2018年7月25日 | カテゴリー:KAKERECO DISC GUIDE,世界のロック探求ナビ
KAKERECO DISC GUIDE、今回は「夏にも聴けるソウル・ジャズ」RICOTTI & ALBUQUERQUE『FIRST WIND』を取り上げたいと思います!
まずは一曲どうぞ!!
Rick Wakeman、Caravan、Curved Air、Freddie Mercuryなどの作品に参加する英ヴィブラフォン奏者Frank Ricotti(ヴィブラフォン/サックス)と、この後ELOにベースで加入するMichael Albuquerque(ギター/ヴォーカル)を中心とするバンドの71年唯一作。米ジャズ/R&Bからの流れを汲んだ1st時COLOSSEUM風のソウル・ジャズを、よりジャジーに洗練させたような歌ものジャズ・ロックを聴かせます。印象的なのが全編で活躍するFrank Ricottiの涼しげなヴィブラフォンの音色で、Michael Albuquerqueによるソウル色のあるヴォーカルと心地よく絡むサウンドは絶品。音数多くもしなやかに刻むリズム隊、キラキラした流麗なエレピ、ファズを効かせながら伸びやかにフレーズを紡ぐギターなど、脇を固めるジャズ畑の演奏陣による粋なアンサンブルも特筆です。一方でフォーキーなタッチの織り交ぜ方も絶妙で、Michael Albuquerqueがデリケートなアコギ・ストロークと陰影ある抑えたヴォーカルで弾き語るLOVIN’ SPOONFUL「DIDN’T WANNA HAVE TO DO IT」は、英国らしさたっぷりに仕上げられた名カバーとなっています。古き良きアメリカン・ジャズ・ヴォーカルものにも通じる洒脱さの中に、英国らしい翳のある気品高さも感じられる逸品です。
Frank Ricotti(1949-)
ロンドン出身のヴィブラフォン奏者/サックス奏者。主な活動分野はジャズ・シーンながら、ロック・シーンでも活躍。Caravan、Rick Wakeman、Status Quo、Freddie Mercury、Barclay James Harvest、Meat Loafなど70年代のアーティストから、Pet Shop Boys、Swing Out Sister、Style Council, Belle and Sebastian、Oasisなど80年代以降のアーティストまで、幅広い作品に参加する名手。
Mike de Albuquerque(1947-)
ロンドン出身のベーシスト/ギタリスト/ヴォーカリスト。本作リリース後の72年から74年までELOにベーシストとして在籍したことでも有名。本作では、爽やかなアコースティックギターのプレイとソウルフルかつジェントルな歌声を提供。
本作を特徴づけているのが、なんと言ってもFrank Ricottiが全編で鳴らすヴィブラフォンの音色!ソウル・ジャズと言ったら熱気のこもったサウンドが想像されますが、涼やかなヴィブラフォンの響きが演奏を適度にクールダウンさせていて、この素晴らしいまでの聴き心地の良さに大きく貢献しています。暑~い夏にもサラリと楽しむことができますよ☆
ジャズやクラシックだけでなくチェンバー・ロックなどのプログレやアンビエント音楽でもよく用いられる楽器で、多くの場合「ヴァイブ」という通称で知られています。見た目は鉄琴とほぼ同じですが、実はこのヴィブラフォンはエレクトリック楽器。共鳴管の上端に取り付けられた蓋状の部品が、ペダルで作動するモーターの回転に合わせ開閉することによって音量が増減し、ヴィブラートがかかるような仕組みになっているのが「ヴィブラフォン」という名前の由来となっています。
こちらもヴィブラフォンが使用された、名うての西海岸ジャズメンらが残したサイケデリック・ジャズ・ポップスの逸品。
オーソドックスなジャズギターに随所でファズを効かせた荒々しいプレイを交えるギターと、気品ある音運びのヴィブラフォンらが織りなす緻密に編み上げられたアンサンブルが聴きモノ!
アヴァン・プログレということで音楽性はまるで違うのですが、ヴィブラフォンの涼やかかつミステリアスな音色に惹かれた方には、この作品もお試しいただきたいところ。アート・ベアーズやヘンリー・カウやザッパとともに、ハットフィールド&ザ・ノースやソフト・マシーン、さらにヒップホップまでぶち込んじゃった知性派アヴァン・プログレで、さすがはあのYUGENのヴィブラフォン奏者が率いるバンドです。
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