2017年9月1日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ:
9月に入り、暑さも落ち着く兆しが見え始め、夏の終わりが徐々に近づいてきた感じがしますよね。
そんなわけで今回は、夏の終わりをイメージさせるセンチメンタルなプログレナンバーを中心に特集してまいりましょう。
リック・ライト作曲のナンバーの中でも特に人気の高い一曲ですね。独特のまどろみ感を含んだ英国的リリシズムが心地よい歌パートと、ブラスが鳴り響く重厚でドラマティックなパートの対比が実に印象的な一曲。ライトらしいデリケートな感性が滲む名曲です。
3人ジェネシスとなってから最初の作品となった78年作に収録の、ハートフルなポップチューン。バンドがリリースしたシングルとしては当時最高位の全米23位/全英7位を記録しています。陽光に満ちた夏の浜辺を思わせる明るい曲調ながらこのしっとり落ち着いた聴き心地、ジェネシスらしい英国流のセンスを感じさせますよね。
スティーヴ・ヒレッジ&デイヴ・スチュアートという偉大な才能2人によるバンドKHANの72年唯一作、そのラストを飾る一曲。カンタベリーとも正統派ブリティッシュ・ロックとも趣の異なる、切なくもドリーミーなサウンドをテクニカルに紡ぐ個性の塊のような音を聴かせています。歌メロのセンチメンタルな表情が何とも言えず素晴らしい~
前作『HERGEST RIDGE』もジャケット通りの夏の大草原を想起させる名品ですが、凛とした透徹さが全編を覆う本作もこの季節にぜひとも楽しみたいサウンドではないでしょうか。メロウ・キャンドルで知られる女性Voクローダー・シモンズの呪文のようなコーラスとギターがドラマティックに織り上げていくアンサンブルは、崇高なまでの神秘性が感じられます。
ブライアン・イーノ主催の環境音楽レーベルOBSCUREからデビューした、サイモン・ジェフス率いる室内楽アンビエントポップ集団の1stより。アンビエントらしくあまり主張してこないサウンドがゆったりと身を委ねるにはピッタリですよね。とは言え作品としての魅力はたっぷりで、聴きこみにも耐える完成度を持っている点が名盤の所以です。
ザッパ屈指の名演として人気の高いギターインスト曲。揺らめくような音作りが寄せては返す穏やかな波を想起させます。普段ヘンテコで難解な演奏ばかりして楽しんでいると思いきや、ふとこんなにも美しい曲を書いて演奏してしまうところが、ザッパの底知れぬ懐の深さを物語っていますよね。
これまでのクラシカルでシンフォニックな作風から、民族音楽やフュージョンのエッセンスを取り入れイタリア語ヴォーカルへと回帰した78年作からのナンバー。感傷的なギターとエレピの響きと湧き上がるストリングスシンセ、そして切々とした表情のヴォーカルが胸を打つ憂いたっぷりの名バラードとなっています。作品全体としてもリズミカルで躍動的な曲が多い、夏っぽいイメージのある一枚です。
天才チャーリー・ガルシア率いるアルゼンチン・ロックの代表格グループによる記念すべき79年1stから、これでもかと郷愁を誘うセンチメンタルな表題曲をセレクト。南米プログレ特有の叙情性は、ちょうどこの季節にぴったりと合うんですよね~。これは泣けます。
現代イタリアの鬼才FABIO ZUFFANTI率いるシンフォ・グループ、四季をテーマとした連作シリーズの「夏」の作品。夜明けのように幻想的なイントロ。ドラムを合図に、ギターがリリカルに疾走し、メロトロン、フルートが重なる。フィナーレでは、スティーヴ・ハケットが乗り移ったかのようなギター。こ、これは完璧なオープニング曲!
00年代以降最高峰との呼び声も高いスウェーデンのメロディアス・プログレ・グループによる1stからのナンバー。夏の日の朝をイメージさせるセンシティヴで優美に広がっていく透明感ある叙情がひたすら心地いいですよね~。デビュー作1曲目にしてこの完成度は唸るほかありません・・・。
新進気鋭のオランダのマルチミュージシャンによるソロ・プロジェクト、傑作となった13年作。「夏の終わりから秋にかけての郷愁」をテーマに綴られていく、まさにこれからの時期にぴったり合ったファンタスティックさと憂いを帯びた陰影が同居する美しいサウンドを聴かせてくれます。
他の季節別特集も是非合わせてお楽しみください♪
【関連記事】
芸術の秋!プログレの秋!!ということでお送りしている秋に聴きたいプログレ特集。今回は英国編、秋にぴったりの情緒あふれる英プログレ作品をピックアップしてまいりますよ!
サイケデリック・ロック全盛期に登場しデビュー・アルバム『夜明けの口笛吹き』をリリースするも、中心メンバーのギタリストSyd Barrettが脱退。以降、ベーシストRoger Waters、ギタリストDave Gilmour、キーボーディストRick Wright、ドラマーNick Masonという布陣でブリティッシュ・ロック史に残る傑作を連発し、1996年には「ロックの殿堂」入りも果たした世界的なグループ。奥深いテーマに基づいたコンセプト・アルバムの数々は、現在に至るまで多くのミュージシャンたちに影響を与えて続けています。1970年に発表された4thアルバム『原子心母』は、ヒプノシスによる牛のカバー・アート、英単語の直訳をそのまま並べた個性的な邦題、そして、日本盤帯に書かれた「ピンク・フロイドの道はプログレッシヴ・ロックの道なり!」というキャッチ・コピーが広く知られた名盤です。やはり一番の聴きどころは、スコットランド出身の前衛作曲家Ron Geesinをオーケストラ・アレンジャーに迎えた23分のタイトル曲「Atom Heart Mother」でしょう。ブラス・セクションや混声合唱を贅沢に配置したサウンドが、プログレッシヴ・ロック時代の幕開けを宣言するかのように堂々と響きます。一方、Roger Waters作曲の「もしも」、Rick Wright作曲の「サマー’68」、Dave Gilmour作曲の「デブでよろよろの太陽」は、共通して美しいメロディーが印象的な小品。そして、アルバムの最後にはミュージック・コンクレートの手法を用いた「アランのサイケデリック・ブレックファスト」が控えます。なおグループは、本作で初めて全英初登場1位を獲得しました。
David Allenを中心に結成されたプログレッシブ・ロックを代表するバンドGONG。そのGONGを支えたギタリストであり、当時URIELを経たSteve Hillageが、THE CRAZY WORLD OF ARTHUR BROWNのメンバーと共に結成したグループの72年作。URIELやARZACHEL時代の盟友Dave Stewartをゲストに迎えたその内容は、後にHATFIELD AND THE NORTHで開花するDave Stewartの個性と言えるカンタベリー・ジャズ・ロック路線のアプローチに、Steve Hillageらしいスペース・サイケデリックな味付けが冴える作風であり、スペース・ロック、カンタベリーの両ジャンルから見ても重要作と言える、強烈な個性を放つ名盤となっています。
SHM-CD、マスター2008年、ボーナス・トラック2曲、定価1714+税
盤質:傷あり
状態:並
帯有
帯に目立つ折れあり、その他は状態良好です
多重録音という言葉が既に死語となりつつある現代においてさえ強烈な存在感と圧倒的な完成度を誇るイギリスのマルチ・プレイヤーの75年3rd。淡く儚い旋律が印象的な物悲しいイントロで幕を開け 、ケルティックなフレーバーをまぶしながら牧歌的な叙情を感じさせます。女性ボーカルの効果的な登用、そしてアフリカン・パーカッションはじめ民族楽器の導入によるエキゾチックさも楽曲に上手く溶け込み、それを覆う爽やかな雰囲気は彼の一番の個性と言えるでしょう。精神を病むほどに追い込まれながら、一切の妥協なく練り上げられた名盤です。
KING CRIMSON、PINK FLOYD、YES、EMERSON,LAKE & PALMERと並び、ブリティッシュ・プログレの「5大バンド」のひとつに数えられる重要グループ。ヴォーカリストPeter Gabrielによる演劇的なステージ・パフォーマンスと、寓話的に彩られたシンフォニックな楽曲で70年代前半を駆け抜け、Peter Gabriel脱退後はドラマーPhil Collinsを中心とした体制で活動。80年代以降はポップなアリーナ・ロック・バンドへと変貌し、プログレッシヴ・ロックに留まらず世界的な成功(2010年「ロックの殿堂」入り)を収めたグループです。1978年に発表された9枚目のスタジオ・アルバム『そして3人が残った』は、ギタリストSteve Hackettが脱退しPhil Collins、Mike Rutherford、Tony Banksの3人編成となったGENESISの初めてのスタジオ・アルバム。新たなギタリストは加入せず、Mike Rutherfordがギタリストも兼任(ライブではギタリストDaryl Stuermerがサポート)するスタイルとなっています。収録曲数が増加(11曲)し、各曲の演奏時間がコンパクトにまとめられていることからも分かる通り、プログレッシヴ・ロックの成分を残しながらポップ化に向けて舵を切ったアルバムと言えるでしょう。本作は全英アルバム・チャートに32週チャート・イン(最高3位)する好記録を打ち立て、また、シングル・カットされた「フォロー・ユー・フォロー・ミー」は全英シングル・チャート7位に輝きました。
コメントをシェアしよう!
カケレコのWebマガジン
60/70年代ロックのニュース/探求情報発信中!