2018年7月24日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: プログレ
スタッフ増田です。
フロイド、イエス、クリムゾン……カケレコ・リスナーのみなさまならもちろんスタジオ作は網羅しているであろう、英国の有名プログレ・バンドたち。
しかしそのメンバーのソロ作となると……意外と聴いていない作品も、もしかしたらあるのでは!?
という訳で今回は、英国の名プログレ・バンドのメンバーによる「ソロ作品」をピックアップしてみました。
まずはイエス。いち早くソロ活動で成功したリック・ウェイクマンの作品が有名ですが、その他のメンバーも全員YES活動中にソロ作を残しています。
というのも理由があって、「『リレイヤー』リリース後の75年から76年にメンバー全員がソロ作をリリースする」という一貫したプロジェクトが行われていたため。
とはいえ各自の個性が発揮され、また豪華なゲストの面々を迎えて制作されたアルバムは流石のクオリティ。単なる企画物ではなく、プログレの名盤として語り継がれるべき力作揃いとなっています。
YESのソロ・プロジェクトの中では最初にリリースされたのがこのスティーヴ・ハウによる75年1stソロ作。YESのそれとはまた異なる素朴な音色のエレキやバロック調のアコギをフィーチャーした、おおらかな牧歌性と気品に満ち溢れたサウンドが素敵です。
スティーヴ・ハウに続いてリリースされたのが75年の彼のソロ唯一作。この曲後半での、YES時代と変わらぬブラフォードとの超絶リズムセクションがとにかく素晴らしい!彼こそがYESサウンドを支えていたことがよく分かる一枚です。
【関連記事】
今日の「MEET THE SONGS」は、プログレ史上の名バンドYESのリーダーでベーシストのクリス・スクワイアが75年にリリースしたソロアルバム『FISH OUT OF WATER(未知への飛翔)』をピックアップ!
この後多くのソロアルバムをリリースしてゆく事になるジョン・アンダーソンの記念すべき76年ソロ第一作。リュートの奏でる絹のような質感の音像と、シンセサイザーとのコラボレーションがまた絶妙!
ドラマー、アラン・ホワイトによる76年ソロ作。ファンク/フリー・ソウルの名盤としても知られていますが、端正でドラマチック、かつ叙情的な哀愁みなぎるサウンドはプログレ/ブリティッシュ・ロック・ファンにもきっと刺さるはず。
リック・ウェイクマンに代わり『RELAYER』から参加したスイス出身の技巧派キーボーディスト、76年作。南米色やジャズ色をふんだんに取り入れた流麗なテクニカル・ジャズ・ロックは、他のメンバーのソロ作と比べても断トツの完成度と言えるでしょう。
こちらもご存知?YESの初代ギタリストによる73年ソロ・アルバム。インプロをふんだんに盛り込んだテクニカル・フュージョン作で、ヤン・アッカーマン/フィル・コリンズ/スティーヴ・ハケット/ジョン・ウェットンなどゲストが超豪華!仄暗くスリリングなアンサンブルが楽しめます。
【関連記事】
2016年末、話題のプログレ本『どうしてプログレを好きになってしまったんだろう』を出版した、あの市川哲史氏がカケレコでコラムを執筆!その名も「どうしてプログレを好きになってしまったんだろう@カケハシ」!!
ピーガブやフィル・コリンズのソロは有名なのでここでは省略させていただき(スミマセン!)、まずは全盛期を支えたギタリスト達の作品から。
STEVE HACKETT初のバンド編成作にして、初期の名盤と言われる78年3rd。GENESIS直系のファンタジックなシンフォニック・ロックから、クラッシック・ギターを響かせる楽曲、エキゾチックさを醸し出す楽曲まで触れ幅に恵まれていますが、一聴して彼と分かるオリジナリティーに脱帽してしまう名盤!
【関連記事】
スティーヴ・ハケットを特集。70年代〜90年代の作品を一覧した潮流図、芹沢さんとカケレコ君による足跡と作品の解説、名演集、00年代以降の新鋭グループ作への参加作セレクション。
77年ソロ1st。この繊細で格調高いアコギ、英国の気品をそのまま音にしたかのようなロマンとファンタジーがいっぱいに詰まった名品ですよね。優美な調べだけでなく、英フォーク/トラッド特有のピリッとした荘厳さもあって全く飽きさせません。
「エマーソンやウェイクマンのようなド派手に引き倒すタイプが注目されがちですが、じっくり腰を落ち着けて音作りにうちこむ彼のようなキーボーディストに個人的にはグッときます。」by Durangoさん。GENESISのキーボード奏者、Tony Banksが79年にリリースしたソロ作。GENESISのリリカルさ、メロディの美しさを抽出したようなファンタスティックな名作です。
フロイドもシド・バレットを含めて全員がソロ作をリリースしていますね。全員の作品、聴いた事あるかな?
ジェフ・ベックが参加した92年ソロ作。TV批判をコンセプトに描かれる、メランコリックかつドラマチックなサウンドが絶品。彼のソロ作品の中でも珠玉の出来を誇る傑作です。
【関連記事】
昨年末、話題のプログレ本『どうしてプログレを好きになってしまったんだろう』を出版した、あの市川哲史氏がカケレコでコラムを執筆!その名も「どうしてプログレを好きになってしまったんだろう@カケハシ」!!
「アニマルズ」発表後にリリースされた78年1stソロ。ブルージーで、渋く深みがあって、感動的で…。これぞ「ギルモア」な音が詰まったエモーショナルな名作!
フロイドのリリシズムはこの人が居ればこそですね。フロイドのキーボード奏者、78年のソロデビュー作。「虚空のスキャット」「Summer 68」が好きなら、このソロ作もまた涙ものです。
ピンク・フロイドのドラマー、ニック・メイスンによる81年作1stソロ。フロイドの深遠な世界観とは趣を異にする、カンタベリー・ミュージックに通じるジャジーかつアヴァンギャルドかつポップな世界が印象的です。
最後に、「渡り歩いた人たち」etc…の名ソロ作をピックアップ!
ドラマーのソロ1作目にしてこの音楽的完成度の高さ。さすがはプログレ界きっての人気ドラマー、ミュージシャンとしての素養がみなぎっていますよね。ホールズワース、D.スチュワート、J.バーリンを迎えた演奏も言うまでもなく鉄壁。
アコースティック・アレンジによって、ますます彼のヴォーカリストとしての魅力が際立ってるなぁ…。96年のアコースティック・ライヴ作『AKOUSTIKA』と、初出となる05年アコースティック・ライヴ音源『AKOUSTIKA 2』を収録!
【関連記事】
その卓越したベースプレイと伸びのある男性的なヴォーカルで、数々のバンドに名演を残す男ジョン・ウェットン。 そんな彼が在籍した代表的なバンドからの楽曲をピックアップしてまいりましょう!
言わずもがなKING CRIMSON〜EL&Pで活躍した名ヴォーカル&ベース奏者の81年1st&83年2ndソロ作なのですが、これはソロと言うよりもグレッグ・レイク&ゲイリー・ムーアのデュオという言うべきですね。ゲイリーのギターが炸裂しまくり!
こちらはENIDの中心人物がENID結成以前のにリリースした73年ソロ作。クラシカルでロマンチック、リリカルにして壮大さ溢れる音世界はENID好きならたまらないでしょう。
英プログレ界の貴公子と呼ばれるヴァイオリニスト/キーボーディスト、83年ソロ作。音自体は80年代真っ只中ですが、そこいらのシンセポップとは一線を画するサウンドメイキングはやはり光っています☆
【関連記事】
いよいよ今週末に迫ってきたエディ・ジョブソンの来日公演。ジョン・ウェットンやソーニャ・クリスティーナらがゲスト参加、さらに急遽U.K.としてのライヴ日程が組まれるなど、英国プログレファンにとっては夢のような内容と言えますよね。今回は、そんなエディ・ジョブソンのキャリアを、各バンドでの楽曲を聴きつつ振り返ってまいりたいと思います!
いかがでしたか?こんな記事もどうぞ。
【関連記事】
米音楽サイトULTIMATE CLASSIC ROCKが選んだ素晴らしい竿ロ・デビュー作10選をご紹介いたします!
スイス出身の技巧派キーボーディストであり、MAINHORSEやキーボード・トリオであるREFUGEEで活動後YESの名盤「Relayer」へ参加した人物の76年ソロデビュー作。時期的にはYESの「Relayer」をリリースし、まだ正式メンバーとして活動期のリリースとなった本作は、「Relayer」でもその個性を発揮した南米色やジャズ色をふんだんに取り入れたクロスオーバー・フュージョンの色濃い1枚。パーカッション・セクションの彩りやリズミカルな雰囲気が彼らしいものの、プログレッシブ・ロック然とした聴き所にも恵まれており、技巧的なキーボード・ワークが目を見張る傑作と言えるでしょう。
紙ジャケット仕様、SHM-CD、20年リマスター、オリジナル・インナースリーブ付仕様、ボーナス・トラック2曲、定価3143+税
紙ジャケット仕様、直輸入盤(帯・解説付仕様)、英文ブックレット付仕様、デジタル・リマスター、ボーナス・トラック2曲、内袋付仕様、定価2700+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
紙ジャケ側面部に色褪せあり
90年規格、BRITISH ROCK HISTORY ON CD VOL.12 CHARISMA、定価2427+税
盤質:傷あり
状態:並
帯無
帯無、カビあり
言わずと知れたPINK FLOYDのキーボード奏者。78年のソロ・デビュー作。『狂気』収録の「虚空のスキャット」での静謐でリリカルで格調高いピアノ、『原子心母』収録の「Summer 68」でのゆったりとたうたうようなヴォーカルとメロディ。PINK FLOYDのそれらの楽曲や、彼の作るメロディやヴォーカルが好きな方は間違いなく気に入るサウンドがここにあります。サックス&フルートのMel Collins、ギターのSnowy Whiteなどバックの演奏も絶品。フロイドの作品のような強靱さや存在感こそありませんが、柔らかな叙情美に包まれた心地良い名作。
紙ジャケット仕様、SHM-CD、14年リマスター、ボーナス・トラック1曲、内袋付仕様、定価3143+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
解説に若干折れあり
「Joe Frazier」をボーナス・トラック1曲収録
盤質:無傷/小傷
状態:良好
ビニールソフトケースの圧痕あり
ジェネシスの初代ギタリストとして活躍し、70年代後半以降はソロ・ミュージシャンとして英国的叙情性に満ちた質の高い作品をリリースしてきた彼の、記念すべき77年1stソロ。ジェネシスのメンバーであるマイク・ラザフォード、フィル・コリンズらが参加。フィリップスによる丹念に爪弾かれるアコースティック・ギターの調べを、ゆったりとおおらかに流れるシンセとリリシズムに満ちたフルートの音色が彩るスタイルを軸とした、アコースティカルな手触りのシンフォニック・ロックを聴かせます。アコースティック楽器主体の演奏ですが、中世トラッド色とよりアカデミックなクラシック的要素の両方が違和感なく一体となった、たおやかな牧歌性とともに格調高くも瑞々しい英国然とした音色が印象的。ジェネシス脱退後にクラシック音楽とクラシック・ギターを本格的に学んだというその成果が遺憾なく発揮されています。演奏のみならず組曲「Henry」におけるハイレベルな楽曲構築性なども彼の豊かな才能を証明しており聴き所。3曲あるヴォーカルナンバーは、1曲でフィリップス、2曲でコリンズがヴォーカルを取っており、特にコリンズによるヴォーカルナンバーは、ジェネシスとは趣の異なる繊細で素朴な味わい深さが大変魅力的。清冽な小川の流れ、風にそよぐ木立、一面に広がる田園など、英国丘陵地帯の情景がイマジネーション豊かに立ち上がってくるような名品です。
デモ音源やシングル・バージョン音源やスタジオ音源などを収録したDISC2を含む2枚組仕様、デジタル・リマスター
盤質:傷あり
状態:良好
英プログレ界を代表する重鎮、YESのフロントマンが活動休止期に放った、宝石のような輝きを放つ76年ソロ第一作!YESがその特徴として強く持っていた、キラキラとした幻想感覚溢れるサウンド・プロダクション、その繊細さを更に増したかのように思わせる素晴らしさ!ジャケットのイラストレーションに象徴されるように、ファンタジックな飛行船にのって、ロマンティシズム溢れる空の旅に船出するかのような、彼のソロ・キャリアの門出を高らかに宣言する、ポジティヴな情感がたっぷり詰まったソロ・デビュー作に仕上がっています。リュートの奏でる絹のような質感の音像と、シンセサイザーとのコラボレーションがまた絶妙!YESの中にあった幻想性をより、たおやかに女性的に?追求したかのような音楽は、聴く人をえらばないかのような普遍性に満ちています。生音を生かした楽曲構成も見事です。
コメントをシェアしよう!
カケレコのWebマガジン
60/70年代ロックのニュース/探求情報発信中!