2022年4月15日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
スタッフ佐藤です。
フランスのベテランMINIMUM VITALの『AIR CARAVAN’』、いつもながらクリエイティヴかつオリジナリティに溢れた素晴らしい作品に仕上がっていました。
彼らが奏でるシンフォニック・ロックのベースとなっているのが、トラッド・ミュージックや宮廷舞曲、そしてグレゴリオ聖歌やノートルダム学派の流れをくむ中世音楽の数々です。
今回は、彼らと同じく典雅でロマンティックな中世音楽のエッセンスを取り入れたプログレ作品を見てまいりたいと思います!
中世音楽や舞曲をベースにした個性派フレンチ・シンフォを聴かせるグループ、19年作10th。典雅な味わいを持つ中世的メロディラインに地中海エッセンスも添えてリズミカルに畳みかけるスタイルは、ずばり「踊れるプログレ」の急先鋒!
中世エッセンス香り立つプログレでただ今一押しなのがGUILDMASTER。あのSAMURAI OF PROGの関連メンバーが結成した新プロジェクトなんです。
サムライ・オブ・プログの2人とカヤックのトン・スケルペンツェルが組んだ夢のプロジェクト!
中世エッセンスが豊かに香り立つ気品に満ちたシンフォニック・ロックがもう息をのむほどに素晴らしいんです。
届いたばかりの22年2ndアルバムも絶品ですよ~。
まるで1000年前にタイムスリップしたかのような中世エッセンス香り立つシンフォニック・ロックは、前作以上かと思うほどにスケール大きくイマジネーション豊かに広がってきてもう絶品。
GRYPHONやMINIMUM VITAL、ENIDがお好きな方なら、このサウンドはきっと気に入ってくれるはず!
中世音楽+プログレと言えば、このバンドが筆頭ですね!中世音楽風のロマンあふれるメロディとイエスばりのドライヴ感で疾走するアンサンブルの組み合わせが唯一無二のファンタジックなプログレを生み出しています。
中世エッセンス香るプログレで忘れてはならないのがGENTLE GIANT。本作や次作『IN A GLASS HOUSE』では高度な音楽性に裏打たれた中世音楽の要素がふんだんに用いられています。ハード・ロックやジャズや前衛音楽といった様々なスタイルと共に、中世由来の奥ゆかしく気品あるメロディとマドリガル風の複雑なコーラスワークもサウンドづくりに生かされていますよね。
名盤の誉れ高き77年1stソロ。丹念なアコースティック・ギター演奏を主役とする、中世トラッド色とアカデミックなクラシック的要素の両方が違和感なく一体となった、たおやかな牧歌性とともに格調高くも瑞々しい英国然とした音色が印象的です。ジェネシス脱退後にクラシック音楽とクラシック・ギターを本格的に学んだというその成果が遺憾なく発揮されています。
本格的な中世音楽の要素を取り込んだ英国フォーク・グループ、71年作3rd!格調高さとほのぼのとした牧歌性のバランスが絶妙だなあ…。小曲を繋ぎ合わせた20分の組曲も見事!
FOCUS在籍中にリリースした3rdソロ。FOCUSにおける古楽的要素を抽出拡大させたような作風で、ギターとリュートを自在に持ち替えて、中世音楽からルネッサンス~バロック音楽までをプログレッシヴ・ロックに融合させた、繊細かつ大胆なインストゥルメンタル集です。
こちらもオランダからの一枚。アコーディオンやマンドリンが奏でる牧歌的なアンサンブルと、トラッドと中世音楽が混ざり合ったような神秘的な旋律が溶け合って、不思議な格調高さが漂うフォーク作品となっています。
近年はYESやKANSASらの影響を感じさせる作品をリリースする彼らですが、この時期の中世音楽を取り入れたGENESISって感じのサウンドも大好きだなぁ。キーボードの躍動感が半端ない!
ブラジルの名シンフォ・バンドBACAMARTEのフルート奏者が参加する新バンド!初期キャメルと中世音楽~バロック音楽が融合したようなスケール溢れるシンフォニック・ロックが凄い…。
沖縄出身の女性ヴォーカリストMizukiを中心とするジャパニーズ・プログレ・グループ。初期クリムゾンばりの哀感溢れるメロトロン、フォーカスに通じる中世エッセンス、そしてエモーション豊かな凛と美しいヴォーカル。前作以上に気高く洗練された世界観を提示する傑作2nd!
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シャルマン3兄弟を中心に結成された英プログレッシヴ・ロック・グループ、73年4th。クラシックやジャズの要素を取り入れ、変拍子や転調を繰り返す複雑な曲展開が特徴です。本作は従来通りの変化に富んだ楽曲展開に加えて、牧歌的なメロディを前面に押し出し、よりPOPになったアルバム。端正なコーラス・パートから一転、切迫感をあおるキーボードがフェード・インし、力強いドラムとギターがスリリングに展開。メンバーそれぞれが楽器を持ち替える曲芸的演奏によって生み出されるダイナミックなアンサンブルが最大の持ち味で、長くても5分程の中につまった山あり谷ありの展開はこのグループならではの魅力でしょう。知名度では劣りますが英プログレの5大バンドに匹敵するオリジナリティを持つグループ。バンドの代表作と評価される名作です。
紙ジャケット仕様、デジタル・リマスター、内袋付仕様、定価2039+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
帯中央部分に軽微な色褪せあり、紙ジャケにスレあり
廃盤希少、紙ジャケット仕様、SHM-CD、日本オリジナルアナログマスターを基にした2009年DSDリマスター音源、デジタル・リマスター、レーベルカード・内袋付仕様、定価2,667+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
レーベルカードに軽微な折れあり
4面開きペーパーケース仕様、SACD〜SHM仕様(専用プレーヤーのみで再生可)、デジタル・リマスター、定価4286+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
ジェネシスの初代ギタリストとして活躍し、70年代後半以降はソロ・ミュージシャンとして英国的叙情性に満ちた質の高い作品をリリースしてきた彼の、記念すべき77年1stソロ。ジェネシスのメンバーであるマイク・ラザフォード、フィル・コリンズらが参加。フィリップスによる丹念に爪弾かれるアコースティック・ギターの調べを、ゆったりとおおらかに流れるシンセとリリシズムに満ちたフルートの音色が彩るスタイルを軸とした、アコースティカルな手触りのシンフォニック・ロックを聴かせます。アコースティック楽器主体の演奏ですが、中世トラッド色とよりアカデミックなクラシック的要素の両方が違和感なく一体となった、たおやかな牧歌性とともに格調高くも瑞々しい英国然とした音色が印象的。ジェネシス脱退後にクラシック音楽とクラシック・ギターを本格的に学んだというその成果が遺憾なく発揮されています。演奏のみならず組曲「Henry」におけるハイレベルな楽曲構築性なども彼の豊かな才能を証明しており聴き所。3曲あるヴォーカルナンバーは、1曲でフィリップス、2曲でコリンズがヴォーカルを取っており、特にコリンズによるヴォーカルナンバーは、ジェネシスとは趣の異なる繊細で素朴な味わい深さが大変魅力的。清冽な小川の流れ、風にそよぐ木立、一面に広がる田園など、英国丘陵地帯の情景がイマジネーション豊かに立ち上がってくるような名品です。
デモ音源やシングル・バージョン音源やスタジオ音源などを収録したDISC2を含む2枚組仕様、デジタル・リマスター
盤質:傷あり
状態:良好
1枚は無傷〜傷少なめ、1枚は傷あり
デモ音源やシングル・バージョン音源やスタジオ音源などを収録したDISC2を含む2枚組仕様、デジタル・リマスター
盤質:無傷/小傷
状態:良好
ブラジリアン・シンフォの歴史に輝く83年の名盤で知られるBACAMARTEのフルート奏者Marcus Moura、90年代以降のブラジルを代表するシンフォ・バンドQUATERNA REQUIEMのドラマーClaudio Dantasらが結成したバンドによる2017年デビュー作。フルートとギターがリードするCAMEL直系のメロディアスなシンフォニック・ロックに、BACAMARTEやQUATERNA REQUIEに通じるクラシック音楽/バロック音楽の典雅さ格調高さを加えた、構築性に富んだ壮大過ぎるサウンドが圧巻!リリカルで少し陰影がかかった美しい音色のフルート、アンディ・ラティマーを受け継ぐ一音一音から叙情が零れ落ちるようなエモーショナルなギターが紡ぐCAMEL愛たっぷりのアンサンブルと、バックで響く分厚いシンセ、オルガン、ピアノなどのキーボード群が演出するバロック音楽の厳粛な音世界が重なり合う音楽性に、シンフォ・ファンならば興奮しっぱなしでしょう。特筆は何と言っても52分に及ぶ大作組曲。キーボードもアンサンブルに加わり、テクニカルな疾走パート、芳醇に広がるシンフォ・パート、典雅な味わいの中世音楽パートを行き来しながら巧みに描き出されるスケール溢れるシンフォ絵巻があまりに素晴らしい。BACAMARTE、QUATERNA REQUIEM両バンドのファンは勿論、初期CAMELファンにも是非オススメしたい一枚!
【カケレコ国内盤(直輸入盤帯・解説付仕様)】デジパック仕様、定価2990+税
レーベル管理上の問題により、デジパック仕様に若干圧痕がある場合がございます。予めご了承ください
多国籍シンフォ・プロジェクトSAMURAI OF PROGのイタリア人ベーシストMarco Bernardとフィンランド人ドラマーKimmo Porstiの2人、SOP作品でもお馴染みのスペイン人ギタリストRafael Pacha、そしてKAYAKの中心メンバーTon Scherpenzeelという4人が結成した新プロジェクトの2020年1st。たおやかな気品に包まれた中世エッセンスが豊かに香り立つシンフォニック・ロックが息をのむほどに素晴らしいです。陰影たっぷりのヴァイオリン、切ない旋律を奏でるフルートやリコーダー、哀愁のクラシック・ギターなどが織りなす奥ゆかしく幻想的な中世風サウンドと、色彩感あるエレキギターやキーボードが美しく調和するアンサンブルは驚くべき完成度で、共演歴があるとはいえこれが4人での最初の作品とはとても思えないほど。独特の哀感を湛えたイタリア語女性ヴォーカルも、作品世界にベスト・マッチの落ち着いた歌唱を響かせます。このサウンド、ENID、GRYPHONなどがお好きならきっと気に入るはず。傑作です。
Thierry Payssan(Key)とJean-Luc Payssan(ギター)、双子のPayssan兄弟を中心に、80年代初頭より活動するフレンチ・シンフォニック・ロックの代表的バンド、19年作10th。同郷MALICORNEや英国のGRYPHONの流れを汲む、中世音楽、トラッド、舞曲をベースにした”踊れるプログレ”を本作でも追及しており、デビュー時より変わらぬアプローチをさらに推し進めたサウンドが魅力です。前のめり気味に畳みかける躍動感いっぱいのリズムに乗って、民族音楽のように賑々しく奏でられるシンセ&オルガンと、Mike Oldfieldばりにシャープで流麗にフレーズを弾くギター&緻密なアコギらが絡み合い、思わず体が動いてしまうようなリズミカルで華やかなシンフォニック・ロックを紡ぎます。アコギがジャカジャカとかき鳴らされシンセが高らかに舞う、地中海エッセンスも香る祝祭感に満ちた演奏は「CELEBRATION」のP.F.Mにも通じていてエキゾチズムたっぷり。一方、合間では技巧が炸裂するスリリングなテクニカル・シンフォも飛び出し、トラッド調ナンバーとの間に鮮やかなコントラストを作り上げていて素晴らしい。今回も期待を裏切らないサウンドを届けてくれる一枚!
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