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ウッドストック・フェスティバル特集

8月15日(金)

RICHIE HAVENS

ニューヨーク、ブルックリン出身のフォーク・シンガー、ギタリスト、リッチー・ヘヴンスは、早めに会場に到着していました。

主催者マイケル・ラングは、ジミ・ヘンドリックスのアコースティック・セットでフェスティバルを始めたかったのですが、ジミはその時点では到着せず。開演の16時半までにはとにかく誰かをステージに上げなければならず(大変ですね・・・)、マイケルはトップバッターで演奏してくれるアーティストはいないか、会場を探し回ります。

“マイケルがゆっくり俺のほうに歩いてきたんだ。彼が何を言うのか、俺にはすっかりわかっていたよ。近づいてくるにつれて、彼の笑顔がどんどん大きくなっていくんだ。「お願いだよ、リッチー、頼む、お願いだから」――ついに折れたよ。”

(注1 リッチー・ヘヴンスの台詞より引用)

そしてリッチー・ヘヴンスがステージに上がり、ウッドストック・フェスティバルは開幕。

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抱え込むようにしてアコースティックギターをかき鳴らし、熱いフォークを奏でていきます。
しかしリッチーが演奏している時点でも次の出演者が決まっておらず、リッチーは退場しても何度もステージに押し戻され、6、7回目のアンコールであの「フリーダム」を演奏します。黒人霊歌の「時には母のない子のように」の旋律にのせて「フリーダム!フリーダム!」と歌い、その情熱に動かされ観客が次第に立ち上がっていく様子は、何度見ても感動してしまいます。

SWAMI SATCHIDANANDA

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次に登場したのは、インドのヨガ行者、スワミ・サッチダナンダ。
「これからのアメリカは精神面でも世界に貢献するだろう」とスピーチ。短期滞在のつもりで訪れたアメリカでしたが、スワミ・サッチダナンダは大歓迎を受け、そのままアメリカに滞在し、ヨガを広めていきます。

SWEETWATER

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カリフォルニアのロックバンド、スウィート・ウォーター。

複雑な楽器編成、ツインボーカルを擁す彼らの音楽を表現するには、ウッドストック・フェスティバルのステージはやや困難なものがありました。

“ステージの反対側にいる連中が何を演奏しているのか、まったく聴こえなかった。あっちの連中も僕らの音が聴こえなかったんだ。自分のアンプから出る音を聴くのがせいいっぱい。(略)僕らの演奏は、あの青い空のどこかに吸い込まれていってしまったんだ。”

(注1 スウィート・ウォーターのベース、フレッド・エレーラの台詞より引用)

BERT SOMMER

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ニューヨークのフォークシンガー、バート・ソマー。
「いとしのルネ」で有名なバロック・ポップ・バンド、レフト・バンクにボーカルとして参加したり、ミュージカル『ヘアー』に出演したり、といった経歴をもっています。
ウッドストック・フェスティバル主催者のひとり、アーティー・コーンフェルドに誘われて参加しました。柔らかく中世的な歌声が素晴らしいですね。サイモンとガーファンクルの「アメリカ」を歌うと、会場はスタンディングオベーションに。

TIM HARDIN

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グリニッジ・ヴィレッジのフォーク・シーンで、ボブ・ディランとも並び称されたティム・ハーディン。

何と染み渡る演奏なのでしょうか・・・こんな演奏をあの会場で聴いたら、一生忘れられない思い出になりそうです。
しかしこの時のティムは、ベトナムの戦地で覚えたヘロインへの依存と戦っており、次第に演奏はぼろぼろになっていったそうです。

RAVI SHANKAR

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ビートルズを初め、ロックに多大なる影響を与えたシタール奏者、ラヴィ・シャンカール。ノラ・ジョーンズの御父上としても有名ですね。
シタールの幽玄な響き、息のあったタブラとの絡みが、熟練のプレイヤーとしての貫禄を見せつけています。

MELANIE

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ラヴィ・シャンカールの演奏の途中で雨が降り始め、雷まで鳴りました。
そんな中、登場したのがメラニー。

ニューヨーク出身で、それまでグリニッジ・ヴィレッジのフォーク・クラブで演奏し、大きな舞台で演奏する経験が無く知名度も低かったメラニー。
とても緊張し、演奏中に幽体離脱をした(!)そうですが、彼女のピュアな歌声は観客に響いていきます。

“そのかすれて不思議にふるえる声で、彼女が「ビューティフル・ピープル」の最初の一節を歌いおえると、奇蹟のような出来事が起こった。彼女の前で闇の中でひとつになっていた何千人の参加者たちはキャンドルやマッチに火をともし、それをかざして揺れはじめたのだ。彼女の歌は一瞬にして、そこにいた“ビューティフル・ピープル”の心をとらえたのだった。”
(注1)

ARLO GUTHRIE

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奔放な歌いっぷりがいいですね。出番はまだ先だと思っていたアローは、だいぶアシッドをやっていたそう・・・

JOAN BAEZ

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初日のトリを務めたのはジョーン・バエズ。澄み切った歌声が美しいですね。

(注1)の引用はすべて、マイケル・ラング ホリー・ジョージ―ウォーレン著 室谷憲治訳『ウッドストックへの道』からのものです。

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