2016年3月18日 | カテゴリー:スタッフ佐藤の、コレ好きなんですよ。
タグ: プログレ
こんにちは、カケレコ・スタッフ佐藤です。
「スタッフ佐藤の、コレ好きなんですよ。」は、一般的にはあまり注目を集めることのない作品ながら「実は良い作品なんだけどなぁ、もっと聴かれてほしいなぁ。」とスタッフ佐藤が日頃から感じている、愛して止まない作品たちを取り上げてご紹介していこうというコーナー。
今回取り上げるのは、名実ともにイタリアを代表するグループであるP.F.Mの97年作『ULISSE』です。
P.F.Mで一番好きなアルバムは?と聞かれたら、かなりの割合の人がワールド・デビュー作となった73年発表の『幻の映像』を挙げるのではないと思います。
たしかに、イタリアン・ロックの存在を世界に知らしめた金字塔とも呼べる作品ですし、英国5大グループの名作クラスと並べてもまったく引けを取らない完成度を誇っていると言って間違いないでしょう。
スタッフ佐藤にとっても、初めて聴いたイタリアン・ロックであり、また初めて聴いた英米以外のロックだったこともあって、思い入れの深さも含め一位には『幻の映像』を選びます。
ただ、ニ番目に好きな作品となると、かなり意見が分かれてくるのではないでしょうか。ワールド・デビュー前のイタリア本国に向けてリリースされた1st、2ndも素晴らしいし、世界進出第二弾となった『甦る世界』も捨てがたい。それ以外の70年代リリース作品を挙げる方もいらっしゃるでしょう。あっ、80年リリースのポップな『SUONARE SUONARE』なんかも好きですね。
じゃあお前はどうなんだ、ということでスタッフ佐藤の二番目はと言いますと、今回ご紹介する97年リリースの『ULISSE』。実際のところ『幻の映像』と時には同率一位になるくらいに好きな彼らのアルバムなのです。
87年リリースの『MISS BAKER』より10年の歳月を経て、再始動第一弾を飾る作品としてリリースされたのがこの『ULISSE』です。
本作、プログレ色はほぼ皆無で、プログレ・バンドとしての彼らの復活を待ち望んでいた往年のファンはもしかすると肩透かしを食らったかもしれません。しかし、開放感のある溌剌としたロック・サウンドを楽しませてくれるかなりの好盤だと思うんですよね。
フレッシュな感性が生きるメロディアス・ロックからAOR的な洗練を帯びたナンバー、そして熱い叙情を湛えたバラードなど、どの曲も軽さがなく中身のしっかり詰まった感じがあるのはさすがです。
そして嬉しいのが全編で聴くことができる堂々たるイタリア語ヴォーカル。彼らは78年の『PASSPARTU』以降、基本的にイタリア語ヴォーカルで作品をリリースしてきましたが、80年代の作品ではどこか音の質感とイタリア語が噛み合っていなかったように個人的には感じていました。それがここに来て、伸びやかなイタリア語ヴォーカルの魅力を目一杯に引き出す楽曲とアレンジが施されていて、『幻の映像』を聴いているときと同等の感動を禁じ得ません。
歌ものロックとして極めてクオリティの高い作品に仕上がっていると思うのですが、いかがでしょうか。好きな方いますかね??
これだけの内容にもかかわらず、90年代唯一のスタジオ・アルバムという位置づけの微妙さもあってか今ひとつ注目されることのない作品なのが残念に思います。
近年は『幻の映像』『甦る世界』など初期の名盤を再現したライヴ盤をリリースし、往年よりのファンを再び惹きつける活動を行っている彼らですが、それももちろん嬉しいものの、プログレ・バンドとして培った演奏力や作曲力を惜しみなく注ぎ込んで作り上げられたこの「普通のロック」にも、また堪らないものを感じています。
「前へ前へ」というタイトルが示すように、迷いなく前進していくような力強い曲調と張りのある歌声が素晴らしいメロディアス・ロック。楽曲を美しく彩るキラキラとしたアコギの音色は、降り注ぐ陽光を受け水面を煌かせる地中海の情景をイメージさせるようです。活動30年に届こうかというグループとは思えないような瑞々しいサウンドが絶品ですよね。
ファンファーレのように高らかに響く印象的なシンセのテーマは、いかにもプレモリらしいプレイです。ポップな聴き心地とシンフォニックな高揚感がバランスしたハイセンスな一曲。
AOR調のスタイリッシュなナンバー。80年代の作品にも同様のアプローチの曲を試していましたが、打ち込みや人工的な音のシンセがない分、格段に洗練されたサウンドに感じられます。メロディアスでキレのあるギターソロは最高にカッコいいし、最後ピアノの一音で締めるセンスの良さにも痺れます。
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『SUONARE SUONARE』リリース後、80年11月25日にテレビ放送用に収録されたスタジオ・ライヴ音源&映像。新たに加入したヴァイオリン奏者のルキオ・ファブリの躍動感いっぱいのヴァイオリンが気持ちいい「Celebration」をはじめ、往年の代表曲も良い感じ!収録曲は、1:LA LUNA NUOVA、2:VOLO A VELA、3:IL BANCHETTO、4:TANTI AUGURI、5:MAESTRO DELLA VOCE、6:SI PUO FARE、7:CELEBRATION
QUELLIを母体に結成され、後にバンドの顔となるMauro Paganiを迎えて改名。英国とはまた違ったイタリアの素晴らしい叙情性を放ち、EL&PのMANTICOREからPete Sinfieldの戦略で世界デビューまで果たしたイタリアン・シンフォニック・ロック代表グループの71年デビュー作。イタリア盤としてリリースとなった本作はイタリアン・シンフォニック・ロックの職人気質の極地といった趣の傑作。当時のブリティッシュ・ロックフィールドのアーティストたちと比べてもその技巧は抜きん出ており、クラシカルに、丹念に編みこまれたアンサンブルの妙技に酔いしれるばかりの名盤です。
QUELLIを母体に結成され、後にバンドの顔となるMauro Paganiを迎えて改名。英国とはまた違ったイタリアの素晴らしい叙情性を放ち、EL&PのMANTICOREからPete Sinfieldの戦略で世界デビューまで果たしたイタリアン・シンフォニック・ロック代表グループの73年3rd。本作はまさにそのMANTICOREからの世界リリース作となった、ヨーロピアン・ロック屈指の1枚であり、Pete Sinfieldが英語詞を担当した傑作です。先にイタリアでリリースされていた2nd「Per Un Amico」の再録音と、デビュー作「Storia Di Un Minuto」より1曲、そして前2作には未収録の新曲1曲で構成されており、イタリアらしいバロック色とダイナミックなロックを融合した奇跡的なサウンドを提示。テクニカルな変拍子と呼応する凄まじい叙情の嵐は唯一無二のものです。
紙ジャケット仕様、デジタル・リマスター、定価2100+税
盤質:傷あり
状態:並
帯有
情報記載シール付き、側面部に色褪せ・軽微なカビあり
QUELLIを母体に結成され、後にバンドの顔となるMauro Paganiを迎えて改名。英国とはまた違ったイタリアの素晴らしい叙情性を放ち、EL&PのMANTICOREからPete Sinfieldの戦略で世界デビューまで果たしたイタリアン・シンフォニック・ロック代表グループの74年4th。バロックを強く意識したクラシカルな前作から、プログレッシブな魅力はそのままに、よりポピュラリティーを持ったサウンドを提示した傑作であり、前作同様、イタリアのシンフォニック・ロックを代表する1枚となっています。本作は、イタリア語盤。シンフィールド作詞の「Is My Face On Straight」以外はイタリア語詞。英語版収録の「World Became The World」は収録されていません。
QUELLIを母体に結成され、後にバンドの顔となるMauro Paganiを迎えて改名。英国とはまた違ったイタリアの素晴らしい叙情性を放ち、EL&PのMANTICOREからPete Sinfieldの戦略で世界デビューまで果たしたイタリアン・シンフォニック・ロック代表グループの74年4th。AREAのPatrick Djivasを新ベーシストとして迎えた世界リリース2作目であり、イタリア盤も製作された名盤。前作が旧作からの再録音を中心にしていただけに、PFMの真価が問われることになった本作は、バロックを強く意識したクラシカルな前作から、プログレッシブな魅力はそのままに、よりポピュラリティーを持ったサウンドを提示した傑作であり、前作同様、イタリアのシンフォニック・ロックを代表する1枚となっています。
QUELLIを母体に結成され、後にバンドの顔となるMauro Paganiを迎えて改名。英国とはまた違ったイタリアの素晴らしい叙情性を放ち、EL&PのMANTICOREからPete Sinfieldの戦略で世界デビューまで果たしたイタリアン・シンフォニック・ロック代表グループの75年作。ACQUA FRAGILEからBernardo Lanzettiを迎えて製作されたその内容は、それまでの彼らの個性であったクラシカルな側面が落ち着きを見せ、よりロックのダイナミズムを押し出した作風へとシフトした良盤であり、星条旗に包まれたチョコレートが印象的な英語盤ジャケットからも分かるとおり、アメリカの音楽産業を意識した明快でパワフルなサウンドが素晴らしい傑作となっています。
QUELLIを母体に結成され、後にバンドの顔となるMauro Paganiを迎えて改名。英国とはまた違ったイタリアの素晴らしい叙情性を放ち、EL&PのMANTICOREからPete Sinfieldの戦略で世界デビューまで果たしたイタリアン・シンフォニック・ロック代表グループの75年ライブ作。「The World Became The World」をリリースしたツアーからアメリカ公演の模様を収録しており、スタジオ作の丹念な織物のようなアンサンブルから一転、凄まじいドライブ感とダイナミズムを持った名演を披露しています。非常にテクニカルにもかかわらず全くブレることなく、地中海ロックのダイナミズムとイタリア叙情をを聴かせながら突っ走る様子は、さすがの一言です。
QUELLIを母体に結成され、後にバンドの顔となるMauro Paganiを迎えて改名。英国とはまた違ったイタリアの素晴らしい叙情性を放ち、EL&PのMANTICOREからPete Sinfieldの戦略で世界デビューまで果たしたイタリアン・シンフォニック・ロック代表グループの77年作。Mauro Paganiが脱退したあとの本作は、ヴァイオリニストにGregory Blochを迎えてラテン・フレーバーを散りばめたジャズ・フュージョン色濃いサウンドを提示。前作からの流れでシンフォニックな音像は姿を消していますが、軽快でテクニカルなジャズ・フュージョンサウンドの中にもイタリアの叙情をほのかに感じられるなど、過渡期とは思えない個性はやはり彼ららしい佳作と言えるでしょう。
1987年作。ゆっくりと制作が続けられて世に出たアルバム。80年台、試行錯誤を繰返していきついた音楽性が打ち出されている。ホーン、コーラスなども加え当時のポップスの中にもPFMの姿勢をはっきりと示した。しかしこのアルバムを最後に10年間活動を休止する。
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