2022年11月2日 | カテゴリー:ライヴ・レポート,世界のロック探求ナビ
10月30日に東京のGARDEN新木場FACTORYで開催されたプログレ・フェス「新未来派 (Nuovo Futurismo)~現代音楽とロックの今」に行ってまいりました!
副題にもある通り、現代音楽×ロックの先端を行く7組のアーティストが出演。
いずれ劣らぬ素晴らしいパフォーマンスを披露してくれましたよ~!
フェス出演アーティストの紹介動画はコチラ。
なお4日18:00より、本フェスの有料配信が開始しております。
本当に素晴らしい内容でしたので、ご興味のある方は是非ご覧いただければと思います!
詳細は下記URLをクリック
https://zaiko.io/event/352162
最初のステージはプラスチック・ドッグス。
サックス・フロント、Wギター、ドラムスという変則的な4人組グループです。
リーダーは、吉田達也とのユニットやアシッド・マザーズ・テンプルとの共演などで知られるサックス奏者、小埜涼子さん。
地元の名古屋を拠点に活動しており、バンドとして関東方面に来て演奏するのは今回が初との事でした。
のっけから凄まじい強度のヘヴィ・プログレが炸裂してビックリ。
Wギターなだけに音圧が凄いのは納得なのですが、それに一人で対抗できるノイジーに荒れ狂うサックスの存在感がもうとんでもない!
そのサウンドから真っ先に浮かんだのが、【キング・クリムゾン+「Palepoli」オザンナ】というワード。
MCでしゃべってる感じは何の変哲もない女子なのですが、演奏に入ると途端に恐ろしいほどに重量感あるプレイで主役を張っていて圧巻でした。
変拍子を自在に叩き出すドラムもカッコ良かったし、終盤の激しいギターバトルも盛り上がりましたね~。
すでに2枚のアルバムをリリースしており、サウンドはこんな感じ。
気になった方は是非チェックしてみてください!
ステージ転換中には主催の岩本晃一郎さんと、ゲストで「タルカス」のクラシック編曲でお馴染みの作曲家・吉松隆さんが対談。
吉松さんの実績を通じ、現代音楽(クラシック)とロックの関わりの歴史と今後について、とても興味深いお話を聞くことが出来ました。
そしてその流れで登場したのが、吉松さん作曲の「アトム・ハーツ・クラブ組曲」を演奏するためにN響のメンバー14人によって結成されたアトム・ハーツ・クラブ・アンサンブル。
「タルカス」冒頭そのままのスリリングなオープニングから持っていかれました。
編成は純クラシックでありながらも確かなロック・スピリットを感じさせてくれる、優雅さと躍動感に満ち満ちたパフォーマンスが実に素晴らしかったです。
次はベテラン高円寺百景が登場。
プログレ・ファンにとっては言わずと知れたグループかもしれません。
鬼才ドラマー吉田達也をリーダーに91年から活動する人気アヴァン・プログレ・バンドですね。
もう彼らを表現するには「和製MAGMA」、これに尽きるのではないでしょうか。
この表現がまったく過剰ではないというのは、彼らの楽曲を聴いたことがある方なら誰もが納得するところでしょう。
猛烈な手数で叩きまくりながら時には異星の言語で歌う吉田達也氏のパフォーマンスはもはや異次元レベル。
そんなドラミングに難なく追従するベースももちろん聴きモノです。
狂乱の渦を生み出すサックス、キーボード、ギター、そしてオペラの素養を生かしたとんでもない声量&声域を誇る女性ヴォーカルという類稀な個性がぶつかり合い、極めてMAGMA的アプローチでありながら決して高円寺百景以外では体験できない強靭にして摩訶不思議な世界観を形成します。
ラストの超速クラシック・メドレーも痛快でした!
この時のステージ転換中にも対談が挟まれ、今度は現N響の指揮者で吉松さんとのコラボレーションでも活躍中の原田慶太楼さんも加わって、クラシックとロックについての熱い談義で盛り上がります。
前編と合わせてわずか30分程度、これ単独でイベントをしてほしいと思うくらいもっと聞いていたい面白さでした。
続いての登場が黒田亜樹&神田佳子。
イタリア在住のピアニスト黒田亜樹さんと、パーカッショニスト神田佳子さんのデュオで、ご両人とも普段は現代音楽のフィールドで活躍されています。
黒田さんはかつて「タルカス&展覧会の絵」というアルバムで、ELPの現代音楽アレンジに挑戦、キース・エマーソンから熱い賛辞を受けた経歴の持ち主。
ということで今回のステージでも、「ピアノ協奏曲」「ホーダウン」「展覧会の絵」、そして目玉の「タルカス」とELPナンバーの数々を2人で演奏してくれました!
特に「2人タルカス」は壮絶の一言でしたね~。ピアノ一台にも関わらずあのオルガンの広がりやムーグのうねりが聴こえてくるような躍動感みなぎるプレイを聴かせる黒田さん、そして自身の周囲にぐるりと配された打楽器群を忙しなく動き回りながら演奏する神田さん。
ピアノ+打楽器という編成でも、そのサウンドはまぎれもなく「タルカス」で、圧倒的な光景を前に言葉を失ってしまいました。あれは是非ライヴで体験して欲しいパフォーマンスでしたね。
たびたび笑いが起こるMCも楽しかったなぁ~。
そして5組目は、岩本さんがプロデュースを務める気鋭のシンフォニック・ロック・グループAnna Hardy & The Lunatic Spells。
元Mizuki Da FantasiaのピアニストAnna Hardy率いるグループで、2020年には1stアルバムをリリースしています。
持ち前のクラシックの高い素養を生かした劇的で気品高いシンフォニック・ロックは、ライヴでも変わらぬ魅力を放っていました。
ピアノ、オルガン、チャーチ(風)オルガン、シンセ、メロトロンといったキーボード群が贅沢に鳴りまくるパフォーマンスは、何度かライヴに足を運んできましたが、何度体験しても「鮮烈」。
脇を固めるYUKA & CHRONOSHIPでもお馴染みの演奏陣も、主役のピアノ&キーボードを抜群の安定感で支えつつ、ここぞではギターやセカンド・キーボードが前に出てテクニカルかつダイナミックに躍動。
さすがの好演を聴かせてくれていました。
荘厳なシンフォニック・ナンバーの合間にピアノ演奏されたシベリウス「樅の木」も、あまりに可憐で聴き惚れてしまいました。
2月には単独ライヴ、そして2ndアルバムのレコーディングも近く開始されるとの事で、今後の活動にも期待が高まります!
6時間超に及んだフェスのトリを飾ったのが、渋さ知らズオーケストラ。
時間が押してのスタートだったこともあり、帰宅する人もちらほら。「すこし寂しいな~」と思いましたが、そんなことはものともせず、コール&レスポンスなどおとなしめの観客を巻き込んで熱~いパフォーマンスをみせてくれました!引き込まれるようにステージの近くへ向かう人もいましたよ。
「渋さ知らズは渋さ知らズしかできません!」という宣言通り、まさに唯一無二、この空間、この瞬間を楽しむステージでした!
長丁場ながらとにかくパフォーマンスの密度の高さが凄くて、時間の流れの早いこと。
まさに日本のプログレ/アヴァン・ロック・シーンの底力を見せつけてくれるフェスでしたね。
第2回もぜひ開催希望です!
デジパック仕様、デジタル・リマスター、定価2900+税
盤質:全面に多数傷
状態:良好
帯無
帯無、盤に研磨跡あり、スレ・側面部に若干色褪せあり
2017年にデビューし3枚のアルバムを残したMIZUKI DA FANTASIAのピアニスト/キーボーディストによる20年ソロ・デビュー作。クラシックとロックの真なる融合を目指し制作されたという本作、一曲目の組曲からその圧倒的な美意識に貫かれた壮麗な音世界に息をのみます。繊細に奏でる序盤から徐々に力強いタッチで躍動しはじめるダイナミックなピアノと大河の流れのごとく雄大なメロトロンが重なり、ソプラノ・ヴォーカルも交えて展開するサウンドは、キーボード・プログレ・ファンなら歓喜すること間違いなしです。古典クラシックに迫る風格を備えた自作のパイプ・オルガン独奏曲も素晴らしいし、叙情美溢れる旋律を紡ぐピアノと荘厳なヴァイオリンやチェロが繰り広げる『Conserto Grosso』ばりのクラシカル・ロックもこれでもかと熱くドラマチック。モーツァルトやシベリウスの曲も収録しており、クラシック奏者としての矜持を感じさせるピアノの表現力にも注目です。まさに「クラシック+ロック」の理想形を封じ込めたと言える傑作デビュー作!
盤質:傷あり
状態:良好
帯-
情報記載シールなし、スリップケースに軽微なスレ・小さい圧痕あり
盤質:傷あり
状態:並
帯-
スリップケースにスレ・圧痕・若干黄ばみあり
ストレンジ・デイズの岩本晃市郎氏がプロデュースのほか作詞・作曲・アレンジ等に全面参加する新鋭で、沖縄出身の女性ヴォーカリストMizukiと女性ピアニスト/キーボーディストAnna Hardyを中心とするプログレッシヴ・ロック・グループ、前作から1年で届けられた19年3rdアルバム。デビュー作に顕著だった70年代ジャパニーズ・ロックから現代のJ-POPへと受け継がれる日本人の耳に馴染みのある情緒に富んだメロディライン、そして前作で大きくフィーチャーされたメロトロン/ピアノ/オルガンが作り上げる中世音楽的エレガンスを帯びたシンフォニック・ロック要素。ライナーでも語られている通り、それら過去2作品の特色を組み合わせた、MIZUKI DA FANTASIAならではの音楽性を突き詰めたサウンドとなっていてこれは見事です。上記3種のキーボードが折り重なり厳かかつ慈愛に満ちた音世界を生み出す中を、凛とした美しさにブルージーな哀愁を加えたようなヴォーカルが圧巻の表現力で歌い上げる前半は、胸打たれるバラードが満載。後半になるとムーグをはじめとするシンセサイザーが唸りを上げ、プログレ然としたスケール大きな演奏が繰り広げられます。YUKA & CHRONOSHIPで活躍するゲスト演奏陣による重量感みなぎるプレイにも注目です。ロックが最もエネルギーに満ちていた1969年から半世紀が経ち、来たる新たな時代へと向けられた作品となっています。前2作が気に入ったなら本作もマスト!
コメントをシェアしよう!
カケレコのWebマガジン
60/70年代ロックのニュース/探求情報発信中!