え〜、早いものでこの連載コラム始まってから8年以上の月日が経ってしまいました。死ななかったのは良いことですが、その代わりに多くのアーティストがいなくなってしまいました。特にここ数年は本来のテーマであるなんか気になる記念日とロック・ミュージックを強引に紐付けするというスタイルが追悼原稿になることも多く、しかも筆者の高齢化が進み、原稿書いていてデジャヴ現象が多々発生。記憶力に完全に問題が発生しております。
と言うわけで、キリも良いんじゃないということで最終回ということにさせていただきます。このようにどうしようもない原稿にお付き合いくださった方々に深く御礼申し上げます。また担当の佐藤さん、どうもありがとうございました。それでは皆さん御機嫌よう! さようなら〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ってことで「〜」を5000回ほど続けるサイコな原稿にしちゃおうかとも思いましたが、既に80数回リピートしただけで見た目が気持ち悪いので、最終回は各月の「なんじゃ、そりゃ?系」、「そのまんま系」記念日とロックを強引に結びつけていく方向で進めて参ります。
大変わかりやすいですね。「イチ(1)かバチか(8)」。オリジンはサイコロ賭博にあり、「一」と「八」はそれぞれ「丁」と「半」の上部をとったもので、「丁か半か」と同じ意味だそうな。「半」のほうは上の点々をひっくり返して「八」に見立てるようになっています。これはオリジナル発売当時そのものズバリの邦題がついたEDDIE & THE HOT RODS『Life On The Line/ イチかバチか』ですね。ロンドン・パンクが登場する前のパブ・ロック時代の人気バンドで、これもパブ・ロック時代から活躍していたDR. FEELGOOD同様サウスエンド・オン・シー出身のバンドでした。特にギターのデイヴ・ヒッグスはDR. FEELGOODの前身となったバンドに在籍していたこともあり、兄弟バンド的な見方もされていましたが、FEELGOODのようにR&B色は濃くなくどっちかと言えばパワー・ポップ系のサウンドを持ったバンドでした。メジャー・デビュー前に素行不良でバンドを追い出されたブルース・ハープ担当のルー・ルイスが在籍していた頃はかなりトンがったサウンドでしたが、この2ndアルバムあたりになると元気いっぱいパワー・ポップ路線を突き進んでいました。パンク登場以降は「俺たち元祖」みたいな発言をしてパンクの連中からいじめられておりましたが、良いバンドでしたね。
色々あります。まず「跳躍の日」2月29日は閏年、4年に一度しか巡ってこない日であることがミソ。閏(うるう)年の翌年の曜日は、一つ飛び越してふたつずれます。このことから、英語では閏年のことを”leap day”、「飛び越える日」というのだそうです。かつてイギリスでは、この日だけは女性から男性へのプロポーズが伝統的に公認され、男性はそれを断ることができなかったそうでかなり迷惑な日だったようですね。
続く「円満離婚の日」の日は離婚式プランナー寺井広樹さんという方が制定。「2人に、福(29)あれ」との語呂合せなんだそうです。離婚式プランナーっていうのはかなりユニークな職業ですね。別れた夫婦というとリチャード&リンダ・トンプソンとかジョン&べヴァリー・マーティンなんかが浮かんで来ちゃいます。筆者の場合。随分昔に一度取り上げましたがジョン&べヴァリー・マーティンの2nd『The Road To Ruin』(1970年)を強く推奨。人気度は『Stormbringer!』(1970年)が圧倒的に上ですが、なんとも言えない寂寥感漂うジャジィなフォーク・サウンドは晩秋の夜のともには最適です。「富士急〜」と「ニンニク〜」は語呂合わせ。富士急ハイランドで一番でかいフジヤマは左側に座った方が怖いと思います。特に出発から頂点に達するゆっくり登るパートがね結構怖いよ。
誰でもわかる語呂合わせ。「さ(3)とう(10)」の語呂合わせで、砂糖の優れた栄養価などを見直す日なんだそうです。昔からありそうですが実際は砂糖に関係する団体から構成される「お砂糖“真”時代」推進協議会によって、2014年に制定されたそうです。類似品で11月30日「いい砂糖の日」というのもあります。これはSUGARLOAFかな。ヒット曲「Green-Eyed Lady」が入った1stが人気ありますが、個人的にはよりスケールが大きくなった感が強い2nd『Spaceship Earth』がオススメ。70年代初頭の作品なんで、所謂プログレ・ハード系作品としては多少鈍臭い感じもありますが、楽曲の出来も良く、構成力も1stから確実にアップしており結構楽しめる作品です。オルガンが活躍するハードな楽曲もさることながら、いくつか散りばめられたクラシカル・ポップ風味の楽曲が良いアクセントになっています。あと、今、カケレコの商品リストにも入っているSUGARCREEKの3作品をまとめた『Fortune』(プレミア盤で検索すると出てきます)はそれなりに高い値付けになってますが、これもAORロック、プログレ・ハード系のリスナーには美味しいパッケージですね。
これも見事そのまま。シーサーの発祥地である那覇市壺屋で2002年(平成14年)より実施されている記念日だそうです。「シーサー」の名前は「獅子(しし)」を沖縄方言で発音したものなんだそうです。
何年か前に1枚だけ紫のアルバムの担当ディレクターやったことがあり、その時30年ぶりくらいで沖縄に行ったのですが、紫のメンバーと打ち合わせ・取材をやってその晩、ジョージ紫さんがジョニー宜野湾のバックでオルガンを弾くということで観に行きました。ジョニー宜野湾さんミュージシャンというより電話したら30分以内にライトバン転がしてエアコンの修理に来てくれそうな街の電気屋みたいなルックスなんですがちょいとかすれ気味の良い声で紫の「Double Dealing Woman」とか歌っちゃうワケですよ。で、この時のライヴで印象に残ったのが彼のオリジナル曲「愛のチカラ」これ、良い曲なんだよね。
JEITA(電子情報技術産業協会)とJAS(日本オーディオ協会)が2008年3月4日、サラウンドの啓蒙を目的に5月1日を「サラウンドの日」に制定となっています。2011年のアナログ停波を見据えて「関連業界が真摯にサラウンドの普及・啓発に取り組む必要がある」ということで2008年に始まった訳ですが、この2008年当時は5.1chが主流で、まだその先は滝みたいな状況でしたが、今ではDolby Atomosフォーマットなんかも登場し、チャンネル数もどんどん増えています。SACDマルチなんかは昔4chフォーマットで出ていた音源の移植とかでは一定の効果をあげていますが、5.1chを超えるチャンネル数が主流となった昨今では些か非力な印象もありますし、2010年代前半に出たサラウンド音源を今再び取り出して聴いてみると、再生の途中で思わず止めてしまいたくなるものも多いですね。技術革新が進むことは喜ばしく思う反面、なんか早晩絶滅しちゃうんじゃないかという気もします。
前にも書いたと思うけど、開発側は一般のリスニング環境をもう少し意識しないとヤバイんじゃないかと思います。専用のリスニング・ルームを持てる人なんて限られていますから。普通の主婦はリヴィングにスピーカーが10個以上あってそこら辺ケーブルだらけだったら激怒するに決まってるじゃん。また最新ミックスのマルチ・チャンネル音源を体験するための対価が高騰している点も問題ありな感じです。つい最近書いたばかりですがPINK FLOYD『The Dark Side Of The Moon』のDolby Atomosミックスを聴くためにはあのどうしようもなくデカくて高い箱を買わなきゃならないのはどうかと思いますし、今はRUSH『Signals』のDolby Atomosミックスが気になって仕方ないけどこれも高額。サラウンド貧乏は深刻な問題になりつつあります。
【関連記事】
音楽ライター/ディレクター深民淳によるコラム「音楽歳時記」。季節の移り変わりに合わせて作品をセレクト。毎月更新です。
これも然もありなんな記念日なのですが、漫画家・手塚治虫氏らのよびかけで、1988年(昭和63年)に設立された日本昆虫クラブが記念日として提唱。「6(む)4(し)」の語呂合わせで、昆虫が住める街作りを願っています。また、カブトムシで有名な福島県・常葉町の常葉町振興公社が提唱する「ムシの日」でもあるそうです。日本昆虫クラブというのがあるということは知っていましたが手塚治虫氏が設立に関わっているのは知りませんでした。「昆虫が住める街作り」っていうのは別にとやかくいうつもりはありませんが、蚊とか火蟻とかは迷惑だよなぁ、って感じです。
CATAPILLAのデビュー前のリハーサル音源を集めた『Embryonic Fusion』という作品が最近出たのですが、これのアートワークがかなりグロいんですね。僕は虫、苦手ではないのですが、日本盤の見開きジャケットを広げて見た瞬間鳥肌が立ちました。内容はヴァーティゴからデビューする前の音源でアルバム制作前に脱退したギタリスト、ハリー・クラークが所有していたレヴォックス・テープデッキで録音されたもので、スタジオ録音音源と比べると音質は今ひとつながら、かなり貴重な発掘音源ではあります。ヴォーカルもこのアルバムではアンナ・ミークではなくアンナの姉のジョー・ミークが歌っています。ジョーはソロに転じるためデビュー前に脱退。新ヴォーカリスト獲得のためメロディ・メーカーに掲載した募集告知を見たアンナ・ミークが加入するのですが、メンバーはアンナがジョーの妹であることを知らず、アンナも先代ヴォーカリストが姉だったことを知らなかったんだそうです。
サウンドはヴァーティゴ・デビュー後のプログレ寄りのジャズ・ロック・サウンドにあった屈折感やヒネリはまだなくストレートで圧が強めのブラス・ロック。どこか60年代ポップを引き摺っており、ヴァーティゴからの2作とはちょっと印象が異なっています。
6月と並びこれは絶対あるだろうと思いましたが、やっぱりね。全国質屋組合連合会が制定しております。今となっては50年代、60年代のフェンダー、ギブソンのギター、ベースはヴィンテージ楽器としてとんでもない値段で取り引きされていますが、80年代くらいまではアメリカのローカル質屋を覗くと50年代は無理でも60年代ものは結構目にしましたし、そんなに高くもなかったんですね。
というわけでそのものズバリのアルバムがあります。ギルビー・クラーク『Pornshop Guitars』です。ギルビー・クラークはLAメタル全盛時代にメタル寄りではあるけれど、カテゴライズするとパワー・ポップ寄りのバンド、CANDY在籍時に注目を集め、後にGUNS N’ ROSESにも参加します。『Pornshop Guitars』は彼の最初のソロ・アルバムでした。
なんだか語呂合わせ特集のようになってきておりますが、これは全日本帽子協会が制定。「ハッ(8)ト(10)」誰でも思いつきますね。
帽子というとSTACKRIDGE『The Man In The Bowler Hat』がパッと頭に浮かびますが、ここでは2021年に発表された3枚組ボックス・セット『50 • Recordings 1971-2021』をご紹介。
STACKRIDGE固有のアイキャッチと言っても過言ではないボーラー・ハットがドーンとフィーチュアされたアートワークは大変分かりやすいですね。クラムシェル・ボックスの中にペーパースリーヴに入ったCD3枚とブックレットという構成で、タイトル通りCD1と2がSTACKRIDGE50年間の歩みを俯瞰したヒストリカル・コンピレーション、CD3がライヴ音源集となっています。CD1のオープニングはSTACKRIGEの代表曲のメロディをオーケストラが次々と奏でていく「Overture」でスタートし、間髪入れず『The Man In The Bowler Hat』のオープニング・トラックである「Fundamentally Yours」に繋がっていく展開にグッときます。ベスト盤部分はポスト・プロダクションがしっかりしており、オリジナル音源に比べくっきりはっきりした音質になっている点にも注目で、このバンドのサウンドに対する印象が結構変わります。僕もライヴ音源集がついたベスト盤かと最初は無視していましたが、値段が手頃だったので購入してみてちょっとびっくりというパッケージでした。
Fundamentally Yours
全日本ベッド工業会が制定。これはストレート系ではなく変化球系。9と3で「ぐっすり」なんだってさ。
ベッドというとこの痛そうなヤツが頭に浮かびます。カナダ、ナイアガラ・フォールズ出身のポップ色強目のハード・ロック・バンド、HONEYMOON SUITEの1st。いやぁ、これはどう考えても死んじゃうよなぁ。
これも変化球系。10と11をそれぞれ時計方向に90度回し、並べるとウインクしているように見えるからなんだそうな。この日の朝、目覚めたときに好きな相手の名前の文字数だけウインクをすると想いが通じるという、女子中学生の間ではやっていたおまじないが定着というどこか都市伝説っぽい話が元らしいです。
ウインクといえば「淋しい熱帯魚」…ここはそういうコラムではないのでSWEET『Give Us A Wink』になります。アナログ・オリジナルは右目の部分がカットされておりインナースリーヴを引き出すと目が動いてウインクしているように見えるというギミック・ジャケットでした。1976年に発され、マイク・チャップマンとニッキー・チンが作った楽曲を演奏するハード・ポップ時代から離れ、シンセサイザー、シーケンサーを取り入れたハード・ロック・サウンドを確立し、プログレ・ハード路線に舵を切る直前の作品でした。70年代ブリティシュ・ハード・クラシック「Action」が収録されていた作品でもあります。
「Action」はDEF LEPPARDのジョー・エリオットが好きでLEPPSもライヴでも頻繁に演奏されていますが、ひと昔前、LEPPSが『Hysteria』全曲再現ツアーをやった時、ツアー序盤のショウで、メンバーがステージに登場し観客は「Women」のイントロが流れると思いきや、いきなり「Action」から始まっちゃって観客困惑なんて話があったような記憶があります。
Action
これも技あり系。まず前段として1879年(明治12年)のこの日、工学会(日本工学会)が設立されました。その後「土木」という文字を分解すると「十一」と「十八」になることから、土木学会、日本土木工業協会などが建設省(国土交通省)の支援で、1987年(昭和62年)に記念日に制定したのだそうです。単なる語呂合わせよりは良いのかもしれませんがま、わかりにくいですね。
土木…ありゃ、意外と盲点だったね。あんまり思いつかないよ。パッと頭に浮かんだのはTOWER OF POWERの『Urban Renewal』だったんだけど、あれはどちらかと言えば取り壊して建築前だしね。まぁ、いいや。強引に話捻じ曲げて行こうと思います。土木は人間生活の根幹でもあるわけだから、先史時代の人々にとっても重要だったのではないかと。古代人を思わせるアートワークではMOODY BLUESの『To Our Children’s Children’s Children – Deluxe Edition』が先週発売になりましてね。1969年発表の作品です。アポロ11号が月面着陸した年の作品ですね。MOODY BLUES、今聴くとプログレというよりほとんどムード歌謡に聴こえる曲も結構ありますが、科学の時代にあえて先史時代に舵切って対比させたアイデアは結構秀逸だったと思います。プロデューサーのトニー・クラークによるところが大きかったのでしょうが、考えてみると1969年ってKING CRIMSONのデビューの年で、CRIMSONも最初はクラークのプロデュースで制作開始したものの、途中でクラークを解雇しセルフ・プロデュースに切り替えたわけです。
でも『To Our Children’s Children’s Children』ってMOODY BLUESが世界中でヒットして全盛期を宣言した作品でもあるわけで、そのプロデューサーを蹴ったというのは考えてみれば凄い話ですよね。
今回の『To Our Children’s〜』は1969年のロイヤル・アルバート・ホール・コンサートの方に比重が置かれているのですが、オリジナル・アルバムのリマスター、ニュー・ステレオ・ミックス、同梱ブルーレイには5.1chサラウンド・ミックスも収録されています。
久々に聴いた印象は、これ科学の時代のロック・アルバムだったんだなぁと。RAHのライヴでも演奏されるアルバムからのヒット曲以外のライヴでは再現しづらい楽曲群って思い切りスタジオ録音ならではのギミック満載で、当時最新鋭のテクノロジーを惜しみなく使った作りになっているわけです。人類が月に行く科学の時代の高揚感と先史時代の人間の営みをリンクさせたコンセプトって如何にもこの時代を象徴しているように思います。
これは全然知りませんでした。正月の神様(年神様)は念仏が嫌いなんだそうで、この日の翌日から1月16日の「念仏の口明け」までは念仏を唱えないというしきたりがあり、この日にその年最後の念仏を唱えることから始まったんだそうです。年神様は辛気臭いのが嫌いなんでしょうか?
念仏と言ったらFACES『A Nod Is As Good As A Wink…To A Blind Horse/馬の耳に念仏』です。このアルバム、オリジナルの発売当時はワーナー・パイオニアから出ているのですが、当時の担当者ちゃんと調べたんでしょうね。原題は「目の見えない馬にはうなづきも目配せも無駄」と言った意味で転じて「鈍感な人にはどんなヒントを与えても無駄」これと同義の日本のことわざが「馬の耳に念仏」となります。原題自体が英語のことわざなので辞書引けば分かるのでしょうが引いただけエライです。同じくワーナー・パイオニアから出たKING CRIMSON『In The Wake Of Poseidon』は『ポセイドンのめざめ』とされちゃったので半世紀経ってもそのままですが、「The Wake」の意味が違いますからね。
『馬の耳に念仏』はTHE SMALL FACESからスティーヴ・マリオットが脱退し、ロッド・スチュワートとロン・ウッドが参加ししてFACESとバンド名を改めての3作目(但しアメリカ盤『The First Step』のジャケットはSMALL FACES表記)ですが、ソロとしても売れ始めたロッド・スチュワートが契約していたフォノグラムとFACESのワーナー・ブラザーズとの間でロッドを巡る熾烈なマウンティング合戦が始まった時期の作品でもありました。ロッド・スチュワートの才能に関しては今更どうのこうのいうまでもありませんが、素朴でルーラル感覚溢れる故ロニー・レーンのテイストとこの時期R&B体質絶好調のロン・ウッドのギターのコンビネーションは最強で、ロッドが歌う「Miss Judy’s Farm」、「Stay With Me」、「Too Bad」といったFACESの代表曲群だけでなくロニー・レーンの歌う「You’re So Rude」、「Debris」の燻し銀の魅力も捨てがたい名作となりました。特に「Debris」のロニーのヴォーカルとロンのギターが醸し出す落日感は神レベルだと思います。
12月記念日見ていて謎に思ったのが12月28日「身体検査の日」でした。1888(明治21)年、文部省(現在の文部科学省)がすべての学校に生徒の身体検査の実施を訓令したのが始まりなんだそうですが、明治時代もこんな年の瀬は冬休みだったのではないかと思うわけです。なんでこんな年末に制定したんでしょう?謎です。
Debris
というわけで、このコラムはこれにてすべて終了となりました。それでは!って感じなんですが、先週、ディスクユニオン店頭で見かけたなんだか『JACURA』のアートワークを思わせる不穏な雰囲気に惹かれジャケット買いしたCDがかなり凄かったので最後に書き加えておきます。
ARAGORNの『The Suite』。レーベルはMERRY GO-ROUND、規格番号はMGRC0005。韓国のレーベルからのリリースで英語、ハングル、日本語表記の帯がついています。1975年にアルバム1枚発表して消えたオーストラリアの超絶プログレ/ジャズ・ロック・バンド、SNAKES ALIVEの前身バンドで、1973年に本作を制作したものの発売されずに終わったものの発掘音源なんだそうです。SNAKES ALIVEはプログレ色は強いもののジャズ・ロック系寄りサウンドでしたが、このARAGORNはもっとストレートにプログレ寄り。メンバー構成はギターがSNAKES ALIVEになった際に交代し、SNAKES ALIVEのサウンドのキーとなっているトランペット奏者コリン・キャンベルは未参加ですが他はそのまま。念のためARAGORNのメンバー表記を書き写しておきます。
Aragorn
Michael Vidale – Bass
Peter Nykyruj – Drums, Percussion
John Simpson – Electric Guitar
Jonas Sayewell – Flute, Acoustic Guitar, Vocals
Oleg Ditrich – Piano, Keyboards, Vocals
発掘音源ながらアルバム制作のためスタジオで録音されたマテリアルが使用されており、50年前の録音というハンデはありますが高音質をキープしています。先に発売されているSNAKES ALIVEのCDと比べても遜色ありません。
サウンドの方はSNAKES ALIVEも素晴らしかったのですが、個人的にはこっちの方が好みかもという典型的プログレ・サウンド。フルートが活躍するあたりのTULL感、CRIMSONからの影響、流麗なピアノがメインとなる部分のEL&P感、感じますがどれもきっちりとバンドの個性に消化されており、非常に好感が持てる作品に仕上がっています。発掘音源は「あ〜、今回も参加賞」レベルのものが確かに多いですが、時にこういう「ウォッ!」っていうのが登場するので侮れません。これかなり良い線いってますよ。
Rivendell~Wonder
「音楽歳時記」バックナンバーはコチラ!
スコットランド出身の夫婦デュオ。70年作の1st。サウンドは、2nd〜3rdあたりのフェアポート・コンヴェンションに近い雰囲気の英フォーク・ロック。聴けば聴くほど心に染みる味わい深いメロディーと、優雅なストリングスやピアノによる英国然とした格調高いアンサンブルはかなりの完成度。フェアポートの「MEET ON THE LEDGE」あたりのサウンドが好きな方にはかなりオススメです。名作。
米コロラドで結成されたロック・バンドの71年2nd。前作から「Green-Eyed Lady」がヒットしたことで知られています。前作も70年という時代を感じるサイケ/アート・ロックの名作でしたが、本作はよりプログレッシヴなアプローチを見せる内容。ギタリスト/ヴォーカルのRobert Yeazel(Bob Yeazel)が加入していることも大きく、サウンド、ハーモニーともに厚みが増しています。聴きどころはオープニングのインスト・ナンバー「Spaceship Earth」。ピアノ、クラヴィコード、オルガン等を駆使したスペーシーな幕開けから、ずしりと重いドラム、太いベース、ツイン・ギターによるヘヴィなサウンドを聴かせたかと思うと、続いてギターもオルガンも軽やかに宇宙を駆け巡るようななサウンドで締めくくります。続く2曲目、ブルージーなハード・ロックでは、前作同様オルガンがディープ・パープルばりのソロを聴かせてかっこいい!前作以上におすすめしたいサイケ/アート・ロックの名作です。
米コロラドで結成されたロックバンドの70年デビュー作。本作のオープニングに収録されている「Green-Eyed Lad」がヒットしたことで知られているバンドです。ブルース・ロックを土台に、ファズ・ギターとオルガンがサイケ感を加えています。特筆はオルガンで、ディープ・パープルばりのソロを聴かせたかと思うと、バロック調のフレーズが飛び出してきたりとひと筋縄ではいきません。全体的にくすんだ雰囲気があり、英オルガン・ロック好きにも響くことと思います。70年という時代の空気が詰まった知られざるサイケ/アート・ロックの名作!
イギリスのブルージーなプログレッシブ・ロックグループの72年2nd。YESの作品などでも有名であるRoger Deanの兄弟に当たるMartyn Deanがジャケットを手がけたその内容は、サイケデリックな色彩感に彩られたブルージーなロック・アンサンブルを基本に、儚げで線の細いAnna Meekによるソプラノ・ボーカルは気だるげに呪術的宗教性とも言えるようなデカダンスを描き、 Robert Calvertによるサックスは漂うようにスペーシーな音像を構築しています。渋みを持った英国勢の中でも異端と言える、とても個性的な作品です。
70年11月21日に行われたモントルー・ジャズ・フェスティバル公演を収録したライヴ音源。収録曲は、
■ DISC 1
1. Astronomy Domine
2. Fat Old Sun
3. Cymbaline
4. Atom Heart Mother
5. The Embryo
6. Green Is The Colour
7. Careful With The Axe Eugene
■ DISC 2
1. Set The Controls For The Heart Of The Sun
2. A Saucerful Of Secrets
3. Just Another 12 Bar
4. More Blues
14タイトル16CDボックス、各CDはペーパーケース仕様、カラーブックレット・ボックス帯付仕様
盤質:傷あり
状態:良好
若干圧痕あり、スレあり
ブルーレイディスク2枚組、特殊ペーパーケース・スリップケース付き仕様、解説・60ページブックレット付き、日本語字幕あり、帯元からなし、定価9000+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯-
梱包の輸送箱に若干油染みあり
ブルース・ロックに根ざした音楽性を持ちサイケデリック・ロックからその歩みを始め、全盛期にはRoger Watersの哲学的な歌詞と完璧なまでのコンセプト性で数々の伝説を作り上げた、世界を代表するロックグループの67年デビューアルバム。後にRoger Watersを中心に全盛期を迎えることになる彼らですが、創設時の中心は紛れもなくSyd Barrettでしょう。本アルバム収録曲の過半数の作詞作曲をこなしており、脱退後もRoger Watersの人格形成に深い影響を与えました。年代的にはまだプログレッシブ・ロックの夜明け前のサイケデリック・ロックの色濃い作風となっており、BEATLESの「Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band」と並びサイケデリック・ロックを代表する名盤となっています。
廃盤、紙ジャケット仕様、デジタル・リマスター、年表・歌詞対訳付き仕様、解説元からなし、定価2548
盤質:全面に多数傷
状態:並
帯無
帯無、カビあり
1968年2nd。Syd Barrett脱退〜David Gilmore加入という状況下で制作された本作は、1stのサイケデリック感覚を残しつつプログレッシヴ・ロックへの目覚めも感じさせる内容です。ハイライトは12分近い大作「A Saucerful Of Secrets」。シンセサイザーを始めとする電子音や様々なSEが絡み合うどんよりとしていながらスペイシーな導入部から期待感を煽ります。複雑なサウンド・コラージュの渦から、肉感的なNickMasonのドラムが浮き上がる混沌の中間部、荘厳なオルガンと重々しいコーラスが鳴り響くクライマックスまでPINK FLOYDならではの構築美を感じさせる楽曲。他にもメロトロンが夢うつつな黄昏感を演出する「See-Saw」、盛り上がっていたジャグ・バンドの演奏がブツ切りされた後、虚ろなヴォーカルが締めるSyd Barrett最後の作品「Jugband Blues」など、聴き所は満載です。初期の音楽性への惜別と、新しい可能性への期待を同時に感じ取れるアルバム。
映画『モア』のサントラとして69年にリリースされた作品。「シンバライン」「グリーン・イズ・ザ・カラー」など、ライヴの定番となった名曲を含む充実作。
ブルース・ロックに根ざした音楽性を持ちサイケデリック・ロックからその歩みを始め、全盛期にはRoger Watersの哲学的な歌詞と完璧なまでのコンセプト性で数々の伝説を作り上げた、世界を代表するロックグループの69年4th。「原子心母」で最初の成功を手にする直前の本作は2枚組みでのリリースとなっており、1枚目にはライブ録音、2枚目がスタジオ作という特異な編成。ライブテイクはバーミンガム・マザーズクラブとマンチェスター商科大学での録音であり、「太陽讃歌」や「神秘」など当時の彼らの代表曲が非常にパワフルに演奏されており、前期PINK FLOYDの貴重なアーカイブとなっています。一方でスタジオ作は、4人のソロ作品という趣であり、非常に実験的要素を感じる楽曲が収められています。
ブルース・ロックに根ざした音楽性を持ちサイケデリック・ロックからその歩みを始め、全盛期にはRoger Watersの哲学的な歌詞と完璧なまでのコンセプト性で数々の伝説を作り上げた、世界を代表するロックグループの70年5th。ヒプノシスによる衝撃的なジャケットアートが有名な本作は、非常に英国然としたブラス・セクションやクワイアが印象的な23分を超える表題曲「原子心母」を中心に、これまでの前衛、アンダーグラウンドな雰囲気を和らげ、商業的にも成功を収めた作品。とは言え全盛期のようなRoger Waters一色なプロダクションではなくメンバーそれぞれがアイディアを出し合い製作されていることから、トータル感ではなくヴァラエティーで聞かせるアルバムとなっています。
ブルース・ロックに根ざした音楽性を持ちサイケデリック・ロックからその歩みを始め、全盛期にはRoger Watersの哲学的な歌詞と完璧なまでのコンセプト性で数々の伝説を作り上げた、世界を代表するロックグループの71年6th。その内容はサイケデリック・ロックの質感を残しながらもブルーズ・ロック、ハード・ロックのアンサンブルも取り込み、スペーシーな音像で迫る作風となっており、なんと言っても彼らを代表する1曲と言える大曲「Echoes」が大きくその存在感を放っています。ロックというジャンルに人間の精神性や虚無感など様々な要素を内包させ、音楽と言う枠組みさえも骨抜きにしてしまうような絶対的な個性に溢れた名盤であり、PINK FLOYDらしさが確立された必聴盤です。
廃盤希少!丸角帯仕様(3%税表記)、解説元々なし(対訳付き)、定価3286
盤質:傷あり
状態:並
帯有
若干カビあり、若干ケースツメ跡あり
72年に『狂気』のレコーディングを中断して映画『ラ・ヴァレ』用に録音されたサントラ。浮遊感のあるサイケデリックな楽曲、ギターとリズム隊がゴリゴリとドライヴ感溢れる楽曲、この時期のフロイドならではのメロウでリリカルなフォーク・ロック曲など、サントラ盤とはいえ、他の名作スタジオ作に勝るとも劣らない佳曲を多数収録した充実の一枚。
紙ジャケット仕様、デジタル・リマスター、年表・歌詞対訳付き仕様、解説元から無し、定価2548
盤質:無傷/小傷
状態:並
帯無
帯無、若干カビあり
ブルース・ロックに根ざした音楽性を持ちサイケデリック・ロックからその歩みを始め、全盛期にはRoger Watersの哲学的な歌詞と完璧なまでのコンセプト性で数々の伝説を作り上げた、世界を代表するロックグループの73年8th。もはや解説不要なまでの英国70年代ロックを代表する傑作であり、アメリカのビルボードチャートにおいて200位以内に15年間に渡ってランクインするという記録を打ち立てたロックの金字塔です。人間の内面に潜む「狂気」をリアルに描いた作品となっており、Alan Parsonsによって丹念に編集された様々な効果音のコラージュ、シンセサイザーの効果的な登用、ヒプノシスによるジャケットアートなどトータルコンセプト・アルバムとして不朽の名盤と言えます。
紙ジャケット仕様、デジタル・リマスター、オリジナルLPレーベル面レプリカ2枚・ポスター2枚・ステッカー2種付仕様、年表・歌詞対訳付仕様、解説元から無し、定価2427+税
盤質:無傷/小傷
状態:不良
帯無
帯無、目立つカビあり
ブルース・ロックに根ざした音楽性を持ちサイケデリック・ロックからその歩みを始め、全盛期にはRoger Watersの哲学的な歌詞と完璧なまでのコンセプト性で数々の伝説を作り上げた、世界を代表するロックグループの75年9th。前作「狂気」を発表しツアーも成功のうちに終了、休業解散状態であったバンドが再びシーンに返り咲いた作品であり、創設時のメンバーSyd Barrettを想起させるテーマを盛り込んだ、Roger Watersの色濃いコンセプト・アルバムとなっていますが、その内容は「狂気」のクオリティーをそのままに別なベクトルへ向けて発信した傑作です。トータル志向という意味では確かに「狂気」に軍配が上がるも、各楽曲のクオリティーは全く見劣りせず、彼らの代表作の1枚に上がることも多い名盤です。
ブルース・ロックに根ざした音楽性を持ちサイケデリック・ロックからその歩みを始め、全盛期にはRoger Watersの哲学的な歌詞と完璧なまでのコンセプト性で数々の伝説を作り上げた、世界を代表するロックグループの77年10th。「狂気」「炎」を作り上げたバンドのネクスト・ステージは、前作までバンドに漂っていた内省的な幻想性を取り払い、非常に現実的なテーマに基づいた強烈な社会風刺の作風となりました。資本家、ビジネスマン、労働者をそれぞれ豚、犬、羊にたとえた今までになくアクの強いコンセプト・アルバムであり、Roger Watersが、コンセプトのみならずバンドのサウンドに関する主導権をも掌握した作品となっています。
James Guthrieによる新規デジタル・リマスター、Storm Thorgersonがブックレットを監修した2011年再発CD。ペーパーケース仕様
盤質:傷あり
状態:良好
ビニールのシールはありません。圧痕あり
ブルース・ロックに根ざした音楽性を持ちサイケデリック・ロックからその歩みを始め、全盛期にはRoger Watersの哲学的な歌詞と完璧なまでのコンセプト性で数々の伝説を作り上げた、世界を代表するロックグループの79年作。「Dark Side Of The Moon」と並んで彼らの代表作と評される本作は、社会との疎外感や人を隔てる壁をテーマにした傑作であり、トータルコンセプト・アルバムの代表例として必ず紹介される1枚。Roger Watersの人格が如実に楽曲に反映されており、主人公ピンクの幼少から、ロック・スターへとその姿を変え、なおも疎外感に苛まれるというシリアスなメンタリティーを、圧倒的な描写で表現しきっています。世界で最も売れた2枚組アルバムという大記録も打ち立てた、英国ロックの金字塔です。
James Guthrieによる新規デジタル・リマスター、Storm Thorgersonがブックレットを監修した2011年リイシュー、ペーパーケース仕様、2枚組
盤質:傷あり
状態:良好
ベストセラーとなった前作「ウォール」で描ききれなかったロジャー・ウォーターズの心象風景をとらえた作品。ピンク・フロイド分裂の引き金となった問題作にして、フロイド作品に通底する狂気を集約させた一枚。
87年規格、定価3200(税表記なし)
盤質:傷あり
状態:良好
帯無
帯無、若干折れあり、若干側面部に色褪せあり
94年の「対(TSUI)」ツアーの模様を収めたライヴ・アルバム。アメリカ、ヨーロッパを回る77都市、110回の公演で300万人以上を動員したツアーは「史上最大の光と音のスペクタクルショー」として今や伝説として語り継がれるツアーとなった。荘厳なピンクフロイドの音世界とともに、史上最大のステージセット、複雑怪奇な映像を写し出す大円形スクリーン、目が痛くなるほどの光の洪水(ヴァリライトが生き物のように動き回り、レーザー光線が会場中を照らし出す)、牙の生えたブタが宙を舞い、巨大ミラーボールが光を放ち、これでもかと言わんばかりの花火の嵐・・・。まさに「美」としかいいようのない、それまでのコンサートの定義を大きく変えるものであった。今作の目玉はなんといっても「狂気」全曲再演収録。75年の最後の演奏以来19年振りに94年7月のデトロイト公演で復活。ここに収録されているのは、8月ドイツ、9月イタリア、10月ロンドンのライヴより。1-(2)の「天の支配」はUS公演ではオープニング・ナンバーだったのだが、誰もが度肝を抜かれたシド・バレット在籍時の1stアルバムからの曲。
ブックレット仕様、スリップケース付仕様、2枚組、直輸入パッケージ使用、情報記載シール付仕様、定価3981+税
盤質:傷あり
状態:並
帯-
情報記載シールなし、解説にコーヒーシミ有り
盤質:傷あり
状態:良好
電池切れ、三方背ケースにスレあり
盤質:傷あり
状態:並
盤キズ多めにあり、若干カビあり
C2K67064/67096/67097(COLUMBIA)
ブックレット仕様、2枚組、三方背ケース付仕様
盤質:全面に多数傷
状態:
若干スレあり、ボックスにキズあり
廃盤、直輸入盤(帯・解説付仕様)、77年録音のスタジオ・トラック5曲をボーナス収録、デジタル・リマスター、定価1800
盤質:傷あり
状態:良好
帯無
帯無
全英チャート1位、全米チャートでも3位を獲得したベストセラー作品。五人のメンバー全員がソングライターでありマルチ・プレイヤーでもあるムーディー・ブルースの代表曲を満載したポップかつアグレッシヴなトータル・アルバム。70年作。
活動開始は64年までさかのぼりビート系グループとしてデビュー、シングル・ヒットに恵まれながらも徐々に作風が変化し、プログレッシブ・ロックへのアプローチを開始。後に全盛を築くこととなるプログレッシブ・ロックバンドがデビューすらしていない時期からオーケストラとの競演や実験性に富んだ作品を生み出し、黎明期を作り上げたイギリスのバンドの71年6th。効果音を使った1曲目から名曲「ストーリー・イン・ユア・アイズ」へとなだれ込むと、ジャケットのようなファンタジックな英国ロマンが広がります。Justin Haywardの甘くジェントリーな歌声にスケールの大きなメロトロンが絶妙に絡み合い、シンフォニックな彩りも絶品。プログレッシブ・ロックのアイコンに恵まれた作品です。
87年規格、シール帯仕様、定価3,300
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
帯はケースに貼ってある仕様です
コメントをシェアしよう!
カケレコのWebマガジン
60/70年代ロックのニュース/探求情報発信中!