2019年2月15日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
スタッフ増田です。
ロック・ファンなら知らない人はいないであろう米国屈指の名グループ、イーグルス。
歴史に残る76年の大名曲「ホテル・カリフォルニア」で名高い彼らですが、元々の出発点はバンジョー、スティール・ギター、マンドリンなどカントリー・ミュージックで用いられる楽器をロックの中に取り入れたカントリー・ロックでした。
BYRDSの68年作『ロデオの恋人』によって幕を開けたと言われるカントリー・ロック。60年代後半から70年代にかけては米国カリフォルニアでカントリー・ロックの人気が高まり、イーグルスをはじめとする多くのバンドが登場。以降、米国ルーツ・ミュージックの要素を多く取り入れた「ウェストコースト・ロック」のシーンが築かれていくこととなります。
ウェストコースト、といえばビーチ。イーグルスのサウンドもどこか潮風のような爽やかさがあって、海岸沿いをドライブしたい気分になりますよね。
今回はそんな初期イーグルスの作品を起点に、爽やかでいて哀愁漂う米国カントリー・ロックの作品を巡ってまいりましょう。
ご存知西海岸を代表するロックバンドによる傑作1st。
ジャクソン・ブラウンと共作のこの曲。爽やかでいて哀愁に満ちた歌声とアンサンブル、目を閉じれば夕暮れのウェストコーストの情景が浮かんできそうです。
それでは、爽やかさの中に哀愁の滲むウェストコースト&カントリー・ロックを名作・マイナー作合わせてご紹介いたします。
「CCRの弟分」としてデビューしたカリフォルニア出身カントリー・ロック・バンド、72年作。
ヌケ良く爽やかで、かつジャケ通りどこか郷愁を誘うサウンドが非常に愛すべき逸品!
イリノイ州のカントリー・ロック・バンド、78年作。
軽快なギターリフと晴れ渡った空のような若々しいボーカルが非常に爽やか。
リズミカルなピアノ、彩りを添えるストリングスのアレンジも見事で、思わず駆けだしたくなるようなサウンドです。
リンダ・ロンシュタットのバックバンドをしていたことでも知られる、米カリフォルニアのケイジャン・カントリー・ロック・バンド、72年作。
全編にわたってペダルスティールやフィドル、コーラスが心地よく響き渡り、イーグルスに通じる西海岸の哀愁あるメロディが楽しめる、非常に爽やかなカントリー・ロックです。
キャッチーかつ哀愁溢れるメロディ、ヌケの良いコーラス・ワーク、流れるようなペダル・スティール。
CSN&Y、BYRDS、EAGLES、はっぴいえんどあたりが好きなら、間違いなく気に入る米カントリー・ロックの名バンド!
続きまして、そんなEAGLESのメンバーによる関連作をご紹介いたしましょう。
ドン・ヘンリーがイーグルス以前に在籍していたことでも知られるテキサス出身のカントリー・ロック・バンド。69年の唯一作。
イーグルスへと通じる叙情性とともに、無骨なルーツ・フレイヴァーがたまらないグッとくる佳曲ぞろいです。
こちらはドン・ヘンリーと恋仲にあった女性SSWによる77年の名作。
プロデュースはドン・ヘンリー自身が担当し、キャロル・キングをはじめ、ウェストコースト・オールスターと言えるゲストも豪華で、ドンの彼女への愛情を感じます。
イーグルスのメンバーではありませんが、デビュー間もないグレン・フライとJ.D.サウザーのアパートに一緒に住んでおり、イーグルスの出発点となった「TAKE IT EASY」は彼がグレン・フライにプレゼントしたものだとか。
今作は77年5作目。ライブ・アルバムですが、ステージでのパフォーマンスの他に、ホテルやバスの中など、ツアーの様々な場所での演奏が収録されています。
タイトル曲「孤独なランナー」は映画『フォレスト・ガンプ』でも流れていました。
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76年度グラミー賞最優秀レコード賞を受賞した、彼らの文句なしの代表傑作、同75年第5作目がこちら。既に74年リリースの『ON THE BOADER』において全米第1位を獲得していた彼らですが、その多大なプレッシャーを押しのけ、J.D.Southerを迎え完成させた今作。それまでのカントリー・テイストは薄れ、よりタイトでヴィヴィットなロック・サウンドを導入しています。それでいて、70年代に入り、次第に産業として体制に取り込まれてゆくロック界を皮肉ったかのような歌詞が印象的な大名曲「HOTEL CALIFORNIA」を筆頭に、「NEW KID IN TOWN」、「THE LAST RESORT」等、Daryl Hallを歌の主人公のイメージとしたかのような内政的で、示唆的な歌の世界が、正に70年代という疲れを見せ始めたロック界の空気感を上手く捉えた作品であるとも言えるでしょう。
ウェストコースト・ロックのファンにはお馴染みの77年唯一作。何と言っても参加メンバーが豪華!プロデュースは、イーグルスのドン・ヘンリーと、ドンとはバンドSHILOHで一緒だった名プロデューサーのジム・エド・ノーマンの2人。演奏では、ダニー・コーチマー(g)、ドン・フェルダー(g)、ジョー・ウォルシュ(g)、キャロル・キング(key)、ティモシー・B・シュミット(b)、ドン・ヘンリー(dr)、ラス・カンケル(dr)、カーラ・ボノフ(back vo)、J.D.サウザー(back vo)他、錚々たるメンバーで、ウェストコースト・オールスターと言える陣容。この頃、グレンダ・グリフィスとドン・ヘンリーは恋人関係にあったようで、メンバーを見ればドンの愛情が分かりますね。2曲のオリジナルの他は、ダニー・オキーフを中心に、キャロル・キングなどが曲を提供している他、ジェシ・ウィンチェスターのカヴァーも収録。オリジナル曲の1曲は、キャロル・キングのピアノをバックに歌うなど聴きどころ満載。米ロックファンからCD化が長らく待望された傑作。
デジパック仕様、2枚組、スリップケース付き仕様(画像はスリップケースです)
盤質:傷あり
状態:良好
デジパック1枚に若干スレ・しわあり
ナッシュヴィル・ウェストに在籍していたギブ・ギルボーが結成した、カントリー・ロック・バンド、70年作1st。今作の魅力は、瑞々しいカントリー・ロックにギブ・ギルボーのケイジャン仕込みのフィドルがぴったりと合って、流れるような美しく優しい響きを聴かせてくれるところです。アップテンポの軽快なリズム隊に、見事なコーラス・ハーモニー、そして厚みある芳醇なフィドル。アコースティック・ギターやリゾネーター・ギター、エレキ・ギターなど、多彩なギターの華やかなサウンドも、非常に心地良いです。ロッド・スチュワートもカバーした「Big Bayou」で見られる、郷愁を感じる歌詞世界も魅力。爽やか且つ奥深い、そして思わず故郷の風景が浮かんでしまうような、懐かしさに溢れた作品です。
リンダ・ロンシュタットのバックバンドをしていたことでも知られる米カリフォルニアのカントリー・ロック・バンド、71年の2nd。中心人物ギブ・ギルボーはルイジアナ生まれで、その土地のルーツであるケイジャン音楽に精通したフィドラー/ミュージシャンです。今作でもギルボーの躍動感あるフィドルを各所で聴くことが出来ます。ケイジャン音楽とスワンプ・ロックを落とし込んだ音楽性ということですが、泥臭さや粘っこさは無く、全編にわたってペダルスティールやフィドル、バーズ風のコーラスが響き渡り、イーグルスに通じる西海岸の哀愁あるメロディが楽しめる、非常に爽やかなカントリー・ロックです。
イリノイ州のカントリー・ロック・バンド、78年作。正統派ウエストコースト・ロックで、軽快なギターリフと晴れ渡った空のような若々しいボーカルが非常に爽やか。リズミカルなピアノ、彩りを添えるストリングスのアレンジも見事で、思わず駆けだしたくなるようなサウンドです。EAGLESやPOCOなど、ウエストコースト・ロックが好きな方なら間違いなくお気に召すでしょう!
CCRの弟分としてファンタジーレーベルからデビューした、カリフォルニア州サクラメント出身カントリー・ロック・バンド、72年2nd。抜けの良い乾いたギター、タイトなリズムセクション、まさしくジョン・フォガティの弟のようなやんちゃなハスキーボイスで、初期イーグルスのような疾走感あるカントリー・ロックを奏でています。チャック・ベリーの「BYE BYE JOHNNY」「CAROL」やルーファス・トーマスの「WALKING THE DOG」の軽快なカバー以外はオリジナル曲です。ストーンズそのままのようなギターリフ、ビートリッシュなコーラスワーク等々、UKロックの影響を受けた愛すべきB級カントリー・ロック。
CCRの弟分としてファンタジーレーベルからデビューした、カリフォルニア州サクラメント出身カントリー・ロック・バンド、73年3rd。オリジナルメンバーにベースを加えた5人編成での録音。前作からのカントリー・ロック路線を引きつぎつつ、エレピを加えたメロウなT3、ペダル・スティールギターやフィドルを加えたインスト・カントリーのT4、オルガンとピアノが心地良くレイドバックしているT7など、ロックンロール色が抑えられ、ジャケのなだらかな丘のような、牧歌的なサウンドになっています。
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