2017年2月9日 | カテゴリー:リスナー寄稿記事,世界のロック探求ナビ
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BANANAというグループがいる。はっきり分からないが何枚かのアルバムがあるらしい。邦題「影法師」と題されたアルバム(廃盤で入手不可能だったが再発された)で聴くことが出来るそのサウンドは何とも不思議な抒情に満ちた作品である。冒頭からキーボードが活躍するが、そのオルガンをメインとした音の組み立ては何処か似ているようで、似ていないオリジナルなもので非常に南米らしい情熱に満ち溢れた、それでいて非常に繊細で静謐な面も覗かせる緩急自在なテクニカルなものである。特に4曲目は彼らの持ち味を出し切った完成度の高い曲で、ジャズ、クラシックのエッセンスをさらりと融合させつつ自国の民族性をも加味したドラマティックな展開が素晴らしい。それにしても、このキーボード奏者のセンスは只者では無い。ここぞという時の楽器の使用、音色に関してはジェネシスのトニー・バンクスにも匹敵するセンスの持ち主であると言えよう。1曲目の何処か無国籍的雰囲気の中にも情熱的な不思議なセンス、2曲目、3曲目の迸るような情熱的ヴォーカルとサポートするインストパートの絶妙のバランス、集大成的な5曲目等、どの曲も非常に完成度の高いアンサンブルに彩られた見事な作品であると思う。入手の機会があれば是非購入されることを薦める。
アルゼンチンやブラジルという国は良く分からないけれど日本に比べて少なくとも経済面ではかなり開きがあり、金銭的な豊かさ(我が国も本当は豊かで無いが)指数はかなり低いのではないだろうか?しかし、視点を変えて人間的な豊かさ(我が国はこちらも豊かで無い)というものを比較すれば、かなりの差で水を開けられるのではないかという気がする。近年、私は好んで南米のプログレッシヴ、シンフォニック・ロックを聴くようになったが、音楽を通して伝わってくる寛大な優しさ、あきらめに似た哀しさの中の微かな希望、暗澹とした中に一条の光明を見出すが如き展開など、何度聴いてもそれらの旋律が心にしみる。
アルゼンチン出身のSSW/キーボーディストCesar Pueyrredonが率いた名グループ。古くよりアルゼンチン・ロックを代表する名盤として語られてきた79年作。オルガン、ピアノ、シンセ、エレピなど多彩なキーボードと、リリカルなトーンでフレーズを紡ぐギターを軸とする、甘く繊細なシンフォニック・ロックを聴かせてくれます。基本はメロディを大切にした歌ものシンフォですが、ここぞではジャズ・ロック調のテクニカル・アンサンブルで疾走するパートも登場し、その緩急自在の演奏はただただ見事です。切々とドラマチックに歌い上げるヴォーカルも素晴らしく、スペイン語特有の柔らかな響きを生かす情緒溢れる歌声が胸を揺さぶります。数多のアルゼンチン叙情派プログレの中でも一際輝きを放つ至上の一枚!
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