2021年12月17日 | カテゴリー:ライヴ・レポート,世界のロック探求ナビ
スタッフ佐藤です。
12月12日、東京のGARDEN三宿BRANCHにて開催された「Classic, Progressive Fest – 伝統と革新と…」を観てまいりましたので、その様子を少しお伝えしたいと思います!
プログレ・フェスと言えば、ちょうど一年前にはANEKDOTENやLA MASCHERA DI CERAなど海外勢も参加したライヴ配信によるオンライン・プログレ・フェスという形で開催されましたが、今回は国内の4アーティスト出演によるリアル・フェスとなりました。
出演したプログレ・バンドはこの4組。
1組目はAnna Hardy & The Lunatic Spells。
2020年にデビュー・アルバムをリリースした、元MIZUKI DA FANTASIAの女性ピアニスト/キーボーディストAnna Hardy率いるグループです。
YUKA & CHRONOSHIPのメンバーを含む4人の演奏陣と共に登場し、アルバム収録ナンバーの数々をこれでもかと荘厳かつドラマチックにプレイしてくれました!
硬質さとエモーショナルなうねりが同居する存在感抜群のリズムをバックに、ご本人によるクラシックの気品とプログレらしいスリリングさを備えたあまりに流麗なピアノが舞い、セカンド・キーボーディストによる生メロトロンが幽玄の美を添え、ソリッドかつ叙情にも富んだギターが炸裂する、ライヴでも圧倒的に完成された音世界を披露します。
一方でMCのタイミングを間違えてあたふたするAnnaさんのチャーミングさもまた見所でしたね(?)^^
さすがと言うべき、プログレの王道を行く構築性みなぎるクラシカル・シンフォニック・ロックを存分に堪能いたしました♪
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2組目の登場がトリオ・バンド烏頭。
東京出身、女性キーボーディスト/サックス&フルート奏者/ドラマーという編成の男女3人組のグループで、今年ニューアルバムをリリースしています。
彼らのパフォーマンスがまた強烈で、例えるならキング・クリムゾンのステージにジョン・ゾーンが乱入したかのような凄まじさ!
椅子から転がり落ちんばかりに体を揺らし髪を振り乱して縦横無尽に弾きまくるキーボード、耳をつんざかんばかりのノイジーさで吹き荒れるバス・サックス、一心不乱に手数で圧しまくる強靭なドラム。互い譲らず三つ巴で繰り広げられるスリリングかつヘヴィな演奏は「壮絶」の一言に尽きます。
観ているこっちが手に汗握ってしまうようなパフォーマンスが終始展開されて本当に素晴らしかったです。
バスフルートという珍しい(?)楽器も飛び出してきたり、まだまだ懐に隠し持っているものがありそうな気配を感じるバンドでしたね~。
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続いてステージに上がったのは2010年結成の4人組グループ曇ヶ原です。
「日本語プログレッシブハードフォークバンド」を名乗る彼らですが、サウンドはまさしくそうとしか言いようがないもの。
美狂乱やコスモスファクトリーを思わせる翳りを秘めた在りし日のジャパニーズ・プログレと、日本の70年代フォーク由来の仄暗い情緒を融合させたようなサウンドで、会場を独自の音世界に惹き込みます。
抜群の技巧を駆使したクリムゾンばりの硬質さとイエスばりのハードドライヴィンさを兼ね備えたインストパートを聴かせたかと思うと、不意にベースから12元ギターに持ち替えたフロントマン石垣が情念を込めた歌声で弾き語る、時代を超越した孤高のパフォーマンスに釘付けにされてしまいました。
発売中のレコードコレクターズ1月号に曇ヶ原のインタビューが載っていますが、やはりクリムゾンや美狂乱の影響が語られていて納得。
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そしてフェスのラストは、カンタベリー・タイプのジャズ・ロック・バンドDe Lorians!
…だったのですが、交通機関の都合で泣く泣く会場を後にしました。隣県とはいえ、都心から秩父の麓までとなると移動に時間がかかります…(泣)
まだ新型コロナウイルスの影響が懸念される中ですが、感染対策を徹底し、少しづつライヴイベントも再開されてきています。
先日はキング・クリムゾンも1年9か月越しの来日を果たしましたし、プログレ関連のライヴイベントも今回のフェスを機に再び盛り上がっていけば嬉しいところです。
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