドを聴かせます。その潮流の極みとして、都会的なロック、「AOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)」が誕生します。ジャズやソウルのスムージーなサウンド感覚をロックの中に組み込んだそのサウンドは、様々な音楽とクロスオーヴァーしながら、80年代のメインストリーム・ミュージックへと大きく取り込まれて行く事になります。
「火も水も経験し、永遠と思われる幸せも、堪え難い孤独も経験したが、この人だけはという人の死を知らされて、甘い夢も空飛ぶマシーンも粉々」と歌う。ベトナム戦争での敗戦と、アメリカの失意を端的に象徴する、彼の代表曲。内省の70年代を告げる名曲。
伝統的な職業ソングライターであるティン・パン・アレー界隈から、そのキャリアをスタートさせた彼女。そんな彼女がパートナーであったGERRY GOFFINとの離婚の末に、「自立した女性像」を高らかに歌い綴ったのが、この女性SSW名曲中の名曲。
LAを拠点に、少年から青年へと成長して行く過程の苛立ちや困惑を、ヴェトナム敗戦の70年代(内省の季節)を背景に歌い上げた、最重要SSWの一人が彼。無力感や気落ちした感情と情熱との相克を、美しいメロディに昇華したその才能は見事なもの。
「1969年以来、精神は切らしている」と歌い、シーンに登場した彼等。映画の都ハリウッドに代表される芸能界の退廃ぶりや、商業化したロック界の凋落への皮肉、現代都市社会の歪み等を、洗練されたカントリー・ロックの曲調に載せて大ヒットを記録したのがこの名曲。
シカゴ民主党大会における反戦暴動、世に言う「流血の日」の模様を歌にした楽曲。時のシカゴ市長デイリーは、警察だけでなく州軍と連邦軍を出動させ「火炎瓶を所持している者は射殺!略奪を働こうとした者には不具にする程度の射撃とせよ!」と無条件で指示を出したのです。
洗練されたカントリー・ロックの極みとして、都会的なロック、「AOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)」が誕生します。このサウンドの先駆け的存在であった彼等は、ジャズやソウルのスムージーなサウンド感覚をロックの中に組み込む事に成功しました。
米シンガーソングライターの金字塔。共同体幻想の崩壊とベトナム戦争泥沼化の中、疲弊したアメリカ人の心を柔らかく包んだ傑作。
BS&Tとともにブラス・ロックを代表するグループによる69年の記念すべきデビュー作。BS&Tの2ndの後に、ブラス・ロックの産みの親ジェイムズ・ウィリアム・ガルシオがプロデュースした69年のデビュー作。洗練されたブラス・セクション、ソウルフルで力強いヴォーカル&コーラス、ジミ・ヘンも惚れ込んだ名手テリー・キャスによるリード・ギター。米ブラス・ロックらしいアグレッシヴでたくましくソリッドなロック・ナンバーがずらり揃っています。シカゴというと、後のメロウなバラードが有名ですが、初期のブラス・ロック・サウンドもまた絶品。もっともっとロック・ファンに評価されるべき名作です。なお、デビューの後、シカゴ交通局(シカゴ・トランジット・オーソリティ)より訴訟を受け、シカゴと短く改名。
デジパック仕様、スリップケース付き仕様
盤質: | 無傷or小傷 | 傷あり | 全面に多数傷
状態: | 良好 | 並(経年) | 並(一部不備) | 不良 |
スリップケースに経年変化あり
76年度グラミー賞最優秀レコード賞を受賞した、彼らの文句なしの代表傑作、同75年第5作目がこちら。既に74年リリースの『ON THE BOADER』において全米第1位を獲得していた彼らですが、その多大なプレッシャーを押しのけ、J.D.Southerを迎え完成させた今作。それまでのカントリー・テイストは薄れ、よりタイトでヴィヴィットなロック・サウンドを導入しています。それでいて、70年代に入り、次第に産業として体制に取り込まれてゆくロック界を皮肉ったかのような歌詞が印象的な大名曲「HOTEL CALIFORNIA」を筆頭に、「NEW KID IN TOWN」、「THE LAST RESORT」等、Daryl Hallを歌の主人公のイメージとしたかのような内政的で、示唆的な歌の世界が、正に70年代という疲れを見せ始めたロック界の空気感を上手く捉えた作品であるとも言えるでしょう。
本人による96年デジタル・リマスター、定価1748+税
盤質: | 無傷or小傷 | 傷あり | 全面に多数傷
状態: | 良好 | 並(経年) | 並(一部不備) | 不良 |
帯有
カビあり
盤質: | 無傷or小傷 | 傷あり | 全面に多数傷
状態: | 良好 | 並(経年) | 並(一部不備) | 不良 |
盤質: | 無傷or小傷 | 傷あり | 全面に多数傷
状態: | 良好 | 並(経年) | 並(一部不備) | 不良 |
ケースツメ跡あり
狂騒と革命の60年代の果て、内省の70年代、即ちシンガー・ソングライターの時代を、静かなアコースティック・ギターを爪弾きながら、高らかに告げた金字塔的大名作。プロデューサーにPeter & GordonのPeter Asher。コンビ解散後はBEATLESのアップル・レーベルで新人発掘の仕事を始め、初めて契約を交わしたのがJamesだったのです。結果としては、7曲目に収録されている「FIRE AND RAIN」のヒットをきっかけに彼を一躍スターダムへと導くのですが。特筆すべきことは彼の作品世界が、ボーイ・ミーツ・ガールでもなく、直接反戦を問うプロテスト・ソングでもなくて、個人の何気ない日々の生活感情を吐露した、個々の内面描写に、その表現欲求を照射していたこと。ごく個人的な感情ほど多くの人々の胸を打つという、新しい形のシンガー・ソングライター像を、優れたギターの表現力を通して描き出していたことが重要なのです。個人心象に長けた歌には、必然的にNYMN(聖歌)のような救済が含まれ、柔らかいカントリーのフレイヴァーを基調にブルース、R&B、黒人霊歌、ブルーグラスといったアメリカン・ルーツ・ミュージックと絡ませながら、巧みなバランス感覚と都会的センスによって息づいています。大切な時間に、そっと耳を傾けたい。そんな一枚です。
定価1748+税
盤質: | 無傷or小傷 | 傷あり | 全面に多数傷
状態: | 良好 | 並(経年) | 並(一部不備) | 不良 |
帯無
帯無
盤質: | 無傷or小傷 | 傷あり | 全面に多数傷
状態: | 良好 | 並(経年) | 並(一部不備) | 不良 |
側面部に色褪せあり