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【ユーロロック周遊日記】LA BOCCA DELLA VERITA『[Un] Connected』(イタリア/2023)

イタリアのローマにある石の彫刻「真実の口」は、カケレコ・ユーザーの皆さんもご存じですよね。

イタリア語では「ボッカ・デラ・ベリタ」と呼ぶそうです。

「真実の口」は、サンタ・マリア・イン・コスメディン教会に飾られていて、「偽りの心を持つ者が口に手を入れると、その手を噛み切られてしまう」という言い伝えがあります。

本日は、この「真実の口」をバンド名に冠した新鋭プログレ・バンド、LA BOCCA DELLA VERITAの2023年作『[Un] Connected』をご紹介します。

このバンドは前作もとても高い評価を獲得しているので、新鋭プログレ・ファンの皆さんは忘れずにチェックしてください!

●LA BOCCA DELLA VERITA 略歴



2001年にローマで結成されたLA BOCCA DELLA VERITAは、1970年代のプログレッシヴ・ロックのカバー・バンドとして活動を開始しました。

ブリティッシュ・プログレではPINK FLOYD、GENESIS、EMERSON,LAKE&PALMER、イタリアン・プログレではPREMIATA FORNERIA MARCONI、BANCO DEL MUTUO SOCCORSO、LE ORMEといったアーティストたちから影響を受け、レパートリーにしていたようですね。

その後、グループはオリジナル曲の作曲に着手し、2016年にFading Recordsからデビュー・アルバム『Avenoth』を発表。

『Avenoth』は、デビュー・アルバムにもかかわらずCDの78分を使い切ったコンセプト・アルバムで、イタリアン・プログレらしい音楽性とハイ・レベルなサウンドが話題となりました。

日本では国内盤もリリースされ、絶賛されていましたね。

せっかくなので、まずは『Avenoth』の楽曲を聴いてみましょう!

La Danse Du Pantin

試聴 Click!

LA BOCCA DELLA VERITAは、12弦ギターやフルートも操るヴォーカリストFabrizio Marziani、リード・ギタリストRoberto Bucci、キーボーディストJimmy Bax、同じくキーボーディストMassimo Di Paola、ベース・ペダルも担当するベーシストGuglielmo Mariotti、そしてドラマーIvan Marzianiという6人編成のグループです。

フルートも操るヴォーカリスト、12弦ギター、MOOG TAURUSベース・ペダル、そしてTony Banksの使用機材として有名なARP Prosoloistを使用していることなど、スタイルとしてはGENESISからの影響が色濃い印象ですが、ツイン・キーボード編成はBANCO DEL MUTUO SOCCORSOを思い出します。

このツイン・ギター、ツイン・キーボードで生み出される重厚なシンフォニック・ロックは、確かにデビュー・アルバムとは思えないほどのクオリティーですよね!

そんな彼らが7年ぶりとなる2023年作『[Un] Connected』を発表しましたので、詳細について見ていきましょう!


●2023年作『[Un] Connected』アルバム・コンセプト



LA BOCCA DELLA VERITAの2ndアルバム『[Un] Connected』は、デビュー・アルバムに続いて70分を超えるコンセプト・アルバムとなっています。

本作で彼らが表現するのは「人間のつながりとテクノロジー」。

以下に、Ma.Ra.Cash Recordsによるアルバム紹介から要点を抜粋し、意訳してみます。

現代のテクノロジーは、私たちが自分以外の他者と「つながっている」と錯覚させる。
インターネットの仮想空間は徐々に現実の代替物と化し、もはや、現実から短時間だけ離れて訪れるものではなくなりつつある。

現代の私たちは、人間関係を含むあらゆるものを手軽に手に入れることができる反面、他者との深い関係を作りにくい。
それは、「つながっている(Connected)」と同時に「切り離されている(Disconnected)」ということでもある。
その結果、私たちは以前よりも孤独を感じるようになった。

現代において私たちの存在に意味を与えるために残された唯一の方法は、愛を再発見すること。
それがなければ、私たちの人生は無意味なものとなるだろう。

ここで言う「テクノロジー」は、主にインターネットを指しているんですね。

PINK FLOYDは79年の傑作『The Wall』で、主人公ピンクの孤独や疎外感を「壁」というモチーフで表現しましたが、時代は違えど本作にも『The Wall』に通じるテーマを感じます。

あるいは、機械文明への警鐘という捉え方だと、EMERSON,LAKE&PALMERの73年作『Brain Salad Surgery』収録の大曲「Karn Evil #9」も思い出されますね。

2023年作『[Un] Connected』試聴



それでは、アルバムのオープニングを飾る「Connected Ouverture」を聴いてみましょう!

LA BOCCA DELLA VERITAの『[Un] Connected』は間違いなく、2023年の最も重要なプログレッシヴ・ロック・アルバムのひとつになるでしょう。

傑作となった前作すら上回るのではないかという、NEAL MORSE BANDやTRANSATLANTICの新譜かと思うほどハイ・レベルな音楽性!

もちろんテイストとしては70年代のヴィンテージなサウンドなのですが、しっかりと2023年仕様のプログレッシヴ・ロックにアップデートされています。

ヴォーカルは英語で、サウンドの方も抜けの良いアメリカン・スタイルなので、いわゆる「イタリアン・プログレらしさ」はさほど強くありませんが、その分ワールドワイドなマーケットで通用する普遍性を持っています。

なお、10曲目に収録されている「Cryogenic Hope」にはBANCO DEL MUTUO SOCCORSOのギタリストFilippo Marcheggianiがゲスト・プレイヤーとして参加しています!

アルバム終盤の重要なシーンにFilippo Marcheggianiをキャスティングするあたり、メンバーたちのリスペクトが感じられますね。


コンピューターやインターネットなどの先端テクノロジーをコンセプトにすると、テクノなどの音楽性ならともかく、ヴィンテージ・プログレという表現方法ではミスマッチにならないか?と心配しながら聴き始めましたが、全く違和感がありませんでした。

よくよく考えてみれば、プログレッシヴ・ロックという音楽はメロトロンやシンセサイザーといった先端テクノロジーを積極的に取り入れ発展してきた音楽なんですよね。

そういったコンセプトの側面から見ても、やはり本作は2023年仕様にアップデータされた素晴らしいプログレッシヴ・ロックになっています!



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    ツイン・キーボード編成のイタリアン・シンフォ新鋭16年デビュー作、エモーショナルなヴォーカルが映えるスケール大きくメロディアスなシンフォニック・ロック快作!

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  • LA BOCCA DELLA VERITA / [UN]CONNECTED

    「真実の口」をグループ名に冠するイタリアの新鋭グループ、ハモンドやメロトロンが鳴り響くダイナミックで迫力満点のシンフォニック・ロック、23年2nd!

    ローマにある石の彫刻「真実の口」をグループ名に冠し、2016年にデビュー・アルバム『Avenoth』でプログレ・シーンに登場。BANCO DEL MUTUO SOCCORSOなどが引き合いに出されるハイ・レベルなシンフォニック・ロックで高い評価を獲得したLA BOCCA DELLA VERITAが、7年ぶりのセカンド・アルバムとなる2023年作『[Un]connected』を発表しました。その内容は、インターネット・テクノロジーを介した人間関係に対する警鐘という21世紀ならではのコンセプト・アルバム。人間同士が手軽につながることができるようになると同時に、他者との深いコミュニケーションができなくなりつつある現代をプログレッシヴな音楽性で表現しています。一聴して印象に残るのはゴリゴリとした迫力のあるハモンド・オルガン、メロトロンのストリングスやコーラス音色、あるいはアナログ・シンセサイザーのリード音色といったヴィンテージ・キーボード群、ハード・ロック的なサウンドを基調にメロディアスな泣きも表現するギター、そしてリッケンバッカー・ベース。もちろんドラムスもスリリングなプレイを聴かせています。 LA MASCHERA DI CERAなど、イタリアには70年代を思い起こさせるレトロな音作りを用いたプログレバンドが少なくありませんが、そんな中でもトップ・クラスのクオリティーでしょう。なお、本作にはBANCO DEL MUTUO SOCCORSOのギタリストFilippo Marcheggianiがゲスト・プレイヤーとして参加しています。現代社会の闇を鋭く描写した傑作であり、イタリアン・プログレ・ファン必聴の1枚です!

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