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ツトム・ヤマシタ Stomu Yamashta『ゴー Go』 – MEET THE SONGS 第163回

世界的なパーカッション奏者で舞台や映像音楽の世界でも名声を獲得した日本が誇るミュージシャン、ツトム・ヤマシタによるロック・プロジェクトGOの76年1st『ゴー』をピックアップいたしましょう。

GOは、ツトム・ヤマシタがロック/フュージョンの名手たちと結成したプロジェクトで、中心メンバーは、

ツトム・ヤマシタ(シンセサイザー、パーカッション)
マイケル・シュリーヴ (Dr)・・・元サンタナ
スティーヴ・ウィンウッド(リード・ヴォーカル/Key)・・・元トラフィック

の3人。

そこになんと、

クラウス・シュルツ(シンセサイザー)・・・元アシュ・ラ・テンペル~タンジェリン・ドリーム
アル・ディ・メオラ(ギター)・・・元リターン・トゥ・フォーエヴァー

という主役級の2人が参加し、さらに、ベースには若くして後期トラフィックに抜擢されたロスコー・ジー、プロデュース&オーケストラ・アレンジにはエルトン・ジョンやデヴィッド・ボウイとの仕事でお馴染みのポール・バックマスターが参加と、まさに千両役者が揃った豪華プロジェクトとなっています。

これほどまでのロックシーン屈指の名手たちを集め、主導までしてしまうツトム・ヤマシタ、恐るべし・・・。
そんな彼のバイオグラフィーを簡単に整理いたしましょう。

1947年、京都生まれで、父は吹奏楽指導者として名高い山下清孟。父の指導のもと、幼少期よりピアノ、打楽器をはじめ、中・高校生の時にすでに大阪フィルハーモニーのパーカッション奏者として活躍するなど若くして頭角を現します。

17歳で渡米し、ニューヨークのジュリアード音楽院やボストンのバークレー音楽院などで、クラシックやジャズを学んだ後は、ベルリン・フィルハーモニー、フィラデルフィア交響楽団、シカゴ交響楽団など世界に名高いオーケストラと共演。1969年に「打楽器のイメージを変えた人」としてタイム誌に取り上げられ、71年にはパーカッションのソリストとして、武満徹作曲の打楽器協奏曲「カシオペア」でシカゴ交響楽団(小澤征爾指揮!)と共演するなど、若くして「打楽器音楽の巨匠」としての地位を確立します。

その活動はクラシックのフィールドに留まらず、演劇と音楽を融合した芸術集団「レッド・ブッダ・シアター」を組織して世界中を公演で回ったり、後にBRAND Xでも活躍する英ロック・シーンを代表するパーカッション奏者モーリス・パートとCOME TO THE EDGEを結成したり、元ソフト・マシーンのヒュー・ホッパーや元アイソトープのゲイリー・ボイルらとジャズ・ロック・グループEASTWINDを結成したり、デビッド・ボウイが主演した映画『地球に堕ちてきた男』のサントラを担当するなど、舞台音楽や映画音楽やロックへとフィールドを広げます。

こうして打楽器奏者のみならず、コンポーザーや演出家としても世界的な名声を得た彼が、ジャンルを超越した綜合芸術としての音楽を目指し、様々な音楽エッセンスを飲み込む力を持った「ロック」というフィールドでタクトを振るったプロジェクトが『GO』です。

ツトム・ヤマシタがコンセプトメイキングと作曲を担当しており、宇宙と人間の内面世界という西洋ロマン主義的なテーマと輪廻転生という東洋的なテーマが組み合わさったコンセプトの元、イギリス、アメリカ、ドイツのミュージシャンが結集して作り上げた正にコスモポリタンな作品となっています。

後に「異なる宗教、異なる国籍、異なる文化を持つ人たちの対話を生み出し、人と人をつなぐ。そして、人をしあわせにする。それこそが、芸術の持つパワーだ。」と語っているとおりに、クラシック、ジャズ、ラテン、R&B、現代音楽という垣根を超えることで、異なる文化を飲み込んだスケールの大きなサウンドが印象的です。

T1: Solitude

個人の内省の先に宇宙が広がるような、心の奥底にある誇大妄想的な心象風景を描くような、そんなロマンの音像化と言えるシンセサイザーはいかにもクラウス・シュルツェ。

しとやかなピアノとともに音像はクリアになり、キャメル『スノー・グース』を彷彿させる映像喚起的なサウンドへと広がっていきます。

フルートのような、オーボエのようなリード楽器が奏でるワビサビを感じさせるメロディもまた絶品。

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T2: Nature

「Solitude」から続く「Nature」では、スティーヴ・ウィンウッドのヴォーカルが登場。

「流麗」という言葉がぴったりのメロディの美しさ、ウィンウッドの歌声の伸びやかさと溢れ出るエモーションに言葉を失います。

日本人のツトム・ヤマシタだからこそ奏でられた「静寂のロック・ミュージック」と言えるでしょう。

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T4: Crossing The Line

漆黒の宇宙空間を音像化したようなスペーシーなシンセが広がるT3「Air Over」に続くのが、ピンク・フロイドを彷彿させるメロディアスなヴォーカル・ナンバー「Crossing The Line」。

本作が制作された76年というと、ピンク・フロイドで言えば『炎』と『アニマルズ』の間の時期ですが、哲学的なコンセプト・メイキングとアンサンブルの緻密さとともにポップ・ミュージックとしての親しみやすさを持ったサウンドは、ピンク・フロイドにも比肩しています。

それにしても、メロディ・メイカー、サウンド・プロデューサーとしてのツトム・ヤマシタのセンスとともに、スティーヴ・ウィンウッドの伸びやかな歌声は特筆もの。

ロジャー・ウォーターズとデイヴ・ギルモアのコンビにも役者で劣っていませんね!

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T5: Man Of Leo -> T6: Stellar

深淵なるスピリチュアル/スペーシーな楽曲と並んで本作で魅力なのが、R&B、ラテン、ファンクのエッセンスを持ったグルーヴィーな楽曲。

何と言ってもロスコー・ジーのファンキーなベースがカッコ良い!

サンタナを支えたマイケル・シュリーヴのドラムもさすがのグルーヴ感だし、そこにスティーヴ・ウィンウッドのトラフィック時代を彷彿させるR&Bフレイヴァーたっぷりのオルガンが鳴り響いちゃうんだからたまりません。

そしてそして「Man Of Leo」から曲間なく流れこむ「Stellar」にて、アル・ディ・メオラの正確無比な超絶速弾きギター・ソロが炸裂!

そのバックでは、境内の鐘のような音がまるで現代のサンプリングのように鳴らされて、いやはや凄まじいイマジネーションとテンション・・・。

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シンセサイザーのシーケンスが無機的に響くパートから温かなトーンのムーグ・シンセがまるで祈りのようなメロディを奏でる「Space Requiem」、パーカッションや管楽器がバーバリックに鳴り響くまるでストラヴィンスキーやEL&Pのような荒々しい「Carnival」、マハビシュヌ・オーケストラばりのテンションみなぎるキメが炸裂するテクニカル・フュージョン・ヴォーカル・ナンバーと言える「Ghost Machine」、金系の打楽器が神秘的に響く「Surfspin」、粘っこいファンキーなリズムの上をELOを彷彿させるオリエンタルなストリングスが躍動するヴォーカル・ナンバー「Time Is Here」などをはさみ、ラストに据えられるのがロック・クラシックと言える名曲「Winner/Loser」。本曲のみ作曲がスティーヴ・ウィンウッド!

Winner/Loser

フックに富んだスケールの大きなメロディ・ライン、そして堂々としたウィンウッドの歌声。ポコポコと鳴らされる無国籍感たっぷりのパーカッションも良いアクセントだし、キレのあるタイトなドラム、動きまくるグルーヴィーなベース、粘っこくメロウなオブリガードが楽曲を彩るギターもまたさすがと言える役者っぷり。

壮大なコンセプト・アルバムのフィナーレを飾るのにふさわしいドラマティックな楽曲で、ライヴで聴いたらさぞかし感動するだろうなぁ。

『GO』プロジェクトの名曲であり、スティーヴ・ウィンウッドの数ある楽曲の中でも代表曲の一つとも言える楽曲でしょう。

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ヤマシタは、音楽作品としてだけでなく、ステージでの演出も含めた総合芸術として『GO』プロジェクトを考えていたようで、実際に、パリとロンドンで行われた2回の公演では、ライティングやダンサーやオーケストラによる演出も加わり、聴覚・視覚の両面から観客を魅了したようです。ピンク・フロイド『ウォール』を先駆けたようなステージングだったんでしょうねぇ。映像が見たい!

『GO』プロジェクトは、この後、メンバーを多少入れ替え、76年に『GO TOO』を発表。当初、三部作として企画されていましたが、三作目は制作されず、77年にラスト作として、ライヴ盤『GO LIVE FROM PARIS』がリリースされます。

その後、ヤマシタは日本に帰国し、映画音楽を手がけるとともに、仏教音楽を研究。90年代には、石の楽器サヌカイトと出会い、芸術としてのスピリチュアルな音楽を探求していきます。

そんな芸術音楽家ツトム・ヤマシタが「ロック」というフィールドで持てる才能を発揮した本作は、ヤマシタのコスモポリタン精神が稀代のロック・ミュージシャンとともに音像化されたロック・クラシックであり、「ロック」という枠を超えて「総合芸術」にまで踏み込んだ壮大なスケールを持つ傑作と言えるでしょう。

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