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【KAKERECO DISC GUIDE Vol.10】このバンド、現代アメリカで最もプログレッシヴ!?DELUGE GRANDERの17年作『OCEANARIUM』をピックアップ!

スタッフ増田です。月ごとに更新される「カケレコセレクト100」より、スタッフがイチ押しの作品をご紹介する、名付けて【KAKERECO DISC GUIDE】!

本日ピックアップするのはアメリカの新鋭プログレ・グループ、DELUGE GRANDERが昨年17年にリリースした4thアルバム『OCEANARIUM』です。

■DELUGE GRANDERとは

DELUGE GRANDERはアメリカ、メリーランド州ボルチモア出身のグループ。

米ジャズ・ロック・グループCEREBUS EFFECTに在籍していたDan Britton(ギター/ヴォーカル/キーボード)とPatrick Gaffney(ドラム)を中心に、Dave Berggren(ギター)、Brett d’Anon(ベース)を加えて05年に結成されました。

「カンタベリー・メタル」ともカテゴライズされるCEREBUS EFFECTに比べて、こちらはメタル色の薄いマイルドな音作りや多彩な管弦楽器を取り入れたシンフォニックなアプローチが特徴。
とはいえカンタベリー・ロックにチェンバー・ロック、GENTLE GIANT、KING CRIMSONなどなどプログレッシヴ・ロックの様々な要素を独自の解釈で混ぜ合わせ再構築したような、複雑で一筋縄ではいかないアンサンブルを聴かせます。

彼らは06年に新興レーベルEmkog Recordsより1stアルバム『AUGUST IN THE URALS』を、09年に2nd『FROM OF THE GOOD』を発表。さらに14年の3rd『HELIOTIANS』から3年越しの新作となったのがこの4th『OCEANARIUM』です。

さてそんな『OCEANARIUM』ですが、本作では過去作にはない新しい試みがなされています。

まず、ヴォーカル曲のあった3rdまでと違って今回はオール・インスト。
また3rdまでは各アルバムに20分近い大曲を含んでいましたが、本作では最長でも15分、全体的に10分前後と、比較的コンパクトな曲で構成されています。

そしてそれに伴ってか、サウンドも1stや2ndの重厚でちょっぴりダークな雰囲気に比べると、全体的にどこかコミカルでキャッチー。
彼らの作品の中でも聴きやすく、入門盤にうってつけの一枚ではないでしょうか。

それではまずはアルバム冒頭曲(の半分まで)をどうぞ。

Numbered Rat, a High Ledge, and a Maze of Horizons

試聴 Click!

まるで現代のものとは思えない、70年代ブリティッシュ・ロック然としたギター・リフに幕を開けたかと思えば、荘厳なティンパニーがリズムを刻み、主旋律はこれまたヴィンテージ・テイスト溢れるオルガンへ。
ベースのグルーヴィーなリズムと流麗なピアノをバックに滑らかなギターがソロを取ったかと思えば、今度は壮大なメロトロンが溢れ出してきて・・・と、次から次へ展開や様々な楽器が立ち代わり入れ替わるこの目まぐるしさ!

ただ複雑ではありますが、叙情的なメロディや暖かみのある鍵盤楽器、オーボエなどの穏やかな木管楽器の音色のためか、けして難解ではなく親しみやすいサウンドに仕上がっています。
次々に変幻しているのに「継ぎ目」をまったく感じさせず、流れるように進行していく柔軟性も見事。

プログレッシヴでドラマチック、かつ彼らのモチーフであるねずみ男のアートワークも含めて、どこかユニークな愛嬌のある一曲ですね。

Finding a Shipwreck in a Valley in an Ocean

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そして、スタッフ増田の一押しのナンバーがこちら!
ちょっぴりモダンで強靭なベースラインに乗って、ワウ・ギターや叙情的なフルート、ピアノが柔らかく奏でられます。
そこから突如跳ねるようなリズムに変化し、トラッド・テイストのある舞曲のようなパートへ。
流麗かつコミカルなアンサンブルから一転して流れ込む感動的なピアノの旋律もメリハリが効いていて、ファンタスティックかつ痛快!

GENTLE GIANTの奇想天外さ、KING CRIMSONの強靭さ、SOFT MACHINEのような滑らかさ、GENESISのようなドラマチックさ、そしてどこかおどけた剽軽さ・・・。
数々の要素を取り込んで綿密に構築した結果、生まれたのは彼ら「DELUGE GRANDERの音」としか言い表せないようなオリジナリティ溢れるサウンド。
数々の新鋭プログレの中でも、トップクラスの音楽性を誇ると言える期待のグループです!

■そして・・・

このグループ、実はとてつもない壮大な構想を練っているのです。
その名も「10年計画(Ten-Year Plan)」。

この計画はあらかじめ構想にある7つのアルバムを、2010年から10年間で順次制作しリリースしていくというもの。

前作『HELIOTIANS』がこの7つのうちの最初の作品にあたり、本作『OCEANARIUM』は2つめのアルバム。

7つの作品には3段階あり、下段の作品は限定盤のみで発売される素材的な作品。
中段の『OCEANARIUM』『CRETIN』は下段二つの作品の素材を組み合わせた作品で、通常盤としてリリース。
そして上段『CREATIONARIUM』は6枚全ての要素を取り入れた究極の作品で、無料または安価なダウンロード販売でリリースする予定とのこと。

また、この構想だけでなく14年に発売された『HELIOTIANS』もすさまじいんです。

試聴 Click!

この作品は205枚限定のLPとしてリリースされたのですが、なんとジャケ・歌詞カード・クレジット、すべて一枚一枚メンバーの手書き!
サウンドだけでなく、作品をリリースしていく姿勢すら前代未聞。まさしく彼らこそ現代のプログレッシヴ・ロックと言えるでしょう。

ただ上記の10年計画、未だ2作品しかリリースされていないにも関わらず、発表から10年後の2020年まで既に残りわずか。

果たして7枚全てリリースするのは何年後になるのか・・・。彼らの予測不能な動向に今後も注目していきたい所です!

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