こんにちは、スタッフ佐藤です。
6月30日に六本木のBillboard live東京で行われた、フィル・マンザネラ来日公演の1日目1stステージを観てまいりました!
ロキシー・ミュージックのギタリストとしては勿論、ソロ活動や自身が率いるバンドでの活動さらにプロデューサーとしても手腕を振るってきた英国ロック界が誇る才人フィル・マンザネラですが、ソロでの来日は今回が初となります。
15年にリリースした現時点での最新作『Sound Of Blue』のレコーディング・メンバーによる「Sound Of Blue Bnad」を率いた7人編成でのステージとなりました。
開始時間の19時、真っ先に登場したマンザネラは、白地に柄入りのシャツと白パンツという上下白で統一した洗練された出で立ち。比べるのも変ですが、レザーやエナメルの衣装にハエ眼鏡という危ない人感全開だった若い頃のヴィジュアルからは想像できないお姿です^^
他のメンバーもステージに上り(巨漢ベーシストYaron Staviの存在感が凄い!)、彼がレスポールを構えると演奏がスタート。
1曲目はまさかの1stソロ『Diamondhead』より「Frontera」!(ロバート・ワイアットのスペイン語ヴォーカルが印象的なあの曲です)
ギターインスト・アレンジだったので最初はわからなかったのですが、紛れもなく何度も聴き馴染んだメロディーをマンザネラが弾いています。大大好きなこの曲を聴けるとは思わなかったのでいきなり感動してしまいました~!
マンザネラらしいギュワーーンという切れ味鋭いタッチのギターにリヴァーヴがかかって会場全体に鳴り響きます。
御年66歳のマンザネラさんですが、円熟味などまるで感じさせない溌剌としたプレイに驚き!
見た目は優しげなおじいちゃんになられましたが(元々優しい顔つきですが)、奏でるサウンドはまだまだ現役ミュージシャンとしての活力に溢れていました!
2曲を演奏後、女性シンガーSonia Bernardoが登場。赤いドレスを身に纏った長身の美女で、調べるとSSWとして14年頃より活動するポルトガル系イギリス人ミュージシャンとのこと。15年のアルバムでは、3曲でヴォーカルを披露しています。
男性6人だったバンドに紅一点が加わり、ステージ上が一気に華やかに。
マンザネラがあのさざ波のように心地よい反復フレーズを弾き始めると、会場がワッ!とざわめきます。これはロキシー・ミュージックの「More Than This」!!
R&Bテイストたっぷりの艶やかなヴォーカルで歌われるロキシー・ナンバー、実に新鮮でした。
マンザネラやベースのYaron Stavi、ギターのLucas Del Poloが「More Than This~」のコーラスを添えると、連日の雨で湿度を帯びた空気が嘘のように爽やかな風が舞い込みます。場の空気すら変えてしまう音楽の力を目の当たりにしてしまいました…。
さらにロキシーの名曲「Out Of Blue」も素晴らしかったなぁ~
ここではキーボードを弾いていたJoao Melloがサックスに持ち替えマッケイばりの堂々たるプレイを聴かせていて、彼の存在がロキシーを聴いてる感をグッとアップさせていたように思います。
オリジナルではエディ・ジョブソンのヴァイオリンが華麗に飛翔する終盤のインスト部分は、マンザネラともう一人のギタリストLucas Del Poloによるエネルギッシュなギター・インストゥルメンタル・パートになっていて、どんどんヒートアップしていく演奏に会場は大興奮!
マンザネラ、Sonia Bernardo、そして抜群のテクニックを誇る巨漢ベーシストYaron StaviにサイドギターのLucas Del Poloの4人がフロントを陣取り体を大きく揺らしながらノリノリで演奏していたのが大変印象的でした。
プログレ・バンドのライヴだとテクニカルさも重要な分あまり気が抜けないのか終始真剣な顔つきで演奏してることも多いのですが、今回のライヴはほどよくリラックスした感じもあって、マンザネラはもちろんメンバー全員が演奏を心から楽しんでいるように見え、何だかこちらも嬉しくなってきます。
途中、Sonia Bernardoだけがステージに残り、ギター弾き語りを披露する場面もありました。
エレキギターを爪弾きながら、プレスリーの名曲「Can’t Help Falling In Love」を情緒たっぷりに歌い上げます。
これほどのスタンダード曲だと歌の良し悪しがはっきり出るものですが、いやはや本当に上手い!
繊細な表現力も備えた素晴らしい歌唱がじんわりと胸に迫ってくる好パフォーマンスでした。
15年作『Sound Of Blue』からも数曲をプレイ。特に良かったのがアルバムでは1曲目の「Magdalena」で、太く存在感あるトーンで渾身のプレイを披露するマンザネラ。まるでサンタナか近年のアンディ・ラティマーかという説得力に満ちた熱く力強いギターソロに驚かされます。15年作を事前に聴いていたので知ってはいたのですが、やはり生でそれを聴くと鳥肌が立つような感動が押し寄せてきます。英国ロックのレジェンドの偉大さを改めて実感しましたね。
ロキシーや昔のソロナンバーを演っている時とは違い、ここでは45年に及ぶキャリアの末辿り着いた円熟の境地をじっくりと堪能させてくれます。
再びロキシーからは「Love Is A Drug」。あの耳に残るファンキーなリフレインもばっちりマンザネラが弾いてくれてました!
また、この曲の黒っぽいノリで俄然映えてくるのがSonia Bernardoで、R&B由来のやや粘りあるヴォーカルが相性抜群でしたね~!
マンザネラも参加したフェリーの同名ソロアルバムからの「Lets Stick Together」では観客も一緒になって大盛り上がり。
デイヴ・ギルモアのバンドや完全即興ユニットWINGFIELD REUTER STAVI SIRKISでも活躍するYaron Staviのテクニックとノリの良さを両立したベースプレイ、基本的にはリズムギターに徹しつつも、時おりテクニカルなソロで会場を沸かせたLucas Del Polo、どっしりと安定感あるドラミングで演奏を支えたJavier Weylerなど、バンドメンバーの確かな実力もあってこその好ステージであったのは間違いありません。
ロキシーの曲はもちろん絶品でしたが、新旧ソロナンバーも素晴らしいパフォーマンスで、言うことなしの大大満足のステージでした!メンバーと観客が一緒になってその場を楽しんでいるような、理想的なライヴ空間があったように感じられます。
今回の来日公演は15年作リリースに伴うツアーの一環ということですが、またこのメンバーでのステージが是非とも観たいと思わせてくれる充実のパフォーマンスだったので、これは次の来日も期待しておきたいと思います!
ブライアン・フェリー(Vo)、ブライアン・イーノ(Key)を中心に、フィル・マンザネラ(G)、アンディ・マッケイ(Sax)など、後に英ロック・シーンを引っ張っていく名ミュージシャン達により結成された名グループ。グラム・ロック全盛の71年にリリースされたデビュー作。プロデュースは、キング・クリムゾンでお馴染みのピート・シンフィールド。オープニング・ナンバーからテンション全開で、吹き荒れるアンディ・マッケイのサックス、叩きつけるようなノイジーなフィル・マンザネラのギター、四方八方から飛び込んでくるブライアン・イーノのシンセが左右チャンネルをエネルギッシュに駆け回ります。極めつけは、ブライアン・フェリーのわざとらしいヴィヴラート・ヴォーカル!個性がぶっ飛んだメンバーが全速力でぶつかりあったサウンドは、グラム・ロックのカテゴリーに収まらない破天荒さでいっぱい。ロックンロールやドゥ・ワップなどオールド・タイムな音楽を詰め込みつつ、圧倒的にアヴァンギャルドに、かつおもちゃ箱をひっくり返したようにポップに聴かせる、英ロック史上に残る傑作です。
ブライアン・イーノ在籍時最後の作品となる73年の2nd。前半と後半でプロデューサーが変わっていて、次作も手がけるクリス・トーマスがプロデュースした前半は、1stの延長線上のアヴァンギャルドかつポップな作風、初期ジェネシスも手がけたジョン・アンソニーがプロデュースした後半は、怪しくもアーティスティックな作風が特徴です。オープニングの「Do The Srand」から相変わらずにエキセントリック!シャープなリズムを軸に、フィル・マンザネラが鋭角なフレーズで切り刻み、アンディ・マッケイがサックスをぶつけ、イーノのシンセがおもちゃ箱をひっくり返したようなポップさを加えます。ブライアン・フェリーのきわものヴィヴラード・ヴォーカルもキレをましています。一転してダークに後半の幕を開けるのは、ビニール人形を愛する男を歌う「In Every Dream Home A Heartache」。エコーするイーノのシンセサイザーに揺れるようなアンディ・マッケイのサックスとフィル・マンザネラのギターが絡み、そこにブライアン・フェリーが淡々と言葉をのせて妖しい空間を作り出します。「狂気」に満ちたうねるようなギターソロも圧巻。各音とそのぶつかり合いはぶっ飛んでいるのに、全体としては洗練させて聴かせるのがこのグループの恐るべきところで、アヴァンギャルドかつポップな初期ロキシーの魅力が詰まった名作!
有名な「ひとつのバンドにふたりのノン・ミュージシャンはいらない」とのフェリーのセリフで脱退に至ったブライアン・イーノに代わり、ヴァイオリン、キーボードで元カーヴド・エアのエディ・ジョブソンが参加した73年作サード・アルバム。相変わらず癖のあるフェリーのヴォーカルは健在だが、前2作のグラム・ロック的な派手さは抑えめで6曲目「ヨーロッパ哀歌」のように朗々と歌い上げる曲も。本作からは1曲目「ストリート・ライフ」が全英で9位を獲得。本アルバムは初の全英1位となり、ロック界でのロキシーのプレゼンスを確立させた。
プラケース仕様、HDCD、デジタル・リマスター
盤質:傷あり
状態:良好
ケースツメ跡あり、若干折れあり
ブライアン・フェリーの当時の恋人でトップ・モデルのジェリー・ホールが女神に扮するジャケットも話題となった5作目は、活動休止に伴う前半期最後のスタジオ・アルバム。バンドのスタイルが確立したことによる成熟と同時に、ターニング・ポイントを迎えた彼らが放つ充実作。全英チャート2位を記録したヒット曲「恋はドラッグ」収録。75年作。
マンザネラ、イーノを中心として結成されたプロジェクト。76年作のライヴアルバム。マンザネラ「ダイアモンド・ヘッド」、クワイエット・サンの楽曲を中心に、ビートルズ、キンクスのカヴァーも取り入れ、スリリングなジャズ・ロックからアヴァンギャルドなポップまでテンション溢れる演奏で一気に聴かせます。名作。
フィル・マンザネラのカンタベリー派を中心とした伝説的グループ。75年の唯一作。ソフト・マシーンから多大な影響を受けたサウンド/志向を持ちつつ従来の空間/音響感覚を意識したサウンドとチャールズ・ヘイワードの作為を排除したエネルギッシュかつ硬質なサウンドが絶妙に交錯した作品。
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