2014年12月25日 | カテゴリー:ユーロ・ロック周遊日記,世界のロック探求ナビ
タグ: ハード・ロック
スイス屈指のハード・ロック・バンドTOADの1st、2ndがリイシューされたのでピックアップいたしましょう。
TOADは、ドイツのサイケデリック・ロック・バンドBRAINTICKETで活動していたベースのWerner FrohlichとドラムのCosimo Lampisを軸に、英サイケ/スペース・ロック・バンドHAWKWINDで活動していたギターのVittorio ‘Vic’ Vergeatが参加してスイスはバーゼルにて70年に結成されたハード・ロック・トリオ。
Werner Frohlich: Bass
Cosimo Lampis: Drums
Vittorio ‘Vic’ Vergeat: Guitar
どういう縁かパープルやサバスやメイデンでお馴染みのエンジニアMartin Birchの目に留まったようで、ロンドンに渡り、彼をエンジニアに、パープル『イン・ロック』がレコーディングされたのと同じスタジオであるロンドンのDe Lane Leaスタジオで録音をスタートします。
レコーディングには、リード・ヴォーカリストとして後にISLANDでも活躍するBenjamin “Beni” Jaegerが起用されていますが、内ジャケの写真が3人であることや、2ndには参加していないことから、スポット的な起用だったのでしょう。
こうして71年にスイスのHALLELUJAHレーベルと英国RCA VICTORよりリリースされたデビュー作が『TOAD』です。
凶暴に歪んだギターがヘヴィに切り刻むリフを中心に、ジャック・ブルースばりに暴れまわるベースと、ジョン・ボーナムの重さとジンジャー・ベイカーの手数を足してニで割ったようなドラムが重戦車のように畳み掛けるアンサンブルは、凄まじい音圧。
ツェッペリンの重量感、パープルのスピード感とキレ、サバスの凶暴さが合わさった聴き手をなぎ倒さんばかりのハード・ロックは、スイスのみならずユーロが誇る、と言っても過言ではないでしょう。
ロッド・スチュワートやピーター・フレンチばりのしわがれシャウトが魅力のヴォーカルも印象的で、アコースティックなパートで聴かせる叙情性もまた一級品です。
スイス本国でチャートを駆け上がり、ジミ・ヘンばりの歯弾きなどの派手なパフォーマンスでライヴも高く評価されるなど、着実に人気を獲得していき、72年のモントルー・ジャズ・フェスティバルにも参加します。
(この時のライヴは、スイスのテレビ局によって録画されたようですが、残念ながら紛失してしまったようです。)
そして、勢いに乗って72年に制作された2ndが『TOMORROW BLUE』。
デビュー作と同じく、エンジニアはMartin Birchで、録音は、ロンドンはDe Lane Leaスタジオ!
原点に戻り、トリオ編成での録音となりましたが、ギターのVicとベースのWernerのヴォーカルがまた文句なしのカッコ良さ。
前作の延長線上にある重量級ハード・ロックをベースにしつつ、曲によってはフィドルをフィーチャーするなど、ツェッペリンの『III』ばりの静謐なアコースティック・ナンバーを聴かせるなど、よりスケールアップしたサウンドが印象的。
本作もまた前作と並ぶユーロ・ハード屈指の大傑作でしょう。
ベースのWerner Frohlichと1stに参加したヴォーカルのBenjamin “Beni” Jaegerは、ISLANDを結成。
アルバム制作前にWernerは脱退しますが、Benjaminは残り、スイス産プログレの傑作として名高い『PICTURES』を77年に残します。
カケレコでは、ユーロのハード・ロックのラインナップにも力を入れています。
こちらの記事やリストでチェック是非!
スイスを代表するハード・ロック・バンド。72年のバーゼルでのライヴを収めたライヴ盤。名作「TOMORROW BLUE」リリースと同時期のライヴで、脂の乗ったエネルギッシュなアンサンブルは圧巻の一言スリリングなフレーズで畳みかけるギター、前のめりに突き進むリズム隊による、ライヴならではの生々しいバンド・サウンドはハード・ロック・ファン必聴。
スイス屈指のハード・ロック・バンドによる71年のデビュー作。ドイツのサイケデリック・ロック・バンドBRAINTICKETで活動していたベースのWerner FrohlichとドラムのCosimo Lampisを軸に、英サイケ/スペース・ロック・バンドHAWKWINDで活動していたギターのVittorio ‘Vic’ Vergeatが参加してスイスはバーゼルにて70年に結成。ヴォーカルには後にISLANDでも活躍するBenjamin “Beni” Jaegerを起用して制作されたのがこの71年1stアルバム。凶暴に歪んだギターがヘヴィに刻むリフを中心に、ジャック・ブルースばりに暴れまわるベースと、ジョン・ボーナムの重さとジンジャー・ベイカーの手数を合わせたようなドラムが重戦車の如く畳み掛けるアンサンブルは凄まじい音圧。ツェッペリンの重量感、パープルのスピード感とキレ、サバスの凶暴さが合わさった聴き手をなぎ倒さんばかりのハード・ロックをプレイします。ロッド・スチュワートやピーター・フレンチばりのしわがれヴォーカルも魅力的で、アコースティックなパートで聴かせる叙情性もまた一級品。これはスイスのみならずユーロが誇る、と言っても過言ではないハード・ロック傑作!
スイスを代表するハード・ロック・バンド。75年作3rdアルバム。ヘヴィさが後退し、キャッチーなメロディ&コーラスをフィーチャーした爽快でノリの良いハード・ロック、叙情性溢れるアコースティック・バラードなど、メロディ重視のヌケの良い楽曲が光っています。キャッチーなハード・ロック作品としてかなりの完成度を誇る名作
スイスの誇る名ハード・ロック・グループTOAD、78年のジュネーヴでの公演を収録したライヴ盤。サウンドのテイストは75年の3rd『DREAMS』のキャッチーな路線に近く、さらにアルバム・タイトルにもなっているEARTH WIND & FIRE「Yearnin’ Learnin’」のカバーをはじめ、ファンクやブルースなどブラック・ミュージックの影響をより色濃く打ち出した新曲を多数披露しています。とはいえキーボードなど余分な音が入っていないせいかメロディアスさは出過ぎておらず、ギター・ヴォーカルにベース、ドラムの純粋なトリオ編成によるファンキー・ハード・ロックは非常に硬派で骨太。跳ねるディストーション・ギターとベースのグルーヴィーなアンサンブルがまるでジミヘンのごとき「Mama Come Back」や、Werner Froehlichのスラッピング・ベースが堪能できる「I Wish You Were Here」など、思わず唸ってしまう佳曲揃いです。この翌年79年にWernerが脱退し、TOADはしばらく表立っての活動はなくなってしまいますが、この路線でのアルバムもぜひ聴いてみたかったと思わせる、期待を裏切らぬ出来栄えと言えるでしょう。
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