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【KAKERECO DISC GUIDE Vol.3】英国ジャズ・ロックの静かなる名作、RIFF RAFFの73年作『RIFF RAFF』を特集。

スタッフ増田です。ついに寄居町の週間天気予報に雪マークが現れました。来週の月曜だけですが、どうなることやら…。
日本海側の冬は曇天が続くそうですね。ここはひとつ、木漏れ日のような作品で気持ちだけでも暖かくなってみませんか?
本日は英国ジャズ・ロック、RIFF RAFFの1stをご紹介いたしましょう。

RIFF RAFFはMARK-ALMONDに在籍していたキーボーディストTommy EyreとベーシストRoger Suttonを中心に結成されたグループ。

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MARK-ALMONDといえば、ジョン・メイオール&ブルースブレイカーズで活躍したJon MarkとJonny Almondによるユニット。ジャズとフォークをブレンドしたコンテンポラリーなサウンドで、AORの先駆けとしても名高いグループです。そんなMarkとAlmondを陰で支えたのが、後にGREG LAKE BANDやGARY MOORE BAND、WHAM!の作品にも参加する名セッション・ミュージシャンTommy Eyreと、BRIAN AUGER & THE TRINITYやNUCLEUSなどジャズ・ロックの名グループを渡り歩いたベーシストRoger Suttonでした。

2人はMARK-ALMOND在籍中にSTRABISMUSというセッション・グループを結成し、72年にアルバム用の楽曲を録音しますが、MARK-ALMONDの活動が多忙になり一時的に頓挫(ちなみにこの音源は後の99年に「幻の1st」としてユーロ・レーベルからリリースされます)。同年MARK-ARMONDのアメリカ進出が決まると、EyreとSuttonの2人は脱退してイギリスに残り、バンド名をRIFF RAFFと改め活動を再開。HAPPY MAGAZINEで活動していたギタリストPete Kirtley、ブラジル出身のドラマーAureo De Souza、サックス奏者Bud Beadle、さらに同年のMike Oldfield『Tubular Bells』で名を上げるエンジニアTom Newmanを招き、73年にRCAからリリースされたのがこの1st『RIFF RAFF』です。

本作の特徴は、前半と後半で異なる作風を取っている点。アルバムの前半部はどちらかと言えばフォーク・ロックのようなアコギをフィーチャーしたナンバーが多くを占めますが、後半になると一転してテクニカルなインプロヴィゼーションが炸裂するジャズ・ロックへと変貌してゆきます。しかし一貫しているのはMARK-ARMONDにも通ずる静謐さとエレガントな味わい深さ。さらにMARK-ARMONDに比べて英国プログレッシヴ・ロックの影響を色濃く出しており、プログレ・ファンなら思わずニンマリしてしまう要素が散りばめられた作品となっています。

まずはオープニング・ナンバー「My World」をどうぞ。

My World

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たおやかに爪弾かれるアコギと儚げなフルート、しっとりとしたヴォーカル。穏やかで繊細なオープニングから、徐々にグルーヴィーなベースラインによってドラマチックな盛り上がりを見せてゆきます。そして特筆すべきは、ピンク・フロイドからの影響。フォーキーなパートも『原子心母』や『おせっかい』の小曲を彷彿とさせますが、特にメランコリックなキーボードをバックに繰り広げられるブルージーなギター・ソロにはデヴィッド・ギルモアの面影を感じずにはいられません。とはいえダークさはなく、ほんのりとアーシーで暖かみのある質感は彼らならではと言っていいでしょう。

Times Lost

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続いてはB面の1曲目、全体としては5曲目に位置する「Times Lost」。アコギと感傷的なヴォーカル、フルートが織りなす壊れ物のようなアンサンブルが心を震わせます。こちらもフロイドはもちろん、「風に語りて」や「ケイデンスとカスケイド」などクリムゾンの静謐なナンバーが好きならたまらない一曲でしょう。

You Must Be Joking

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さてここから最後の2曲は、前半の穏やかさはどこへやら。楽器陣が鮮やかなインタープレイを魅せる本格派ジャズ・ロックへと一気に変化し、聴き手を驚かせます。カンタベリー・ロックを思わせる滑らかなパートから、コロシアムのような強靭なサックス轟くハード・パートまで。二転三転する目まぐるしい展開、流麗でテクニカルなソロ・パートに翻弄されますが、前半部分に通ずる上品さは一貫して保たれており、非常にまろやかな聴き心地。アヴァンギャルドながらも腰の据わった大人のジャズ・ロックに仕上がっています。

作風こそ一定ではありませんが、フォーキーで叙情的なナンバーからフュージョン・サウンドにも通ずるテクニカルなプレイまで、静謐な雰囲気を崩さず聴かせる点が本作の魅力。その要因はセッション・ミュージシャンとして数々のグループで活動してきたメンバーの力量はもちろんのこと、エンジニアであるTom Newmanの手腕も挙げない訳にはいかないでしょう。「英国ジャズ・ロックの隠れた名作」的立ち位置の本作ですが、フロイド、クリムゾン、そしてマイク・オールドフィールドといった「英国プログレの静謐さ」をお好みの方にぜひともオススメしたい一作です。

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