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「どうしてプログレを好きになってしまったんだろう@カケハシ」第四回 これは我々が本当に望んだロジャー・ウォーターズなのか? -二つのピンク・フロイド、その後【前篇】ー 文・市川哲史

第四回 これは我々が本当に望んだロジャー・ウォーターズなのか? -二つのピンク・フロイド、その後【前篇】ー 文・市川哲史

【フィル・コリンズ<ピーター・ガブリエル】に【アラン・ホワイト<ビル・ブルーフォード】に【90125イエス<ABWH】に【エイドリアン・ブリュー<ジョン・ウェットン】、そして【デイヴ・ギルモア<ロジャー・ウォーターズ】。

我々のみならず地球上に生息する<熱心>なプログレ者たちの共通認識として、いずれのケースも前者より後者を激しく肯定してきた。ただし世界中の音楽ファンの大半を占める<普通に好き>な人々は、前者と後者のどっちが偉いかなんて視点とは無縁で、バンドを屋号として認識し御贔屓にしてるだけだったりする。

健全だ。それが普通の生き方だ。

そんな偏執的なこだわりの中でも特に【ギルモアvsウォーターズ】戦は、<ピンク・フロイドとは何だったのか?>的な本質論まで発展したわけで、つくづくプログレッシャーの業は根深い。というわけで、フロイド内の対立構造をおさらいしておく。

『アニマルズ』『ザ・ウォール』『ファイナル・カット』と、作品コンセプトもそのコーディネイトも作詞もほとんどの作曲も<一人無双>状態だっただけに、ウォーターズは<自分の独立=ピンク・フロイド解散>と信じて疑わない。なので自分と一線を画すギルモアを成敗すべく1985年、<フロイド脱退>という究極の嫌がらせを敢行した。子供か。

それでもギルモアは、解散どころか<ウォーターズ抜きフロイド>始動に踏み切ってしまった。「自分不在でフロイドの新作は作れない」というウォーターズの頑強な自負が、<一寸のギルモアにも五分のフロイド魂>を見誤らせちゃったのである。
結局、事態は訴訟沙汰までこじれたものの、なんとか両者は和解にこぎつけた。

①今後のフロイド作品の印税は、ウォーターズにも分配する。
②『ザ・ウォール』のライヴ上演権は、ウォーターズが保持する。
③フロイドのライヴで今後、勝手に豚を飛ばしてはいけない。

なんだこの条件。

でようやく<ピンク・フロイドの新作>として『鬱』が87年9月にリリースされ、連動した足掛け3年にも及ぶワールド・ツアー共々、商業的大成功を収めた。しかしウォーターズは『鬱』を「すごく浅はかだが、非常によく考えられた偽モノ」と酷評し、《現在のピンク・フロイドはピンク・フロイドではない》と書いたビラを、ライヴ会場の広大な駐車場を埋め尽くした膨大な数の車のフロントグラスに一枚一枚挟むフロイド信者たちが、各国に出没した憶えがある。

「わははは! そういう連中はキング・クリムゾンのレコードを買えばいいんだぁ!!」(ギルモア談)。

となればウォーターズに残された<正当な嫌がらせ(エゴ・テロリズム)>は、一つしかない。自分のソロ・アルバムが、内容でもセールスでもギルモアズ・フロイドのアルバムを超えてみせること、だ。だがしかし――。



時系列は前後するがまずフロイド脱退前、84年5月発表の初ソロ『ヒッチハイクの賛否両論』は、神経症の主人公が見る淫靡でパラノイアな夢の中で人生を思索するという、愉快な妄想哲学アルバムだったのに、結果は英13位/米31位。僅か2ヶ月前にリリースされたギルモアの<はは能天気だねぇ>2ndソロ『狂気のプロフィール』の成績――英21位/米33位と、ほとんど大差なかったとは。ああ。

続く情報操作や表現規制、政治のエンタテインメント化の危険性を訴えた87年6月の次作『RADIO K.A.O.S.』は、新生フロイド第1弾『鬱』と直接対決の構図となったものの英国で25位vs3位、米国では50位vs3位という大惨敗を喫してしまった。ひー。

そして、92年9月発表の、湾岸戦争に端を発した<人類滅亡エンタテインメント>を揶揄しまくった憂いの3rdソロ『死滅遊戯』は、かろうじて英8位/米21位と過去最高の健闘は見せたものの、翌々年『対』の英米1位の大成功の前では木っ端微塵に。

ついでに書いとくと、その翌95年6月のライヴ盤『光』も英米1位だったりして、要は<自分抜きピンク・フロイド>に、ウォーターズは完膚なきまでに叩き潰されたのであった。くー。

言うまでもなく当時の私は<ロジャー・ウォーターズ・フロイド>派で、『ロッキングオン』誌上のみならず数多くの関連ライナーやプログレ系の売文仕事を通じて<ギルモアズ・フロイド>の欺瞞とウォーターズの正義を、日本国民に啓蒙しあげた。オルグだオルグ。

日常とたった薄皮一枚で隣り合わせの<非日常空間>を、大胆かつ繊細な実験魂を発揮して音楽に具現化させたからこそ、ピンク・フロイドは革命的なプログレ・バンドとして世間を圧倒した。ただし実験性なんて偶発的な刺激は、やがて色褪せる。しかしフロイドにはそれに代わる新たな個性をいつしか装備していた。

『狂気』以降アルバム単位で明確なコンセプト・ワークと歌詞、である。
担当者はもちろん、ロジャー・ウォーターズ。

例えば“あなたがここにいてほしい”は、<月の裏側に逝ってしまった僚友へのラヴレター>と一般的に評価されているが、当時個人的内省が勃発したウォーターズは「そもそもは、もう一人の自分に語っていた」と後日、真相を明らかにしている。

要はそうしたナイーヴな憂鬱や内省は、突き詰めれば突き詰めるほど<アグレッシヴな被害者意識>に転化して、警告を発し不条理を糾弾する<正義の鉄槌>を振るうわけだ。そのためならば豚も空に飛ばすし、ステージと客席の間に巨大な壁だって構築する。強烈なエゴは、手段を選ばないのである。
メンバー間の緊張関係に亀裂が入り、やがてバンドそのものが瓦解しようとも――。

正直な話、ウォーターズによるコンセプト・ワークは凝り過ぎるがあまり、前出のソロ三部作なんかは聴いても咄嗟に内容を把握できないほど、ストーリーが複雑怪奇化した。あてつけがましくギルモアより格上のエリック・クラプトンやジェフ・ベックに、代わりにギターを弾かせても全然緩和されないほど、わかりづらかった。

併せて『アニマルズ』以降、歌詞の言葉数も毎回毎回増量を重ねた結果、ウォーターズが書くメロディは言葉を重視するがあまり起伏が少ない、淡白で単調なものへと変貌していく。その歌詞の詰め込み方たるや、もはや海援隊の“母に捧げるバラード”状態なわけで、彼のソロ作品が内容に反比例して商業的成功に全く恵まれなかったのは、当然の結果だった。だってちっともポップな大衆音楽じゃなかったのだから。

ああ、素晴らしき<父に捧げるプログレ>ロジャー・ウォーターズ。

私は一貫して、そんな彼の自爆っぷりにシンパシーを抱き続けてきた。そもそも<左翼のくせに独裁者体質>という自己矛盾がたまらないじゃないか。

そして、ソロ作が売れなくてもギルモアが<ピンク・フロイドっぽいもの>で儲けても、やはりウォーターズこそがピンク・フロイドである。そして彼自身も悟ったはずだ――ピンク・フロイドという<スタイル>ではなく、ピンク・フロイドという<作品>にこだわればいいや、と。だから1999年夏を契機に、ウォーターズはソロ作品への固執を終息させると、ピンク・フロイド・クラシックスのセルフ・カヴァー解禁に舵を切ったのだ。

まず、99年7~8月と00年6~7月の二度の北米ツアーをフロイド時代と同名の《イン・ザ・フレッシュ》と題し、『狂気』『炎』『アニマルズ』収録曲のみならず“太陽讃歌”まで披露して、いきなりふっきれる。で02年2~6月に延長戦として日本公演も含む世界ツアーを成功させると、06~08年には『狂気』を全曲演奏する《ザ・ダーク・サイド・オブ・ザ・ムーン・ライヴ》ワールド・ツアー、発売30周年を記念して10年秋からは『ザ・ウォール』を全曲披露する《ザ・ウォール・ライヴ》をスタートした。これがまた好評につき延長に次ぐ延長で、北米→欧州→オセアニア→南米→再北米→再欧州と精力的に廻り、結局13年までに200本を超える公演数と450万人以上もの観客動員数を誇ったのである。そして15年に公開されたドキュメンタリー映画『ロジャー・ウォーターズ:ザ・ウォール』に及んでは、ちょっと感動的ですらあった。

つまり、ライヴ盤『イン・ザ・フレッシュ』とベスト盤『フリッカリング・フレイム』を除けばフランス革命を題材にした05年のオペラ・アルバム『サ・イラ~希望あれ』、そしてオリジナル・アルバムなら92年の『死滅遊戯』まで遡らなければならなくても、ずーっと<もう新作は諦めちゃった感>が漂ったとしても、我々はもうポジティヴに諦めることができた。
いや、達観――なんか違うな、そう、めでたく成仏できたのである。

思えばウォーターズは、人生に挫けそうになる度に壁に助けられてきた。

自分抜きフロイド『鬱』の栄華と裏腹に、過剰な自意識が商業的にはほとんど報われなかったソロ・ワークスの惨状に絶望したウォーターズを、最初に救済したのは《1990年の壁》。東西ドイツを永く分断してきたベルリンの壁が89年11月にまさかの崩壊、翌90年7月21日に<現場>ポツダム広場に35万人もの群集を集めたライヴ・イヴェント《ザ・ウォール:ライヴ・イン・ベルリン》における『ザ・ウォール』の完全再演は、<ロック・アイコン>としてのウォーターズが誕生した記念すべき瞬間となった。

また前述した10~13年の《ザ・ウォール・ライヴ》全世界ツアーは、延長に次ぐ延長に次ぐ延長に次ぐ延長でソロ・アーティスト史上1位の興行収入を稼ぎ出して、ウォーターズを<超一流ロック・エンタテイナー>の座に大躍進させる。

そしてさすがに誰もが壁に食傷していたはずの16年10月1日、メキシコシティ・ソカロ・スクエアで開催され11万人がメキシコ全土から集結した野外フリー・ライヴは、米建国以来最低最悪の大統領に就いたドナルド・トランプが「不法移民の流入を防ぐためにメキシコ国境に巨大な壁を築く」なんて言ってくれちゃったものだから、既存の墨米国境の壁を背に唄ったウォーターズは<最高齢のロック・アジテイター>として甦ってしまった。

結局、『ザ・ウォール』は具現化される度に、知らぬ間に変化を遂げてきた。

そもそも最初の壁は、<一煉瓦に過ぎない個人という存在の象徴>のはずだった。しかし世界各地でとめどなく続く戦争の群れに業を煮やしてというか、むしろ糧にして壁は巨大化し、演奏を捧げる<戦禍の犠牲者>たちの名前を日々アップデートして投影するスクリーンに変貌していく。まさに<反戦集会の演壇>としての壁。

でもってメキシコでは、再び<壁そのもの>に回帰したわけだ。

私には「もう<壁バカ一代>でもいいわ」と達観した、ナイーヴ過ぎてアグレッシヴという本当に面倒くさいおっさん、ロジャー・ウォーターズの嫌ぁな笑顔が浮かんでいる。


そして2017年5月、デビュー50周年記念のピンク・フロイド大回顧展《The Pink Floyd Exhibition:Their Mortal Remains》の英国開催と共に、ウォーターズの新型北米ツアー《Us +Them》全54公演もスタートした。しかし最も我々を驚かせたのは、四半世紀ぶり(!)の新作『イズ・ディス・ザ・ライフ・ウィ・リアリー・ウォント?』まさかの同時リリースだったりするのだけど――。

我が国の公文書名物<のり弁>を彷彿させるジャケが予感させる以上に、混迷する国際情勢に徹頭徹尾対峙したアジテーション・アルバムである。十八番の難解コンセプト・アルバムではない分、73歳とは思えぬ直球ぶりが一周して微笑ましい。

さすが筋金入りの左派社会主義者、とにかく怒っている。新自由主義だったり拝金主義だったり極右政党の躍進だったり移民排斥運動だったりの、全世界的に蔓延する諸悪の象徴的根源であるトランプ米大統領の登場が、ウォーターズを蘇らせてしまった。
10年前のライヴ会場には尻に《Impeach BUSH(ブッシュを弾劾せよ)》と大書された豚が飛んでいたが、今回アリーナ上空を浮遊する豚はトランプの醜悪な似顔絵をどてっ腹に描かれているだけ。もはや檄キャッチすら不要なほど憎悪しているのか?

それでも今回の“デジャ・ヴ”の詞は秀逸だ。構造的には『原子心母』収録の“もしも”再登場なのだが、導入部からの<♪もしも僕が全知全能の神だったら>はともかく、<♪もしも僕が外国の空を飛ぶ無人飛行機だったら>へと行き着いちゃう展開は、さすがすぎる。

加えて音楽的には、“吹けよ風、呼べよ嵐”やら“走り回って”やら“マネー”やら“タイム”やら“葉巻はいかが”やら“シープ”やら各種SEにシンセにエコーやら、過去のフロイド・イディオムが随所に顔を出す。でもって、レディオヘッド仕事でお馴染みナイジェル・ゴドリッチのポスト・ロック的感性が溢れるプロデュースが的確だから、<70年代ピンク・フロイド(2017年ヴァージョン)>的なオーディオ感すら生まれちゃったわけだ。
となるとやっぱり、あの『三途』もとい『彼岸』もとい『永遠(TOWA)』よりこっちの『イズ・ディス・ザ・ライフ・ウ』……えーい面倒くさい勝手に邦題つけるか……『へ?』の方に惹かれてしまう、駄目な中年プログレ者の私を見逃してくれ。

とはいえこんな<七十路超えの青臭いアルバム>だから、とても市場のメインストリームに浸透するとは思えない。せっかく前世紀のソロ商業的惨敗から立ち直り、ライヴの度に巨大な壁を建造して供養する余生に生き甲斐を見い出してたのに。これで新作ツアーなんか敢行したら二の舞だよ三の舞だよ。

私は心配性なのだ。

そして《Us+Them》北米ツアーが始まったのだが、なんだこの圧倒的な充実感は。
この際だから、5月28日@ケンタッキー州ルイズヴィル公演のセットリストを載せる。

第Ⅰ部①スピーク・トゥ・ミー②生命の息吹き③吹けよ風、呼べよ嵐④タイム~生命の息吹き(リプライズ)⑤虚空のスキャット⑥ようこそマシーンへ⑦ホエン・ウィ・ワー・ヤング⑧デジャ・ヴ⑨ザ・ラスト・レフュジー⑩ピクチャー・ザット⑪あなたがここにいてほしい⑫ザ・ハピエスト・デイズ・オブ・アワ・ライヴス⑬アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール(パートⅡ)⑭同(パートⅢ)第Ⅱ部①ドッグ②ピッグス(三種類のタイプ)③マネー④アス・アンド・ゼム⑤スメル・ザ・ローゼズ⑥狂人は心に⑦狂気日食⑧ヴィーラ~ブリング・ザ・ボーイズ・バック・ホーム⑨コンフォタブリー・ナム。

大雑把にいえば、【『狂気』~『炎』~新作『へ?』4曲~『炎』~『ザ・ウォール』~『アニマルズ』~『狂気』~『へ?』1曲~『ザ・ウォール』】という構成で、ニュー・アルバムとフロイド・クラシックスの単純な二部構成ではない。そして披露された新曲は僅か5曲だけだけど、その文脈を自ら拡大解釈したクラシックス群で新曲群を補填することで、ライヴ全体の起承転結を無理矢理完結させちゃってるから、素敵である。

例えば新曲パートの冒頭を飾るⅠ⑦は、淡々と唄われる問題意識といい牧歌的なアコースティック・アレンジといい、とても“あなたがここにいてほしい”的だ。でもって理不尽に破壊されていく日常を⑧⑨⑩が加速度的に描いた図を、よりにもよって⑪が⑦のコーダのように引き受けるのだから。この強引な辻褄合わせは癖になる。

When We Were Young / Deja Vu(Kansas City 2017)

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例えば第Ⅱ部は、いきなり巨大な壁が客席ド真ん中の花道に現れて二つに隔絶してしまうが、よく見るとその壁は四本の煙突がそびえ立つ、あのバターシー火力発電所だ。要は、『アニマルズ』の皮を被った『ザ・ウォール』なのだ。
するとウォーターズはもう止まれない。

特にひたすらトランプをあげつらうⅡ②は、<宇宙一の悪意>そのものだ。場内を包囲する発電所の壁には<プーチン露大統領に「高い高ぁぁぁい♡」されるベイビー・トランプ>や、まんま<豚トランプ>の映像、そして「メキシコ国境に壁を造る」「寒くて雪が降り続くニューヨークには、地球温暖化が必要だ」「我輩の美徳は金持ちであること」といった名言がエンドレスで映し出される。詞の<♪Big man,pig man,ha ha charade you are>に呼応して、AV両面からひたすら<シャレード(見かけ倒し)>呼ばわりされまくるトランプに、もはや同情を禁じえない私を赦してくれ。

Pigs(Kansas City 2017)

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でこのⅡ②の3番のオリジナルで「おいおいホワイトハウス、つくづくおまえは見かけ倒しだよなぁ」と唄われていた<ホワイトハウス>とは、同名の米大統領官邸ではない。誰から頼まれたわけでもないのに自分の道徳観を世間に押しつけまくった英国の女役者、メアリー・ホワイトハウスを指していた。<道徳の権力化>とは、ウチの安倍晋三と頭の程度は大差ないが。

特に70年代全般にわたって彼女は鬱陶しく、イアン・ギランは第2期ディープ・パープル時代にアルバム『紫の肖像』収録の“マリー・ロング”で国民の道徳を守るがあまり勝手に暴走を続ける彼女を笑い、アリス・クーパーは“スクールズ・アウト”英国大ヒットの要因を「彼女があの曲を散々批判してくれたから」と、腹抱えて感謝した。そして同様にウォーターズもおちょくっていたがそれから40年が過ぎ、“ピッグ”のホワイトハウスは遂に<豚扱い大統領の棲み家>として唄われる日をめでたく迎えたわけだ。

さらにⅡ③“マネー”へ劇的に受け継がれるに至り、ピンク・フロイドは半世紀近く前から<未だ見ぬ将来の米国大統領>批判を作品化してたのかと、聴いてるこっちが錯覚するほど見事な意訳と拡大解釈が施されている。都合のいい再解釈は本来ならオリジナルを冒涜するような行為ではあるのだけど、ウォーターズなら仕方ない。だってそもそも彼が書いた作品だもの、誰にも文句を言う資格などないのである。

Money(Kansas City 2017)

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今回のツアー・タイトルでもあるⅡ④は、「月の表側の住人も裏側の住人も紙一重」であることを73年に唄った楽曲だ。と同時に「のうのうと生き延びる指揮官の命令に従って死んでいく兵士たち」という戦争の理不尽さを想えば、敵も味方も皆同じ――まさに<アス>と<ゼム>は常に表裏一体であるという、ストレンジで魅力的な考察にウォーターズは行き着いた。

Us and Them(Kansas City 2017)

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現在もなお変わらぬ構図を描いたそんな楽曲を経て、お約束の『ザ・ウォール』C面後半の3曲――Ⅱ⑧⑨へ。つまり「モラトリアムの夢から醒めてしまった大人の僕には、全てに麻痺して弛緩している現在の状態が心地好い」という、身も蓋もない<コンフォタブリー・ナム>な自分を逆説的に唄うことで大観衆の覚醒を促すのだ。そして壇上もといステージ上に上がった沢山の少年少女たちが手に手に《Resist(抵抗せよ)》のボードを掲げ、反トランプや反移民排斥を鼓舞したところで、ライヴは大団円を迎えることとなる。

かつてのような<左派過ぎて文芸過ぎて>のソロ作品群も個人的には全然嫌いじゃないが、<まず愉しく啓蒙すること>を第一義とした新約ピンク・フロイド的<政治集会エンタテインメント>こそ、ロジャー・ウォーターズに相応しい余生に違いない。

にしても今回の新作とツアーにおける異常なアドレナリンの放出量から類推するに、絶対ウォーターズはトランプのおかげで蘇った。だからこの二人、単に表裏一体の存在なだけなのかもしれない。

どっちが<アス>でどっちが<ゼム>かはわからないけれど。






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第ニ回 「尼崎に<あしたのイエス>を見た、か? ~2017・4・21イエス・フィーチュアリング・ジョン・アンダーソン、トレヴァー・ラビン、リック・ウェイクマン(苦笑)@あましんアルカイックホールのライヴ評みたいなもの」はコチラ!

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ROGER WATERSの在庫

  • ROGER WATERS / WALL LIVE IN BERLIN

    89年ベルリンでのライヴ映像

    • UIBO1010

      DVD、NTSC方式、リージョンフリー、帯元からあったか不明、解説付仕様、定価4410

      盤質:傷あり

      状態:良好

      帯-

      情報シールあり、ライナーに小さい圧痕あり

      1790円

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      (税込1547円)

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PINK FLOYDの在庫

  • PINK FLOYD / ENDLESS RIVER

    14年リリース、実に20年ぶりとなったオリジナル・アルバム!フィル・マンザネラがプロデュースに参加

  • PINK FLOYD / ATOM HEART MOTHER

    70年作、プログレと言えばこのジャケ!A面の大作、B面の小曲集ともに美しく気品ある名曲で固められた傑作

    ブルース・ロックに根ざした音楽性を持ちサイケデリック・ロックからその歩みを始め、全盛期にはRoger Watersの哲学的な歌詞と完璧なまでのコンセプト性で数々の伝説を作り上げた、世界を代表するロックグループの70年5th。ヒプノシスによる衝撃的なジャケットアートが有名な本作は、非常に英国然としたブラス・セクションやクワイアが印象的な23分を超える表題曲「原子心母」を中心に、これまでの前衛、アンダーグラウンドな雰囲気を和らげ、商業的にも成功を収めた作品。とは言え全盛期のようなRoger Waters一色なプロダクションではなくメンバーそれぞれがアイディアを出し合い製作されていることから、トータル感ではなくヴァラエティーで聞かせるアルバムとなっています。

  • PINK FLOYD / ZABRISKIE POINT: THE LOST ALBUM

    70年公開の映画『砂丘』のために録音された音源をまとめたアーカイヴ盤

    70年公開の映画『砂丘/Zabriskie Point』のために録音されながら未発表となった音源が発掘され、もしピンク・フロイドだけの楽曲でフルアルバムとしてリリースされていたら、というコンセプトで編集されたアーカイヴ盤が本作。69年の年末に映画のために多数の楽曲を録音しながら、ミケランジェロ・アントニオーニ監督が気に入らず、数曲しか使われず、その多くはお蔵入りとなりました。69年の年末の録音と言えば、『ウマグマ』と『原子心母』のちょうど間の時期。時にサイケデリック、時に牧歌的な、いかにもピンク・フロイドらしい音源がつまった好編集盤です。収録曲は、1. Heart Beat Pig Meat 2. Country Song 3. Fingal’s Cave 4. Crumbling Land 5. Alan’s Blues 6. Oenone 7. Rain In the Country 8. Come In Number 51 Your Time Is Up 9. The Violent Sequence 10. Take Off (Version II) 11. Country Song Theme (Band) 12. Country Song Theme (Acoustic) 13. Love Scene 1 (Organ & Guitar) 14. Love Scene 3 (Band) 15. Love Scene 4 (Piano & Vibes) 16. Love Scene 2

  • PINK FLOYD / LIVE AT POMPEII DIRECTOR’S CUT

    71年10月、イタリア・ポンペイ遺跡での無観客ライヴを撮影した映像作品、エイドリアン・メイベン監督

    • UUSD70026

      廃盤、DVD、帯元から無し、解説付き仕様、NTSC方式、リージョン2、定価3990

      盤質:傷あり

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      情報シールあり

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      (税込3102円)

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  • PINK FLOYD / MEDDLE

    71年作、代表曲「ECHOES」「ONE OF THESE DAYS」収録、A面のメロウな小曲群も魅力的な名盤

    ブルース・ロックに根ざした音楽性を持ちサイケデリック・ロックからその歩みを始め、全盛期にはRoger Watersの哲学的な歌詞と完璧なまでのコンセプト性で数々の伝説を作り上げた、世界を代表するロックグループの71年6th。その内容はサイケデリック・ロックの質感を残しながらもブルーズ・ロック、ハード・ロックのアンサンブルも取り込み、スペーシーな音像で迫る作風となっており、なんと言っても彼らを代表する1曲と言える大曲「Echoes」が大きくその存在感を放っています。ロックというジャンルに人間の精神性や虚無感など様々な要素を内包させ、音楽と言う枠組みさえも骨抜きにしてしまうような絶対的な個性に溢れた名盤であり、PINK FLOYDらしさが確立された必聴盤です。

  • PINK FLOYD / DARK SIDE OF THE MOON

    73年発表、ロックの歴史に燦然と輝く大名盤!

    ブルース・ロックに根ざした音楽性を持ちサイケデリック・ロックからその歩みを始め、全盛期にはRoger Watersの哲学的な歌詞と完璧なまでのコンセプト性で数々の伝説を作り上げた、世界を代表するロックグループの73年8th。もはや解説不要なまでの英国70年代ロックを代表する傑作であり、アメリカのビルボードチャートにおいて200位以内に15年間に渡ってランクインするという記録を打ち立てたロックの金字塔です。人間の内面に潜む「狂気」をリアルに描いた作品となっており、Alan Parsonsによって丹念に編集された様々な効果音のコラージュ、シンセサイザーの効果的な登用、ヒプノシスによるジャケットアートなどトータルコンセプト・アルバムとして不朽の名盤と言えます。

    • TOCP77163/4

      廃盤、ペーパーケース仕様、2枚組デラックス・エディション、デジタル・リマスター、スリップケース付き、定価3700

      盤質:全面に多数傷

      状態:良好

      帯有

      盤面複数キズ・曇りあり、スリップケースに若干圧痕あり

  • PINK FLOYD / WISH YOU WERE HERE

    前作「狂気」に劣らない内容と人気を誇る75年作

    ブルース・ロックに根ざした音楽性を持ちサイケデリック・ロックからその歩みを始め、全盛期にはRoger Watersの哲学的な歌詞と完璧なまでのコンセプト性で数々の伝説を作り上げた、世界を代表するロックグループの75年9th。前作「狂気」を発表しツアーも成功のうちに終了、休業解散状態であったバンドが再びシーンに返り咲いた作品であり、創設時のメンバーSyd Barrettを想起させるテーマを盛り込んだ、Roger Watersの色濃いコンセプト・アルバムとなっていますが、その内容は「狂気」のクオリティーをそのままに別なベクトルへ向けて発信した傑作です。トータル志向という意味では確かに「狂気」に軍配が上がるも、各楽曲のクオリティーは全く見劣りせず、彼らの代表作の1枚に上がることも多い名盤です。

  • PINK FLOYD / THE WALL

    ロジャー・ウォーターズの内面世界が色濃く反映された79年作、世界一売れた2枚組アルバム!

    ブルース・ロックに根ざした音楽性を持ちサイケデリック・ロックからその歩みを始め、全盛期にはRoger Watersの哲学的な歌詞と完璧なまでのコンセプト性で数々の伝説を作り上げた、世界を代表するロックグループの79年作。「Dark Side Of The Moon」と並んで彼らの代表作と評される本作は、社会との疎外感や人を隔てる壁をテーマにした傑作であり、トータルコンセプト・アルバムの代表例として必ず紹介される1枚。Roger Watersの人格が如実に楽曲に反映されており、主人公ピンクの幼少から、ロック・スターへとその姿を変え、なおも疎外感に苛まれるというシリアスなメンタリティーを、圧倒的な描写で表現しきっています。世界で最も売れた2枚組アルバムという大記録も打ち立てた、英国ロックの金字塔です。

  • PINK FLOYD / DELICATE SOUND OF THUNDER

    代表曲満載の88年ライヴアルバム

  • PINK FLOYD / DIVISION BELL

    「Wish You Were Here」以来、2度目の全英/全米1位を獲得した94年作

  • PINK FLOYD / BBC SESSIONS 1967-1968

    1st〜2nd期のピンク・フロイドのBBC音源集、全24曲

    67年5月から68年12月までのピンク・フロイドのBBC音源を収録した編集盤。シド・バレット在籍時の音源を14曲、シドが抜けてデイヴ・ギルモアが加入してからの音源を10曲収録。全24曲。シド在籍時の未発表曲「Vegetable Man」「Scream The Last Scream」のTOP GEAR出演時の音源や、2nd「Set The Controls」のシド在籍時バージョンなど、初期フロイドのファンにはたまらない音源満載。BBC音源なので、音質も良好!

  • PINK FLOYD / LIVE AT THE RAINBOW THEATRE: 20TH FEBURARY 1972

    72年2月20日ロンドンはレインボー・シアターでのライヴ音源、『狂気』フル演奏

    72年2月20日ロンドンはレインボー・シアターでのライヴ音源、『狂気』をフルで演奏した冒頭10曲は高音質サウンドボード音源、そのほかはクリアなオーディエンス録音、72年と73年のライヴ音源2曲も収録

  • PINK FLOYD / LIVE IN MONTREUX 1970

    70年11月21日に行われたモントルー・ジャズ・フェスティバル公演を収録したライヴ音源

    70年11月21日に行われたモントルー・ジャズ・フェスティバル公演を収録したライヴ音源。収録曲は、

    ■ DISC 1
    1. Astronomy Domine
    2. Fat Old Sun
    3. Cymbaline
    4. Atom Heart Mother
    5. The Embryo
    6. Green Is The Colour
    7. Careful With The Axe Eugene

    ■ DISC 2
    1. Set The Controls For The Heart Of The Sun
    2. A Saucerful Of Secrets
    3. Just Another 12 Bar
    4. More Blues

    • TOP15TOP GEAR

      2枚組、オーディエンス録音ながら、サウンドボード音源並にクリアな高音質音源。ボーナス・トラックとして70年11月22日から「星空のドライヴ」「天の支配」の2曲を収録

  • PINK FLOYD / LIVE IN SANTA MONICA MAY 1970

    70年カリフォルニア州サンタモニカでのライヴを収録、全10曲

    70年カリフォルニア州サンタモニカでのライヴを収録。「Astronomy Domine」「Cymbaline」「Atom Heart Mother」「Embryo」「Set The Controls For The Heart Of The Sun」「Interstellar Overdrive」など全10曲。

  • PINK FLOYD / RADIO SESSIONS 1969

    デイヴ・ギルモア加入後の4人編成での69年のラジオ放送音源をまとめた編集盤

    シド・バレットが抜け、デイヴ・ギルモアが加入してからの4人編成での69年のラジオ放送音源をまとめた編集盤。69年5月の「TOP GEAR」出演時のBBC音源5曲、69年7月のBBC音源1曲、69年8月のアムステルダムはパラディソでのライヴ4曲を収録。すべてラジオ放送用音源のため音質クリア!

    • TOP8TOP GEAR

      ボーナス・トラックとして、『UMMAGUMMA』のアウトテイク音源「Interstellar Overdrive(13:29)」を収録。全11曲

      CD収録時間いっぱいまで音源が入っているせいか、ボーナス・トラックのラスト1分にて音飛びが頻繁に発生いたします。ご了承ください。

  • PINK FLOYD / RARE LIVE INSTRUMENTALS 1969-1971

    フランク・ザッパと共演した69年ベルギー公演の「星空のドライヴ」を含む、69年から71年のレアなライヴ音源を収録した編集盤

    69年から71年のレアなライヴ音源を収録した編集盤。「星空のドライヴ」、「原子心母」、「ユージン、斧に気をつけろ」、「シシファス組曲」、「モアの主題」など。69年ベルギー公演での「星空のドライヴ」音源では、なんとフランク・ザッパと共演!

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