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「音楽歳時記」 第九十一回 8月9日 野球の日他 文・深民淳

夏バテです。熱帯夜が続くものですから夜中に暑くて目が醒めることしばしば、睡眠不足気味で日中朦朧としております。円ドルの換算レートも130円台中盤から後半から動かず、印刷費等もジリジリと上がる傾向でロクなことがありません。

相変わらずドルが高いから輸入盤値段が上がって国内メーカーはチャンスじゃないとか、状況考えずに気楽に励ましてくれる方が多くて困りますね。輸入盤が高くなると全体的に停滞傾向に入るので決していい傾向ではありませんし、輸入盤はね、元々日本製作盤と比べて製造コストが段違いに低いですから、多少のダンピングにも対応できちゃうので、国内製作メーカーにとってはほとんど良いことありません。

しかし、最近の輸入盤CDのプレスどうなんでしょうね。2022リマスターだのニューミックスだの言ってもプレスの質、明らかに落ち気味。コスト削減で安くプレスできるところで大量生産みたいな感じが強く、リマスターやニューミックスだって言っても仕上げがBランク、Cランクのところでやったら意味ねぇじゃんと思います。よく、SHM-CD(HQCDも同様)なんて盤面の素材の違いだけで意味はない、という方がおりますが、素材の違いは明らかに再生ポテンシャル向上には寄与してますし、SHM-CDを手がけるJVCケンウッド(ビクター)、HQCDを手がけるメモリーテック共にマスター音源からCDプレス用マスターを作成する技術力はやはり世界トップクラスだと思います。ハイクオリティのCDプレス用マスターと高品質素材の組み合わせというのはやはり意味があると思いますし、日本の技術力は未だ世界最高水準にあると、実は最近同じマスターから作られた自社製品と海外盤を比較して強く感じました。


バテ気味なので意識がかなり飛んでおります。今回は思いつきを頼りに記念日まくって行きたいと思います。まず去る8月9日は「野球の日」だったそうで。まぁ、これは見ただけでわかりますよね。8と9で野球だもの。スポーツ用品メーカー・ミズノの直営店・エスポートミズノが記念日に制定。ちょうど全国高等学校野球選手権大会やっている時期だし、良いじゃんってことで制定されました。僕は何故高校野球はプロ野球と違ってあんなに泥だらけになるのだろうと昔から疑問に思っていたわけですが、その思いが強くなり今年は大会のTV中継をかなり真面目に見てしまいました。まぁ、高校生の負けたら終わりの一発勝負とペナントレース年間単位のプロ野球じゃ、その動き自体に違いがあるのは明らかなんですがね。注目したのはランナーが一塁にいるときの投手の牽制で帰塁する際と、2塁への盗塁。高校野球の場合、牽制でランナーが一塁に戻ると、一回でほぼ間違いなくユニフォーム膝下泥だらけ。2塁盗塁だとほぼ間違いなく臀部・尻あたり泥だらけになるわけですが、同じ甲子園でも阪神戦だとそれほど汚れない。もちろん先に書いたように高校生とプロでは動き自体が違うわけですが、それにしても汚れ方の違いは激しい。で、見ていて思ったのですが、土違わない? 高校野球の時って泥汚れつきやすい土入れてないか?って思う次第。なんだか、高校球児たちの溌剌としたプレイをより印象付けるため、甲子園球場のグランド整備を担当する阪神園芸による一種の演出なのではないかと思ってしまいます。

さて野球といえば正岡子規。明治を代表する俳人でしたが脊椎カリエスで寝たきりになり若くして亡くなったわけですが、元気な時は野球に入れあげており、諸説ありますがベースボールが野球と呼ばれるようになったのは野球に入れあげた正岡子規が本名(幼名)の「のぼる」に引っ掛け野の球(ボール)で野球と名付けたという話もあります。(ちなみに子規が暮らした家というのは今も残っており、見学できるのですがこれが凄いところにあって、東京・鶯谷。下半身エンタメのメッカで駅前に下半身エンタの案内所があるようなところで、子規庵も周りがほとんど全部ラブホテルだったりします)ちょっと都市伝説っぽいです。そしてベースボールといえばベーブ・ルース。大谷翔平選手がベーブ・ルースの持つ二刀流記録を塗り替えたということで最近話題になりました。そこからバンド名を拝借したBABE RUTHも最近、Harvestレーベルから発表した3作品をまとめたボックスが発売になっております。

アラン・シャックロックを中心に1971年結成。結成当初はSHACKLOCKと名乗っていましたがその後BABE RUTHに改名。Harvestからのデビュー・アルバムは1972年に発表されています。シャックロックのギター、ジェニー(ジャニータ)・ハーンのヴォーカル、デイヴ・パンションのキーボード(初期は主にエレピとピアノ)を中心とし、ほんのりプログレ風味ジャズ・ロック仕上げ+ハード・ロック・テイストを打ち出したサウンドがここでは聴けます。ジェニー・ハーンは3rdアルバムの印象が強くシャウター・タイプの女性ヴォーカリストといったイメージが強いですが、この1stでは曲調もあってか結構しっとり系。72年というプログレ全盛時代の勢いに乗りデビューを果たしたバンドのひとつでしたが、この時期はもう、単なるプログレ・サウンドやジャズ・ロックではその他大勢に埋もれてしまうのが関の山時代ですから、ライバルとの差別化をどう計るかが焦点だったわけですが、BABE RUTHはカケレコの本ボックスのキャッチにもあるようにエスニック・テイストを取り入れ、メキシカン・ムード満載の「The Mexican」を収録。確かにインパクト大で、強く印象に残ります。またジャズ・ロックに振れた方面ではフランク・ザッパの「King Cong」のカヴァーを収録するなどジャンルでは括りにくいクセものサウンドを打ち出しています。

The Mexican

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このクセもの感がピークに達したのが74年発表の2ndアルバム『Amar Caballero』。前作のアートワークは宇宙野球といった感じのロジャー・ディーンのイラストでしたが、この2ndはヒプノシスが担当。曲ごとに雰囲気のばらつきがあった1stから一歩前進し、ボックス収録の3作品の中では最もプログレ、ジャズ・ロック・テイストが強く感じられる作風となり、様々な表情を見せるジェニー・ハーンのヴォーカルの成長ぶりも相まってアルバム全体一本筋の通った作品に仕上がっています。ホーンの導入やファンク・ロック的アプローチ、前作のエスニック・ムードはこの作品ではスパニッシュ・テイストを随所に散りばめることで継承しています。

Amar Caballero (Sin Ton Ni Son)

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ここまでの2枚のクセもの感はこの時代にあってもかなり個性的でしたし、そのノンジャンル的面白さは今でも十分に通用すると思います。

これでセールス的に爆発すればちょっと歴史に残る作品を作っていたかもという魅力を秘めた最初の2作品ですが、実際には失敗ではなかったけれども通好み、レーベルの期待ほどの成功は納めるに至らず。72年から75年くらいまでのEMI系列レーベルってグラムやモンド系などクセものの宝庫でだからこそBABE RUTHみたいなバンドも活躍できたのですが、その傾向が段々と結果を出しやすいハード・ロック系重視にシフトしていく中、BABE RUTHのサウンドも変化。75年発表の3rdアルバム『Babe Ruth』ではシャウター、ジェニー・ハーンをフィーチュアしたブリティッシュ・ハード・ロック・サウンドを披露しています。エスニック路線はそれでも残しており、エンニオ・モリコーネ作のマカロニ・ウェスタンの挿入曲をドライヴ感抜群のインスト・ナンバーにアレンジした「A Fistful Of Dollars」(原題「Titoli」日本では「さすらいの口笛」という邦題が付いていました)を収録したほか、部分的にスパニッシュ・ムードを残しています。

A Fistful Of Dollars

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BABE RUTHはガチなプログレ、ジャズ・ロック、ハード・ロック系ではありませんが、その変化球サウンドはかなり高品質でこうしたバンドの作品をまとめたボックスというのはちょっと良いかもといった感じです。

ちなみにジェニー・ハーンはカケレコでもベスト・セラーとなったSTRIDERのアルバムにゲスト参加していますし、シャックロックは初期IT BITESのプロデュースも手がけたと記憶しています。またベーシストのデイヴ・ヒューイットは後にエンジニア、プロデューサーに転身しGEORGIA SATELLITES等の作品に関わっています。


続きまして、8月22日は「チンチン電車の日」だそうです。1903(明治36)年、東京電車鉄道が新橋~品川間の路面電車の営業を開始。東京で初めてチンチン電車が走った日を記念して制定されました。頭が働かないのでチンチン電車、あぁ、有名なブルースのアルバムでそんなのあったなぁとかいくつか頭に浮かんだものの、一番はっきり思い出したのがこれ。デンマークの伝説的ロック・バンド、GASOLIN’、1971年発表のデビュー作。GASOLIN’というとお買い物帰りのオネェさんパンツのゴムが切れちゃってあら大変、というイラストでお馴染みの『Gasolin’ 3』やリーゼントできめたロカビリー犬のイラストの『Gasolin’ 2』のアートワークが有名ですが、このデビュー作、BABE RUTH同様、カテゴライズが困難なサウンドです。パンク全盛期には思い切りの良いストレート・サウンドを披露したり、ハード・ロック寄りになってみたり、レトロっぽい作風になってみたりこれまた一筋縄ではいかない音楽性を持ったバンドなのですが、このデビュー作は埃っぽくガレージ・サウンド感を残したダウナー系ロック・サウンド。ニューウエイヴ全盛時のStiffレーベルあたりのサウンドの先取り的な展開があったり、フォーク・ロック的になってみたり、時には初期HAWKWINDやAMON DUULみたいに聴こえちゃったり、いやぁ、この一瞬普通のロックに聴こえるんだけど、聴き進んでいくと「ありゃ、こりゃ全然普通じゃないね」感覚は聴いていただかないと分からないかと思います。好き嫌いははっきり分かれるサウンドかと思いますが、僕は英語じゃないので何歌っているのかさっぱり分かりませんが今でも楽しく聴かせてもらっています。電車に乗っている人の顔がなんだか「タンタンの冒険」のイラストに似ていたりするのも個人的はポイント高いです。

Tremastet Beton

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8月24日は「大噴火の日(ポンペイ最後の日)」なんだそうな。西暦79年にイタリアのヴェスビアス火山が噴火し、ポンペイの市街が火山灰により埋没してしまったのがこの日なんだそうです。ポンペイと言えばTRIUMVIRATが1977年に発表した『Pompeii』がまず思い出されます。ドイツのEL&Pとして日本でも人気がありましたし、アメリカでも結構注目を集めました。どういうサウンドなんですかって聴かれたら、思い切りEL&Pみたいですが途中何を思ったかプログレ・ポップ路線に走ります、と答えるしかないんですが、久々に聴いたら結構楽しめちゃいました。

Pompeii

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そして発掘されたポンペイでライヴ・ドキュメンタリーを撮ったのがPINK FLOYD。『Live At Pompeii』は単体作品としてDVD等で入手可能ですし、あの巨大ボックス『Early Works』にも収録されています。中学生時代にNHK「ヤング・ミュージック・ショー」で初めて観ました。当時、家にあったTVにはAUX端子なんていうものがなかったので、TVの前でカセット・テープレコーダーのマイクをスピーカーに押し付けるようにして身じろぎせずに観ました。多分、人生において最も動かなかった数十分間だったと思います。あれで道を間違えた人も多いかと思います。

Echoes(Live At Pompeii)

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火山といえば今年も派手に噴火したエトナ山。イタリアのジャズ・ロック系というか、フュージョン・バンドでETNAっていうのがありましたね。FLEA ON THE HONEYが発展したバンドでした。FLEA ON THE HONEY時代はすいません、あんまりテクニカルって感じがしなかったのですが、このETNAは結構、本格派のフュージョン・バンド。涼しげな中にもイタリア特有の熱を感じるサウンドが印象に残ります。

Beneath The Geyser

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火山の噴火イメージだとアメリカのフュージョン・バンドCALDERAのセカンド・アルバム『Sky Islands』(1977年)なんていうのもありました。先のETNAが硬派なフュージョン系だとするとこちらはアメリカにおける当時のフュージョン路線の美味しいところを切り取ったリッチ&ゴージャス系。WEATHER REPORTのドラマーだったアレックス・アクーニャ(出身はペルー)、ジャズ・フュージョン系セッション・ドラマーとして知られたカルロス・ヴェガ(出身はキューバ)、80年代に活躍するフュージョン・バンドHIROSHIMAに参加するディーン・コルテス、EARTH, WIND & FIREなどに楽曲提供、メンバーとの共作で知られるキーボード奏者エデュアルド・デル・バリオ(アルゼンチン出身)らが在籍したことからも分かるようにニューヨーク・ベースで活動していたものの、エスニック、ラテン・テイストが色濃く出たサウンドが特徴のバンドでした。


Sky Island

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