2019年7月20日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ,今週のカケレコFacebook
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7月20日は、人類史上初となった1969年の月面着陸からちょうど50年という記念すべき日だとか。
月面着陸といえば、荒涼とした月の大地に星条旗を立てる宇宙飛行士の幻想的な写真が思い浮かびますよね。
それにちなんで、今週は「宇宙飛行士ジャケ」というテーマでFacebookに投稿してまいりました。どうぞご覧ください。
まず最初はスコットランドのプログレ・グループ、BEGGARS OPERAの72年作3rd『PATHFINDER(邦題:宇宙の探訪者)』をご紹介いたしましょう。
1970年に英国Vertigoレーベルからデビューした彼らですが、何と言ってもその最高傑作と言えるのがこの3rd。
武骨に歪んだギターと叙情的でキメ細かいオルガンが絡み合うハード・プログレを基調としながらも、随所に光る繊細なメロディと緻密で壮大なアレンジ…。
Richard Harris「MacArthur Park」のプログレッシヴなカヴァーも披露しつつ、全体を通して文学作品に触れているかのような、重厚で幻想的な作品世界を創り上げているのが見事ですよね。
「pathfinder」とは「先駆者、開拓者」という意味だそうですが、まさに馬に乗って孤独に宇宙を駆ける冒険者の姿が脳裏に浮かんでくるような完成度の高い一枚です。(増田)
今日ピックアップするのは、キャンド・ヒートの『FUTURE BLUES』です。
戦前のブルース・マン、トミー・ジョンソンの「Canned Heat Blues」にちなんだこのバンドは、熱心なブルース・マニアであるアラン・ウィルソンとボブ・ハイトによって結成されました。
今作はこのあと夭逝してしまうアラン・ウィルソン在籍最後の70年作です。
ブルージーなハーモニカ、今作から加入のハーヴィー・マンデルの奥行きあるギター、そしてボブ・ハイトの巨体から発せられる骨太なボーカルと、飄々としたアラン・ウィルソンのボーカルの対比が魅力的です。
それにしても、星条旗を逆さに立てているこのジャケット、何を意味しているのでしょうか。(みなと)
本日は、THE FLOWER KINGSで知られるギタリストRoine Stoltが70年代に参加した、スウェーデンのグループKAIPAによる76年2nd『INGET NYTT UNDER SOLEN』をピックアップ!
タイトルは『Nothing New Under The Sun』を意味しますが、宇宙で未知なるものを探すため訓練にいそしむ宇宙飛行士たち、という感じでしょうか。まだ地上ですもんねこれ。
サウンドの方は、1stの延長線上にあるCAMELやYESの影響を色濃く感じさせるファンタジックなプログレ。
となると、このある種リアリスティックなジャケットは一見ミスマッチにも思えそうですが、スケール大きくフレーズを紡ぐギターや時にミステリアスに響くエレピなどが、何となく宇宙の広がりや深遠さをイメージさせる気がしてきます。
冒頭から20分超えの大作で一気に聴き手を作品世界に惹き込む、北欧プログレ史上屈指の傑作です。(佐藤)
最後にご紹介するのは、米国のブルース・ギタリスト、ロイ・ブキャナンによる78年のアルバム『YOU’RE NOT ALONE』です。
このロイ・ブキャナンという人、名前はあまり有名ではありませんが、かのジェフ・ベックやエリック・クラプトンなどの伝説的ギタリストにも影響を与えた偉大なるミュージシャンズ・ミュージシャン。
その特徴は何と言っても愛用のテレキャスターから放たれる、まろやかで、なおかつとてつもない哀愁を含んだエモーショナルなギター・サウンド!
たっぷりと間を活かして繊細なフレーズを奏でたかと思えば時には鋭い速弾きで盛り上がりを見せ、そしてその盛り上がりが最高潮に達した所で「キュイイーン」と魂のピッキング・ハーモニクスが炸裂。一音一音、隅々に至るまで感情の込められたそのプレイには聴き手の時間を止めるほどの威力があります。
さて70年代に彼はコンスタントにソロ・アルバムをリリースしていましたが、この78年作はと言えば商業的に成功を収められず、彼が一時的にソロ活動を休止するきっかけとなってしまった作品。
ジャケのイメージ通りスペーシーなシンセなどの要素を取り入れていたり、また『レスポールとの遭遇』という邦題通りトレードマークのテレキャスターからギブソン・レスポールに持ち替えて録音されたりなど、それまでにない試みに取り組んだ意欲作ではありますが、従来のファンには受け入れ難かったのでしょう。
とはいえ彼のガツンと来るギター・プレイの素晴らしさは全く衰えていないし、レスポールの甘く野太い音色も絶品。幻想的なキーボードに乗せて彼のギターがひたすらにブルージーな旋律を綴る「Fly…Night Bird」の心地よさは彼の楽曲の中でも屈指です。
「ストーンズからの誘いを蹴った男」として知られ、陰でミュージシャンからの尊敬を集め続けてきたロイ・ブキャナン。もっともっと多くの人に聴かれるべき名ギタリストですね。(増田)
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70年代にVERTIGOレーベルからクラシカルな英プログレ名作をリリースした名グループ。オリジナル・メンバーのギタリストRicky Gardinerを中心に新装結成されたグループ、07年作。切れ味鋭いリフ&透き通った泣きのソロともに魅力溢れるギター、スペーシーに鳴り響くメロトロン、シャープなトーンのモダンなリズム隊など、往年のPINK FLOYDやHAWKWINDにも通じるサイケデリック感漂う幻想的なサウンドが印象的。初期の作品にも一時参加していた女性メンバーVirginia Scottのメランコリックで透明感溢れるヴォーカル(若い!)も聴き所。古色蒼然としたプログレを現代のサウンドへと見事にアップデートした力作です。
ヴァーティゴ・レーベルを代表するバンドの一つBEGGARS OPERAの初期作品4枚を、新規リマスターを施し、2枚組にまとめたアンソロジー。『ACT ONE』『WATERS OF CHANGE』『PATHFINDER』からの全曲に加え、4作目『GET YOUR DOG OFF ME』より一部の楽曲を収録。リマスター効果によりオルガン、ピアノ、ハープシコードなどの鍵盤サウンドに綺羅びやかさが増しており、このバンドの魅力である垢抜けなさとエレガンスさが絶妙に入り交じるサウンドがより活き活きと輝き出します。『ACT ONE』のみ、あるいは名作『PATHFINDER』のみしか聴いたことがないという方には、まさにうってつけのアンソロジー集となっています。
イギリスのプログレッシブ・ロックバンドの72年3rd。その内容はデビュー作からの流れを全て昇華し洗練させた彼らの代表作であり、ブリティッシュ・プログレッシブ・ロックの名盤です。クラシカルなオルガンとピアノ、ブルース・フィーリングをたっぷり含んだギター、無骨なリズムセクション、そして牧歌的な味わいを持ちながらも洗練されたメロディーラインでトータルに聴かせており、もちろんメロトロンなどの叙情的なサウンドも健在。Jimmy Webb作/Richard Harrisをオリジナルとする「MacArthur Park」の名カバーも収録した英国ロックの名盤です。
オリジナルkey奏者Hans Lundinを中心に、MATS/MORGANのMorgan Agren(dr)、RITUALのPatrick Lundstrom(vo)など強力メンツによる07年作!
北欧を代表するシンフォ・グループ、2010年作。1曲目のオープニングからもうテンション最高潮!瑞々しく躍動するリズム、どこまでも上っていくようなメロディアスなリード・ギター、ヴィンテージなトーンに心温まるキーボード。北欧らしい手工芸のような繊細さと温もり、そしてロックのダイナミズム。圧倒的な高揚感!紅一点Aleena Gibsonのヴォーカルも存在感をグッと増し、ドラマティックなヴォーカル・パートも圧巻です。このオープニングを聴いて心躍らないプログレ・ファンは居ないでしょう。それ以降も、ドラマティックな大曲、リリカルな小曲を織り交ぜ、一気に聴かせます。文句無しの傑作!
名実ともに北欧を代表するシンフォニック・ロック・グループ、5年ぶりに届けられた22年14thアルバム。19分、15分という2つの大作を収録した気合いの入った内容となっています。冒頭の19分のナンバーから早くも感動。Hans Lundinの幽玄なるシンセをバックに、Patrick Lundstromがフレディ・マーキュリーを思わせる力強くも厳かなヴォーカルを響かせるオープニング。次第にシンセが艶やかな色彩を帯び躍動し始めると、それにPer Nilssonが優美で滑らかなギタープレイで応じ、一転リズムを得てダイナミックに演奏が動き出します。この開始3分でKAIPAの揺らぐことのないイマジネーション溢れ出す音世界に惹きこまれること必至。TFKでも活躍するJonas Reingold&新加入でMartin BarreやFROST*の作品に参加するドラマーDarby Toddによる重量感あるタイトなリズム・セクションが、キーボードやギターの天上に浮遊するような幻想的な演奏をしっかり地上に繋ぎとめているのも特筆です。Patrickとの熱いデュエットを中心としつつ、時には持ち前の美声を生かしソロでも歌うAleena Gibsonのパフォーマンスにも注目。そして前作でも感じましたが、Roine Stoltという偉大なる前任者とは全く異なるアプローチで北欧プログレ然としたギターサウンドを確立したPer Nilssonのプレイは特に圧巻の一言で、随所にメタル出自を感じるテクニカルな速弾きを交えつつも決してヘヴィにならず一貫して幻想感たっぷりのデリケートなタッチを保ち続ける演奏は必聴です。もう一つの大作である15分の最終曲はTFKファンに聴いて欲しいスケールいっぱいでエッジも効いた快作。アルバムを出すたびに再結成後の最高作かと思ってしまうクオリティを誇っている2010年代以降のKAIPAですが、今作もそう言ってしまいたい出来栄えの傑作です!
北欧ロックを語る上では欠かせないアーティストROINE STOLTが在籍したていたことで知られるスウェーデンのグループ。75年作の1st。CAMELを彷彿させる優美で温かみあるアンサンブルに、北欧らしい透明度の高い音色が加わった、ユーロ・シンフォニック・ロックの名作です。
スウェーデンを代表する名シンフォ・グループ、Roine Stolt在籍最後の作品となった78年作3rd。前2作で聴かせたクラシカルな格調高さを持ったシンフォニック・ロックと比べ、ジャケットにも表れるより親しみやすいハートウォームなサウンドが主となっています。透明感のある音色を重ね優美な広がりを作り出すキーボード、躍動感とタイトさがバランスするリズム隊、どれも素晴らしいですが、特筆はやはりRoineのギター。のちのTHE FLOWER KINGSに通じるブルージーでエモーショナルな高まりを見せる独自のプレイをすでに披露しており、作品を通じての温もりのあるファンタジックな世界観に対し、叙情的でありながらシリアスで深みもあるギターのタッチが素晴らしい対比を生んでいます。1st、2ndとともに北欧シンフォの最高峰に位置する名作です。
盤質:傷あり
状態:良好
ブックレットに折れあり、若干汚れあり
スウェーデンを代表する名グループ、82年リリースの5作目。打ち込みを大幅に導入した80年代然としたニューウェーブ/エレポップ・サウンドを展開。
名ギタリストによる73年作と74年作とをカップリングした2in1CD。テレキャスターを鳴らさせたら、この人の右に出る人は居ないでしょう。倍音を含んだ枯れたクリーン・トーンが奏でるブルージーなフレーズは、Jimi HendrixやEric Claptonと比べても遜色無い存在感。ほとばしる感情にただただ圧倒されます。Dave Masonあたりとも通ずる哀愁溢れるメロディ・ラインも聴き所。両作品とも、ブリティッシュ・スワンプ/フォーク・ロックの名作。
Jeff Beckからの尊敬を受けるミュージシャンズ・ミュージシャンと言える名ギタリスト。75年の傑作ライヴ・アルバムと、76年の人気盤とをカップリングした2in1CD。ブルースをベースに、ジャズやカントリーのテイストを取り入れた縦横無尽なギターは圧倒的な存在感。テレキャスターを自在に操り、ハーモニクスを多様した独特なトーンで伸びやかなフレーズを奏でます。Eric Claptonにも負けない名ギタリスト。素晴らしい作品です。
2枚組、スリップケース・ブックレット付き仕様
盤質:全面に多数傷
状態:不良
1枚は傷あり、1枚は傷多め、カビあり、スリップケースなし
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