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【リスナー寄稿記事】「やはりロックで泣け!」第四回 FOGHAT の「Angel of Mercy」

寄稿:ひろきさんさん

 2017年まで連載されていた舩曳さんによるコラム、「そしてロックで泣け」は丁寧に詳しく調べられていて、個人的に大いに興味を喚起されました。今回、彼の精神を受け継いで「やはりロックで泣け!」というタイトルで、様々な「泣ける音楽」を紹介したいと思います。

今回取り上げるのは1998年に発売されたFoghatの通算15枚目のアルバム、『Road Cases』に収録されている「Angel of Mercy」です。

 まず簡単に彼らの足跡を振り返りたいと思います。やはりKim Simmonds率いるSavoy Brownに触れないわけにはいきません。1960年代中期から後期にかけてwhite blues boomの牽引的役割を果たしてきたSavoy Brownは70年代に入ると、そのブーム終焉を予期するかのようなhard rockに方向転換した作品、『Looking In』を発表します。

個人的に私はこのアルバムに最高評価を与えています。

まず彼らの3作目、『Blue Matter』に匹敵するダークなアルバムデザインは誰の目も釘付けにしてしまうほどの強烈なインパクトを放っています。内容的にもまさにこのジャケット通りの暗さが全体を覆っています。特にA2の「Poor Girl」の印象的なリフにKOされ、後にFoghat first albumでも取り上げている「Leavin’ Again」から最終曲、「Romanoff」までの流れはほぼ完璧です。自国以外、US chartも最高 39位まで上昇するなどかなり売れた作品となりました。しかしこの後、Kim Simmonds以外は全員脱退して活動拠点をアメリカに移し、Foghatを結成することになります。

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 彼らのfirst albumはパワフルなrock ‘n’ roll全開で、Savoy Brownの持つ暗いイメージを完全に払拭する最高レベルの楽曲であふれていました。次から次に傑作アルバムをリリースし5枚目の作品、『Fool for the City』で彼らの活動は最高潮に達します。私はリアルタイムで彼らを追っていたので『Foghat Live』を経て1978年の『Stone Blue』まではまさに飛ぶ鳥を落とす勢いの感がありました。ところが80年代に入るとかつての勢いは完全に消え失せてしまい、1983年の作品 『Zig Zag Walk』を発表後、しばらく活動を休止することとなります。失意の底に沈んだband leaderの”Lonesome” Dave Peverettは自国に戻り細々と音楽活動を続けていくことになります。

 ところが90年代に入ると流れが変わり、Foghat 再結成の話が持ち上がり1993年、満を持して『Return of the Boogie Men』を発売しました。私はこのアルバムをTower Recordで見つけたとき、「狂喜乱舞」状態になったことを鮮明に記憶しています。というのもなんとfounding membersが全員集結しているではないですか!多くのFoghatファンがまさに望んでいたラインナップであったからです。最高にロックする「Jump That Train」から始まり、なんと2曲目は「Louisiana Blues」! これはあの「Blue Matter B side」のライヴでDave Peverettがリードボーカルをとっていた曲で涙なしには聞けないくらいの感動を覚えました。
また7曲めにはfirst albumの1曲目の豪快なhard boogieナンバー、「I just Wanna Make It Love to You」のnew versionも収められていて「やったぜFoghat!」と思わず叫びたいくらいの高揚感を覚えました。

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そしてこの次の作品が4年後の1998年の『Road Cases』になります。基本的にはLive albumですが2曲だけはstudio録音されており、そのうちのひとつが「Angel of Mercy」です。やはり彼らはliveでのenergeticなperformanceこそ真骨頂であることを実感させられる内容ですがライヴでないこのふたつの作品も実に彼ららしいというかsong writerであるDave Peverettらしさの魅力が存分に発揮された作品と言っても過言ではありません。

今回、私が取り上げる「Angel of Mercy (慈悲の天使)」はFoghatのanother sideで、聴き応えのあるバラードに仕上がっています。バラードの基本ビートである8 / 12(12拍子)のリズムパターンできあがっています。わかりやすく言えば加山雄三さんの「君といつまでも」と同じリズムパターンです。作者はDave PeverettとBryan Bassettです。Bryanは一時、Lonesome Dave’s Foghatというbandでguitaristとして活動しDave Peverettと親交を深めたようです。現在のFoghatでも不動のregularメンバーです。chorusがよくかかったRod priceのつややかなギターソロから始まります。彼の持ち味はオープンチューニングを駆使した強烈なスライドギターですがここではシンプルな音構成で丁寧なプレイを展開しています。Dave Peverettの全く衰えを感じさせない歌が加わると鳥肌が立ってきます。

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次は歌詞の一部です。(右側がコード)

In all this confusion, so sad to be alone, (Am F C G)
こんなに混乱したなかで、ひとりぼっちでいるのはとても悲しい

In darkness and shadows, a place I call home (Am F C G)
暗闇や暗い影に覆われても自分が家と呼べる場所がある

You kill me with kindness ‘til I feel no pain (C G Am F)
おまえは優しさで俺を虜にする。そのときは痛みなど感じることはない

Angel of mercy you call my name. (C G F G)
慈悲の天使よ、おまえが自分の名前を呼んでいる

おそらく Angel of mercyはおそらく彼の家族である、妻または娘のことだと思われます。また凝ったコードは全く使用されてなく、しっかりメロディを体で受け止めることができます。サビになると半音下がりG#~B♭になりますが再びAmに戻る展開は違和感なく受け入れられます。なんと言ってもキャッチーで壺を押さえたメロディーラインは秀逸で聞き手の心を離しません。そこにRod Priceの無駄を省いたギターフレーズが重なるとまさに夢心地になります。

 これらのアルバムはFoghatがさらに活動を活発化するturning pointと思っていましたが悲劇が訪れることになります。2000年2月7日、Lonesome Dave Peverette死亡というニュースが飛び込んできました。享年56歳、死因は腎臓癌でした。さらに5年後の2005年11月22日にはRod Price(元Black Cat Bones)も亡くなってしまいました。

 最近、YouTubeでDave Peveretteが「Angel of Mercy」をライヴコンサートで歌っているヴィデオを見つけました。やはり少しやせ衰えた雰囲気でしたが歌声はしっかりしており、何ら弱々しさを漂わせてはいませんでした。Rod Priceも彼の横で豪快なギターを披露していました。この頃に戻りたいと思ったのは私だけではないと思います。さらにFoghatのsetlistを確認したところ、1999年10月14日のアメリカ、カリフォルニア、西ハリウッドにあるKey Clubで最後にこの曲を演奏しています。夏からこの日までアメリカ国内をツアーしていたことが判明しました。どうもこの曲はステージでは数回しか演奏されていないようです。まさに貴重なlive archiveとして残っているのでうれしい限りです。この日から数ヶ月後に彼が亡くなってしまうと誰が予測できたでしょうか。このliveを境にFoghatは活動を1年ほど休止することとなります。

 まだまだFoghatは現役でfounding memberのRoger Earlを中心に活動を続けています。私はFoghatのmailing listに名前を連ねているので彼らから直接、情報が届きます。少しうれしくなる話をします。あのKim simmondsも残念ながら昨年の12月13日になくなってしまいましたがHe is still alive! 実はFoghat、もうすぐnew album、『Mo Jo』が発売されます。それに先だって「Driving On」というシングルが発売されました。作詞はなんとKim Simmonds! さらにセカンドシングル、「She’s a Little Bit of Everything」もKim Simmondsが関わっています。もうこれは買う以外の選択肢はないです。

しかもFoghatの最近のsetlistを確認したところこれらはすでにsetlistに含まれています。さらChris YouldenがSavoy Brown在籍中に書いた「Needle and Spoon」も時々演奏していることもわかり、これもKim Simmondsへのオマージュ(homage =尊敬の気持ち)の現れの一つであると理解しています。いずれにしてもFoghatからこれからも目が離せそうにありません。

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