2016年7月27日 | カテゴリー:カケレコ中古棚探検隊
タグ: プログレ
毎回、中古棚よりコレは!という名盤をピックアップしてご紹介するこのコーナー「カケレコ中古棚探検隊」。今回はプログレのコンセプト・アルバムをピックアップいたします。
コンセプト・アルバムの宝庫と言えるプログレッシヴ・ロック・シーンですが、特に歴史上の出来事や人物、伝承/物語をテーマに据えた壮大なコンセプト作品が魅力的ですよね。今回はそんなロマン溢れるコンセプト作品をピックアップしてまいりますよ☆
「チェンバー・ロックの祖」とも云われる彼らが70年に発表した2nd。古代ギリシャのエンペドクレスやアリストテレスらが唱えた世界を構成する4元素(空気・土・火・水)を各曲のテーマに据えた全4曲からなるコンセプト・アルバム。いかにもプログレというテーマですよね。パーカッションによって呪術的に刻まれるリズムに乗って、オーボエ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロらが格調高くも妖しく絡みあう、神秘的な世界観を提示します。
傑作と誉れ高いデビュー作で孤高の前衛シンフォニック・ロックを作り上げたイタリアの名グループによる2ndで、イングランド共和国の指導者となった護国卿オリバー・クロムウェルを採り上げたコンセプト・アルバム。作風は前作を引き継ぐ前衛色のあるクラシカル・シンフォながら、楽曲構成とアンサンブルにまとまりが生まれ、より聴きやすさが増した印象を持ちます。まさにテーマを反映した、中世にタイムスリップしたかのような気品高いサウンドが魅力の一枚。
千夜一夜物語(アラビアン・ナイト)をモチーフとした長大な組曲をB面に収録した75年作。サウンド自体にアラビアを思わせる中近東テイストはさほどないものの、イスラムの最高指導者スルタンを中心に当時のアラビア世界における人間模様が、オーケストラを従えた雄大なシンフォニック・サウンドによって綴られる組曲は、好きな方にとってはたまらなくロマンをかき立てるものでしょう。
タイトルの通りアーサー王伝説をテーマに、曲ごとに登場人物を取り上げ変幻自在のキーボードプレイで描き出していく75年発表の3rd。1stソロのヘンリーでも取られたウェイクマン得意の手法ですね。全体的なサウンドはテーマからイメージされるそのものと言えそうな壮大なクラシカル・シンフォ調でベタと言えばベタなんですが、終盤へ向けてのドラマティックな盛り上がりはやはり感動を禁じ得ない素晴らしさだと思います。ツボを押さえた王道の展開とも言えますね。
北欧を代表するキーボード奏者パル・リンダーが、同郷スウェーデンのクラシック・ギタリスト、ビヨルン・ヨハンソンと組んだプロジェクトで、トールキンによるファンタジー古典『指輪物語』の前日譚である『ホビットの冒険』をテーマに据えた96年作。鳥のさえずりが聴こえてくる雰囲気ある音像の中を、瑞々しいリリシズムを湛えたフルートと枯れた哀愁を感じさせるオーボエが場面ごとにフィーチャーされ美しいアンサンブルを紡ぎだしていきます。パル・リンダーはピアノ、シンセ、オルガンからメロトロンやハープシコードまでをフル活用。純朴な牧歌調とファンタジックなサウンドが過不足なく融合した名品です。
YARD BIRDSのKeith Relf、Jim McCartyを中心に結成されるも、2枚のアルバムを残し解散したイギリスのグループ。72年にソプラノ・ボーカルAnnie Haslamを擁し新体制で活動を再開、ロック・フォーク・クラシックが交差する幻想的な楽曲は今なお色褪せることはありません。本作は75年にリリースされた4thであり、彼らの代表作の呼び声も多い名盤。特にリムスキー・コルサコフの同名交響曲に端を発した「シェエラザード夜話」は、「アラビアン・ナイト」の世界をコンセプトに据えた20分を超える超大作であり、オーケストラ・サウンドとロックの融合を目指した英国ロックの1つの結論と呼ぶべき傑作。米国での成功で勢いに乗った彼らの生み出したシンフォニック・ロックの世界は他の追随を許しません。
イギリスを代表するプログレッシブ・ロックバンドYESの全盛期を支えたキーボーディストであり、そのクラシカルで大仰なキーボードワークで「こわれもの」や「危機」の多難な楽曲を彩ってきたアーティストの75年作。今回は「アーサー王物語」というRick Wakemanらしいテーマを持ったコンセプトアルバムであり、混声合唱や大仰なオーケストラを従えシンフォニックに盛り上がる彼らしい作風となっています。シンフォニックなサウンドと同様に彼の個性であるポピュラリティーのあるメロディーに恵まれており、非常に聴きやすい名盤となっています。
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