2012年1月11日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
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皆さん、こんにちは。
カケレコ・スタッフの柴田です。
昨年末にイタリアン・ロック・フェス春の陣の詳細が発表になりましたね。
I POOH、NEW TROLLS、LE ORME、FORMULA 3、LOCANDA DELLE FATEですか。
またしても凄いメンツですね。テーマ設定がロマンの誕生だけあって甘いメロディーを信条とするグループが揃っています。
個人的にはFORMULA 3が見たいですね。あの「いおーん」が生で聴きたいものです。
こちらはまた時期が近づいてきたらブログやジューク・ボックスなどで取り上げる予定です。
本日は去年再発されたANDREW LEIGHをピックアップします。最近、SPOOKY TOOTHジュークボックスを作る機会があり、ベーシストである彼のアルバムも改めて聴いてみました所、その素晴らしさに「これはブログで紹介せねば!」と思い立った次第です。
はじめにアルバム発表時の背景について触れておきます。SPOOKEY TOOTHのオリジナル・メンバーとして60年代後半から70年に掛けて活躍していたANDREW LEIGHですが、実験作「CEREMONY」失敗後にグループを離脱。MIKE HARRISON、GARY WRIGHT(当時バンドを離脱中)、LUTHER GROSVENORとSPOOKY TOOTHのメンバーが立て続けにソロ作をリリースする状況の中、発表したのが本作です。ベーシストとしての個性が際立っている訳ではない彼ですがサポートしているアーティストが素晴らしく、MIGHTY BABY、BLOOSOM TOES、SPOOKY TOOTHのメンバーやGARY FARRなどが勢揃い。アンダーグラウンド臭も漂うサイケなシンガー・ソングライター・アルバムとなりました。ANDREW LEIGHの存在はゲストに食われてしまっていますが、作曲面での確かな才能を感じさせてくれます。ジャケはGENESISやVANDER GRAAF GENERATORの初期作品を手掛けたことで知られるPAUL WHITEHEADが担当しているのもポイント。
それでは1曲目はタイトル曲「MAGICIAN」をどうぞ!
『ANDREW LEIGH/MAGICIAN』 1970年
MIGHTY BABYのレグ・キングがピアノとヴォーカルで参加しているナンバー。シタール、フルートのオリエンタルな音色、おもちゃ箱をひっくり返したようなガチャガチャしたドラム、図太く歪んだギター。MIGHTY BABYとBLOSSOM TOESを足して割ったような整理されていないお祭りサイケで、非常に楽しげな演奏を聴かせてくれます。
続いて参加アーティストの作品も改めてご紹介。まずはMIGHTY BABYが69年に発表したデビュー作より「EGYPTIAN TOMB」をどうぞ。
『MIGHTY BABY/MIGHTY BABY』1971年
3年振りくらいに聴いたかもしれませんが素晴らしいですね、この曲は!ドタバタとしたドラム、歪んだファズ・ギター、クールなサックス、おぼろげなコーラスによるエキゾチック・ムード満点のアンサンブル。うねりまくったヘヴィなサイケデリック・サウンドでありながら、ヴォーカル・メロディが際立っておりキャッチーな名曲に仕上げている辺りが只者ではありません。1曲目としてご紹介した「MAGICIAN」にもそのエキスを感じ取ることが出来ますね。
続いてはMIGHTY BABYがバックを務めたGARY FARRの1STソロより「DON’T KNOW WHY YOU BOTHER CHILD」をどうぞ。
『GARY FARR/TAKE SOMETHING WITH YOU』1970年
MIGHY BABYと続けて聴くと、その存在がより浮き彫りになったような気がします。ドリーミーなバック・コーラスと、ホコリっぽいギター、牧歌的なアコギ、フルート、ドタバタしたドラムによるサイケデリックなアンサンブルが素晴らしいですね。ANDREW LEIGHのアルバムにはブルース・ハープなどで参加していますが、アルバムの特徴もかなり似ていますね。アメリカ南部への憧憬がより明らかになる2nd以降には無いドロ~ンとした雰囲気が素晴らしい。
次にご紹介するのはBLOSSOM TOES。ANDREW LEIGHのアルバムでは全曲にドラムとして参加している他、楽曲を2曲提供もしているKEVIN WESTLAKEが在籍していたグループです。69年の2ndより「LOVE BOMB」をどうぞ。
『BLOSSOM TOES/IF ONLY FOR A MOMENT』1969年
ドタバタとしたドラム、ブルージーなギターを中心とした鋭くエッジの効いたアンサンブルと、伸びやかなヴォーカルが印象的なヘヴィ・サイケの名曲。カラフルな1stのイメージこそ無くなっていますが、ドラマティックな構成力は健在。ラスト6分台のチョーキングたっぷりのギター・ソロは鳥肌モノ!ちなみに発展グループB.B.BLENDERではMIGHTY BABYのメンバーも合流しており、この辺りの人脈の盛んな交流がうかがい知れます。
関連作として最後に取り上げるのがANDREW LEIGH自身が参加していたSPOOKY TOOTHの2ndより「LOST IN MY DREAM」。
『SPOOKY TOOTH/TWO』1969年
ハモンド・オルガンやパワフルなドラムなどブルース・ハードの衣を纏いつつも、荘厳な女性コーラスなどゴスペルの要素が散りばめられているのが特徴ですね。ゲイリー、マイク二人のヴォーカルが入れ替わりに登場し、楽曲をより鮮やかなものに仕上げているのもポイント。ANDREW LEIGHは実験作であるサードの商業的失敗を経てグループを離脱することになりますが、ソウルやR&Bなどのアメリカ音楽への憧憬を養ったことが後のソロ作へと繋がったのでしょう。ちなみにSPOOKEY TOOTHからは、(この時点では元メンバーですが)GARY WRIGHTが1曲ANDREWのソロ作へ参加しています。
以上のように英ロックの一大人脈が参加しているANDREW LEIGHのソロ作。アメリカ南部への憧憬サウンドとサイケデリック要素が交わったサウンドは、英ロック・ファンならば必ず気に入ることでしょう。では最後の曲としてアルバムからもう1曲、BLOSSOM TOESのギタリストBRIAN GODDINGが参加した「SOLITAIRE」をどうぞ!
『ANDREW LEIGH/MAGICIAN』 1970年 39006 Solitaire
シンバルを効果的に使ってタメを効かせたドラム、ずっしりと重いベース、唸るファズ・ギター。普通にやったら牧歌的なフォークになりそうなのですが、愛嬌たっぷりのサイケデリック・ロックへと変貌しています。後半のギターソロのレイドバック感が心地よいですね。
本日はここまで。また明日お会いしましょう。
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