2017年11月6日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: プログレ
スタッフ増田です。
1980年といえば、時代はニューウェーブ全盛期。
フロイドは前年に『壁』を発表してヒットを飛ばしますが、バンド内には亀裂が入っていたし、ELPは解散してしまうし、YESもクリムゾンも復活前の活動停止中……プログレの時代は70年代の終焉と同時に終わりを迎えたかのように見えました。
しかしながらそんな”プログレ氷河期”80年代の始まりにも、瑞々しい感性にあふれたプログレ作品は生まれていました。
そして、そんな作品はロックの中心地、英米よりもむしろユーロや辺境にあり!?
今回はそんな1980年に生まれたプログレ名作たちをピックアップしてまいります!
英国プログレ界の代表的グループが息を潜めていくなか、新たなポップ路線を突き詰め商業的にも成功を収めたジェネシス。
本作はスティーブ・ハケット脱退後、3人体制でリリースされた2枚目のアルバムですが、瑞々しいポップさとプログレッシヴな音楽性を両立させたのみならず、トータルアルバムとしての完成度も見事な珠玉の一枚ですね!
ジェネシスからの、いきなりフランス行っちゃいましょう!トルコ系フランス人のメンバーを中心に結成されたシンフォ・グループの2nd。
キャメル・フォロワーらしいフルートが彩るロマンティックさと、切れ味鋭くエキゾチックな激しさが渦を巻くサウンドがもう絶品!
お次はドイツ。プログレ氷河期といえど、彼らジャーマン・シンフォは70年代後半から80年代初頭にかけてが絶頂期と言っても過言ではないでしょう。
幻想的なヴァイオリンやフルートと煌びやかなシンセが織り成す、繊細かつダイナミックなサウンドが気持ち良い名作2nd!
次はカナダが生んだ名プログレ・トリオFM、ピーター・ガブリエルやネクターにも関わった名シンセ奏者Larry Fastをプロデュースに迎えた4th。
土地柄もあってか、カラッとしたアメリカ気質の明るさとユーロの陰翳&気品を併せ持ったサウンドはクオリティ高し!
こちらはスイスのグループですが、ALLMAN BROTHERS的パワフルなブルース・ロックを下敷きにしつつ、荘厳なメロトロンやプログレチックなフルートを織り交ぜたサウンドがなかなか斬新!
英国叙情派プログレ好きにはぜひチェックしていただきたい一作です。
70年代後期~80年代と言えば、商業化するロックへのアンチテーゼを叩きつけたアヴァンギャルドな「RIO運動」も忘れちゃいけません。
世界中に広がったRIOの参加グループの中から、北欧ZAMLA MAMMAZ MANNAの超絶技巧的80年作をどうぞ!
ここからは東欧プログレに参りますよ!ちょっとヒプノシスっぽいジャケがスタイリッシュですが、サウンドはとにかく「泣き」!
東欧らしい強烈な哀愁を伴ったハンガリー産プログレ・ハードの逸品です。
このグループ、伊ヘヴィ・シンフォのファンは要チェックですよ!
重厚なグルーヴ感と強靭な変拍子で畳みかける豪快さがたまらない、東欧はチェコが誇る名作1st。
旧ユーゴはセルビア出身グループ、79年1stと80年の2ndを収録した2in1CD。
ピンク・フロイド、ホークウィンド、カン、タンジェリン・ドリームあたりに影響を受けたようで、なるほどスペーシーで冥想的な音世界に尖ったビートと破天荒なヴォーカルを乗っけた個性派スペース・プログレ!
ラストは南米アルゼンチンから80年の名作をお届けしましょう。
詩情あふれる繊細で感動的なメロディと、スリリングなジャズ・タッチが交差するサウンドは見事という他ありません。
天才チャーリー・ガルシア率いるアルゼンチンを代表するシンフォ・グループ、名作3rd。
こちらはチャーリー・ガルシアがゲスト参加している同じくアルゼンチンのグループ。
アコースティック楽器をフィーチャーしたフォーキーなシンフォ・サウンドが特徴的で、メルヘンなバンドネオンの音色や穏やかな弦楽器、ファンタジックなヴォーカルラインがたまらない郷愁を誘います…。
最後はコチラ!アルゼンチン・ロック・シーンの大御所Luis Alberto Spinettaが率いたグループ第一作。
テクニカルなジャズ・ロックと南米らしいメロウネスが融合したサウンドがとろけるように心地よく、カンタベリーなどのジャズ・ロック・ファンにもぜひ聴いていただきたい一枚です!
いかがでしたか?
まだまだご紹介しきれなかった80年作はありますが……随時更新していきますので、ぜひチェックして下さいね!
KING CRIMSON、PINK FLOYD、YES、EMERSON,LAKE & PALMERと並び、ブリティッシュ・プログレの「5大バンド」のひとつに数えられる重要グループ。ヴォーカリストPeter Gabrielによる演劇的なステージ・パフォーマンスと、寓話的に彩られたシンフォニックな楽曲で70年代前半を駆け抜け、Peter Gabriel脱退後はドラマーPhil Collinsを中心とした体制で活動。80年代以降はポップなアリーナ・ロック・バンドへと変貌し、プログレッシヴ・ロックに留まらず世界的な成功(2010年「ロックの殿堂」入り)を収めたグループです。1980年に発表された10枚目のスタジオ・アルバム『デューク』は、ポップなサウンドで初の全英アルバム・チャート1位を獲得した快作。冒頭3曲と最終2曲で曲同士が切れ目なくつながっている点や、エンディング・ナンバー「デュークス・エンド」でオープニング・ナンバー「ビハインド・ザ・ラインズ」のフレーズがリプライズされる点など、トータル志向を感じさせるアルバム構成となっています。音楽的にはプログレッシヴ・ロックからは離れた印象を持ちますが、Phil Collinsのポップな音楽性を中心に組み上げられた楽曲たちは高いクオリティーを誇ります。
69年結成。ロック/ジャズ/民謡/ユーモアを融合した複雑な楽曲を超絶技巧で繰り出す、スウェーデンのグループ。本作はSAMLA MAMMAS MANNAから変名〜RIO参加後に発表された、硬派かつスリリングなジャズロック作として人気が高い80年作。
78年から80年までの活動期間に3枚のアルバムを残したスイスのグループ、80年作の最終作。ALLMAN BROTHERSの曲から拝借したであろうグループ名の通り、ギターにはブルース・ロックの残り香を感じますが、このバンドが面白いのは、ユーロ・ロックらしい幻想性や寂寥感に満ち溢れているところ。ひっそりとたなびくように鳴るキーボード(メロトロン?)、初期クリムゾンを彷彿させるアヴァンギャルドなサックスやフルート、マイケル・ジャイルスからの影響を強く感じるタイト&メロウなドラム、そして、物悲しいヴォーカルとリリカルなメロディ。まるでクリムゾンの『ポセイドンのめざめ』『リザード』 meets ウィッシュボーン・アッシュって感じ!?辺境プログレらしい奥ゆかしさもたっぷりなユーロ・ロック&プログレの隠れた名品です。
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