2023年10月6日 | カテゴリー:ユーロ・ロック周遊日記,世界のロック探求ナビ
カケレコ・ユーザーの皆さん、こんにちは!
本日ご紹介するのは、エストニアの伝説のプログレッシヴ・ロック・バンドとして名高いRUJA関連の注目作です!
先にご紹介すると、本作『Rockooper:JOHNNY』は、RUJAのメンバーらが関わり1980年に作曲されたロック・オペラを、2021年に録音し直したというリ・レコーディング・アルバム。
いわゆる“辺境ロック”のファンの方は、このエピソードだけで触手が動いてしまいますよね!
内容のほうも、旧共産圏のプログレ・アルバムとして高いクオリティーを誇る出来栄えなので、のちほどじっくり聴いていきましょう♫
まずは、エストニアの魅力的なプログレ・アーティストたちをご紹介するところから始めましょう。
実は、カケレコとエストニアは意外に接点が多かったんです!
まずはシンフォニック・ロック・バンド、IN SPEの82年作『イン・スぺ(ファースト)』です。
IN SPEは、鍵盤楽器をプレイするメンバーが(ボコーダーなどまで含めると)4人もクレジットされていて、楽曲の方もキーボードを中心に組み上げられたクラシカルなシンフォニック・ロック。
アナログ・シンセサイザーによるスペーシーなサウンドが素晴らしく、スケール感も抜群ですね。
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IN SPEやRUJAと一部メンバーが重複することで知られるKASEKEの『プレトゥス~燃焼~・セノム~手紙~』も名盤として知られています。
80年代前半に発表された2枚のEPをカップリングした作品で、こちらはシンフォニック・ロックのIN SPEとは音楽性が異なっていますね。
とは言え、カンタベリー・ロックにも通じるようなマイルドなジャズ・フュージョン・サウンドで、やはり素晴らしい!
新鋭では、お買い上げいただいたカケレコ・ユーザーの皆さんからの評判がすこぶる良く、カケレコ・スタッフもうれしい悲鳴を上げたPHLOXの2010年4thアルバム『バルトの旋風』が名盤!
そもそも、このアルバムを紹介させていただくためにカケレコ・レーベルの国内盤は始まったようなモノ(?)です。
そう考えると、カケレコとエストニアは意外と関わりが深いのかも。
カンタベリー・ロックからの影響を感じさせる本格的なジャズ・ロック・サウンドがエストニアから登場した衝撃は、発売から10年以上が経過してもいまだに色褪せません。
未聴の方は、IN SPEやKASEKE同様、是非チェックしてみてください!
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さて、ここからいよいよ本題に入りましょう。
本日取り上げるRUJAですが、まず押さえておきたいのは、彼らがプログレッシヴ・ロックのみならず、エストニアのロック史を語る上でも重要なグループだということです。
71年に結成されたRUJAは、旧共産圏の過酷な政治体制下にあって、コンサート活動やラジオなどの露出で知名度を獲得していきました。
公式なアルバムが発表される以前のRUJAのコンサートでは、オーディエンスの足元にたくさんの録音機材が置かれていたというエピソードもあるので、そういったブートレッグの存在も彼らの知名度アップに貢献していたんでしょうね。
そして、70年代が終わりを迎えるころ、彼らはついにレコード・デビューを果たします。
RUJA『Pohi, Louna, Ida, Laas…』
79年、彼らは12曲入りのフル・アルバム『Ruja』を制作するも、ソビエト連邦の検閲により4曲にまで収録曲を削られ、結果、EPとしてリリースすることに。
この4曲入りEP『Ruja』は2018年、本来収録予定だった12曲を揃えた“完全盤”として、『Pohi, Louna, Ida, Laas…』のタイトルで日の目を見ることとなりました。
しかも『Pohi, Louna, Ida, Laas…』には未発表音源なども加えられ、ファンにはたまらない2枚組のボリュームでのリリースとなっています。
こちらはカケレコ・レーベルから『北、南、東、西…』のタイトルで国内盤もリリースされており、現在もお取り扱い中です!
RUJAは80年代後半に活動を停止し、90年代にはヴォーカリストUrmas Alenderが急逝という不測の事態にも見舞われましたが、近年では音楽フェスティバルへの出演などもあり、本格的な再結成が期待されています。
それにしても、検閲の他にもKGBの圧力によってコンサートが中止に追い込まれたエピソードなどもあって、彼らはとても難しい状況と闘いながら音楽に打ち込んでいたんですね。
本日ご紹介するのは、EHALA/NOGISTO/KAPPEL/VOLKONSKIという名義で発表された2021年作『Rockooper:JOHNNY』。
先にご紹介したとおり、本作はRUJAが関わった1980年のロック・オペラ『Rockooper:JOHNNY』の音楽を、オペラ再演のタイミングとなる2021年に録音し直したスタジオ・アルバムとなっています。
このあたりについては、もう少しご紹介が必要ですね。
1980年のロック・オペラ『Rockooper:JOHNNY』は、エストニアのピアニストで作曲家のOlav Ehalaが中心となり、RUJAのギタリストJaanus NogistoとキーボーディストMargus Kappel、そしてパンク・グループPROPELLERのメンバーたちによって生み出されました。
今回のプロジェクト・ネーム、EHALA/NOGISTO/KAPPEL/VOLKONSKIからも分かる通り、このロック・オペラを録音し直すために上記のミュージシャンたちが再び集結し、楽曲に新たな生命を吹き込んだのが本作『Rockooper:JOHNNY』です。
なお、今回のプロジェクト・ネームからは外れるも、PROPELLERのベーシストPriit KuulbergとドラマーIvo Vartsも、それぞれ本作に演奏家としてクレジットされています。
本作は2枚組仕様でのリリースとなっており、CD2後半には『Rockooper:JOHNNY』収録曲の“1980年オリジナル・バージョン”の一部も収録。
実はこのオリジナル・バージョンが、ボーナス・トラックと考えるにはあまりにも貴重な音源で、94年にこの世を去ったRUJAのヴォーカリストUrmas Alenderの歌唱を聴くことができるんです!
というわけで早速、チェックしてみましょう!
まずはオープニングを飾る「Algus」です!
旧共産圏のプログレ・バンドの音楽を聴く耳に自信があるマニアックな皆さんなら、冒頭の重々しいベース・サウンドから男女ヴォーカルが入るあたりで息をのんでしまうこと間違いなし。
そして、本当にこの音源が2021年録音なのかと驚いてしまうのではないでしょうか?
姿は当時のまま40年後に生まれ変わらせたような感触であり、ありがちな「最新機材の音で今風に作り直しても原曲を超えることができなかった」というような期待外れは全くありません。
なお、この楽曲は“1980年オリジナル・バージョン”も収録されているので、ぜひ聴き比べてみてくださいね!
では続いて3曲目の「Arkamisaskeldus」を聴いてみましょう!
繰り返しになってしまいますが、本当にこれは2021年録音なのかと、とても信じられない思いがします。
リズム・セクションの重さとコシの強さは、さすが旧共産圏のグループらしい個性的なもの。
ゲスト・ヴォーカリストたちの歌も、とてもパワフルですごいですよね!
ちなみに今回のアルバムでは、再演となる『Rockooper:JOHNNY』の演者たちが楽曲ごとにゲスト・ヴォーカリストとして参加しています。
では続いて、11曲目の「Mind Ei Huvita」を聴きましょう!
これは旧共産圏のプログレ・ファンの皆さんにぜひ聴いていただきたい1曲!
たった2分ほどの小品ですが、短い時間の中でどんどん展開する濃密なプログレッシヴ・ロック・サウンド。
旧共産圏のプログレ作品の素晴らしさを凝縮したような楽曲ですね。
なお、この曲も例によってCD2の方に“1980年オリジナル・バージョン”が収録されているので、ぜひ聴き比べてみてください!
では最後にCD2の4曲目、これは再レコーディングの終盤になりますが「Ma Mustas Oos Naen…」をどうぞ!
ハードなプログレッシヴ・ロック・ナンバーで、勇ましいヴォーカル・メロディーが旧共産圏ならではの魅力を放ちます。
ここまでのクオリティーですと、チェコ・スロバキアのSYNKOPYやPROGRESS 2、ロシアのEDWARD ARTEMIEVまで引き合いに出したくなります。
ところでこの楽曲は、本作には“1980年オリジナル・バージョン”は収録されていないのですが、18年編集盤『Pohi, Louna, Ida, Laas…(北、南、東、西…)』にレア音源として収録されています。
ですので、こちらと聴き比べてみましょう!
伝説のバンドの名に恥じない内容ですが、なんと言ってもUrmas Alenderの熱唱を、これほどの時間を経て聴けるなんて!
こうして聴き比べてみると、『Rockooper:JOHNNY』が、原曲から余計な手を加えたり、アレンジを大きく変更せずに制作されていることがよくわかるのではないでしょうか。
いかがでしたか?
ご紹介するほうも、ついついテンションが上がってしまう、驚きの作品でした!
本作には、今回ご紹介しきれていないハイ・レベルな楽曲が目白押し。
カケレコ・レーベルからも発売された上記の編集盤『Pohi, Louna, Ida, Laas…(北、南、東、西…)』と併せて、強く強くおススメします!
エストニアのジャズ・ロック・グループ、2010年の4thアルバム。手数多くシャープでアグレッシヴなリズム隊、流麗なフェンダー・ローズ、たおやかに飛翔するサックス!リズム隊の硬質さとエレピや管楽器のしなやかさとのバランスが絶妙。カンタベリー・ミュージックの遺伝子を受け継ぐ正統派グループ!これは素晴らしい作品です。ジャズ・ロックのファンにはかなりオススメ!痺れますよ。
RUJAと並んでエストニア・プログレの代表格と言えるバンド、83年の1stアルバム。息をのむほどにデリケートで透明感に満たされたサウンドによって紡がれる、民族色も織り込んだシンフォニック・ロックはもう絶品の一言。独特の間を感じさせる不思議な聴き心地のリズムに、淡い色彩を広げるシンセやハモンド、神秘的に囁き合うフルート&リコーダー、そしてシャープなトーンでメロディアスに旋律を描くギター。異世界の情景を描写するかのような静謐で美しく仄かにスペイシーな音像は、北欧プログレと東欧プログレ両方の味わいを備えていると言えます。そんなうっとりするようなパートから一転、フュージョン・タッチのシャープで音数の多い技巧派アンサンブルになだれ込む展開も見事すぎます。東欧シーンに留まらず、ユーロ・プログレという枠の中でも上位に位置するであろう大傑作です。
【カケレコ国内盤(直輸入盤帯・解説付仕様)】デジパック仕様、2枚組、Disc2には79〜83年に録音された未発表音源7曲(3曲はライヴ音源)を収録、デジタル・リマスター、定価3190+税
デジパック仕様(ブックレット付仕様)、19年リイシュー、デジタル・リマスター、79年〜83年の未発表音源およそ40分を収録した2枚組!
レーベル管理上、デジパック側面部に若干折れ線がある場合がございます。ご了承ください。
旧ソ連はエストニアを代表するグループ、RUJAとIN SPEのメンバーを中心に結成されたグループ。83年作に81年作のEPをカップリングした2in1CD。シンセとギターがアグレッシヴかつ荘厳に畳みかけるパートと、フュージョン・タッチの流麗なギターが軽やかに舞うメロディアスなパートとを鮮やかに対比した展開が見事。辺境っぽさは全く無く、テクニック、アレンジ、メロディ・センスともにかなりのハイ・クオリティ。YES+HATFIELD & THE NORTHと言うと乱暴ですが、疾走感と繊細さが絶妙に調和された奇跡の傑作。
1. Introduktsioon = Introduction 2:06
2. Sõnum = A Message 4:36
3. Kala Jälg Vees = Fish’s Trace In The Water 3:32
4. Laupäeval Koos Isaga = Together With Dad On Saturday 4:18
5. Elevant = Elephant 4:12
6. Valhalla 4:12
7. Elevantsi Hirmulaul = Heffalump’s Song Of Fear 3:34
8. Salajane Rõõm = Secret Joy 3:44
9. Põletaja = Con Fuoco 3:36
10. Tantsija = Dancer 5:50
11. Näotused = Unsightlinesses 4:48
12. Pikk Päevatee = Long Way To Go 4:44
13. Põlenud Maa = Burnt Land 3:42
【カケレコ国内盤(直輸入盤帯・解説付仕様)】デジパック仕様、デジタル・リマスター、定価2990+税
名実ともにエストニア・ロックを象徴するプログレ・バンドとして不動の人気を誇るRUJA。そのメンバーを中心に80年に書き上げられたロック・オペラ用音楽『Johnny』を、21年の再上演に合わせ歴代在籍メンバーが集結して再録音したのがこの作品です。Olav Ehala(key)、Jaanus Nogisto(g)、Margus Kappel(key)ら初期〜全盛期のメンバーを軸とする演奏と、演劇のキャスト達によるヴォーカルによって繰り広げられるクラシカル&シアトリカルなサウンドは、70年代の彼らと少しも変わらぬ輝きを放っているように感じられます。CD2には、80年当時録音の『Johnny』の楽曲も収録!
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