2018年1月30日 | カテゴリー:KAKERECO DISC GUIDE,世界のロック探求ナビ
タグ: サイケ
スタッフ佐藤です。
今回は、みんな大好きメロトロンが全編で鳴り響く作品をご紹介したいと思います。
と言っても実はプログレじゃないんですよね~。なんとゴリゴリのテキサス・サイケなのです。
というわけで、HOMERによる72年発表のアルバム『GROWN IN U.S.A.』をピックアップ!
HOMERは、テキサス州サンアントニオで60年代末に結成されたサイケ・バンド。69~70年にかけて3枚のシングルをリリース、その後72年に唯一作となる『GROWN IN U.S.A.』を発表し、その直後に解散したとされています。
メンバーはこの6人。
プログレにおける使用率の高さから、メロトロンと言えばプログレという認識が一般的になっているかと思いますが、この作品を聴けばその認識は根底から覆されることになるでしょう。
これが下手なプログレより遥かにメロトロンという楽器を使いこなしたサウンドを聴かせてくれていて、メロトロン好きには堪らない一枚となっているのです。
それでは、メロトロンが特に活躍する3曲をお楽しみいただきましょう。メロトロンに注目しながらお聴きください!
まずはオープニング・ナンバー。湧き上がるメロトロンとともに哀愁ほとばしるアンサンブルへ突入していく導入で、すでに名曲の風格を漂わせます。縦横無尽なサイケギター、雄々しさの中に一抹の切なさを秘めたヴォーカルもいいなぁ。全体にわたってサイケらしい熱気はあるけど、どこか浮世離れした侘しさのような感覚もあって、その部分をメロトロンがしっかりと引き立たせている印象。後半はプログレ風のスリリングな構成も聴きものの完成度の高い一曲です。
ほぼメロトロン鳴りっぱなしのサイケ・フォーク・チューン。この曲を聴くと、このバンドのメロトロン使いの上手さを実感します。ジェントルなヴォーカルに寄り添う小川のせせらぎのような調べを聴かせる序盤から、コーラスと熱いサイケギターを交えドラマチックに盛り上がっていくサウンドを支えるおおらかで気品ある調べが美しい中~終盤へ、曲調に合わせて豊かに変化していくメロトロン・サウンドが楽しめますよ。
重厚なツインギターが炸裂する、強度抜群のサイケ・ハードなナンバー。と思うと中間部はメロトロンとスティールギターが甘く交歓するウェストコースト風サウンドで涼風を運びます。終盤は再び強烈なツインギターでエンディング。バンド本来の無骨で逞しいサイケ・ハード気質と柔らかなメロトロンの音色を対比させた、HOMERというバンドの特異さがよく現れたナンバーと言えるかもしれません。
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