2020年4月23日 | カテゴリー:カケレコ中古棚探検隊
タグ: 米SSW
こんにちは。スタッフみなとです。
今日は「都会の孤独」をテーマに作品をピックアップいたします。
地方でも都会でも、それぞれ「孤独」はあるかと思うのですが、音楽ではよく都会の方がが描かれているように思います。
色々な背景や事情を持った人が忙しく行き交う大都会で感じる、ひりひりとした孤独感。そんな情景をテーマにした作品たちです。
都会の孤独といったらまずはこの人、ニューヨークはブロンクス出身のローラ・ニーロです。
幼いころに音楽に親しみ、ドゥー・ワップやジャズなど黒人音楽に熱中していた彼女の歌唱は非常にソウルフルでエモーショナル。
自身の激情をそのまま音にしたようなそのサウンドは、苦手な人も多いほどの激しさです。
生まれ育ち青春時代を過ごしたニューヨークで感じる孤独感や焦燥感を、ひりひりするような鋭い感受性で表現した『ニューヨーク・テンダベリー』は、なぜか時々引っぱり出して聴かずにはいられません。
「あなたは街のように見えるけど、私には宗教のように感じられる」…どんな思いで、若きローラはニューヨークで過ごしていたのでしょうか。
ローラが青い感受性で都会を描いていたのに対し、アリー・ウィリスは一人きりで年を重ねた女性から見た都会を描いています。
こちらの74年作では、元天才子役の戸惑いと孤独をテーマにした表題曲をはじめとして、ジャケにあるような、長く都会で生活し働きながら人知れず涙を流している女性を悲哀たっぷりに歌っています。
「夜について考えながら昼を過ごしたのだけど、そしたら夜の間ずっと昼のことを考えて過ごすことになるって気付くべきだった」と、起きてから寝るまで常に独りでいる生活を実感たっぷりに歌います。
サウンドの方はR&Bプロデューサーのジェリー・ラゴヴォイがアレンジを手掛け、弦・管楽器が控えめに彩るポップスとなっており、アリーのちょとフニャフニャしたボーカルがとってもチャーミングです。
彼女はアース・ウィンド&ファイアーの楽曲など多数のヒット曲を作ったソングライターで、18年にソングライターの殿堂入りを果たしています。
都会の孤独と言えば、スザンヌ・ヴェガを忘れてはいけません。
ニューヨークで育ち、父親が作家だったこともあり9歳の時から詞を書き10代で作曲を始めました。
87年作の冒頭「Tom’s Diner」で、ダイナーで一人過ごす朝の情景をモノローグを繰り返すことによって淡々と描き、都会で生きる人の孤独を浮かび上がらせています。
「誰かが私を見ていた気がして顔を上げた/彼女はガラスに映った自分の姿を確認しているだけだった」と、「孤独」や「寂しさ」といった言葉を一つも使わずに、見事に「孤独」を表現。
アカペラながら、跳ねるようなリズムとスザンヌの毅然としたボーカルが心に残ります。
戸口に立つ孤独を黒い影が見えるほどに見つめた表題曲「Solitude Standing」も、ぞくぞくするような緊張感に満ちており素晴らしいです。
こちらの楽曲は、具体的な「孤独」を描いています。
10代で早くもデビューし、天才少女と謳われたジャニス・イアン。
黒人少年と白人少女の恋を描いた内容の「Society’s Child」が60年代当時のアメリカに衝撃を与え、あまりに騒がれ過ぎたこともあり一時引退しますが、70年代半ばに復活し、今作は75年の復帰第二作です。
力強く澄んだ歌声と優しいアコースティック・ギターで、優しいメロディを奏でています。
悲しい内容の楽曲が多く、「冬の部屋」では冬を一人部屋で過ごす女性のやりきれない寂しさが描かれています。
「寂しくなったら隣の人の声を聞く/電話交換手が時刻を知らせてくれる/10セントあれば神様と話せる」などなど、孤独の情景をありありと歌うジャニス。
夜景から見える沢山の屋根の下には、こういう時を過ごしている人が沢山いるだろうな、と思わせます。
次は男性アーティストです。
ニューヨークはブルックリン生まれ。
ボブ・ディランとのレコーディングやBS&T結成、レーナード・スキナードをプロデュースするなど、アメリカン・ロックの形成に大きく貢献したアル・クーパーは、69年からソロ作をリリースしています。
こちらは自身が生まれ育った街、ニューヨークをテーマにした71年作。
ニューヨークという大都会に焦がれながらも憎み、明かりに集まる蛾のように惹きつけられてしまう…そんな複雑な思いを、ピアノ弾き語りから始まってどんどんエモーショナルに上りつめる楽曲展開で見事に表現しています。
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドを離れ、デヴィッド・ボウイとミック・ロンソンとで作り上げた2作目のソロ作です。
性や人種、病歴や階級…様々にごった返す都会の裏街道。そこを孤独を抱えながら進む人たち、ひいてはリスナーに「ワイルドサイドを歩け」と繰り返すルー・リード。
「doo do doo do doo…」と耳について離れないドゥーワップ風スキャットが、孤独なはぐれ者の心に風を吹き入れてくれます。
いかがでしょうか。少しでも楽しんで頂けましたら幸いです。
人を成長させもし、くたびれ果てさせもする「孤独」。音楽で味わってみるのも良いかもしれません。
廃盤希少!スリップケース付き仕様、24KゴールドCD、HDCD、シリアルナンバー入り
盤質:無傷/小傷
状態:良好
キャロル・キングやジョニ・ミッチェルとともに60〜70年代のアメリカを代表する女性SSW。68年作の2nd。キャロル・キングに通ずるR&Bやソウルからの影響が色濃い洗練された感覚、そしてジョニ・ミッチェルばりの奔放さや色鮮やかさとを併せ持つスタイルは、ただ一言、孤高。自由自在に転調やテンポ・チェンジを繰り返すソングライティングもまた鮮烈です。68年にこれほどまでに瑞々しくも崇高な作品が生まれていたとは。60年代の米ロック屈指と言える傑作。
Blu-spec CD2、02年デジタル・リマスター、ボーナス・トラック3曲、定価1800+税
盤質:傷あり
状態:並
帯有
若干カビあり
キャロル・キングやジョニ・ミッチェルとともに60〜70年代のアメリカを代表する女性SSW。69年作の3rd。自由奔放で瑞々しい2ndに比べ、オープニングから深遠なサウンドに驚きます。ニューヨークの喧噪がフッと立ち消え、スローモーションのモノクロへと景色が崩れていく中、静かに立ち上がるような静謐なピアノ。重厚かつ凛としたヴォーカル。録音当時、まだ22歳とは思えない、魂をえぐるような底知れる表現力はただただ圧倒的。前作『イーライと13番目の懺悔』と並ぶ代表作であり、60年代の米ロック屈指の傑作。
スリップケース付き、2枚組
盤質:傷あり
状態:良好
1枚は無傷〜傷少なめ、1枚は傷あり、スリップケースに若干汚れあり
紙ジャケット仕様、SHM-CD、10年デジタル・リマスター、シリアルナンバー入りレーベルカード付き仕様、定価2667+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
紙ジャケット仕様、SHM-CD、10年デジタル・リマスター、レーベルカード付仕様、定価2667+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
紙ジャケット仕様、SHM-CD、10年デジタル・リマスター、シリアルナンバー入りレーベルカード・インサート付き仕様、定価2667+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
廃盤、紙ジャケット仕様、Blu-spec CD、ボーナス・トラック1曲、内袋付仕様、定価2381+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
廃盤、紙ジャケット仕様、Blu-spec CD、2010年デジタル・リマスター、ボーナス・トラック3曲、内袋付仕様、定価2381+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
5枚組ボックス、各CDはペーパーケース仕様、ボーナス・トラック合計10曲
盤質:無傷/小傷
状態:良好
4枚は無傷〜傷少なめ、1枚は傷あり、若干圧痕あり
73年発表、初期LOU REEDの最高傑作として名高い作品。ALICE COOPERやPINK FLOYDの『WALL』を手掛けた、ボズ・エズリンによる演劇歌劇風な作風。廃頽の街、ベルリンを舞台に、主人公と女性、ともう一人の男の三角関係がもつれて行くというストーリー。女性は誰の子かも分からない子供を産み、ドラッグに溺れてしまう。後半へ行くほど次第に狂気と緊張感が高まって行き、悲鳴や泣き声がストリングや炸裂音とともに螺旋を描いて昇ってゆく様を聞いていると、思わず普段は気にすることのない、深い世界の深淵を覗き込むかのような錯覚に襲われ、眩暈を覚えるかのような恐ろしさがあります。あまりにも表現力に富んでいるので、精神的に不安定な気分の方には正直お薦め出来ないほど。特異な妖気を放った大傑作です。
紙ジャケット仕様、98年デジタル・リマスター、定価2200+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
帯に若干スレあり
紙ジャケット仕様、デジタル・リマスター、ボーナス・トラック2曲、内袋付仕様、定価2200+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
帯に若干汚れあり
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