2014年5月28日 | カテゴリー:MEET THE SONGS,世界のロック探求ナビ
サンフランシスコのサイケデリック・シーンを代表するバンド、ジェファーソン・エアプレインの特集vol.2として、69年以降の作品を紹介いたしましょう。
デビューから68年までを特集したvol.1はこちら。
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今日のMEET THE SONGSはサンフランシスコのサイケデリック・シーンを代表するバンド、ジェファーソン・エアプレインを特集!
ジェファーソン・エアプレイン初となるライブ・アルバムで、68年10月24日~26日のフィルモア・ウェストと11月28~30日のフィルモア・イーストでのライヴを収録。
バリンとスリックのヴォーカルがダイナミックに絡むオープニングからエネルギッシュで、続く名曲「Somebody To Love」もスタジオ盤とは違うスリリングな演奏で会場を沸かせます。
酩酊感たっぷりのドノヴァンのカヴァー「Fat Angel」やこの後のホット・ツナの活動を予感させるブルース・ナンバーを挟み、「It’s No Secret」「Plastic Fantastic Lover」ではバリンが熱いヴォーカルを聴かせ興奮は最高潮に。バンドの絶頂期の演奏をそのまま体感できる傑作です。
「Plastic Fantastic Lover」
69年11月には6枚目のアルバムをリリース。
ヴェトナム戦争の泥沼化という社会状況の中、反戦・反体制のメッセージを強く訴えかけ、また、カントナーの政治的思想を反映した作品となっています。
豪華なゲスト陣にも注目で、当時サンフランシスコに住んでいた英のセッションピアニスト、ニッキー・ホプキンスが「We Can Be Together」「Volunteers」など5曲に、ジュリー・ガルシアも「The Farm」にペダル・スティールで参加。
「Wooden Ships」はカントナー、デヴィッド・クロスビー、スティーヴン・スチルスの共作で、 Crosby Stills & Nash の1st『CROSBY STILLS & NASH』にも収録されていて、一足先の5月にリリースされています。この作品は全米チャート13位を記録しました。
バリンとカントナー作のタイトル曲「Volunteers」は、革命を訴えかけるパワフルな曲。
69年夏にはヒッピー・ムーブメントを象徴するイベント、ウッドストック・フェスティバルにジェファーソン・エアプレインも出演。
同年12月に行われたオルタモントのコンサートにも出演しますが、ラヴ&ピースの空気に包まれたウッドストックから一転、警備を担当していたヘルズ・エンジェルスが暴力的な行為をするなど不穏な空気に包まれ、抗議したバリンが殴られてしまいます。ついには死者をだすという悲劇が起こり、理想に燃えたヒッピー・ムーブメントの終わりを予感させるイベントとなってしまいました。
ヒッピー精神の共同体を体現していたジェファーソン・エアプレインも、この頃にはメンバーそれぞれがバンド外での活動に力を入れるようになりバラバラになっていきます。
70年2月にドラムのスペンサー・ドライデンが脱退。カウコネンとキャサディで組んだホット・ツナのジョーイ・コヴィントンが後任で参加します。
ホット・ツナは、ジェファーソン・エアプレインのサイド・プロジェクトとして69年ころに始まったバンドで、主にカウコネンとキャサディが好きなブルースを演奏する場となっていました。
5月にはホット・ツナの1st『HOT TUNA』が、70年11月にはポール・カントナー/ジェファーソン・スターシップ名義で、カントナーのソロ作となる『BLOWS AGAINST THE EMPIRE』がRCAよりリリースされます。
同じく11月にRCAから最後となるベスト・アルバムをリリース。
70年12月頃より新たなアルバム制作に取り掛かりますが、スリックとカントナーに子どもが生まれたり、4月にはバリンが脱退してしまったり、スリックが自動車事故で重傷を負ってしまったり、活動が滞りつつも、なんとかレコーディングを完了させ、71年9月に自主レーベルGRUNTからの第1弾として『BARK』をリリースします。
70年秋に新加入した53歳の黒人フィドラー、パパ・ジョン・クリーチによるエレクトリック・ヴァイオリンをフィーチャーした新たなサウンドが聴ける本作は、全米チャート11位とヒットします。
パパ・ジョンはホット・ツナのためにコヴィントンが連れてきたのですが、演奏を聴いたスリックとカントナーが気に入りスカウトしたそうです。
「Pretty as You Feel」ではカルロス・サンタナが参加。
ホット・ツナは精力的に活動を続け、カントナーとスリックも2人でアルバムをリリース、パパ・ジョンもソロ作を発表するなど、バンドとしてのまとまりはますますなくなっていきます。
72年7月には、ジェファーソン・エアプレイン最後のスタジオ・アルバムとなる『LONG JOHN SILVER』をリリース。
ほぼスリックとカントナーによる曲が並ぶ本作。ハード色の濃い作品で、エモーショナルに絡むカウコネンのギターとパパ・ジョンのエレクトリック・ヴァイオリンをバックに、激しく歌うスリックのヴォーカルが印象的。バンド末期の作品ですが、次なる境地に向かうヴァイタリティ―が感じられます。
オリジナルのジャケットは、組み立てると葉巻ケースになるという凝った仕様。この作品収録中にコヴィントンが脱退しドラマーの交代がありました。
「Eat Starch Mom」
この作品のプロモーション・ツアー時には、カントナーの友人で、クイックシルバー・メッセンジャー・サーヴィスを脱退していたデヴィッド・フライバーグが加わりますが、ツアー後にカウコネンとキャサディが脱退。サンフランシスコのサイケ・シーンを牽引してきたバンドはここで幕を閉じることとなります。
74年3月からは、スリック、カントナー、フライバーグ、パパ・ジョン、『LONG JOHN SILVER』の制作時に加わったドラムのジョン・バーベイタという布陣に2人のメンバーを加え、ジェファーソン・スターシップに生まれ変わります。
その後はメンバー交代を繰り返しながら活動を続け、2012年11月にはポール・カントナー率いるジェファーソン・スターシップが来日し、デヴィッド・フライバーグとともに元気な姿を見せてくれましたね。
ジェファーソン・スターシップ来日公演@クラブチッタ川崎 2012-11-23 ライヴレポート
いかかでしたか?
「MEET THE SONSG」は、定番からニッチ盤まで僕らのロック・ミュージックを紹介しています。
また明日、お会いいたしましょう。
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