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スタッフ佐藤の、コレ好きなんですよ。 第二十三回 ネッド・ドヒニー『ネッド・ドヒニー(ファースト)』

こんにちは、カケレコ・スタッフ佐藤です。

「スタッフ佐藤の、コレ好きなんですよ。」は、一般的にはあまり注目を集めることのない作品ながら「実は良い作品なんだけどなぁ、もっと聴かれてほしいなぁ。」とスタッフ佐藤が日頃から感じている、愛して止まない作品たちを取り上げてご紹介していこうというコーナー。

今回取り上げるのは、ネッド・ドヒニーの1st『ネッド・ドヒニー』です。

関東は梅雨明けも目前、夏休みも始まり夏もいよいよ本番ということで、夏にぴったりな爽やか系シンガーソングライターを取り上げようと思います。

シンガーソングライターと言ったら、70年代にもっとも隆盛を誇ったのがカリフォルニアを中心地とする西海岸のSSWシーン。ジェームス・テイラーやジャクソン・ブラウン、J.D.サウザーなどが代表的なアーティストとして知られていますよね。

彼らからすると幾分知名度は下がるものの、ミュージシャンとしての実力では引けをとらないのが今回取り上げるネッド・ドヒニー。活動初期にはキャス・エリオットやデイヴ・メイソンなどに楽曲を提供、その後はアヴェレージ・ホワイト・バンドのヒット曲を手掛けるなど、ソングライターとしての印象が強いかもしれませんが、70年代には3枚と少ないながらも自身の作品を発表しています。(現在までには計8枚を発表)

そんなネッドと言えば、スティーヴ・クロッパーをプロデューサーに起用しブルー・アイド・ソウル的なコクが増した2nd『ハード・キャンディ』が名盤として語られることが多いのですが、スタッフ佐藤が個人的に好きなのは、よりSSW然とした素朴で繊細な味わいが魅力の1st。

と言うか西海岸SSW作品でベストワンを聞かれれば、ジャクソン・ブラウン『レイト・フォー・ザ・スカイ』とで結構迷いながらも、最終的にはこのネッド・ドヒニーの1stを挙げたいと思うくらいなのです。

自身によるアコースティック・ギター弾き語りにバンド・アンサンブルを加えたような作風は、いかにもシンガーソングライター的。学生時代に共に活動したこともあったというジャクソン・ブラウンに通じるスタイルと言えますが、時折ハッとするような凝ったメロディや進行が入ったりするところはさすがのセンスです。

ナイーヴさとソウルフルなコクを合わせ持つ独特の歌声も魅力的で、その特質を生かし繊細なバラードとソウル・フレイヴァー漂うグルーヴィーなナンバーを巧みに歌い分けるシンガーとしての才覚も光ります。どちらかと言うと裏方に回りソングライターとして活動したい方だったようなのですが、シンガーソングライターとしての稀有な才能に恵まれているのは間違いないですよね。

2nd『ハード・キャンディ』はジャケットに象徴される、いかにも夏真っ盛りというバカンスを思わせる楽しさがありますが、この1stは夏の時期にふとおちいる感傷というか心の揺れ動きのようなものを見事に捉えているように思えます。うーん名盤ですねぇ。

Fineline

歯切れ良い自身のアコースティック・ギターと黒っぽいグルーヴが絶妙に絡むオープニング・ナンバー。ここでは少しソウル寄りのコクのある歌声で歌っています。間奏で聴かせるツボを押さえたエレキギターのプレイも出色。

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I Know Sorrow

ほんのりとジャジーな味わいも感じるメロディアスなナンバー。流麗なピアノに導かれてソウルフルに歌い上げるラストがたまりません。

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Postcards From Hollywood

本作を象徴するナンバーで、キャリア中でも代表曲の一つと言える人気曲。アコギ弾き語りを基調とするメランコリックながらも爽やかな曲調で、西海岸然とした一曲と言えるかもしれません。ここではナイーヴな魅力を前面に出したヴォーカルを披露しています。

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Standfast

美しく感傷的なメロディラインを切なく歌い上げる、エンディングにふさわしいこの名曲もおすすめ。夏の終わり、人のいなくなった浜辺を一人歩く、そんな情景が思い浮かべずにはいられない一曲です。

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