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MOPS『PSYCHEDELIC SOUNDS IN JAPAN』 – MEET THE SONGS 第145回

今日の「MEET THE SONGS」は、日本屈指のガレージ/サイケの名盤、MOPSの68年デビュー作『PSYCHEDELIC SOUNDS IN JAPAN』をピックアップ。

彼らの魅力は何と言っても、アニマルズのエリック・バードンに心酔する鈴木ヒロミツによる日本人離れしたソウルフルなヴォーカルと、ロンドンのR&Bからウェストコーストのサイケまでを飲み込んだ切れ味鋭くグルーヴィーなアンサンブル。

歌声にも演奏にも、日本の60年代とは思えない、ヒリヒリと痺れる本格感がプンプン漂っています。

ビートルズよろしくお揃いのジェントルな衣装に身を包んだ凡百のGSバンドを横目に、各人バラバラのラフでサイケデリックな衣装を身にまとって彼らシーンに登場したのは1967年末。

その頃の日本の音楽シーンはというと、66年のビートルズ来日以降に吹き荒れたGS旋風が大手芸能プロダクションのビジネスに組み込まれる中で骨抜きとなり、徐々にシーンが勢いを失っていました。

その中で、海外のバンドに負けない骨太な「ロック」を指向するバンドがGS旋風の内外から登場してきますが、MOPSは、そんな本物志向の後期GSの中でも、横浜発のゴールデン・カップスと並び、屈指の実力を持ったバンドと言えるでしょう。

MOPSを仕掛けたのは、アメリカを旅行し、サイケデリック・ムーヴメントを目の当たりにしたホリプロ社長の堀威夫。彼の発案で「日本最初のサイケデリック・サウンド」を標榜し、米軍キャンプでライヴをしたり、マスコミを呼んで「LSDパーティー」をぶちかましたり、来るべき70年代ニューロックの「胎動」というべき活動を行います。

そして、68年にリリースしたデビュー作が『サイケデリック・サウンド・イン・ジャパン』。

村井邦彦と大野克夫といったプロのライターによる曲を4曲、オリジナル1曲の他は、アニマルズ、ジェファーソン・エアプレイン、ドアーズ、ボックス・トップスなどR&B~サイケデリック・ロックの名曲のカヴァーを収録。

オリジナル、カヴァーともに、和製エリック・バードンと言える鈴木ヒロミツの歌声と星勝のファズ・ギターが炸裂するサイケ/ガレージの好ナンバーがずらりと揃っています。

彼らのデビューシングルで、アルバムのオープニングを飾る村井邦彦ペンによるヒット曲「朝まで待てない」もクールですが、2曲目のアニマルズのカヴァーから聴いていきましょう。

T2: San Franciscan Nights

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イントロの地をはうように激しく歪んだファズ・ギター、そして、フィルモア・ウェストでのライヴ盤か!と言えるようなサイケデリックな雰囲気たっぷりの語り。

原曲では2本のギターが絡む印象的なキメのフレーズを、ハープシコードとギターのユニゾンに置き換えたアレンジも見事!美しい!

サイケデリックな空気感を68年の日本でここまで鳴らしていることにただただ驚きます。

68年のGSバンドとは思えない本格感!

T3: I Am Just A Mops

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続いては、アルバム唯一のバンドのオリジナル曲!これが痺れるガレージ・サイケの名曲なんです。

左chのトレモロを効かせまくったギターと右chのファズ・ギターとの絡みが最高にカッコ良い!

鈴木ヒロミツのソウルフルなヴォーカルと星勝のハイ・トーンのキレのあるヴォーカルとのツイン・ヴォーカルも実にクール!

リズム・チェンジもキマってるし、米軍基地でのライヴで鍛え上げたロック・バンドとしての実力がみなぎってますね。

ガレージ・サイケとして世界に誇れるナンバー!

7: Somebody To Love

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ジェファーソン・エアプレインの代表曲も難なくこなす実力・・・恐るべし。

リードヴォーカルはギターの星勝。原曲は女性ヴォーカルですからね。それを歌いきってしまう、しかも細くならずに。

鈴木ヒロミツだけでも充分に傑出してるのに、もう一人、優れたヴォーカルが居るんですから、う~む、凄いバンドです。

原曲のオルガンを置き換えたハープシコードも実にカッコ良し。

全体的にハープシコードの使い方はこのアルバム通して素晴らしいんですよね。

メンバーにキーボードは居ないし、クレジットもないのですが、いったい誰が弾いてるのでしょうか。
2nd以降はミッキー吉野が参加していたりするようですし、ミッキー吉野でしょうか!?

1: 朝まで待てない

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最後はやはりこの曲をピックアップいたしましょう。

アルバムのオープニングを飾る曲で、GS屈指の名曲。
作曲は村井邦彦、作詞は阿久悠!

まさしく和製アニマルズ!日本のワビサビ感、R&Bの黒っぽさ、そしてファズ・ギターが醸すサイケなガレージ感との見事なブレンド!

—-

それにしても、地をはうような黒っぽいグルーヴとサイケデリックな躍動感とが同居したアンサンブルは、本当に日本!?と思ってしまいますね。

本当に凄いバンドですよ。

キンクスのカヴァーも聴きたかったなぁ。黒っぽくカヴァーしたらカッコ良いだろうなぁ。「Till The End Of The Day」とかハマると思うし、あっ、ベタですが、「Sunny Afternoon」とかも最高でしょうね!


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