2020年2月7日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
こんにちは。スタッフ増田です。
クリーム、ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス、ブルー・チアー・・・何の因果か、ハード・ロックやヘヴィ・メタルの礎を作り上げたとされるバンドはトリオ編成が目立ちますね。
バンドとして最小単位(2人組バンドもいるにはいますが)だからこそ各楽器が最大級の音を出し、最大限にぶつかり合うハード・ロック・トリオ、通称「パワー・トリオ」。今回はそんなトリオ編成によって生み出された名盤を辿ってまいりましょう。
エリック・クラプトン&ジャック・ブルース&ジンジャー・ベイカーによる最強トリオ。ジャズやサイケ、ブルースを飲み込んだ強靭なインスト・バトルにキャッチーなメロディ。ハード・ロックの原型を築いた歴史的名盤!
米国からやってきた天才黒人ギタリスト、ジミ・ヘンドリックスが英国人のノエル・レディング&ミッチ・ミッチェルと組んだ歴史的トリオ・グループ。ジミヘンの圧倒的ギター・プレイに耳を奪われがちですが、それをパワフル&グルーヴィーに支えるベース&ドラムの腕もかなりのものですよね。
HR/HMの源流の一つともされる、轟音渦巻くヘヴィ・サイケ大名盤。野太いベースにドラムがズシズシ響き、ファズ・ギターがうねる。68年とは、トリオとは思えないものすごい音圧!
サイケデリック・ロックをラウド化し、さらにプログレッシヴ・ロックへの流れとも呼応した荘厳なサウンドは、69年とは思えない完成度。英国ハードの歴史を紐解く上での重要性はツェッペリン1stにも匹敵する元祖英ハードの名作!
ニューヨークはブルックリン出身の轟音ハード・ロック・トリオ、70年のデビュー作。サバスを凌駕するヘヴィネスとガレージ・サイケ由来の初期衝動・・・こちらも元祖HR/HMとして外せない大名盤!
米国ハード・ロックを代表するトリオと言えばグランド・ファンク・レイルロード。こちらの4thは彼らの作品の中でも特に硬派でブルージーな一枚ですね。一切の無駄を省いた3ピースによる力強く生々しいアンサンブルが楽しめる好盤。
言わずと知れたギターの名手ジェフ・ベックと、ヴァニラ・ファッジ~カクタスで活躍した「米ロック界最強のリズム隊」ボガート&アピスが73年に残したアルバム。その化学反応たるや・・・凄まじすぎ!
69年から現在まで同メンバーで活動する、テキサス出身の名ハード・ロック・トリオ。豪快でブルージーな中にもどこか捻ったユーモアが炸裂していたり、メンバー全員がサックスを吹いていたりと、彼ららしい独特のサウンドが楽しめる79年の代表作。
カナダが誇る偉大なるプログレ・ハード・トリオといえばRUSH。ツェッペリン・スタイルの直球ハードでのデビューから、SFをモチーフにしたコンセプチャルなプログレ色を増しながら、さらに全米に轟くキャッチーなメロディという武器も手に入れた80年の名盤!
ここからはちょっぴりニッチなパワー・トリオ作品をご紹介してまいります。
元クリームの天才ベーシストのジャック・ブルース、米ハード・ロックの雄マウンテンのレスリー・ウェスト&コーキー・レイングによる英米混声スーパー・トリオ。リリース時は高く評価されなかったようですが、ツェッペリンやジェフ・ベック・グループとタメを張れる重量級ハードの名作ですよ!
こちらはクリームのジンジャー・ベイカーとGUNのエイドリアン&ポール・ガーヴィッツ兄弟による夢のトリオ。ガーヴィッツ兄弟による鉄壁のアンサンブルに、あのベイカーのドラムが暴れまくるときたら、もう!
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カエルジャケが世界にどれだけあるのかは知りませんが、インパクトではNo,1ではないでしょうか。当時「クリームの再来」とも謳われたというスイスの名ハード・ロック・グループ!
こちらは日本発のパワー・トリオ。といってもメンバー3人共が混血という出自なのですが、それを除いてみてもある意味で日本人離れした、ケタ外れにヘヴィ&ブルージー&スモーキンなサウンドが飛び出す名盤。70年代初頭にしてこの本格感ぷんぷんのサウンドは驚異的です…。
原盤は激レアとして知られるオクラホマのブルース・ハード、77年唯一作。トリオ編成だけど2本のギターが録音されていて、バッキバキに歪んだ2本のギターが絡み合って炸裂してもうカッコ良し!
最後はなんと70年代エストニアの伝説的ハード・ロック・トリオ。ツェッペリンも思わせるブルージーな演奏を土台に、イタリアン・ロック彷彿のダイナミックさ、説得力あるエストニア語のヴォーカルを乗せた、哀愁ハード・ロック・ファンには堪らぬ逸品!
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Eric Clapton、Jack Bruce、Ginger Bakerによる最強トリオ。67年作2nd。代表曲「Sunshine Love」など、ブルース、ジャズ、サイケが渦巻くインスト・バトルとキャッチーなメロディが共存した光り輝く名曲・佳曲揃い。ロック史に燦然と輝く名盤。
MQA-CD×UHQCD(すべてのCDプレイヤー再生可/ハイレゾ再生にはMQA対応機器が必要)、クリアファイル帯仕様、ボーナス・トラック6曲、米国オリジナルアナログテープを基にした2013年DSDマスターを176.4kHz/24bitに変換して収録、定価3000+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
ガーヴィッツ兄弟のキャリア出発点となった英ハード・ロック・グループ、68年作1st。トリオ編成ならではのパワフル且つ自由度の高いアンサンブルに、68年らしくサイケデリックなアレンジが多く施された個性際立つハード・ロック・サウンドが今尚新鮮な一枚。代表曲「Race With Devil」では、導入での荘厳な男声コーラスから、疾走感溢れるギター・リフ、タイトなドラム、太いベースが一体となった粘り気のあるヘヴィなアンサンブルへと雪崩れ込むように展開。禍禍しく笑い声を発するヴォーカル、狂乱を煽るホーン・セクションも加わり、混沌としたウネリが堪らない魅力となっています。サイケデリックな多重録音とヘヴィなインプロヴィゼーションが融合した大作「Take Off」やガーヴィッツ兄弟らしい泣きのギターがストリングスと絡む「The Sad Saga Of The Boy And The Bee」など聴き所満載。英国ハード・ロック誕生期の名盤。
スイス屈指のハード・ロック・バンドによる71年のデビュー作。ドイツのサイケデリック・ロック・バンドBRAINTICKETで活動していたベースのWerner FrohlichとドラムのCosimo Lampisを軸に、英サイケ/スペース・ロック・バンドHAWKWINDで活動していたギターのVittorio ‘Vic’ Vergeatが参加してスイスはバーゼルにて70年に結成。ヴォーカルには後にISLANDでも活躍するBenjamin “Beni” Jaegerを起用して制作されたのがこの71年1stアルバム。凶暴に歪んだギターがヘヴィに刻むリフを中心に、ジャック・ブルースばりに暴れまわるベースと、ジョン・ボーナムの重さとジンジャー・ベイカーの手数を合わせたようなドラムが重戦車の如く畳み掛けるアンサンブルは凄まじい音圧。ツェッペリンの重量感、パープルのスピード感とキレ、サバスの凶暴さが合わさった聴き手をなぎ倒さんばかりのハード・ロックをプレイします。ロッド・スチュワートやピーター・フレンチばりのしわがれヴォーカルも魅力的で、アコースティックなパートで聴かせる叙情性もまた一級品。これはスイスのみならずユーロが誇る、と言っても過言ではないハード・ロック傑作!
ジェファーソン・エアプレインらが鳴らしたいわゆる「シスコ・サウンド」とは一線を画す、ヘヴィでワイルドなシスコ産サイケ・ロックを提示した超重要トリオの記念すべき68年デビュー作!ガレージ、サイケデリック・ロックの大名盤としても、ハード・ロック、メタル・ロック確立以前のDNAを併せ持った、プレ・ハード・ロックの名盤としても力強いサウンドを聴かせています。ジャンルや理屈を超えて迫ってくる音のカタマリが当時のサイケデリック・シーンの物凄さを伝えているように感じられますね。Eddie Cochran「Summertime Blues」の強烈カヴァーで幕開ける冒頭の段階で完全にノックアウト!圧倒的にヘヴィでエネルギッシュな音像に頭から呑み込まれてください。
陳信輝、加部正義、Joey Smithによって結成されたへヴィ・ロック・トリオ、71年リリースの記念すべき1st。噴煙を巻き上げ荒れ狂うようなブルージーでスモーキーで凶暴なファズ!地鳴りの如く歪みまくったベース&タイトに暴れ回るドラム!3人ともが混血という出自のことを除いてみても、ある意味で日本人離れをした、ケタ外れにヘヴィでブルージーなロックを響かせています。
元クリームの天才ベーシスト、ジャック・ブルースが米ハード・ロックの雄、マウンテンのギタリスト、レスリー・ウェストとドラマーのコーキー・レイングと組んだスーパー・トリオ。72年のデビュー作。中域寄りのコシのあるギターがヌケの良いギター・リフを弾き、ジャックのベースがブイブイと動き回る!レスリーの太くエネルギッシュなシャウト・ヴォーカルも悶絶ものです。リリース時は高く評価されなかったようですが、トリオらしいソリッドなサウンドは相当にカッコ良いです!ツェッペリンやジェフ・ベック・グループとタメを張れる重量級ハードの名作!
エストニア・ロック・シーンの名ドラマー/ヴォーカリストGunnar Grapsが70年代に率いたギタートリオ編成のハード・ロック・バンド。70年代前半に録音された音源10曲を一枚のアルバムとして編集した18年リリース作品。変則的な内容ではあるものの、各曲にみなぎるエネルギーは並ではありません。イタリアのBIGLIETTO PER L’INFERNOやRACCOMANDATA RICEVUTA RITORNO等を想起させる、幻想的なアコースティック・パートとゴリッとヘヴィなハード・ロック・パートで構築された1曲目から素晴らしく、イタリアン・ロック・ファンならここで早くもハートを鷲掴みにされそう。エッジの立ったスピーディなギターリフに乗ってヴォーカルがユーモラスに歌う2曲目、饒舌なギターとヴォーカルの絡みが絶品なけだるいブルース・ロックの4曲目も素晴らしく、エストニアということ忘れるほどのメインストリームな本格感が漂います。ブルースを土台に細かなニュアンスにまでこだわった高い表現力を持つギターはもちろん、テクニックに裏打たれた安定感と共にグイグイと演奏を引っ張る性急なビート感も持ち合わせたGunnarのドラミングも見事です。しかし最大の魅力と言うなら、Gunnarの全編にわたりこれでもかと哀愁たっぷりに歌い上げるエストニア語ヴォーカル。ヨレヨレのようでいて不思議な説得力を帯びた歌声には何か天性のものを感じさせます。辺境哀愁ハード・ロックとして、これは多分とんでもない発掘モノ!
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