2022年4月19日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
スタッフ佐藤です。
70年代の英国ロックと言えば、どことなく気品があってしっとりした陰影があって…そんなイメージがあるかもしれません。
年々発掘リイシューされる英国ロックをチェックしていると、実際はそんな英国らしい作品と同じくらい、アメリカの音楽から強く影響を受けた作品も沢山残されていることに気づかされます。
今回はそんな米憧憬の70年代英国ロックより、ファンク要素を取り入れたグルーヴィーな作品をご紹介したいと思います♪
起点となるのは、御大によるこのギターインスト大名盤!
ツアーを共に回ったマハヴィシュヌ・オーケストラのパフォーマンスに触発されて制作されたという、ギターインスト史上の金字塔と言えば!?
曲単位ではスティーヴィー・ワンダー提供の「悲しみの恋人達」や最高にスリリングな「スキャッターブレイン」に耳が行きますが、全体としては多彩なギターテクを披露しつつファンキー&グルーヴィなコクたっぷりのサウンドを楽しませてくれる逸品ですよね。
本場のファンク・ギタリストも真っ青の黒すぎるプレイに脱帽するしかない1曲目「You Know What I Mean」をどうぞ!
続いては、そのジェフ・ベックが率いた第2期JBGのメンバーが結成したこのバンド。ファンキーかつメロウな好盤ですよね!
爽やかで透明感溢れるピアノ、ワウを多用するギター、ゴキゲンなランニング・ベース、黒いヴォーカル、きっちりリズムをキープするドラム。ベテランのみで構成されたグループだけに各パートとも強力。
洗練された音楽性ながら、ファンキー且つメロウなピアノをバックに饒舌なギター・サウンドが絡む展開などは第2期JBGを受け継ぐ英国ならではの味わい!
英ブルー・アイド・ソウルの貴公子ロバート・パーマーがキャリア初期に在籍したこのバンドも、ファンキーで熱いサウンドを聴かせてくれます。
紅一点エルキー・ブルックスと、若き日のロバート・パーマーのダブル・ヴォーカルが熱気ムンムンで堪らない英ロック・バンドと言えば?
この最終作となった3rdは、前作までのスワンプ色を抑え、ファンキー&グルーヴィーなR&Rサウンドをメインに勝負した一枚となっています。
7曲目「Giving Yourself Away」は山下達郎も想起させる軽快なグルーヴィー・ナンバー!
ここからは、近年ファンキーな英ロックを多数発掘リイシューしているBIG PINKレーベルからの一押しをセレクト。
まずは2022年にめでたく初CD化を果たしたこの作品をおすすめ!
才人Alan RossやATOMIC ROOSTER~IBISのドラマーRic Parnellらが組んだバンド。
本場米国顔負けのファンキーな粘り気と英バンドらしいソリッドさがバランスした極上の英ファンク・ロックを聴かせる唯一作。
黒人かと思うような本格ソウルフル・ヴォーカルが凄い!
こちらも元ATOMIC ROOSTERのメンバーを擁するファンキーな英バンド!
元RARE BIRDや元ATOMIC ROOSTERのメンバーらによるバンド、75年2nd!
グルーヴィに躍動するドラム&ベースが生むファンキーなリズムに乗って、ギターとヴァイオリンがシャープなトーンで哀愁フレーズを応酬させるアンサンブルがとにかくカッコいい!
特にこの後Automatic Manで活躍する黒人ベーシストJerome Rimsonによる音数多くもゴキゲンな技ありベースの気持ちよさと言ったらありません。
こちらも名ベーシストによるナイスなプレイが聴きものの英国ファンク・ロックです~☆
BOB MARLEYの『EXODUS』にも参加したギタリストHanson率いる英国ファンク・ロック・グループ!名ベーシストNeil Murrayの地を這うグルーヴと、Hansonのキレのあるワウ・ギターがスピーディーに絡み合うサウンドにシビれまくりの名作2ndです!
端正な英国ロックとファンクなど米音楽を理想的に融合させたのがジャージー島出身のPARLOUR BANDを前身とするO BAND(THE BAND CALLED O)。最終作をピックアップ!
米ロック憧憬の西海岸テイストやファンク・テイストと、英国らしい緻密な職人気質との見事なバランスと言ったら!FACESファンからSAD CAFEファンにまでオススメしたい77年最終作!
最後は、あの英ブルース・ロックの立役者が立ち上げたファンク・ロック・プロジェクト!
英ブルース・ロックの立役者マイク・ヴァーノンが、セッション・ミュージシャンを集めてファンクに挑戦!?
跳ねるギターのカッティングにグルーヴィーなオルガン、ソウルフルなボーカルが響き、思わず体が揺れてしまうような黒っぽさが全編に漂う、ジャケ通りの痛快ファンキー・ミュージック。
英オリンピック・スタジオ所属の腕利きたちによる職人的アンサンブルが光ります。
いかがだったでしょうか。
よろしければ、こちらもどうぞお楽しみください!
75年作、BECK BOGERT & APPICE解散後に発表された全編インストゥルメンタルで構成された初のソロ・アルバム。変則リズムにカッティング・ギターがファンキーに絡む「You Know What I Mean」、トーキング・モジュレーターを通したギターが引っ張るレゲエ調BEATLESナンバー「She’s A Woman」、George Martinによる優美なオーケストレーションと絡み合う奔放な早弾きギターがかっこいい「Scatterbrain」等々、ヴォーカル不在を感じさせない華々しく表情豊かなJEFF BECKのギターは、Jimmy Pageに「ギタリストの教科書」と言わしめたほど。軽快なリズムを弾き出すMax Middletonによるフェンダー・ローズ・ピアノや、Richard Bailyによる切れ味鋭いドラミングも強力、スリリングなアンサンブルが楽しめます。最も著名なギター・アルバムにして、全ロック・ファン必携の名盤。
7インチ(17.78cm)サイズ特殊紙ジャケット仕様、SACD/CDハイブリッド、ポスター1種・復刻シングルジャケット2種・情報記載シール付仕様、定価5000+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
若干汚れあり、帯に軽微な折れあり
72年に陰影溢れる英ロック名盤を残したPARLOUR BANDを前身とするブリティッシュ・ロック・グループ。A BAND CALLED O時代から通算4作目にして最終作となった77年作。FACESあたりを思わせるキャッチーでノリの良い米ロック憧憬のサウンドにファンク・テイストを加えたスタイルは過去作から変わらず魅力的!ビシッとタイトに叩くドラミングと歌心あるメロディアスなベース、キレの良いカッティングから西海岸の青空を舞うようなスライドまで自在なギター、楽しげに跳ねるピアノ、そして声量豊かでエネルギッシュなヴォーカル。一聴するとアメリカ憧憬の伸びやかさとファンキーなコクがブレンドされたサウンドが気持ちいいのですが、一音一音に耳を向けると緻密で引き締まったアンサンブルが圧巻で、英国のバンドらしい職人気質が滲みます。1曲目にRandy Californiaのカバー、2曲目にCCRのカバーを配し、前半は米憧憬を押し出したパワフルな演奏で疾走。終盤にはSAD CAFEなどを思わせるプログレッシヴなキーボードのプレイを挿入したモダン・ポップ、そしてPARLOUR BAND時代を懐かしむようなフォーク・タッチのリリカルなナンバーも待っていて、英国ロック・ファンにとってもグッとくること間違いなし。憧れのアメリカン・ロックを追求し続けた彼らが、有終の美を見事に飾った名作です。
紙ジャケット仕様、英文ライナー付仕様、、定価2700+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
元RARE BIRDのMark Ashton(vo/g)を中心に、元ATOMIC ROOSTERのSteve Bolton(g)や後にRIFF RAFFやEAST OF EDENで活動するメンバー達によって結成されたブリティッシュ・ロック・バンドによる75年2nd。前作でも米ロック的なアーシーさが印象的でしたが、今作では陰影あるブリティッシュ・ロックを基調に、ファンキーなグルーヴ感覚を取り入れたサウンドを繰り広げます。グルーヴィに躍動するドラム&ベースが生むファンキーなリズムに乗って、ギターとヴァイオリンがシャープなトーンで哀愁フレーズを応酬させるアンサンブルがとにかくカッコいい!特にこの後Automatic Manで活躍する黒人ベーシストJerome Rimsonによる音数多くもゴキゲンな技ありベースプレイの気持ちよさと言ったらありません。そんな演奏に合わせスタイリッシュに歌うMark Ashtonのヴォーカルも特筆。ファンキーではありながら熱量や粘りはさほどではなく、あくまでブリティッシュ・ロックとしてのシャープでクールな魅力に落とし込まれているのが、本作ならではの味わいと言えるでしょう。同系統のアプローチを持つO BANDが気に入った方には是非聴いて欲しい一枚!
John Entwistleのソロ作への参加、そして英スワンプ名作を残したデュオRO ROの片割れとして活動したギタリスト/ヴォーカリストAlan Rossを中心に、KESTRELのキーボーディストだったJohn Cook、ATOMIC ROOSTERや伊バンドIBISのドラマーを務めたRic Parnell、キーボーディスト/サックス奏者Lance Dixon、ベーシストPeter Matthews、そしてヴォーカルのSimon Laitによって結成されたバンドの75年唯一作。本場アメリカ顔負けのファンキーな粘り気と英バンドらしいソリッドな音使いがバランスした極上のブリティッシュ・ファンク・ロックを聴かせてくれます。しなやかかつ技巧も見せる流石のドラミング&腰の入ったベースによってグルーヴ満点の気持ち良いリズムが刻まれる中を、ハード・ロック由来のキレのあるフレーズを弾き飛ばすギター&カラフルなキーボード群が快走。どうやらJohn Cookは演奏には関わっていないようですが、それを補って余りある元JAMES TAYLOR MOVEのLance Dixonの存在が光ります。ファンキーに跳ねるクラヴィネット、ギターとスリリングなソロ回しを演じるシンセのプレイ、そして要所では饒舌なサックスでアーバンな空気まで加えていて、八面六臂の活躍を見せていて素晴らしい。さらにSimon Laitの黒人かと思うほどにソウルフルで貫禄あるヴォーカルも、ファンク・ロックとしての本格感を付与していて見事です。ギターに専念したAlan Rossの痛快に弾きまくるギターワークももちろん最高。たった一枚に留まったのが惜しいと思わずにいられない快作!
VSCD6098(BIGPINK787)(BIG PINK)
紙ジャケット仕様、英文ペーパー付仕様、定価2700+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
Robert PalmerとElkie Brooksが在籍していたことでも知られる英国スワンプ・ロック・バンドの73年作3rd。前作までのスワンプ色を抑え、ファンキー&グルーヴィーなR&Rサウンドがメインです。7曲目「Giving Yourself Away」は山下達郎を想起させる軽快なグルーヴィー・ナンバーです。この曲を聴いても感じますが、本作ではプロデュースも手がけたギターのPete Gage、彼のソング・ライティングが素晴らしいだけに、今後この路線で続けていって欲しかったと思えるラスト・アルバムです。
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