2022年4月12日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
スタッフ佐藤です。
3月にめでたく紙ジャケでリイシューや初CD化を果たしたマイケル・クアトロの4タイトル。
あのスージー・クアトロの7つ年上のお兄様なのですが、今回リイシューされた4作品とも、トレースあたりも引き合いに出せるほどのキーボード・プログレとしてかなりハイレベルなサウンドを聴かせているんです。
今回はそんなマイケル・クアトロをはじめとする、世界のニッチな実力派プログレ・キーボーディストによるソロ作/リーダー作を探求したいと思います☆
まずはマイケル・クアトロから2タイトルをピックアップ!
メロトロンやピアノ、ハモンドをクラシカルに弾きこなし、ダイナミックで重量感たっぷりのシンフォニック・ロックを描く73年作。
妹さんと比べたら10000分の1くらいの知名度かもですが、クラシックの正統教育を受けた華麗なキーボードさばきと確かなコンポーズ能力を持つ才人!
あのスージー・クアトロのお兄さんが、こんなにも素晴らしいプログレ・キーボーディストだったとは…。
この75年作は、トレース『鳥人王国』あたりと並び称されるべきクラシカルなキーボード・プログレ逸品ですよ!
10ccのメンバーをニッチと呼ぶのもどうかと思いますが、これらのソロ作を知ってる方は相当少ないはず。
コックニー・レベルや10ccへの参加からモダン・ポップ人脈と見られがちですが、ソロではプログレ・ミュージシャンとしての技巧と楽曲構築センスを発揮した、怒涛のキーボード・プログレを残しているんです!
弾き倒し系キーボード・プログレの快作!
こちらは2nd。
前作『CHIMERA』で聴かせた技巧派キーボード・プログレと、在籍バンドが証明する卓抜したモダン・ポップ・センスが同居する傑作に仕上がっています。
プロデュース&ヴォーカルはジョン・ウェットン!
オーストラリアにも居ますよ~、実力派のプログレ・キーボーディスト!
米NO.1ヒットも放ったオーストラリアのバンドMEN AT WORKの最初期キーボーディストが、MAW結成以前にリリースしていた74年ソロ作。
気品あるピアノやオルガンをメインにしたロマンあふれる歌ものプログレが素晴らしい!
こちらもオーストラリアのマイナー・キーボード・プログレ逸品。
シンセやチェンバロが折り重なるクラシカルな鍵盤と、生き生きしたポップなメロディの組み合わせが魅力的だなぁ。
そしてそれらをゆったりと覆うメロトロンがまた絶品!
イタリアン・ロック屈指の人気キーボーディストが放ったこちらの新譜も要チェック♪
72年作『ジョバンナに捧ぐ』で知られるイタリアのキーボーディスト/シンガー、49年ぶりの21年2nd!
冒頭からハードなエッジ感を持つアグレッシヴなキーボード・シンフォに驚きますが、合間で聴けるロマンティックでポップな曲調は往年のままで、こりゃ愛すべきだなぁ~。
続いてイタリア新鋭シーンからも2作品をピックアップ。
現代チェンバー・ロック・シーンの最高峰と言えるバンドYUGENのキーボーディストのソロ・プロジェクト。
前作以上にスリリングかつ幻想的なチェンバー・シンフォニック・ロックを繰り広げる2nd。
HOSTSONATENのような優美かつダイナミックなシンフォにOPIUM CARTELの北欧調の幻想性・神秘性を加えたようなサウンドが素晴らしっ!
20年作が稀に見る名盤だったイタリア新鋭UBI MAIORのkey奏者による21年作。
GENESISリスペクトとヨーロピアンなウェットな哀愁味を絶妙に撮り合わせた、さすがセンスみなぎる逸品です。
トニー・バンクス譲りの華のあるシンセ&アンビエント色もある神秘的なピアノが印象的。
フランスからは、ヴィンテージ・キーボード好きなら感動間違いなしのオススメ作品をご紹介。
メロトロン、ソリーナ、ローズ、ハモンドなど、ヴィンテージ・キーボードがこれでもかと溢れるファンタスティックなフランス新鋭!
フランスらしいエレガントな音運び&耽美なフランス語ヴォーカルもたまんないなぁ。
あのアトールのVoアンドレ・バルザーがゲスト参加!
リック・ライトへのリスペクトを感じさせる凄腕キーボーディストがひしめくポーランド。その中でも抜きんでているのがこの奇才アーティスト!
LOONYPARKを率いる才人、21年第2弾の5th!刺激的なエレクトロニクスとオペラ風女声voをフィーチャーした荘厳なシンフォが折り重なるアーティスティックすぎるサウンドメイクに驚愕!冒頭2曲でゾクゾクするようなめくるめく音世界に飲み込まれます…!
人気バンドLOONYPARKを率いながらソロでもアーティスティックな活動を展開するポーランドの才人。フロイド彷彿の内省感とスピーディでキャッチーなメロディック・ロック・スタイルが見事調和した4thソロがこちら。こ、これはカケレコメンド~!
それ以外の国からもプログレ系キーボーディストの必聴作をセレクト!!
インドネシアのギタリストならDewa BudjanaやTohpatiですが、キーボーディストであれば85年始動のガムラン・ジャズ・グループKRAKATAUでも知られるピアノスト/キーボーディスト、Dwiki Dharmawan!
インドネシアらしいオリエンタルな旋律が魅力のピアノと、イタリア人シンガーによる熱くエモーショナルな伊語ヴォーカルの調和が鮮烈!
東洋と西洋のエッセンスが巧みに融合した力作です。
ロシア新鋭IAMTHEMORNINGのkey奏者によるソロデビュー作。
豪華過ぎるミュージシャン達を従え、目の覚めるようにシャープでテクニカルなキーボード・プログレを展開。
これは「鮮烈」という一言が似合う逸品!
MIZUKI DA FANTASIAで活躍した女性key奏者による待望のソロ・デビュー作!圧倒的表現力のピアノと大河の流れのごとき雄大なメロトロンが織りなす、「クラシック+ロック」の理想形と言えるキーボード・プログレがお見事!
気になるキーボード・プログレ作品を見つけていただけましたでしょうか。
他のキーボード・プログレ関連の探求記事も合わせてお楽しみください☆☆
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コックニー・レベルや10ccへの参加で知られるキーボード奏者。74年に南アフリカで録音された1stソロ。プログレッシヴかつ叙情性溢れるキーボード・プログレの大傑作。変拍子の中、クラシカルで端正なピアノや、スリリングかつキャッチーなキーボードがこれでもかと洪水のように鳴らされています。シャープなリズム隊も見事で、一体感のあるアンサンブルには心躍ります。哀愁溢れるヴォーカル&メロディも素晴らしい。すべての音が計算されているような精緻なアンサンブルは圧倒的な完成度です。本当に素晴らしいです。キーボード・プログレのファンは必聴
デジタル・リマスター、7分を越える楽曲「Opening」をボーナス・トラック収録
盤質:無傷/小傷
状態:並
カビあり
スージー・クアトロの7つ年上の兄であり、70年から84年にかけて7枚のアルバムをリリースしヒットさせたミュージシャンであり、若き日はデトロイト・シンフォニー・オーケストラでピアノも弾いたという経歴を持つ名キーボード奏者。75年作の3rd。ロック的ダイナミズムみなぎるリズム隊の上で、クラシカルなピアノが軽やかに艶やかに奏でられるパートは、トレースのファンは歓喜間違いなし。ギターも特筆で、タメの効いたメロディアスなリードからキーボードとのユニゾンによるクラシカルなオブリガードまで魅力的です。ここぞではメロトロンも豪快に鳴らされるし、クラシカルなキーボード・プログレのファンは間違いなく気に入るでしょう。ジャケットからはクラシカルなテイストはまったくありませんが、サウンドは、トレース『鳥人王国』あたりと比すべき名作です。
紙ジャケット仕様、SHM-CD、ボーナス・トラック1曲、デジタルリマスター、オリジナル国内LPの復刻帯付仕様、定価3143+税
【購入特典:カケレコオリジナル特典ペーパーをプレゼント!】ジャケットや帯に、ごく小さい折れや破れがある場合がございます。ご了承ください。
2017年にデビューし3枚のアルバムを残したMIZUKI DA FANTASIAのピアニスト/キーボーディストによる20年ソロ・デビュー作。クラシックとロックの真なる融合を目指し制作されたという本作、一曲目の組曲からその圧倒的な美意識に貫かれた壮麗な音世界に息をのみます。繊細に奏でる序盤から徐々に力強いタッチで躍動しはじめるダイナミックなピアノと大河の流れのごとく雄大なメロトロンが重なり、ソプラノ・ヴォーカルも交えて展開するサウンドは、キーボード・プログレ・ファンなら歓喜すること間違いなしです。古典クラシックに迫る風格を備えた自作のパイプ・オルガン独奏曲も素晴らしいし、叙情美溢れる旋律を紡ぐピアノと荘厳なヴァイオリンやチェロが繰り広げる『Conserto Grosso』ばりのクラシカル・ロックもこれでもかと熱くドラマチック。モーツァルトやシベリウスの曲も収録しており、クラシック奏者としての矜持を感じさせるピアノの表現力にも注目です。まさに「クラシック+ロック」の理想形を封じ込めたと言える傑作デビュー作!
ヴィンテージ・キーボードやエレクトリック・ブズーキを操るマルチインストゥルメント奏者、MOTISことEmmanuel Tissot率いるグループ。2014年作6th。ANGE直系のシアトリカルなシンフォニック・ロックを軸に、MALICORNEに通じるフレンチ・トラッドのフレイヴァーが香るサウンドが持ち味。とにかくメロトロンM400やソリーナやローズやハモンドなどヴィンテージ・キーボードがこれでもかとフィーチャーされていて、特にメロトロンが大活躍!幻想的に溢れるメロトロンをバックにリリカルに紡がれるハモンド、そして、スティーヴ・ハケットを彷彿させる格調高いマンドリンやブズーキが織り成すファンタスティックなアンサンブルは、ジェネシス〜アンジェあたりのファンはたまらないでしょう。MOTISによるフランス印象派絵画のように柔らかで親しみやすいハイ・トーンのヴォーカルとフックあるメロディも特筆。なんと、アトールの名ヴォーカリスト、アンドレ・バルザーがゲスト参加し、1曲でヴォーカルを担当。この曲がまた素晴らしい!アナログ的な温かなサウンドプロダクションも印象的で、70年代の発掘作品と言っても分からないでしょう。これはシンフォニック・ロックのファンは必聴の快作!
ロシアの新鋭プログレ・デュオIAMTHEMORNINGのキーボーディストによる18年デビュー作。メンバーが驚きの実力派揃いで、ドラムはキング・クリムゾンのGavin Harrison、ベースはスティーヴ・ハケット・バンド他のNick Beggs、ヴォーカルはマリリオンのSteve Hogarth、フルート&サックスはタンジェント〜ソフト・マシーンのTheo Travis、さらに1曲ではJordan Rudessも参加したまさに鉄壁の布陣で制作されています。IAMTHEMORNINGでも聴かせた流麗かつテクニカル、まさに「鮮烈」という一言が似合うピアノ/キーボードのプレイは、相変わらず抜群の冴えを見せています。特にクラシックの並々ならぬ素養が滲むピアノのプレイは息を飲むような美しさがあって見事。また実力者たちの中にあって随所で存在感を見せる同郷ロシアのギタリストVLAD AVYによるフリップ憧憬の緊張感あるギターワークも聴きどころです。同じロシアで言えばLOST WORLDに通じる舞うように華麗なファンタジックさが強烈に魅力的な傑作!
ポーランド・シンフォ・シーンの人気バンドLOONYPARKでリーダーを務めるキーボーディスト/コンポーザーによる21年4thソロ。従来でのPINK FLOYD系統のメランコリックでしっとりしたシンフォ・スタイルはそのままに、LOONYPARKの21年作でも顕著だったキャッチーなメロディをリズミカルに聴かせる躍動感あるサウンドを導入しているのが特徴。ゆったり幻想的にたゆたうようなサウンドとスピード感あるメロディアスなサウンドが対比され劇的な音世界を作り上げます。Rick Wright彷彿の粛々とした内省感をもって広がるシンセと、Dave Gilmour+Steve Rothelyと言える美旋律をエモーションいっぱいに紡ぐギター、そこに英詞女性ヴォーカルの慈愛を帯びた柔和な美声が響くサウンドはこれぞポーランドと言える美麗さに満ちていて見事。エレクトロニクスを絡めたタイトなリズムにピアノとギターが鋭いフレーズで切り込み、女性ヴォーカルがよりスタイリッシュに歌い上げるナンバーのカッコよさも特筆です。LOONYPARK『7th DEW』が気に入った方はこちらも是非!
イタリア出身、現チェンバー・ロック・シーンの最高峰グループYUGENのキーボーディストが、10年ぶりにリリースした2ndソロ・アルバム!NOT A GOOD SIGNやGOBLINのメンバーら自国のミュージシャンのみならず、ノルウェーのWOBBLER、スウェーデンのISILDURS BANE、そしてギリシャのCICCADAなど各国の新旧プログレ・バンドからゲストが参加。さらに多数の管弦楽器奏者も迎えて、前作以上にスリリングかつ幻想性溢れるチェンバー・シンフォニック・ロックを繰り広げています。HOSTSONATENの優美かつダイナミックなシンフォにOPIUM CARTELの北欧風の幻想性・神秘性を加えたようなサウンドが素晴らしい一枚!
ビート・ポップ・バンドSHOWMANに在籍したオーストラリア出身キーボーディスト/コンポーザーが残した74年のプログレ作品。シンセやチェンバロが折り重なる、クラシックの素養を感じる気品高いプレイと、生き生きしたポップなメロディの組み合わせが魅力的。そしてそれらをゆったりと覆うメロトロン…。英国ポップ・ロックに通じる緻密でジェントルな音作りと、メロトロンの音色に現れたオセアニアらしい大らかさのコンビネーションがとても心地いいです。「愛すべき」というワードがぴったりのキーボード・シンフォの逸品。
現ポーランド・プログレ屈指の人気バンドLOONYPARKを率いるキーボーディスト/コンポーザーが、前4thに続きリリースした21年2作目となる5thアルバム。前作はLOONYPARKの新たな作風と呼応するようにフロイド調とメロディックでキャッチーなスタイルを調和させていましたが、本作ではダンサブルなエレクトロニクスのパートとオペラ風の女声スキャットをフィーチャーした荘厳なシンフォ・パートが折り重なる様に配された緩急激しいサウンドメイクを披露していて驚愕!冒頭約15分の大作は、オペラチックな女声とアンビエントなタッチも交えた緻密なシンフォニック・サウンドによる張り詰めた空気感に言葉を失うアーティスティックな傑作ナンバー。この調子で行くかと思いきや、2曲目ではいきなり刺激的なエレクトロニック・サウンドが疾走、いつの間にかスッとピアノが滑り込みクラシカルに落ち着かせると、女声スキャットが清らかに歌い上げる超絶展開に思わずゾクゾクします。冒頭2曲だけでもKRZYSZTOF LEPIARCZYKというアーティストの底知れぬ才覚が感じ取れるはず。傑作です。
72年の唯一作『Dedicato A Giovanna G.(ジョバンナに捧ぐ)』がイタリアン・キーボード・シンフォの名作として高い人気を誇る、HUNKA MUNKAことキーボーディスト/ヴォーカリストRoberto Carlotto。彼がなんと49年ぶりにHUNKA MUNKA名義でリリースした21年2ndアルバム!ポップな歌もの+壮大なキーボード・サウンドという作風だった1stでしたが、本作ではハードなエッジ感を持つアグレッシヴなキーボード・シンフォへとスタイルを新たにしています。1曲目、ヴィンテージ・トーンで力強く湧き上がるオルガン、クラシカルなフレーズを疾走感満点に弾きまくるシンセを軸に、各種キーボードが波状攻撃のように畳みかける厚みあるアンサンブルは、これぞイタリアン・シンフォというダイナミズムに富んでいて爽快。一方その演奏に乗る本人の歌には72年作と変わらぬ優しげな表情が滲んでいるのが何とも愛すべきところです。往年の面影を残したサウンドもいたるところで聴くことができ、3曲目や6曲目のデリケートでロマンティックな表情のインスト、1stに入っていてもおかしくない感動的な歌ものの8曲目あたりは、往年のイタリアン・ロック・ファンなら堪らないはず。全体にモダンな音作りとなりましたが、やはりHUNNKA MUNKA以外では聴けない味わいがたっぷりの好盤です。
スージー・クアトロの兄、マイケル・クアトロはアメリカの最初期のプログレッシヴ・ロック・アーティストの一人。1973年リリースのセカンド・アルバム。前作の延長線上にある作風で、重厚なメロトロンやクラシカルなピアノ、ハモンド等を効果的に使用し、ダイナミックなシンフォニック・ロックから粘っこいロック・チューンまで彼のキーボードが所狭しと暴れまわる名盤。(レーベルインフォより)
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