プログレッシヴ・ロックの中古CD豊富!プログレ、世界のニッチ&ディープな60s/70sロック専門ネットCDショップ!

プログレ、60s/70sロックCDのネット通販/買取

24時間以内発送(土・日・祝は翌営業日)、6,000円以上送料無料

TANGERINE DREAM『ELECTRONIC MEDITATION』

TANGERINE DREAMの記念すべきデビュー作『ELECTRONIC MEDITATION』をピックアップいたしましょう。

何と言っても、メンバーが凄い!

エドガー・フローゼ(ギター、オルガン、ピアノ、サウンド・エフェクト)
クラウス・シュルツェ(ドラム、パーカッション)
コンラート・シュニッツラー(チェロ、ヴァイオリン)

バンドのブレーンでありエレクトロニック・ロックのパイオニアと言えるエドガー・フローゼ、後にシンセサイザー・ミュージックの巨匠として君臨するクラウス・シュルツェ、そして、後にクラスターを率いてテクノにもつながる音響派音楽を確立するコンラート・シュニッツラー。これだけのジャーマン・ロック・シーンを代表するミュージシャンの3人が揃ったという奇跡。デビュー作録音後、クラウス・シュルツェはアシュ・ラ・テンペル結成のために脱退するため、この3人での録音はただこの一枚となります。

エドガー・フローゼは、第二次世界大戦中の1944年にバルト海沿岸の東プロイセンに生まれ、60年代半ばにアートを学ぶために西ベルリンへ。サイケデリック・ロック・バンドONESを結成し、一枚のシングルを残します。

ONES「Lady Greengrass」

試聴 Click!

バンド解散後は、より実験的な音楽を指向し、有名なZodiak Free Arts Labにてライヴを中心に活動します。この頃の彼の言葉「In the Absurd often lies what is artistically possible(不合理的なばかばかしいものの中に芸術は存在する。)」の通り、理性から離れた「意識の深層の世界」の表現を目指すシュールレアリズムに強い影響を受け、ダリに呼ばれて演奏するなど、文学、絵画とも融合した音楽を試みていたようです。

そして67年、ビートルズ「Lucy In The Skies With Diamonds」の歌詞からバンド名を取って、TANGERINE DREAMを結成。69年に『ELECTRONIC MEDITATION』でデビューします。

英米のポピュラーミュージックとは似ても似つかぬ観念的で人間の深層心理を浮き彫りにするようなサウンドは、19世紀ロマン主義から綿々と続く思想・哲学の国ドイツならではの内省的ロック・ミュージックと言うことができるでしょう。

T1: Genesis

エモーションのかけらもなく、真空の暗黒の闇のように超然と鳴り響くシンセ、まるで抑圧された狂気による呻きのようにたちこめるチェロ、そして、祭り囃子のような異界のムードを放つドラム(というより太鼓)とフルート。

理性から離れ、無意識下にうずめられた感性を呼び覚ますかのような観念的サウンドは、まさにロマン主義の系譜であり、真にサイケデリック。

エドガー・フローゼはワーグナーにも影響を受けていたようで、クラウス・シュルツェも後にワーグナーへのオマージュに溢れた作品をリリースしますが、「言葉=理性=構造化」では表現できない「人間の内面的葛藤=深層心理のドラマ」を音に描こうとしたワーグナー的ロマン主義音楽の延長線上にあるロック・ミュージックとも捉えることができるでしょう。

試聴 Click!

T2: Journey Through A Burning Brain

ディストーション・ギターが機械音のように無機的に飛び交うイントロ。ピンク・フロイドの1stの1曲目「天の支配」でのシド・バレットのギターを彷彿させます。

1分50秒あたりでたちのぼる温かな音色のオルガン。母体内の温もりのようで、理性が生まれる前の無垢な世界への憧憬を感じます。

記憶の遠い向こうにある場所への郷愁に浸り、じんわり感動していると、ドライヴ感あるギターのアルペジオ、フリーキーに暴れるファズ・ギター、まるでフルートの体をなしていない荒々しく吹かれるフルートが空間を切り裂きます。エネルギーは増幅を続け、シド・バレットのサイケ感と津軽三味線の恍惚とか出会ったようなギター、けたたましく疾走するドラムが畳みかけ、文明以前の個人の意思がみなぎる原始世界へ回帰したような圧倒的なカタルシスへ。

ピンク・フロイドもホークウィンドもオザンナも凌駕するようなヘヴィ・メディテーション・ロックに、ただただ悶絶。

11分過ぎには、オルガンのモチーフがまたあらわれ、再び深遠なる世界へと帰っていきます。

理性と深層心理との間を超えてめぐる圧巻のサウンド・スケープ!

試聴 Click!

—–

18世紀~19世紀において、隣国フランスが理性に基づいた啓蒙主義の元、フランス革命を経験していく一方、約300の諸侯に分裂して国家としての体を成していない神聖ローマ帝国の元、統一した思想=信仰を持てない中、内面の探求へと向かったドイツ国民とそれを背景にして生まれたロマン主義。そんな、理性に縛られない個人の意思や感情にフォーカスし、その内面、深層心理の表現へと向かったロマン主義芸術の歴史と、英米から起こったサイケデリック・カルチャーの波動とがぶつかりあって生まれたドイツならではのロック・ミュージックと言えるでしょう。69年にはクリムゾンやレッド・ツェッペリンの1stなど多数の傑作が生まれましたが、それらと比べても一歩も引かない、ドイツという国だからこそ生まれたロック史に残る大傑作ですね!

TANGERINE DREAMの在庫

  • TANGERINE DREAM / VIRGIN YEARS 1974-1978

    ジャーマン・シーンを代表する電子音響集団、VIRGIN時代の5作品『フェードラ』〜『ストラトスフィア』を収録

    • VJCP98012~14

      廃盤、紙ジャケット仕様、3枚組、SHM-CD、デジタル・リマスター、復刻紙ジャケ付き・巻き帯2枚付き仕様、定価4571+税

      盤質:無傷/小傷

      状態:良好

      帯有

  • TANGERINE DREAM / ZEIT

    4本のチェロを大胆に導入し、神秘性がさらに高まった72年発表作

    3作目にして、大作の72年作。ポポル・ヴーのフローリアン・フリッケ参加4本のチェロを大胆に導入し、神秘性がさらに増した作品。

  • TANGERINE DREAM / RICOCHET

    ジャーマン・ロックを代表する電子音響集団、75年ライヴ作

    Edgar Froeseを中心に結成され、シンセサイザー、アナログシーケンサなどの電子機器を巧みに使用したメディテーショナルなジャーマン・エレクトロの原点に位置するグループの75年ライブ作。名作「Phaedra」と「Rubycon」をリリースしたあとの本作は、ライブ盤という性質もあり「Atem」以来久しぶりに生ドラムを採用。シーケンサーのアルペジオがミニマルに変化するセクションをベースに、瞑想的なドローンをバックにEdgar Froeseのギターがむせび泣き、Chris Frankeのドラムがシーケンスにシンクロします。怒涛のスケール感で聞かせるジャーマン・エレクトロの重要作です。

  • TANGERINE DREAM / CYCLONE

    ドイツを代表する電子音響集団、ヴォーカル・ナンバーを含む78年11th

    78年の通算11作目。無機質なミニマル・フレーズとドラムの叩き出すタイトなロック・ビートを融合させ、ソリッドに未来的なサウンドを展開。ヴォコーダーを交えた情緒的なヴォーカル・ナンバーも披露し話題を呼んだ異色作。

  • TANGERINE DREAM / EXIT

    81年作

    81年作。

  • TANGERINE DREAM / BEST OF TANGERINE DREAM “THE BLUE YEARS”

    ジャーマン・シーンを代表する電子音響集団、98年編集ベスト

  • TANGERINE DREAM / BEST OF TANGERINE DREAM “THE PINK YEARS”

    ジャーマン・シーンを代表する電子音響集団、98年ベスト

「TANGERINE DREAMの在庫」をもっと見る

コメントをシェアしよう!

あわせて読みたい記事

中古CD買取案内

カケレコ洋楽ロック支店

新着記事

もっと見る

プロのライター&ミュージシャンによるコラム好評連載中!

文・市川哲史

文・深民淳

文・舩曳将仁

文・netherland dwarf

人気記事ランキング

* RSS FEED

ロック探求特集

図表や代表作品のジュークボックスなどを織り交ぜ、ジャンル毎の魅力に迫ります。