2018年3月29日 | カテゴリー:KAKERECO DISC GUIDE,世界のロック探求ナビ
こんにちは。スタッフみなとです。
今日はドイツのプログレッシブ・フォーク、CAROL OF HARVESTの78年作を取り上げてまいります。
アニー・ハズラムの声質をもっと透き通らせたようなボーカルが、とても魅力的なのです。
ぽかぽか陽気のこの季節に聴くにはちょっとメランコリック過ぎるかも知れませんが、ダークなフォークがお好きな方は是非お付き合いください!
1976年、ドイツはバイエルン州、フュルトで結成されました。
バンド名は19世紀米詩人、ウォルト・ホイットマンの詩から取られています。
ギター:Axel Schmierer
ボーカル:Beate Krause
ドラム:Roger Högn
キーボード:Jürgen Kolb
ベース:Heinz Reinschlüssel
当時みんな学生で、ボーカルのBeate Krauserはまだ16歳だったそうです。
作曲をするのはギターのAxel Schmiererで、CAMEL、PINK FLOYD、GENTLE GIANT、RENAISSANCE、CLANNADに影響を受けているそう。
ニュルンベルクのマイナー・レーベル、Brutkastenより、今作をたった200枚プレス。
コレクターの間で非常な希少盤として取引されることになりました。
それでは、作品を聴いてまいりましょう!
16分間の大作「Put On Your Nightcap」が何と言っても素晴らしいです。
バンドで最初に出来た曲で、ギターのAxel Schmiererが戦争を題材に作ったとか。
冒頭に聴こえるのは吹きすさぶ風。否が応でも浮かんで来るのは荒涼とした風景。
メランコリックなギターのアルペジオに乗せて、アニー・ハズラムにさらに透明感を増したようなBeate Krauseのボーカルが響き渡ります。
4分半を過ぎたあたりからテンポが徐々に速くなり、スペーシーなキーボードが宙を舞うように旋回。そして6分半頃からドラムとベースが疾走し更にピードアップ、このタメの効いた展開がたまりません。
それにしても、どのパートにおいても超然として歌うBeate Krauseが本当に凄まじい存在感です。
荒々しい泣きのギターソロの後には一旦テンポが落ち、また上がり、そのリズムの流れに心地よく翻弄されてしまいます。
続いては3曲目「Somewhere At The End Of The Rainbow」です。
ルネッサンスのような、ドラマチックなボーカル・パートが魅力的なんです。
このアルバムの通奏低音になっているメランコリックなギターのアルペジオをバックに、Beate Krauseが美しく力強いメロディーをしっとりと歌っていきます。
柔らかく鳴り響くシンセと、落ち着いたリズム・セクションも曲に深みを与えています。
アルバム全体をダークな雰囲気が覆っているのですが、中にはアコギ主体のさらりとしたフォーク小品も収められています。
ブリティッシュ・フォーク然としたアコギのピッキングと、これ以上なくクリアなボーカル。美しいですね。
アルバムを通して聴くと、こういった良い意味で箸休めとなる楽曲が程よいバランスで配置されています。
Annie Haslamを想起させるソプラノボーカルBeate Krauseを擁し、ドイツロマン派を強く意識した深みのある音像と気だるげなデカダンスを感じさせるフォーク・ロックグループの78年作。バンド名が表すとおり、牧歌的で飾り気のないフォーク・ロックサウンドが根底にはあるものの、そこにジャーマン・ロックならではの奥深さと内省的な表情、そして適度なサイケデリアが絶妙に内包されており、隠し味で使われているシンセサイザーもジャーマン・エレクトロ的なメディテーショナルなサウンド。同郷EMTIDIにも通じる、牧歌的でありながらも決して生命的にならない、どこか浮世離れした味のあるサウンドを作り上げています。
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