2014年7月16日 | カテゴリー:ユーロ・ロック周遊日記,世界のロック探求ナビ
タグ: プログレ
毎回ユーロロックの名盤をピックアップしてご紹介する「ユーロロック周遊日記」。本日は新鋭より、ポーランドのシンフォニック・ロック・グループLEBOWSKIの2010年リリースのデビュー作『CINEMATIC』をピックアップいたしましょう。
LEBOWSKIは02年に結成された4人組のシンフォ・グループで、2010年リリースの本作『CINEMATIC』が現時点での唯一の作品となります。
本作でまず目を奪われるのが、なんと言っても路上に折り紙の船がポツンと佇む物語性を感じさせるあまりに美しいジャケットデザイン。それに加えCINEMATICという作品タイトルや、「MUSIC FOR A NON-EXISTANT FILM」という説明からわかるように、架空の映画のサウンドトラックというコンセプトのもとで制作されたのが本作です。
そのサウンドは往年のピンク・フロイドを彷彿させる、空間的な奥行きがあって映像喚起的な音世界を築き上げるイマジネーション豊かなシンフォニック・ロック。一部に語りや女声ヴォカリーズが入る以外は全編インストゥルメンタルとなっており、ギターとキーボードが透明感溢れる美麗なトーンによって紡ぎだすアンサンブルの美しさはまさしく絶品の一言。しかし決してファンタジックなサウンドではなく、どこまでもリアリスティックで醒めた音像なのがフロイドに通じるところで、非現実的なファンタジー的世界観を味わわせてくれる多くのシンフォニック・ロックとは一線を画するサウンドを作り上げているんですよね。アンサンブルは極めて洗練された隙のないものですが、そんな中にも東欧的な陰影がうっすらと滲んでいるのがまた見事です。
では本作からのナンバーをお聴きください♪
1.TRIP TO DOHA
2.137 SEC.
10.HUMAN ERROR
いかがですか?ストリングス系のさざ波のようなシンセとピアノを効果的に用いた透徹なキーボードワークに、キャメルのA.ラティマーを硬質にしたようなギターが駆け抜ける、美麗さと緊張感が均衡する演奏は、どこまでも神秘的でゾクリとするような美しさを湛えています。なにか「刹那の美学」という言葉が頭をよぎる、そんなサウンドですよね。ちなみに試聴の3曲目はタイトルから分かるように「2001年宇宙の旅」をモチーフにしたナンバーとなっています。
第2作を製作中というアナウンスがあってからかなり時間が経っていますが、これだけのクオリティを持つバンド、そろそろ新作を聴かせて欲しいところですよね。
ポーランド産の新鋭シンフォニック・ロックバンド、10年作。時にメロウに揺らめく柔らかな音色を聴かせ、時に重々しく硬質なリフレインで攻める硬軟自在のギター、艶やかに輝くシンセと一音一音が張りつめた叙情美を放つピアノが印象的なキーボードが織りなす、東欧らしい耽美的なメランコリーを強く感じさせるシンフォニック・ロック。全編にわたって荘厳かつ緊張感に満ちた演奏が展開されますが、並み居るポーランド勢のなかでも随一と言える鮮烈な美しさに満ち溢れたアンサンブルは、シンフォファンならば必聴レベルの素晴らしさ。ほぼインスト曲で占められている中で、美声の女性ヴォカリーズと憂いを秘めた演奏がドラマティックに絡み合う楽曲は本作の大きな聴き所となっています。東欧的な翳りを持ったアンサンブルに力強く壮麗な叙情美が感じ取れる名作です。
ポーランド出身、2010年のデビュー作で完成度の高いシンフォニック・ロックを聴かせた注目グループによる待望の2作目となるライヴ・アルバム。前作「CINEMATIC」から2曲+新曲8曲を演奏。無駄なく鳴らされるタイトなリズム・セクションを土台に、東欧らしいうっすらと翳りのあるシンセサイザーと気品あるクリアなピアノ、クリーントーンによる浮遊感あるプレイとザクッとリフを刻むヘヴィなプレイを弾き分けるギターらがメランコリックかつスタイリッシュに紡ぐ哀感溢れるシンフォニック・ロックは、間違いなく前作と変わらぬ感動をもたらしてくれます。スペイシーな感覚も含む浮遊感ある音像は系統で言えばピンク・フロイドに近いですが、ギターが随所でオリエンタルなフレーズを織り交ぜていたり、曲によってモノローグ調のヴォーカルが入ったりと、〜タイプと一言では言えないオリジナリティが光ります。ゲストミュージシャンによる哀愁たっぷりのフリューゲルホルンも、彼らの音楽性に最高にマッチしていてただただ絶品です。曲の終わりに拍手が入ることで初めてライヴ録音と意識しますが、演奏の緻密さや静謐な空気感はスタジオ録音とも遜色ない完成度の高さ。7年ぶりの作品であることを感じさせない、前作での感動を変わらず味わわせてくれるライヴ名品となっています。オススメ!
ポーランド出身、2010年のデビュー作で完成度の高いシンフォニック・ロックを聴かせた注目グループ。17年のライヴ・アルバムを経てリリースされた通算3作目となる19年作。重々しくタイトに刻むリズム・セクションに支えられて、クリアかつ無機的なトーンのシンセやピアノ、一音一音に哀愁をほとばしらせる泣きのフレーズ満載のギターが紡ぐインスト・シンフォニック・ロック。全体にスペイシーで冷ややかな印象のキーボード、激情に駆られるようなプレイに息を呑む肉感的なギター、温度差ある両者の音色が重なり合い、仄暗さと温かみを帯びた独自の作品世界を作り上げており素晴らしいです。彼らも同国の多くのバンドが志向するピンク・フロイド的な映像喚起性を有しますが、前ライヴ作でも登場したクラリネットやフリューゲルホルン、マンドリンらが他バンドとは一線を画する繊細な叙情美を添えており聴きどころとなっています。「架空の映画のサウンドトラックを作る」という結成当初からの活動コンセプトがあるだけに、なるほどダイナミックで存在感あるアンサンブルを聴かせながらも、映像を鮮やかに浮かび上がらせるようなサントラ的な奥ゆかしい音作りセンスも随所で感じ取れます。フロイド・ファンには是非おすすめの、ドラマチックかつイマジネーションに富んだ傑作です。
まさか00年代のエストニアに、ソフト・マシーンやハットフィールドのDNAを継ぐカンタベリーなグループが生まれるとは・・・。硬質さとリリシズム、それを包むエストニアならではの透明感。絶品です。
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