2016年6月10日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: プログレ新鋭
プログレの大きな魅力の一つと言えるのが、愛すべき鍵盤楽器「メロトロン」。時に荘厳に、時に寂寥感とともに鳴り響くメロトロン・サウンドが、まるで舞台効果のように楽曲に空間的な奥行きをもたらすことで、プログレッシヴ・ロックならではの壮大なる「ドラマ」が鮮やかに演出されました。
90年代に入り、アネクドテンが往年のプログレ・バンドのDNAを継いだ轟々たるメロトロン・サウンドでプログレ新時代の幕を開けましたが、00年代に入り、70年代のグループはもちろん、アネクドテンなど第二世代のグループからも影響を受けたメロトロン・サウンド溢れるプログレ・グループが数多く生まれております。
ここでは、そんな00年代以降のメロトロン名盤をピックアップいたします。現代的なクリアな音像に淡いベールをかけるようにメロトロンが鳴り響く作品たちをどうぞお楽しみください。
ノルウェーのへヴィーシンフォニックロックバンドの09年2nd。
次作の2012年作は優美さと躍動感が加わった傑作ですが、メロトロンの活躍度においては断然本作でしょう。
ANGLAGARDを受け継ぐ硬質なトーンのメロトロンが全編吹き荒れる轟音ヘヴィ・シンフォに圧倒されます・・・。
たおやかなアコギをバックにフルートがリリカルに舞い、溢れんばかりにメロトロンが鳴らされる!
極めつけは、美声の女性ヴォーカル!ファンタスティックなシンフォニック・ロックとして一級品と言える、ハンガリーの新鋭による06年デビュー作。
ずばり傑作!
00年代の英国プログレ・シーンを牽引する名バンドによる04年作4th。
メロトロンをはじめとするヴィンテージ・キーボードが彩るファンタスティックなアンサンブルと英国らしい叙情美に富んだポップなメロディが魅力的。
メロトロン、ソリーナ、ローズ、ハモンドなど、ヴィンテージ・キーボードがこれでもかと溢れるファンタスティックなフランス新鋭!
なんと、あのアトールの名ヴォーカル、アンドレ・バルザーもゲスト参加した2014年快作!
アネクドテンのファンは悶絶必至!ウクライナの恐るべき新鋭、09年デビュー作。
メロトロンとストリングスが狂おしいばかりに美しく響く荘厳なシンフォ名作。
うさぎのジャケがファンタスティック~。
音も70年代プログレへのオマージュや北欧新鋭とのリンクも感じさせるシンフォニック・ロック。
なに?2011年作の日本の新鋭だって?
フランスより登場したヘヴィ・プログレの新鋭、13年2nd。
『MDK』マグマか『RED』クリムゾンかという迫り来る音塊の如きヘヴィ・アンサンブルに、これまた嵐のように吹きすさぶ轟音メロトロンがもう強烈すぎ!
陽光溢れるファンタスティックな1stも名作でしたが、SUBMARINE SILENCEのKey奏者が全面参加したこの2ndは、そこにジェネシスのオマージュが散りばめられていて最高の幻想プログレに仕上がっております。
メロトロンやハモンド・オルガンもあふれんばかり。
英新鋭の中でもイギリスらしい格調高さを最も感じさせるグループの一つがWILLOWGLASS。
抜けるようにクリアなトーンのシンセと優雅なヴァイオリン、そして柔らかな幻想美を演出するメロトロン・・・極上ですね。
ポスト・ロック以降のモダンなセンスと70年代プログレのDNAを受け継いだメロトロン・サウンドが見事に組み合わさったスタイリッシュ&ハイブリッドなシンフォニック・ロックを聴かせるスウェーデン新鋭の名グループ。
充実の2013年作6th。
PFMからCELESTEまでを宿す香り高く豊潤なイタリア叙情に、MOON SAFARIの爽やかなポップフィーリングを加えたような感じ。
イタリアの新鋭プログレ・バンド、2013年デビュー作。
これはオススメです。
メロトロンとピアノによる「凛」としたサウンド。並の才能では出せないイメージ喚起力に溢れています。70年代イタリアン・プログレ直系のサウンド・プロダクションも絶品。
FINISTERREやLA MASCHERA DI CERAの中心人物Fabio Zuffantiによるプロジェクト・グループ。08年作。
まるでCELESTEを彷彿させるクラシカルかつ優美なメロトロン!
そして極めつけは、切々と胸を締め付けるようなセンチメンタルなヴォーカル!
マイナーですが、メロディ・センスは90年代以降の伊プログレ・グループ屈指。
ハンガリーのグループ。06年のデビュー作。たおやかなアコギをバックにフルートがリリカルに舞い、溢れんばかりにメロトロンが鳴らされる!極めつけは、流れるように美しいメロディとスッと入ってくる美声の女性ヴォーカル!全体的に柔らかな音像でハードさは無いものの、タイトなリズム隊のせいか、演奏はダイナミズムに溢れています。全員がテクニック抜群ですが、特にアコギ奏者はかなりの腕前で、格調高くリリカルなリードは必聴。ファンタスティックなシンフォニック・ロックとして一級品の傑作。本当に素晴らしいです。
ペーパーケース仕様、新装ジャケット&オリジナル・オーディオでの2014年新規リイシュー盤。バンドサイトでは、MUSEA盤と異なる06年にハンガリーでリリースされた音源で、LPのようなアナログのフィーリングを最大限に活かし、アコースティックやメロトロンが魅力的に響くようにミックスされているそうです
盤質:傷あり
状態:良好
軽微な汚れ・軽微な圧痕あり
英国はヨークシャー在住のマルチ・インストゥルメンタル奏者Andrew Marshallによるプロジェクト。2013年作3rd。きらびやかなアコギやどこまでもクリアに広がっていくようなシンセの音色がひたすら美しいシンフォニック・ロックが印象的。そうかと思うと、タイトなリズムセクションに乗って艶のあるシンセとレトロな音色のオルガンがダイナミック疾走する「動」のパート、哀愁を湛えたフルートや気品高くもどこか陰鬱に響くヴァイオリンが彩る「静」のパートなど、英国らしい端正な音使いのアンサンブルが繰り広げられます。そして、ここぞというところで溢れ出すメロトロンに、わかっていても悶絶。中世英国の気品溢れる世界観を想起させる絶品シンフォニック・ロック。これは傑作です。
ヴィンテージ・キーボードやエレクトリック・ブズーキを操るマルチインストゥルメント奏者、MOTISことEmmanuel Tissot率いるグループ。2014年作6th。ANGE直系のシアトリカルなシンフォニック・ロックを軸に、MALICORNEに通じるフレンチ・トラッドのフレイヴァーが香るサウンドが持ち味。とにかくメロトロンM400やソリーナやローズやハモンドなどヴィンテージ・キーボードがこれでもかとフィーチャーされていて、特にメロトロンが大活躍!幻想的に溢れるメロトロンをバックにリリカルに紡がれるハモンド、そして、スティーヴ・ハケットを彷彿させる格調高いマンドリンやブズーキが織り成すファンタスティックなアンサンブルは、ジェネシス〜アンジェあたりのファンはたまらないでしょう。MOTISによるフランス印象派絵画のように柔らかで親しみやすいハイ・トーンのヴォーカルとフックあるメロディも特筆。なんと、アトールの名ヴォーカリスト、アンドレ・バルザーがゲスト参加し、1曲でヴォーカルを担当。この曲がまた素晴らしい!アナログ的な温かなサウンドプロダクションも印象的で、70年代の発掘作品と言っても分からないでしょう。これはシンフォニック・ロックのファンは必聴の快作!
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