2020年4月10日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
こんにちは。スタッフみなとです。
R&Bやブルース、ゴスペルなどの黒人音楽と、カントリーやフォークなどの白人音楽が混じりあった芳醇なサウンドのスワンプ・ロック。
サイケデリック・ロックの嵐が吹き荒れる60年代後半に、ルーツ・ロックへ回帰する動きとともにアメリカに広まりました。
今日は、レオン・ラッセルやデラニー&ボニーを中心として盛り上がったロサンゼルスのシーンから、「スワンプ・ロック」としてだけでなく「シンガー・ソングライター」としても楽しめる作品をピックアップいたしました。
オクラホマに生まれたレオン・ラッセルは、14歳の頃に地元タルサで音楽活動を始め、60年代の初めにはロサンゼルスへと向かいスタジオ・ミュージシャンとして活躍しました。
ロサンゼルスではスタジオ・ミュージシャンとして頭角を現し、同郷タルサのミュージシャンをロサンゼルスに多く呼び寄せ、その実力と行動力、人望とでスワンプ・ロック・シーンの中心となって活躍しました。
さて、こちらのレオン・ラッセル72年のソロ作『CARNEY』は、前年にジョージ・ハリスンの呼びかけに応じてバングラデシュ難民救済コンサートに出演し、ひと段落着いたあとのアルバム。
粘っこくてパワフルなロック・サウンドだった1、2枚目に比べて、ジャズやゴスペルなどを取り入れたバラード曲が多く、少し洒落た繊細な作風です。
サーカス芸人の悲哀を歌った「Tight Rope」、恋愛の終わりを仮面舞踏会に例えた「This Masquerade」など、人生の悲しい面に焦点を当てた楽曲を、あのしわがれた歌声で哀愁たっぷりに歌い上げています。
レオン・ラッセルと同じオクラホマ州生まれのJ.J.ケイルは、地元タルサで音楽活動をしていましたが、64年にロサンゼルスへ向かいスタジオのエンジニアとして働きます。
ミュージシャンとしてシングルをいくつか出しましたが鳴かず飛ばずで、エンジニアとしても十分に稼ぐことが出来ず、ギターを売ってタルサへと戻ってしまったそうです。
しかし思わぬところで転機が。1970年にエリック・クラプトンがデビュー作で「After Midnight」をカバーしたことによりJ.J.ケイルに注目が集まり、レオン・ラッセルのシェルター・レコードからデビュー作『NATURALLY』をリリースすることとなったのです。
さて、今作の全体に流れるのは、リラックスした心地よいグルーヴ。
粘っこいリズムの上にたなびくフィドル、気負わないギターやぼそぼそ呟くようなボーカル…。独特の枯れた味わいを醸し出しています。
こちらのロジャー・ティリソンもオクラホマ州出身。10代の頃から音楽活動を始め、最初はジャズ・ミュージシャンを目指していました。
やがてフォーク・リバイバルの影響もあり、フォーク・シンガーとしてアメリカのコーヒー・ハウスを演奏してまわるうちにオクラホマのタルサに辿り着き、レオン・ラッセルと知り合います。
その後ジェシ・デイヴィスから声をかけられ、ジェシのプロデュースで今作がリリースされました。
ずっしりしたリズム・セクションに歌声たっぷりのオルガン、ジェシ・デイヴィスの味わい深いスライド・ギター。そして無骨で荒々しいロジャー・ティリソンのボーカルが、哀愁あるメロディとともに迫ってきます。
ジェシ・デイヴィスつながりでこちらも。
バーズをいち早く辞めたジーン・クラーク。カントリーに接近し、ディラード&クラークなどで活動しました。
こちらの71年作はジェシ・デイヴィスのプロデュース。
ジーン・クラークの嚙み締めるようなしみじみとしたボーカルと、ジェシの粘っこいギターやシンプルで滋味深いサウンドが、じわりじわりと心に染み入ります。
この人のボーカルもしみじみ、良いですよね。
テキサス州ダラス出身のマーク・ベノ。60年代末にレオン・ラッセルとデュオ、アサイラム・クワイアを組んでいましたがパッとせず、一旦ダラスに戻ります。
友人のリタ・クーリッジがA&Mに推薦してくれて、70年にこのデビュー作をリリースしました。
スワンプ・ロックのシンガーはパワフルな人が多いですが、マーク・ベノは優男風とでも言いますか、線が細く繊細な声質です。
リラックスしてブルージーな楽曲にとてもよく合っています。
最後は女性SSWです。
リタ・クーリッジの名前が出ましたが、こちらはお姉さん。
音の隙間から旨味が溢れる芳醇なアンサンブル、艶っぽくしっとりとエモーショナルなヴォーカル。
スワンプ・ロックとしても素晴らしいですが、女性SSWものとしても非常に味わい深い作品です。
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