プログレッシヴ・ロックの中古CD豊富!プログレ、世界のニッチ&ディープな60s/70sロック専門ネットCDショップ!

プログレ、60s/70sロックCDのネット通販/買取

24時間以内発送(土・日・祝は翌営業日)、6,000円以上送料無料

スタッフ佐藤の、コレ好きなんですよ。 – 第十八回 ソフト・マシーン『ヴォリューム2』

こんにちは、カケレコ・スタッフ佐藤です。

「スタッフ佐藤の、コレ好きなんですよ。」は、一般的にはあまり注目を集めることのない作品ながら「実は良い作品なんだけどなぁ、もっと聴かれてほしいなぁ。」とスタッフ佐藤が日頃から感じている、愛して止まない作品たちを取り上げてご紹介していこうというコーナー。

今回取り上げるのは、ソフト・マシーンの『ヴォリューム2』です。

ソフト・マシーンと言ったら、やはり独自のジャズ・ロックを確立した『3』以降の作品に話題が集中するものだと思います。これぞジャズ・ロックと言うべき硬派で知的なサウンドを特徴とした3rd~5th、カール・ジェンキンスらニュークリアスのメンバーが加入しフュージョン的な流麗さが加わった6th、7th、そしてアラン・ホールズワースやジョン・エサリッジといった技巧派ギタリストを起用し熱気あるパワフルなフュージョン路線を押し進めた『バンドルズ』や『ソフツ』など、変遷を重ねながらも各時期でクオリティの高い名盤を送り出してきたのはご存のとおりです。

一方で、ロックの多様化・細分化が加速していった60年代末に登場した数々の革新的な作品の中でも、特にリスペクトされるのが68年発表の1st。たしかにアヴァンギャルドで実験的な要素を多分に含みながらも、聴き心地はあくまでポップ、というメンバー3人の類まれなるセンスによって創りあげられたクリエイティビティみなぎるサウンドは、今の耳で聴いても十分な衝撃を与えてくれます。

さて、そのあいだにあって、どうにも存在感の薄さが否めないのが69年に発表された2nd『ヴォリューム2』です。他のアルバムが紙ジャケ化を含め幾度かリイシューされているのに対し、この2ndは直輸入盤を除けば国内盤CDは一度もリリースされていないというなかなかの冷遇ぶり。1stとの2in1CDが多く出回っているので、そちらをお持ちの方も多いかもしれません。

まず目に付くのが、このあまりに不気味に過ぎるジャケット。機械仕掛けの体ににこやかな女性の顔が描かれているもので、そのアンバランスさがなんとも言えない気味悪さを醸し出しています。なぜこのジャケットを採用したのかはわかりませんが、前衛作家ウィリアム・バロウズからバンド名を含めて多大な影響を受けていた彼らですので、このジャケットもあるいはそういった思想に基づくものだったのかもしれません。良くも悪くもインパクト絶大なのは確か。

サウンド面での前作からの変化としては、一気にジャズ色が強まり演奏に緊張感が生まれた点が挙げられるでしょう。前作でユニークなポップセンスを発揮していたケヴィン・エアーズが製作前に脱退、彼特有のどこかとぼけた味わい深さが失われてしまったのは確かだと思います。ただエアーズにかわり加入した名手ヒュー・ホッパーがもたらしたものもまた大きく、彼に由来する硬質なジャズの要素にメンバーが触発されたことで、インストゥルメンタルにおける各人のポテンシャルがより引き出されているのは、この鬼気迫るまでの演奏を聴けばわかる通りです。

暗闇の中でギラリと光るナイフの刃を思わせるスリリングで切れ味鋭いサウンドが何より印象的で、このいい意味で安定感を欠いたどこか危なっかしさを孕む音像こそが、本作ならではの魅力となっているように感じます。

前作に比べると革新性では譲りますし派手さもないため注目度が低いのは致し方ないところですが、本格的なジャズの導入が本作によって為されたことを考えると、この『ヴォリューム2』があってこそ『3』の高みへと至ることができたと言っていいと思えるのです。

Pataphysical Intro~Hulloder

前作ではほぼオルガン専任だったラトリッジによる力強いグランドピアノのプレイが印象的なオープニングから急転直下、レスリー・オルガンが炸裂する狂乱のサイケデリック・ジャズへと突入する流れが実に見事。ゲスト参加のブライアン・ホッパーによるサックス、熱気みなぎるブローがより演奏のテンションを高めているのも印象的です。

試聴 Click!

Dedicated To You But You Weren’t Listening

突如現れるリリカルな歌もの小曲。のちのマッチング・モールやソロを思わせる美しいメロディで何ともワイアットらしい・・・と思いきや、実はホッパー作なんですよね。キース・ティペット・グループの1stでも表題曲として採用されたナンバーです。

試聴 Click!

10:30 Returns To The Bedroom

荒ぶる熱気と抑制の効いたクールネスが併存するようなソフト・マシーンらしいサウンドが聴けるラストナンバー。粗削りながら、『3』にも繋がっていく音を提示した重要曲ではないでしょうか。

試聴 Click!

「スタッフ佐藤の、コレ好きなんですよ。」他の記事はコチラ!

SOFT MACHINEの在庫

  • SOFT MACHINE / MAN IN A DEAF CORNER

    63-70年のレアライヴ音源集

  • SOFT MACHINE / FLOATING WORLD LIVE

    06年リリース、A.ホールズワース参加作「BUNDLES」リリース時の75年未発表ライヴ音源、ホールズワースのヴァイオリンもフィーチャー!

    名手アラン・ホールズワースが加入し制作されたギター入りソフツの第一弾『BUNDLES』期の未発表ライヴ音源、13曲を収録。ホールズワースはギターの他にヴァイオリンの卓越した腕前も披露しており聴き所です。

  • SOFT MACHINE / ORIGINAL ALBUM CLASSICS

    3rd〜7thを収録

  • SOFT MACHINE / FOURTH

    71年発表、ワイアット在籍最後となる傑作4th

    CARAVANと同じWILD FLOWERSを母体にRobert Wyattらによって結成されたグループであり、サイケデリック・ロックからその音楽性を変化させカンタベリー・ジャズ・ロックの代表的存在へと飛躍していったバンドによる71年4th。前作にも参加していたElton Deanが正式にメンバーとしてバンドに加入した本作は、前作よりもアヴァンギャルド志向と即興色を打ち出した作品であり、フリー・ジャズの音楽性の色濃いものとなりました。ジャズ色を急激に進化させたバンドと音楽性が合わなくなったRobert Wyattは本作を最後に脱退、MATCHING MOLEを結成することになります。

  • SOFT MACHINE / SEVEN

    洗練されたフュージョン的色合いが明確に現れた傑作7th、73年リリース

  • SOFT MACHINE / BRITISH TOUR ’75

    ジョン・エサリッジ在籍時の75年ライヴ、「BUNDLES」の楽曲を中心とするセットリスト、全15トラック

  • SOFT MACHINE / BUNDLES

    75年リリース、Allan Holdsworth参加、圧巻のテクニカル・フュージョン/ジャズ・ロック傑作!

    オリジナル・メンバーのKevin Ayers以来のギタリスト、Allan Holdsworthが加入し、『6』『7』と推し進めてきたフュージョン色をより強めた作品。75年作の8thアルバム。Karl JenkinsとMike Ratledgeによる叙情性と浮遊感のあるキーボード・ワーク、そしてその上をテクニカルに疾駆するHolldsworthの流麗なギター。John MarshallのドラムとRoy Babbingtonのベースによるロック的ダイナミズムに溢れたソリッドなリズム隊も特筆もの。圧巻のテクニカル・ジャズ・フュージョン・ロック!Holldsworthの唯一の参加作となった傑作。

  • SOFT MACHINE / SOFTS

    ホールズワースに代わり名手ジョン・エサリッジが加入した76年作、ギター入りソフツ第2弾!

    最後のオリジナル・メンバーMike Ratledgeが脱退。新たに元Darryl Way’s WolfのギタリストJohn Etheridgeが加入。John Etheridge (G)、Karl Jenkins (Piano)、John Marshall (Dr)、 Roy Babbington (B)、 Alan Wakeman (Sax)という布陣で制作された76年作。シャープなリズム隊をバックにJohn Etheridgeの超絶ギターが炸裂するパートと、柔らかく広がるキーボード&ピアノとサックスによる優美なパートとがダイナミックに交差するアンサンブルが聴き所。圧倒的なテンションと浮遊感の間を超絶技巧とセンスで行き交う後期ソフト・マシーンの代表作。

  • SOFT MACHINE / ALIVE AND WELL

    前任ホールズワースに匹敵するギター名手ジョン・エサリッジ、ヴァイオリニストのリック・サンダースら在籍、77年パリでのライヴ音源、78年リリース

    『SOFTS』に続く78年作。パリは「Theartre Le Palace」で収録されたライヴ音源。編成は、Karl Jenkins(Key)、John Etheridge(G)、Rick Sanders(Vln)、Steve Cook(B)、John Marshall(Dr)。しなやかなヴァイオリンがフィーチャーされ、たおやかさのあるユーロ・ジャズ・ロック的なサウンドが印象的。John MarshallのスリリングなドラムをバックにJohn Etheridgeが高速フレーズを炸裂されるアグレッシヴなパートも特筆もの。ライヴならではの緊張感がみなぎる逸品!

    • AIRAC1669/70

      廃盤、紙ジャケット仕様、スリップケース付き仕様、追加音源10曲を収録した2枚組、Blu-spec CD、2012年デジタル・リマスター、英文ブックレット付仕様、ポストカード付仕様、定価3500

      盤質:無傷/小傷

      状態:良好

      帯有

  • SOFT MACHINE / LAND OF COCKAYNE

    ソフト・マシーンの最終作となった通算11作目、再参加のホールズワースの他ジャック・ブルースも参加した81年作

    英ジャズ・ロックを代表するグループ、SOFT MACHINEの最終作となった通算11作目。81年作。Karl Jenkinsがイニシアチブを取り、John Marshall、Jack Bruce、Alan Holdsworthらが参加して作られた作品。テクニカルなジャズ・ロックを期待して聴くと肩すかしですが、イージー・リスニング的な浮遊感のあるジャズ・ロックとして聴けばかなり完成度高いです。

    • AIRAC1682

      紙ジャケット仕様、Blu-spec CD、2012年デジタル・リマスター、内袋・英文ブックレット付仕様、定価2940

      盤質:傷あり

      状態:良好

      帯有

      8cmシングルCD付き

  • SOFT MACHINE / LIVE AT THE PARADISO

    2ndアルバム発表後の69年3月、アムステルダムはパラディソでのライヴ音源。ワイアット、ラトリッジ、ホッパーによる緊張感に満ちたアンサンブルが素晴らしい全13曲

    2ndアルバム発表後の69年3月、アムステルダムはパラディソでのライヴ音源。ワイアット、ラトリッジ、ホッパーによる緊張感に満ちたアンサンブルが素晴らしい傑作。
    収録曲は、1.Hulloder 2.Dada Was Here 3.Thank You Pierrot Lunaire 4.Have You Even Bean Green? 5.Pataphysical Introduction PtII 6.As Long As He Lies Perfectly Still 7.Fire Engine Passing With Bells Clanging 8.Hibou Anemone And Bear 9.Fire Engine Passing With Bells Clanging(Reprise) 10.Pig 11.Orange Skin Food 12.A Door Opens And Closes 13.10:30 Returns To The Bedroom

  • SOFT MACHINE / SWITZERLAND 74

    傑作『BUNDLES』レコーディング直前、74年モントルー・ジャズ・フェスでの演奏を収録!

    75年リリースの『BUNDLES』がレコーディングされた74年7月と同月にスイスで行われたモントルー・ジャズ・フェスティバル出演時の音源&映像の発掘盤。メンバーは、唯一のオリジナル・メンバーのマイク・ラトリッジ(Key)に、もはや中心人物となったカール・ジェンキンス(Key、Oboe)、そして、ロイ・バビントン(B)とジョン・マーシャル(Dr)という鉄壁のリズム隊、そしてそして、新たに加入したアラン・ホールズワース(G)という布陣。『BUNDLES』収録曲の他、「Riff II」や「Penny Hitch」など『5』〜『7』収録曲も演奏しているのが嬉しいところ。

  • SOFT MACHINE / TANGLEWOOD TALES

    63-70年のレア音源集、全23曲

「SOFT MACHINEの在庫」をもっと見る

コメントをシェアしよう!

あわせて読みたい記事

中古CD買取案内

カケレコ洋楽ロック支店

新着記事

もっと見る

プロのライター&ミュージシャンによるコラム好評連載中!

文・市川哲史

文・深民淳

文・舩曳将仁

文・netherland dwarf

人気記事ランキング

* RSS FEED

ロック探求特集

図表や代表作品のジュークボックスなどを織り交ぜ、ジャンル毎の魅力に迫ります。