2018年2月23日 | カテゴリー:KAKERECO DISC GUIDE,世界のロック探求ナビ
こんにちは。スタッフみなとです。
ここに一枚の写真があります。
どん。
誰かに似ている・・・そう、レオン・ラッセルにそっくりですよね。少々つるんとしていますが。
レオン・ラッセルが立ち上げたシェルター・レーベルで活躍していたギタリスト、ドン・プレストンです。レオンと共に演奏するなかでその音楽性に触れ、尊敬の念が募るにつれて、髪型も自然とレオン風になっていったのでしょう。
昨年より韓国BIG PINKレーベルより3枚再発されているのですが、それぞれが全く違っていて、ドンの歩みと共に楽しめる味わい深い作品です。
今日はそんなドン・プレストンをピックアップしてまいります。
DON PRESTON
1942年コロラド生まれ、カリフォルニア育ち。少年時代から合唱隊に参加したり、ギターの練習にいそしんでいたそう。
深夜のAMラジオから聴こえてきたB.B.KINGなどブルースが彼の原点で、どの作品にもブルースへの深い愛を感じることができます。
近所にはキャピトル・レコードがあり、50年代にはペンギンズやコースターズなどのR&Bグループ、リッチー・ヴァレンスやジーン・ヴィンセントなど大スターのバックで演奏をしています。
60年代初めにはABCテレビの人気音楽番組「シンディグ!」のハウスバンド、シンドックスに参加、ここでのちのレオン・ラッセル人脈とのつながりを得ます。
音楽修行の最初の結晶としてA&Mから68年にリリースしたのがこちら。
ジャケットの純朴な姿そのままに、ブルースへの熱い想いを形にした作品です。
シェルター・レーベルで同僚となるドン・ニックスの楽曲や、ウィルソン・ピケット、ボビー・ブランドなどのカバーを収録。
他のLAスワンパー、ジェシ・エド・デイヴィスやロジャー・ティリソンなどのコク深い声質と比べるとやや薄味ですが、その少しB級の、青々としたボーカルがたまらない味わいがあります。
自作曲がまた素晴らしく、胸のすくようなど直球のブルース・ロックを奏でています。
♪Baby It’s You
DON PRESTON&THE SOUTH名義で同じくA&Mから69年にリリースしたのがこちら。
全作とはうって変わって、爽やかでキャッチーなサウンド、ビートも非常に軽快です。
清涼感あるギター、軽やかなドラミング、息の合ったコーラス・・・曲によってはビートリッシュだったりラウンジ風だったり、これはこれでドンのボーカルに合っています。
カール・レイドルやジム・ケルトナーが参加しています。
♪Circle For A Landing
全作から少し間を開けて74年にシェルター・レコードからリリースしたのがこちら。
この作品で、格段にコクが深まっているんです。
それもそのはず、前作との間にドンは70年に設立されたシェルター・レーベルと契約、ジョー・コッカーの70年作『MAD DOGS & ENGLISHMEN』、レオン・ラッセルの71年作『LEON RUSSELL AND THE SHELTER PEOPLE』その他多数、そして71年のバングラデシュ・コンサートにもギタリストとして参加しているのです。
(1971年8月、バングラデシュ・コンサート。左手前がドン。)
シェルター・レーベルで日々修行に励んだ結果、一人のミュージシャンとしての「コク」が身に付いたのでしょう。
冒頭1曲目からその進化が聴こえます。
♪A Minor Case Of The Blues
ギターの粘りがぐっと増しています。ボーカルのバックで響くスライドギターはこちらを煽ってくるし、ソロではジェシ・エド・デイヴィスもかくやという泣きのギターを披露。
ボーカルも今までの青臭さが払拭され、どっしりと腰に来るリズム隊がそれを支えています。
♪On The Other Hand
楽曲はこれまでのどの作品よりもブルージーで、かつホーンやピアノ、ゴスペル風コーラスなどをバランス良く取り入れた非常に洗練された仕上がり。
シェルターでの経験によって培われた表現力が、自身のブルース愛をしっかり発信しています。
また、この作品はマッスル・ショールズやオクラホマのタルサ、LAやロンドンといった複数のスタジオで録音されており、バリー・ベケット、ピート・カー、ロジャー・ホーキンス、ニール・ハバード、カール・レイドル、ジム・ケルトナー等々、熟練のミュージシャンたちが多数参加して完成度を高めています。
80年に4thをリリース。精力的にセッション・ミュージシャンとしての仕事をこなし、フレディ・キングやJ.J.ケイルの作品にも多数参加しています。
コメントをシェアしよう!
カケレコのWebマガジン
60/70年代ロックのニュース/探求情報発信中!