2018年5月19日 | カテゴリー:KAKERECO DISC GUIDE,世界のロック探求ナビ
タグ: プログレ新鋭
スタッフ増田です。
毎月更新のカケレコセレクト100より一押しの作品をご紹介する『KAKERECO DISC GUIDE』。
本日ご紹介するのは、今年3月にリリースされたばかりの作品。
イタリアの新鋭ジャズ・ロック・グループ、HOMUNCULUS RESによる18年作3rd『DELLA STESSA SOSTANZA DEI SOGNI』です。
HOMUNCULUS RESはイタリア、シチリア島出身の5人組ジャズ・ロック・バンド。キーボード/ギター/作曲をこなすDario D’Alessandroを中心に結成され、2013年にAltRockレーベルよりデビューしました。
ちなみに、シチリア島はイタリアのちょうど「つま先」部分に位置する地中海最大の島。
オリーブやレモン、そして美しいビーチ。まさに地中海!といった風情ですね。うーん、行ってみたい!
さて、彼らのサウンドの根底となるのはCARAVAN、HATFIELD & THE NORTHといったカンタベリー・ロック、そしてカンタベリー・ロックを意識しつつさらに前衛性を強めていったイタリアのPICCHIO DAL POZZOをはじめとするアヴァン/チェンバー・ロック。
特にアヴァン/チェンバー界隈とは深いつながりがあり、15年作の2ndではPICCHIO DAL POZZOのkey奏者Aldo De Scalzi、MUFFINSの管楽器奏者David Newhouse、YUGENのキーボード奏者Paul “Ske” Bottaなどがゲスト参加。
さらに本作では引き続き参加のDavid Newhouse、Paul Bottaに加え、STORMY SIXのマンドリン・管楽器奏者Tommaso Leddi、MAMMA NON PIANGEREのギタリストLorenzo Leddiなどそうそうたるメンバーが顔を揃えています。
しかしながらこのグループのユニークなところは、変拍子を駆使したり、管弦楽器を複雑に配置したりなどアヴァン/チェンバーの緻密さを受け継ぎつつも、それをどこまでも軽やかでポップに活かした点。
CARAVANからの影響を感じさせる明るく弾むビート、たおやかな管楽器に優しいギターやファズ・オルガンの音色。シチリア島らしく地中海の風を思わせる、スピーディーで爽快感あふれるアンサンブル。
時にはキュートな女性ヴォーカルをフィーチャーしたり、リゾート感あふれるボサノヴァ調があったりと、お洒落でモダンな要素も。
複雑で技巧的ながらも決してシリアスにならず、爽やかでどこかユーモラスに聴かせるサウンドははまさしくカンタベリー直系と言ってよいでしょう。
カンタベリー・ロックとチェンバー・ロックをポップでユーモラスに昇華させる、というコンセプトは1stから一貫していますが、本作3rdでは1曲1曲がコンパクトながらも多彩で濃密に仕上げられており、実に脂の乗ったHOMUNCULUS RESワールドを堪能することができます。
メンバー・ゲスト含め総勢21人参加の、緻密で個性豊かな新感覚ポップ・ジャズ・ロックをどうぞお試しあれ!
イタリアはシチリア島出身、カンタベリー・フィーリング溢れるジャズ・ロック・バンドの20年作4th。CARAVANに通ずる牧歌的なポップ・センス&HATFIELDを思わせる淡い叙情性にまばゆい地中海色が交わった、愛らしく流麗なサウンドは本作も絶好調。さらに本作ではキレのある変拍子やちょっぴり奇抜なムーグ・シンセの音色を効果的に散りばめ、甘く爽やかなポップさとスパイシーな実験性が代わる代わる顔を覗かせるユーモアたっぷりの音世界を繰り広げています。この作風、Kevin Ayersのファンはかなりグッと来るはず…!本作もカケレコメンド!
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