NYのアンダー・グラウンド・レーベル「ESP-Disk」の軌跡をご紹介するシリーズの第一弾。
50年代後半、それまでの主流だったハード・バップに変わるものとして台頭してきたフリー・ジャズ。西海岸で萌芽したフリー・ジャズはORNETTE COLEMANらの手によってNYに飛来し、ESPオーナーのストールマンも深く傾倒していきました。理論の束縛から放たれた自由な形態、フリーキーな演奏。そんな時節にストールマンが声を掛けたのが、ESPの歴史を大きく変えることになるALBERT AYLERでした。彼の『SPIRITUAL UNITY』を皮切りに、革新的なジャズメンの作品を立て続けに発信していくESP。ジャズの革命にたぎる彼らは、自分たちの音楽を「ニュー・ミュージック」あるいは「ニュー・ブラック・ミュージック」と誇りを持って呼んでいたそうです。
「エスペラント語のレコードのみをリリースする」という大逸れたテーマで船出したESP。矢先に発表されたカタログno.2は、エスペラント語でもなければそこに秩序すらも存在しない新しい音楽=フリージャズ。米国アヴァン・ミュージックの源流のひとつ。
自らを「土星からやってきた」と名乗る異色ジャズメン、サン・ラ。持ち味であるコズミックでフリーキーな管弦楽器が宙を飛び交う集団即興に、ESP仲間のファラオ・サンダースを迎え録音された64年ライヴ作。無秩序のなかにわずかな秩序を見いだす喜び。
アイラーのグループに参加していたことで知られるサックス奏者の66年初リーダー作。ESPが誇る百戦錬磨のリズム隊のうえで、暴れ馬のごとくいななくドス黒いブロウ。マリオン・ブラウンとともに、ブルース/ファンクの血潮を色濃く感じる名プレイヤー。
映画音楽界でも知られるアルゼンチン出身のテナー奏者、67年初リーダー作。火を噴くようなテナー、コントラバス、ドラム、そしてチェロという若干異色なカルテット編成。チェロの創出する不穏な響きは、欧州アヴァン/チェンバーに通じる異様な切迫感。
今なお現役で活躍する名アルト奏者が活動初期の66年に発表した傑作。初期ESPのアヴァンギャルド色を残しながらも、繊細で叙情性に溢れたアルトに象徴的な瑞々しいジャズ・アンサンブルを楽しめる作品。リリカルなピアノ共々、神々しいまでの名演。
米国を代表するテナー/フルート奏者の記念すべき1st。ESPカタログno.3。後のスピリチュアルな作品群と比べると、コルトレーン影響下のモード色の濃いサウンド。モードとフリーの間を行き来する奔放にして抑制の効いた瑞々しいアンサンブルが絶品。