NYのアンダー・グラウンド・レーベル「ESP-Disk」の軌跡をご紹介するシリーズの第二弾。
FRANK ZAPPA『FREAK OUT!』が西海岸で産み落とされる前年のこと。65年の東海岸NY、世界中のジャズ・ファンを唸らせていたESPが突如としてカタログに投入した元祖フリーク・アウト=FUGS。翌66年には更なるフリークス=GODZを投入。VELVETSに代表されるNYガレージ・シーンに着目してのリリースだったかどうか詳細は不明ながら、ZAPPAの先を行ってしまう先見の明、変化を恐れないスタンスはさすが。なお、ストールマンが懇願していたVELVETSのリリースが叶わなかったためか、ガレージ系のリリースは彼ら止まりです。一方で、フリー・ジャズの延長線上には、メロディ/ハーモニー/リズムの概念からも解き放たれた音と音との交信=完全即興が待っていました。
フリージャズの傑作群をリリースしていたESPが突然変異したカタログno.18。時は65年、西海岸でザッパのマザーズがデビューする前年に、東海岸でいち早くフリーク・アウトの狼煙を上げた変態ガレージ・バンド。フリージャズとはまた別の、意識の開き方。
FUGS同系フリーク・アウト路線の変態フォーク・バンド、66年作。音楽の常識をくつがえすような「開きっぱなし」の断片音が垂れ流される悪ふざけの境地。脱臼ストローク、ヨダレ垂れっぱなしヴォーカル、ニャーゴ!ニャーゴ!の大合唱...
かのオノヨーコに影響を与えたことでも知られる女性フリー/ジャズ・ヴォーカリストの65年1st。テルミンの如き奇声から、ひたすら「Black〜」とヒステリックに叫び続ける最終曲は真に狂気の沙汰。しかし彼女、スタンダードジャズを演っても絶品。
アコースティックな実験/インプロ作。バグパイプ、スラックキー、果ては琴まで、世界中の楽器をESPのスタジオに持ち込んで、さぞ奇天烈な数日間を過ごしたことでしょう。ESPらしからぬ妙な温もりすら感じさせる「狂気+牧歌的なナニか」は唯一無比。
ヴァイオリン、コントラバス、ドラムによるインプロ・トリオの72年作。かのJ.L.ポンティにも影響を与えたというL.ジェンキンスのヴァイオリンはさすがに舌を巻く表現力。時に天空へ、時に当て所なく闇中を飛翔する弦響を軸に火花散らす一発録音作。
NYの人気ファンジン「イースト・ヴィレッジ・アザー」をESPが音源化した企画盤。4曲目、わずか1分余りの楽曲は、デビュー前のヴェルヴェッツによるノイズ音源。結果彼らはVERVEからデビューしますが、もしESPからデビューしていたらと考えると...