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スタッフ佐藤の、コレ好きなんですよ。 – 第九回 P.F.M『ULISSE(ユリシーズ)』

こんにちは、カケレコ・スタッフ佐藤です。

「スタッフ佐藤の、コレ好きなんですよ。」は、一般的にはあまり注目を集めることのない作品ながら「実は良い作品なんだけどなぁ、もっと聴かれてほしいなぁ。」とスタッフ佐藤が日頃から感じている、愛して止まない作品たちを取り上げてご紹介していこうというコーナー。

今回取り上げるのは、名実ともにイタリアを代表するグループであるP.F.Mの97年作『ULISSE』です。

P.F.Mで一番好きなアルバムは?と聞かれたら、かなりの割合の人がワールド・デビュー作となった73年発表の『幻の映像』を挙げるのではないと思います。

たしかに、イタリアン・ロックの存在を世界に知らしめた金字塔とも呼べる作品ですし、英国5大グループの名作クラスと並べてもまったく引けを取らない完成度を誇っていると言って間違いないでしょう。

スタッフ佐藤にとっても、初めて聴いたイタリアン・ロックであり、また初めて聴いた英米以外のロックだったこともあって、思い入れの深さも含め一位には『幻の映像』を選びます。

ただ、ニ番目に好きな作品となると、かなり意見が分かれてくるのではないでしょうか。ワールド・デビュー前のイタリア本国に向けてリリースされた1st、2ndも素晴らしいし、世界進出第二弾となった『甦る世界』も捨てがたい。それ以外の70年代リリース作品を挙げる方もいらっしゃるでしょう。あっ、80年リリースのポップな『SUONARE SUONARE』なんかも好きですね。

じゃあお前はどうなんだ、ということでスタッフ佐藤の二番目はと言いますと、今回ご紹介する97年リリースの『ULISSE』。実際のところ『幻の映像』と時には同率一位になるくらいに好きな彼らのアルバムなのです。

87年リリースの『MISS BAKER』より10年の歳月を経て、再始動第一弾を飾る作品としてリリースされたのがこの『ULISSE』です。
本作、プログレ色はほぼ皆無で、プログレ・バンドとしての彼らの復活を待ち望んでいた往年のファンはもしかすると肩透かしを食らったかもしれません。しかし、開放感のある溌剌としたロック・サウンドを楽しませてくれるかなりの好盤だと思うんですよね。

フレッシュな感性が生きるメロディアス・ロックからAOR的な洗練を帯びたナンバー、そして熱い叙情を湛えたバラードなど、どの曲も軽さがなく中身のしっかり詰まった感じがあるのはさすがです。

そして嬉しいのが全編で聴くことができる堂々たるイタリア語ヴォーカル。彼らは78年の『PASSPARTU』以降、基本的にイタリア語ヴォーカルで作品をリリースしてきましたが、80年代の作品ではどこか音の質感とイタリア語が噛み合っていなかったように個人的には感じていました。それがここに来て、伸びやかなイタリア語ヴォーカルの魅力を目一杯に引き出す楽曲とアレンジが施されていて、『幻の映像』を聴いているときと同等の感動を禁じ得ません。

歌ものロックとして極めてクオリティの高い作品に仕上がっていると思うのですが、いかがでしょうか。好きな方いますかね??

これだけの内容にもかかわらず、90年代唯一のスタジオ・アルバムという位置づけの微妙さもあってか今ひとつ注目されることのない作品なのが残念に思います。

近年は『幻の映像』『甦る世界』など初期の名盤を再現したライヴ盤をリリースし、往年よりのファンを再び惹きつける活動を行っている彼らですが、それももちろん嬉しいものの、プログレ・バンドとして培った演奏力や作曲力を惜しみなく注ぎ込んで作り上げられたこの「普通のロック」にも、また堪らないものを感じています。

Andare Per Andare

「前へ前へ」というタイトルが示すように、迷いなく前進していくような力強い曲調と張りのある歌声が素晴らしいメロディアス・ロック。楽曲を美しく彩るキラキラとしたアコギの音色は、降り注ぐ陽光を受け水面を煌かせる地中海の情景をイメージさせるようです。活動30年に届こうかというグループとは思えないような瑞々しいサウンドが絶品ですよね。

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Il cavallo di legno

ファンファーレのように高らかに響く印象的なシンセのテーマは、いかにもプレモリらしいプレイです。ポップな聴き心地とシンフォニックな高揚感がバランスしたハイセンスな一曲。

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Uno Piu

AOR調のスタイリッシュなナンバー。80年代の作品にも同様のアプローチの曲を試していましたが、打ち込みや人工的な音のシンセがない分、格段に洗練されたサウンドに感じられます。メロディアスでキレのあるギターソロは最高にカッコいいし、最後ピアノの一音で締めるセンスの良さにも痺れます。

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  • PFM / www.pfmpfm.it (il Best)

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