2020年9月13日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ,日々是ロック
1968年にリリースされたザ・バンドの『MUSIC FROM BIG PINK』。
R&B、ブルース、ゴスペル、カントリーといったアメリカ南部ロックを消化した芳醇なサウンドは絶品の一言ですよね。
エリック・クラプトンやジョージ・ハリスンなど、多くの英国人アーティストをも惹きつけました。
カケレコ棚より、ザ・バンドの影響が伺える作品を聴いてまいりたいと思います。
まずは本家本元、ザ・バンドから…
温かなバンド・サウンド、朴訥としたボーカル、音と音の絶妙な「間」…
聴くほどに味わい深い名盤ですね。
さて、次から英国のアーティストです。
「英国のザ・バンド」とも称されるブリンズリー・シュウォーツ。
ザ・バンドからの影響を軸にしつつも、にじみ出る英国らしい牧歌性や哀愁。
ゆるく心地よいハーモニーとハートウォームでキャッチーなメロディ、ひなびたトーンのハモンド・オルガン。とにかくグッとくる佳曲が勢揃いしています。
フリーといえばヘヴィなブルース志向のサウンドが印象強いと思いますが、実は彼らもザ・バンド影響下の作品を残しているんです。
ヒットした前作『FIRE AND WATER』に続く70年4作目。
この頃のメンバーは『MUSIC FROM BIG PINK』を繰り返し聴いていたそうで、アメリカン・ルーツ・ミュージックに傾倒したアーシーなサウンドがよく出ています!
「英国のザ・バンド」とも「ビートルズとザ・バンドとの融合」とも称されるマッギネス・フリント。
元マンフレッド・マンのトム・マッギネス、元ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズのヒューイ・フリントが中心となって結成したグループで、アップルのソングライターとしてメリー・ホプキンなどに楽曲提供をしていたコンビ、ギャラガー&ライルも在籍していました。
ザ・バンドや米スワンプ・ロック憧憬のサウンドでありながらも、英国人ならではの繊細でキャッチーなポップ・センスが感じられるところが、たまりません。
マッギネス・フリントの2ndリリースの後、独立したギャラガー&ライルの72年作。
アコースティック・ギターに、どっしりしたリズム・セクション、ひなびたバンド・サウンドが何だかザ・バンドを思わせます。
アルバムには美しく儚いフォーキーな楽曲も多く収録されており、2人の気品あふれる作曲センスには脱帽させられます。
次は、ギャラガー&ライルも参加しているこちらの作品を。
1973年にフェイセズを脱退し、自らのバンド、スリム・チャンスを結成したロニー・レイン。
マンドリンやバンジョー、スライド・ギターの優しく懐かしい響き、コロコロ転がるピアノ、少しじゃがれた味わい深いボーカル…
アメリカ南部への憧れと、そこはかとなく漂う哀愁がたまらないバランスです。
一聴してザ・バンドからの影響が感じられる土臭く哀愁に溢れたアンサンブル。滲み出る英国的な陰影もたまりません。
ヴォーカルがまた特筆もので、渋みが少なく柔らかな歌声に、心温まります。
のちにキャメルを結成するアンディ・ラティマーなどがバックに参加した、英SSWによる71年作。
スワンピーだけど、土臭さというより英国的な叙情美が香るメロディが印象的で、ザ・バンドに影響を受けつつも英国ならではのメランコリーが溢れる名作となっています。
71年にデッカ・レーベルから発表されたブリティッシュ・フォーク・ロックの激レア盤。
ザ・バンドあたりのアメリカの音を意識しつつも、サウンドの隅々からブリティッシュ臭さが滲みでる典型的な英国フォーク・ロックの音で、どの曲もいなたいメロディーが素晴らしい名盤です。
いかがでしたでしょうか。少しでも楽しんでいただけましたら幸いです!
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アメリカに憧れながらも、音にイギリスの哀愁が滲み出てしまう、そんな愛すべき作品をピックアップしてまいります。
68年のデビュー作。R&B、ブルース、ゴスペル、カントリーといったアメリカ南部ロックを消化した芳醇なサウンドは絶品の一言。音と音の「間」のなんと雄弁なこと。まさに完璧なグルーヴ。メロディ・ラインの美しさも特筆もの。Eric Clapton、George Harrisonなど、本作により音楽性が変わるほどの衝撃を受けたミュージシャン多数。ロック史を変えた全ロック・ファン必携の大名盤。アメリカン・ロック史上に輝く金字塔。
24bitデジタル・リマスター、ボーナス・トラック9曲、解説:ピーター・バラカン/鈴木カツ、定価2427+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
若干スレあり
柔らかな陽光が差し込む秋枯れの穏やかな日。アコギを携えそっと佇むRoger Morris。ジャケットにピンと来た英フォーク・ロックのファンの方、間違いなくハズレはありません!THE BANDからの影響が感じられる土臭く哀愁に溢れたアンサンブル。滲み出る英国的な陰影がたまりません。Roger Morrisのヴォーカルが特筆もので、渋みが少なく柔らかな歌声に心温まります。もちろんメロディも絶品!これぞブリティッシュ木漏れ日フォーク・ロックといえる愛すべき傑作!72年リリース。
73年作、3rd。ソングライティングを担当していたGallagher & Lyleコンビが抜けていますが、曲のクオリティは全く落ちていません。むしろ、土臭く「いなたい」雰囲気がグッと増し、英国的哀愁がこれでもかと溢れ出る逸品に仕上がっています。1曲目から素晴らしく、緩いスライド・ギターのイントロ、いなたいヴォーカル&哀愁のメロディには胸が熱くなります。COLIN HAREあたりにも通ずるキャッチーなフォーク・ポップ、BRINSLEY SCHWALTZを彷彿とさせる黄昏のパブ・ロックなど、どの曲も英国臭に溢れた佳曲揃い。旧アナログB面「Take It Down」は、哀愁のメロディに黄昏れのオルガンが炸裂する必殺の名曲。英国フォーク・ロック/パブ・ロック屈指の名作。
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