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【ユーロロック周遊日記】 FONDELIA『MY GRANDMOTHER’S SPACE SUIT』

ユーロロックの名盤をピックアップしてご紹介する「ユーロロック周遊日記」。

本日は、イタリアはローマで94年に結成されたジャズ・ロック新鋭、FONDELIAの2010年作3rd『MY GRANDMOTHER’S SPACE SUIT』をピックアップいたしましょう。

メンバーは以下の4人。

Emanuele Bultrini (guitars)
Stefano Vicarelli (piano, organ, synths)
Federico Nespola (drums)
Luca Pietropaoli (trumpet)

「Pure Inprovisation」というテーマを掲げ、作曲はすべて自由なインプロヴィゼーションで行う、というスタイル。ロック、ジャズ、アンビエント、ワールド・ミュージックなどのエッセンスを取り入れつつ、往年のカンタベリー・ミュージックに通じる、リリカルかつ野心に満ちたサウンドが特徴です。

02年に『FONDERIA』でデビュー以来、詩の朗読や無声映画に音楽をつけたり、時にはライヴで画家と共演したり、映画や国営放送のテレビ番組へ音楽提供するなど、外部と積極的にコラボレーションしながら、バンドの音楽を深めていきます。

バンコのギタリストRodolfo Malteseやビリエット・パー・リンフェルノのBaffo Banfiなど、70年代プログレ人脈とも交流し、05年には、ビリエット・パー・リンフェルノのトリビュート・コンサートに参加します。

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そんな多彩な活動がイマジネーションの源泉となり、色彩豊かなサウンドへとアップグレードした傑作が2010年リリースの『MY GRANDMOTHER’S SPACE SUIT』。

ジャズ・ロックを土台にしつつ、ジャム・バンド的な手触りの温かみとたゆたう浮遊感、ポスト・ロック的な透明感と流麗さとが緻密に編み上げられたサウンドは、現代に甦ったナショナル・ヘルスと言えそう。

オープニング・ナンバーから、彼らならではの色彩豊かなサウンドが出色です。

T1: Moebius Onion Rings

淡いトーンのハモンド・オルガンは、デイヴ・スチュワートを彷彿させますし、煌びやかなフェンダー・ローズやヴィヴラフォンはまるでアラン・ガウエン。

シングル・コイルのナチュラルで艶やかなトーンと繊細なタッチでたゆたうフレージングが印象的なギターは、ジャム・バンドやポスト・ロックのエッセンスもあって、開放的で心地良いこと限りなし。2分半を過ぎたところでギターが切り込む瞬間は、視界が一気に広がる感じで何度聴いても心躍ります。3分半を過ぎるとトランペットがリードを取りますが、これがまた夢想的で良いし、そのバックではハモンドが叙情的にたなびいてグッとくるし、音のキラメキはまさに40年の時を経たギルガメッシュ~ナショナル・ヘルス。

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T2: Istanbul

テンションみなぎるファズ・オルガン、マイルス・デイヴィスを彷彿させるアーティスティックなトランペットを中心に幻想的な音世界を描いた後、一気にアラブとファンクが混ぜ合った強靱なビートへと雪崩れ込む展開に痺れます。

後半、ダン、ダン、ダンと前のめりに刻まれるパンキッシュなギターとドラムがヘヴィ&テンションいっぱいに畳みかけつつ、変調したキーボードによる電子音がはじけるパートが炸裂。そこを通り抜けると、ヘヴィなリズムは維持したまま、メロトロンのようなトーンのキーボードとトランペットがユニゾンでアラビックなテーマのメロディを奏でつつ、ラストへ向けて伸びやかに駆け抜けていきます。

静謐さと緊張感とエキゾチズムが渦巻くアンサンブルには、70年代の往年のグループが持っていたプログレッシヴな精神が確かに感じられます。

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3曲目以降は、エコーに包まれたギターのディレイ音が幻想を描くなか、ゲスト参加した女性ヴォーカルがしっとりとエモーショナルに歌う曲あり、カーンやスティーヴ・ヒレッジのソロ作も思わせる淡く叙情的な曲あり、デジタリーな反復ビートにシンセが柔らかに広がるアンビエントな曲あり、エイドリアン・ブリューを彷彿とさせる先鋭的なギターを中心に、エレファントがゴジラになったら!と言った感じのヘヴィ&アヴァンな、その名もずばり「Gojira」あり、まるでバグルスのようなモダン・ポップな曲あり、数多くのアーティストとのコラボレーションでものにした多様な引き出しから、アイデア溢れるサウンドがこれでもかと飛び出てきます。

そして、ラスト・ナンバーがまた、このバンドの魅力がすべてつまったような楽曲で、もう素晴らしすぎる名曲。

T9: Doctor’s hill

エコーに包まれてたゆたうリリシズムに溢れたギターのアルペジオ、メロトロンのような幻想の音色を奏でるキーボード、いつまでも浸っていたいドリーミーなメロディを柔らかに奏でるトランペット、そして、うっとりとするほどにロマンティックなドラムのビート。

ギルガメッシュ~ナショナル・ヘルスにてアラン・ガウエンが書いた「Arriving Twice」などロマンティックな名曲に比肩する素晴らしさ。

3分45秒あたりで登場するトランペットとムーグのユニゾンによるきらめく下降ライン、そして、そこからの叙情がシトシトとこぼれ落ちるようなピアノ。ギターもエレガントに入ってきて、5分過ぎでは、丁寧に紡がれた音が折り重なっていってマジカルな響きとなり、もう最上級の心地良さ。

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圧倒的な色彩感覚とイマジネーションで描かれたサウンドは、緻密でいてリリカルな浮遊感もあって、往年のカンタベリー・ミュージックやフュージョンの名グループに負けない完成度と言って過言ではないでしょう。

ヴィンテージなプログレ~ジャズ・ロックのファンも、90年代以降のポスト・ロック~ジャム・バンドのファンも、ともに必聴と言えるジャンルを超越した好グループ!

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